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漢字逞筆 【故事成語・諺】 問題一覧表
2018/5/1公開(2390問)
【難度について】
◆1…平坦。もしや聞いた事が有るかもしれない。難易問わず多少なりの認知はあるだろう故事諺。
◆2…難所。難解な諺・故事成語はあるものの、一部㈡の書き取り等にも出てきそうで、この辺りまでは基礎である。およそ漢検辞典大見出しに解答単語がある。(例外有)
◆3…難関。ここから難しさが激化し、熟字訓を書かせたり、四字の知識が必要だったりする。およそ漢検諸本のどこかに解答単語がある。(例外有)
◆4…地獄。3の難易度を踏まえ、基本的に常用漢字が中心となる。もちろん初見ではまず書けない問題。
◆5…無等。漢検諸本にも記載がないほどマニアックなもの。出題率は極低だろうが、180点以上の高得点を取るならばこの難度も踏破するべきか…
(ここの難度は私の偏見で成り立っています。深入りはご遠慮下さい。あくまで参考に。)
【この表の活用方法】
F3を押していただき、検索ボックス内に上記難度を入力して決定すると指定の問題を強調することができます。
└→F3を押す。→検索ボックス内に例えば「◆2」と入力して決定。→難度◆2の問題が強調される。(Enterキーで次項で飛べます。)
【昇順機能と降順機能で並び替え】※エクセル表示の時のみ
見出しの欄のプルダウン(▼)を押し、出てきた欄の右のバーを上にずらし、「昇順で並び替え」または「降順で並び替え」を指定することで、
一覧表を難易度順や五十音順などに並び替えをすることができます。
(【番】のプルダウンを押し、「昇順で並び替え」を指定することで初期状態に戻ります。)
【同音異義語用列について】※エクセル表示の時のみ
見出しの欄のプルダウン(▼)を押し、出てきた欄の右のバーを上にずらし、「昇順で並び替え」または「降順で並び替え」を指定することで、
解答単語で五十音順に並び替えをすることができ、同音異義語として活用することができます。
(【番】のプルダウンを押し、「昇順で並び替え」を指定することで初期状態に戻ります。)
   
【番】 【問題】 【難度】 【解答】 【別答】 【 意 味 】 【同音異義語用】
1 【アイクチ】に鍔 ◆1 匕首 合口 👉あいくちにつば。
釣り合わないことや不調和なことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★匕首は本来鍔のない短刀なので、鍔をつけると似つかわしくないことから。
*『諺苑』
アイクチ
2 【アバタ】も靨 ◆1 痘痕   👉あばたもえくぼ。
ひいき目で見れば短所も長所に見えるたとえ。〈漢字ペディア〉
★好きになれば、相手のあばたもえくぼのようにかわいらしく見える意から。
*『人情本・郭の花笠-二・八回』
アバタ
3 【アンコウ】の待ち食い ◆1 鮟鱇   👉あんこうのまちぐい。
働きもせずに利益を得ようとするたとえ。〈漢字ペディア〉
*『日本俚諺大全』
アンコウ
4 一世を【フウビ】する ◆1 風靡   👉いっせいをふうびする。
ある時代に広く流行し、大きな影響力をもつ。〈漢字ペディア〉
*『後漢書-馮異伝』
フウビ
5 【イツボウ】の争い ◆1 鷸蚌   👉いつぼうのあらそい。
利益をめぐって両者が争っている間に、第三者に利益を横取りされて共倒れに終わってしまう愚かさのたとえ。〈漢字ペディア〉
★シギとハマグリとが餌(エサ)の取り合いで争っているうちに、両方とも漁師に捕まってしまったという故事から。
●〈平成20年度・第2回出題,大問㈨,小問7〉
*『戦国策-燕策』
イツボウ
6 【インカン】遠からず ◆1 殷鑑   👉いんかんとおからず。
戒めとすべき失敗の前例は、わざわざ遠くに求めなくてもすぐ身近なところにあるということ。〈漢字ペディア〉
★「殷」は、中国の古代王朝名。
★「鑑」は、かがみ、手本の意。
★殷が鑑とすべき手本は、まさにすぐ前の王朝夏(カ)の暴政であったことから。
*『詩経-大雅・蕩』
インカン
7 【ウケ】に入る ◆1 有卦   👉うけにいる。
幸運がめぐってきて、当分続くこと。〈漢字ペディア〉
★陰陽道(オンヨウドウ)で吉運の年回りに入ったという意から。
*『俳諧・玉海集-二・夏』
ウケ
8 【エンオウ】の契り ◆1 鴛鴦   👉えんおうのちぎり。
夫婦仲がきわめてむつまじいことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★オシドリは、いつも雌雄が一緒にいることから夫婦仲のよいたとえに用いられる。
*『御伽草子・浦嶋太郎』
エンオウ
9 【オクビ】にも出さぬ ◆1 噯気 噫気
👉おくびにもださぬ。
心の底に秘めていて、それらしいそぶりも見せないこと。〈漢字ペディア〉
*『御伽草子・鴉鷺合戦物語』
オクビ
10 同じ穴の【ムジナ】 ◆1 👉おなじあなのむじな。
悪事をたくらむ仲間であることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★別なように見えても実は悪賢いムジナであることに変わりはない意から。
*『』
ムジナ
11 小田原【ヒョウジョウ】 ◆1 評定   👉おだわらひょうじょう。
いつまでも意見がまとまらず、長引くだけの相談。〈漢字ペディア〉
★北条(ホウジョウ)氏がたてこもった小田原城を豊臣秀吉が攻めた際、城内で和議か抗戦かなかなか決まらなかったことから。
*『日本俚諺大全』
ヒョウジョウ
12 男は度胸女は【アイキョウ】 ◆1 愛嬌 愛敬 👉おとこはどきょうおんなはあいきょう。
この世に生きていくうえで、男は度胸、女は愛嬌がまず第一で、何よりも大切だということ。〈漢字ペディア〉
*『日本俚諺大全』
アイキョウ
13 帯に短し【タスキ】に長し ◆1   👉おびにみじかしたすきにながし。
中途半端で役に立たないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★帯にするには短過ぎるし、襷にするには長過ぎて使えない意から。
*『世話類聚』
タスキ
14 親の【スネ】を齧る ◆1   👉おやのすねをかじる。
子が親から、経済的な援助を受けること。自立できない子どものたとえ。〈漢字ペディア〉
*『談義本・教訓続下手談義-一・八王子の臍翁手代への説法』
スネ
15 【カイ】より始めよ ◆1   👉かいよりはじめよ。
言い出した者から始めよ。また、物事を手近なところから始めるたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、戦国時代、燕(エン)の昭王が賢人を招く方法を郭隗(カクカイ)に相談したところ、隗が「まず私を登用してください。それを知って私よりすぐれた人物が多く集まってくるでしょう」と答えたという故事から。
*『戦国策-燕策』
カイ
16 【カツモク】して相待つ ◆1 刮目   👉かつもくしてあいまつ。
人や物事が著しく進歩・成長するのを期待して待ち望むこと。また、今までとちがった見方で相手を見直すこと。〈漢字ペディア〉
★中国、三国時代、呉の呂蒙(リョモウ)が孫権の忠告で学問に励み、進歩のはやさで魯粛(ロシュク)を驚嘆させ、魯粛が「りっぱな男は三日見ないだけで、もう目を見開いて見なくてはならないものだ」と言ったという故事から。
*『呉志-呂蒙伝・注』
カツモク
17 【ガベイ】に帰す ◆1 画餅   👉がべいにきす。
思案したことが、実際には行われなかったり失敗に終わったりして無駄になること。〈漢字ペディア〉
*『近世紀聞〈染崎延房〉五・二』
ガベイ
18 借りる時の地蔵顔済す時の【エンマ】顔 ◆1 閻魔   👉かりるときのじぞうがおなすときのえんまがお。
人に借金をするときにはおだやかな表情で対応するが、返済するときには険しい表情をするたとえ。〈漢字ペディア〉
★「済す」は、返却する意。
*『虎寛本狂言・八句連歌』
エンマ
19 【カンタン】の夢 ◆1 邯鄲   👉かんたんのゆめ。
人の世の栄華がはかないたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、唐代、盧生(ロセイ)という若者が邯鄲の町で道士の呂翁(リョオウ)から出世がかなうという枕(マクラ)を借りて寝たところ、栄華に満ちた一生を送る夢を見、目覚めると宿屋の主人に頼んでおいた黄粱(コウリョウ)がまだ炊き上がらないような短い時間だったという故事から。
*『枕中記』
カンタン
20 【カンナン】汝を玉にす ◆1 艱難   👉かんなんなんじをたまにす。
人は困難や苦労を乗り越えてりっぱになっていくということ。〈漢字ペディア〉
*『小学読本〈榊原・那珂・稲垣〉四』
カンナン
21 【カンポウ】の交わり ◆1 管鮑   👉かんぽうのまじわり。
〈漢字ペディア〉
★中国、春秋時代、斉の管仲と鮑叔牙(ホウシュクガ)は無二の親友で、ともに商売をしたとき、管仲が分け前を余分にとっても鮑は管が貧乏なことを知っていて非難せず、管を宰相の位に推挙したのも鮑であったなど、二人の利害を超えた親密な交際は生涯続いたという故事から。
*『列子-力命』
カンポウ
22 【キンカ】一日の栄 ◆1 槿花   👉きんかいちじつのえい。
人の世の栄華がはかないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★ムクゲの花は朝咲いて夕暮れにはしぼむことから。
*『白居易-放言五首詩』
キンカ
23 【キンシツ】相和す ◆1 琴瑟   👉きんしつあいわす。
夫婦が仲むつまじいたとえ。また、兄弟や友人の仲のよいことにもいう。〈漢字ペディア〉
★「瑟」は、琴の大型のもの。
★琴と瑟は、合奏すると音色がよく調和することから。
*『詩経-小雅・常棣』
キンシツ
24 【ゲキ】を飛ばす ◆1   👉げきをとばす。
自分の主張や意見を急いで多数の人に知らせ、同調して行動するように促すこと。〈漢字ペディア〉
★激励する意で使うのは誤り。
*『海に生くる人々〈葉山嘉樹〉二九』
ゲキ
25 【コウケイ】に中たる ◆1 肯綮   👉こうけいにあたる。
意見や批判が、物事の核心をとらえていること。急所をつくたとえ。〈漢字ペディア〉
★「肯」は、骨に付いた肉。
★「綮」は、筋肉と骨とを結ぶところ。
*『元史-王都中伝』
コウケイ
26 【コケン】に関わる ◆1 沽券 估券 👉こけんにかかわる。
それまで保っていた品位や体面がけがされるおそれがある。〈漢字ペディア〉
★「沽券・估券」は、不動産の売買を証明する文書。転じて、人間の価値や信用・面子の意。
*『入れ札〈菊池寛〉』
コケン
27 【ゴマメ】の歯軋り ◆1   👉ごまめのはぎしり。
能力のない者がくやしがったり、いきりたったりしても、どうしようもないたとえ〈漢字ペディア〉
*『和歌民のかまど』
ゴマメ
28 【サイ】は投げられた ◆1   👉さいはなげられた。
一度始めてしまったことは、予定どおりに最後まで実行するほかはないということ。〈漢字ペディア〉
★ポンペイウスと対立したカエサル(シーザー)が、北からイタリアに入る時は、軍隊を解散してから渡らねばならないという法を破ってルビコン川を渡るときに言ったといわれることば。
*『ブウランジェ将軍の悲劇〈大仏次郎〉四月一日・四』
サイ
29 【スイゼン】の的 ◆1 垂涎   👉すいぜんのまと。
だれもがほしくてたまらないもの。〈漢字ペディア〉
*不明
スイゼン
30 青天の【ヘキレキ】 ◆1 霹靂   👉せいてんのへきれき。
思いがけない事件が起こるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「霹靂」は、雷鳴の意。
★よく晴れた空に、突然雷鳴がとどろく意から。
*『陸游-九月四日雞未鳴起作詩』
ヘキレキ
31 【ソジョウ】の肉 ◆1 俎上   👉そじょうのにく。
他人に運命がすべて握られ、身動きがとれない状態のたとえ。〈漢字ペディア〉
★まないたの上に置かれた、料理直前の魚肉の意から。
*『史記-陳丞相世家』
ソジョウ
32 【タデ】食う虫も好き好き ◆1   👉たでくうむしもすきずき。
人の好みはさまざまであることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★タデの葉は食べると辛いが、それを好んで食べる虫もあることから、人の嫌うものを好む者もいれば、人の好むものを嫌う者もいるということ。
●〈平成28年度・第3回出題,大問㈧,小問6〉
*『波形本狂言・縄綯』
タデ
33 【タンゲイ】すべからず ◆1 端倪   👉たんげいすべからず。
物事の規模がどれほどなのか、おしはかれないこと。人格の大きいことなどにいう。〈漢字ペディア〉
*『荘子』
タンゲイ
34 月と【スッポン】 ◆1   👉つきとすっぽん。
二つのもののちがいが、比較にならないほどかけ離れているたとえ。〈漢字ペディア〉
★月もスッポンも外形はともに丸いが、その実質はまったくちがっていることから。
*『浄瑠璃・蘆屋道満大内鑑-三』
スッポン
35 手を【コマヌ】く ◆1   👉てをこまぬく。
何もせずにただ傍観していること。もとは、儒教で両手を胸の前で組み、敬礼する意。〈漢字ペディア〉
*『史記-始皇本紀賛』
コマヌ
36 天網【カイカイ】疎にして漏らさず ◆1 恢恢   👉てんもうかいかいそにしてもらさず。
天が張りめぐらした網は広く、目は粗いようだが、何一つ取りこぼすことはない。悪人は一人残らず捕らえるということ。悪事をはたらいた者には、必ずその報いがあるという戒め。〈漢字ペディア〉
★「恢恢」は、広大なさま。
*『老子-七三』
カイカイ
37 【トウロウ】の斧 ◆1 蟷螂 螳螂
蟷蜋
螳蜋
👉とうろうのおの。
弱い者が非力も顧みず、強い者に無鉄砲に立ち向かっても無理なことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★カマキリ(蟷螂)が前あしを上げて大きな車の進行を止めようとする意から。
*『韓詩外伝-八』
トウロウ
38 泣いて【バショク】を斬る ◆1 馬謖   👉ないてばしょくをきる。
全体の規律のためには私情をはさまず、規則に従って信頼する者や大切な者を処分すること。転じて、天下の法は私情で曲げられないたとえ。多く、心ならずも信頼する部下に対し処分を下すときに用いる。〈漢字ペディア〉
★中国の三国時代に諸葛亮(ショカツリョウ)が、信頼する部下の馬謖が命令にそむいて戦いに敗れたとき、私情を捨てて処刑した故事から。
*『蜀志-諸葛亮伝』
バショク
39 【ナメクジ】に塩 ◆1 蛞蝓   👉なめくじにしお。
苦手なものの前に出て縮みあがり、何もできなくなるたとえ。〈漢字ペディア〉
★ナメクジに塩をかけるとしぼみ縮むことから。
*『俚言集覧』
ナメクジ
40 【ノミ】と言えば槌 ◆1   👉のみといえばつち。
すべてのことに気が利くたとえ。〈漢字ペディア〉
★鑿が必要だといえば、一緒に使うことになる槌も差し出すことから。
*『やぶにまぐわ-一・四』
ノミ
41 【ヒイキ】の引き倒し ◆1 贔屭 贔屓
贔負
👉ひいきのひきたおし。
贔屭しすぎて、かえってその人をだめにしたり迷惑をかけたりすること。〈漢字ペディア〉
*『世諺拾遺-巻簾』
ヒイキ
42 【ヒソ】みに効う ◆1 👉ひそみにならう。
1.事の善悪も考えず、むやみに人まねをすること。
2.人の言行を見習い、同じようなことをするのを謙遜していう言葉。〈漢字ペディア〉
★「顰み」は、眉をひそめること。
*『西洋道中膝栗毛〈仮名垣魯文〉六・下』
ヒソ
43 人の【ゴボウ】で法事する ◆1 牛蒡   👉ひとのごぼうでほうじする。
他人に便乗して調子よく自分の務めを果たすこと。人の褌で相撲を取る。〈漢字ペディア〉
*『国民の品位』
ゴボウ
44 人の【フンドシ】で相撲を取る ◆1 犢鼻褌 👉ひとのふんどしですもうをとる。
他人のものを利用して、自分のことをするずる賢いやり方のこと。〈漢字ペディア〉
*『世諺拾遺-巻簾』
フンドシ
45 富貴は【キョウシャ】を生ず ◆1 驕奢   👉ふうきはきょうしゃをしょうず。
財産をつくり、地位が高くなると、心がおごりぜいたくになる。〈漢字ペディア〉
*不明
キョウシャ
46 【フユウ】の一期 ◆1 蜉蝣   👉ふゆうのいちご。
人生が、カゲロウの一生のように短くはかないこと。〈漢字ペディア〉
★「蜉蝣」は、カゲロウのこと。
●〈平成28年度・第2回出題,大問㈧,小問5〉
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
フユウ
47 【フンケイ】の交わり ◆1 刎頸 刎頚 👉ふんけいのまじわり。
相手のためなら首を切られて死んでも後悔しないほどの親密な交際。管鮑の交わり。〈漢字ペディア〉
★国、春秋時代、武勇で鳴る趙(チョウ)の廉頗(レンパ)将軍は、藺相如(リンショウジョ)が弁舌だけで王の信頼を得ていると反発していた。しかし、藺相如は二人が争えば強国秦(シン)がすぐさま攻め入ってくるから個人的な争いを避けており、これを知った廉頗は藺相如に謝罪し、以後親密な交際をするようになったという故事から
*『史記-廉頗藺相如伝』
フンケイ
48 枚挙に【イトマ】がない ◆1   👉まいきょにいとまがない。
あまりに多すぎていちいち数えあげることができない。〈漢字ペディア〉
★「遑」は、ひまの意。
*不明
イトマ
49 【モヌケ】の殻 ◆1   👉もぬけのから。
ぬけがら。また、目当ての者が抜け出して、空になっている住居や寝所など。〈漢字ペディア〉
*『別れ霜〈樋口一葉〉一五』
モヌケ
50 瑠璃も【ハリ】も照らせば光る ◆1 玻璃   👉るりもはりもてらせばひかる。
すぐれた資質や才能のもち主は、どんなところにいても目立つということ。〈漢字ペディア〉
★「玻璃」は、水晶のこと。
★瑠璃や玻璃は他の石のなかに混じっていても、光を当てれば美しく輝いてすぐにそれとわかることから。
*『翟巣漫筆-二五・文化比北斎のいろはたとへ』
ハリ
51 藁にも【スガ】る ◆1   👉わらにもすがる。
=溺れる者は藁をも摑む
非常な危険に直面している者は、およそ頼りにならないものにもすがりついて頼ろうとするたとえ。〈漢字ペディア〉
*不明
スガ
52 【アウン】の呼吸 ◆1 阿吽   👉あうんのこきゅう。
力を合わせて一つの物事をする時の、互いの微妙な気持ちや調子。また、それがぴったり合うこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「阿」は、吐く息の意。
★「吽」は、吸う息の意。
●〈平成20年度・第1回出題,大問㈨,小問4〉
*『光明真言観誦要門-上』
アウン
53 法螺と【ラッパ】は大きく吹け ◆1 喇叭   👉ほらとらっぱはおおきくふけ。
どうせ大噓をつくのならば、できるだけ大きな嘘をつくのがよいということ。〈漢字ペディア〉●〈平成28年度・第3回出題,大問㈧,小問4〉
*『日本俚諺大全』
ラッパ
54 【セイコク】を射る ◆1 正鵠   👉せいこくをいる。
物事の急所、核心をつく。〈漢字ペディア〉
★「正鵠」は、的の中央にある黒点。
★矢が的をついている意。
*『内部生命論〈北村透谷〉』
セイコク
55 【センベン】を著ける ◆1 先鞭   👉せんべんをつける。
他の人よりも先に着手すること。〈漢字ペディア〉
★人より先にウマに鞭(ムチ)をあてて抜け駆けし、手柄を立てる意から。
*『晉書-劉琨伝』
センベン
56 【ホクソ】笑む ◆1 北叟   👉ほくそえむ。
物事が思いどおりにうまくいったとき、満足してひそかに笑う。にやにやする。ほくそわらう。〈漢字ペディア〉
★「人間万事塞翁が馬」の主人公である北叟(ホクソウ)が喜憂に対して少し笑ったという故事から。
*『源平盛衰記-一九』
ホクソ
57 【ホゾ】を噬む ◆1   👉ほぞをかむ。
事が起こってから後悔しても、取り返しがつかないたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、春秋時代、ケ(トウ)の祁侯(キコウ)が楚(ソ)の文王を泊めてもてなした。その際、祁侯の忠臣三人が、やがて敵対してくる文王を今のうちに殺し、臍をかまぬようにと進言したが、祁侯は無視した。それから十余年後、ケは楚の文王に滅ぼされた故事から。
*『春秋左伝-荘公六年』
ホゾ
58 昔とった【キネヅカ】 ◆1 杵柄   👉むかしとったきねづか。
年月がたっても自信のある、昔みがいた芸や技量、技術のこと。〈漢字ペディア〉
*『雑排・柳多留-二一』
キネヅカ
59 【モッケ】の幸い ◆1 勿怪 物怪 👉もっけのさいわい。
思いがけずに訪れた幸運。〈漢字ペディア〉
*『黄表紙-莫切自根金生木・下』
モッケ
60 【イケス】の鯉 ◆1 生簀   👉いけすのこい。
いずれ殺される運命にあることのたとえ。また、自由のない束縛された生活のたとえ。籠の鳥。〈漢字ペディア〉
*『新撰六帖-三』
イケス
61 【イダテン】走り ◆1 韋駄天 韋陀天 👉いだてんばしり。
韋駄天のように、ものすごい速さで走ること。〈漢字ペディア〉
★「韋駄天」は、非常に足が速いとされる仏教の守護神。
*『浄瑠璃・本朝三国志-一』
イダテン
62 一擲【ケンコン】を賭す ◆1 乾坤   👉いってきけんこんをとす。
運に天を任せ、大勝負すること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「一擲」は、ここでは賽(サイ)を一回投げる意。
★「乾」は、天。
★「坤」は、地。
★天下をかけてさいころを一回投げることから。
*『韓愈-過鴻溝詩』
ケンコン
63 一髪【センキン】を引く ◆1 千鈞   👉いっぱつせんきんをひく。
きわめて危険なことのたとえ。〈大辞林〉
★ひとすじの髪の毛で千鈞の重さのものを引く。いつ切れるかわからないことから。
*『韓愈-与孟尚書書』
センキン
64 【ウダツ】が上がらぬ ◆1   👉うだつがあがらぬ。
それなりの努力はしても運がなく、いつまでたってもよい境遇になれないこと。出世しない。〈漢字ペディア〉
★「梲」は、梁(ハリ)の上に立てて棟木(ムナギ)を支える短い柱。
★家を新築し、棟上げすることを「梲が上がる」といったことから。
*『俚言集覧』
ウダツ
65 【ウンチク】を傾ける ◆1 蘊蓄 薀蓄 👉うんちくをかたむける。
学問や技芸などについて、日頃たくわえた深い知識を惜しみなく述べること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蘊蓄・薀蓄」は、物をたくわえること。転じて、深く研究して身につけた知識。
*『明治大正見聞史〈生方敏郎〉明治大正凝視の中心と成った女性』
ウンチク
66 鬼の【カクラン】 ◆1 霍乱 癨乱 👉おにのかくらん。
ふだん丈夫な人が珍しく病気になることをひやかしていう語。〈漢字ペディア〉
★「霍乱」は、日射病や急性腸炎など、夏に起こりがちな病気の古称。
*『行人〈夏目漱石〉帰ってから・一二』
カクラン
67 【カギュウ】角上の争い ◆1 蝸牛   👉かぎゅうかくじょうのあらそい。
きわめてささいなつまらない争いのこと。〈漢字ペディア〉
★カタツムリの左の角に領土をもつ触(ショク)氏と右の角の蛮(バン)氏が領土を取り合ったという故事から。カタツムリの角の上の争いの意。
*『荘子-則陽』
カギュウ
68 【カビ】が生える ◆1   👉かびがはえる。
古くなって使いものにならなくなること。また、使われないまま古くなって時代遅れになること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★古くなった食べ物にカビが生えて食べられなくなることから。
*『浄瑠璃・双生隅田川-四』
カビ
69 【キュウカツ】を叙する ◆1 久闊 久濶 👉きゅうかつをじょする。
久しぶりに会った知人と無沙汰をわびる挨拶をすること。久しぶりに会って話す。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「久闊」は、久しく便りをしないこと。
*『空華日用工夫略集-永和二年・五月二二日』
キュウカツ
70 【ケイガイ】に接する ◆1 謦咳   👉けいがいにせっする。
尊敬する人物に直接会うこと。また、その人の話を聞くことを敬って言う。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「謦咳」は、せきばらい。
*『馬骨先生に答ふ〈登張竹風〉』
ケイガイ
71 【ケイコ】は春秋を知らず ◆1 蟪蛄   👉けいこはしゅんじゅうをしらず。
人生のはかないこと、命の短いことのたとえ。また、見識や経験の狭いたとえ。〈漢字ペディア〉
★「蟪蛄」は、夏ゼミの一種で、夏期の短い間しか生きていないため春秋を知らない意。
*『荘子-逍遙遊』
ケイコ
72 【コウコ】の憂い ◆1 後顧   👉こうこのうれい。
のちに心配事を残すこと。また、のちのことを心配すること。〈漢字ペディア〉
*『妾の半生涯〈福田英子〉一四』
コウコ
73 【コウジン】を拝する ◆1 後塵   👉こうじんをはいする。
人におくれをとることのたとえ。また、権力者にこびへつらうことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★車馬が通り過ぎたあとに立つ土ぼこりを浴びて見送ることから。
*『真理の春〈細田民樹〉森井コンツェルン・二一』
コウジン
74 【コウゼン】の気を養う ◆1 浩然   👉こうぜんのきをやしなう。
ひろく豊かで、のびのびとした心持ちになるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「浩然」は、水が豊かに流れている様子。また、心などが広くゆったりしている様子。
★「浩然の気」は、道義にかなった行いをしていれば自然と心に生じる何ものにも屈しない道徳的勇気のこと。転じて、物事にとらわれない、ゆったりとした心境。
*『孟子-公孫丑・上』
コウゼン
75 【ココウ】を凌ぐ ◆1 糊口 餬口 👉ここうをしのぐ。
どうにか暮らしを立てていくこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「糊口」の「糊」は、粥のこと。粥をすする。転じて暮らしを立てる意。
★貧しくても粥をすすってなんとか生活していけるということ。
*『近世紀聞〈染崎延房〉九・三』
ココウ
76 子は【カスガイ】 ◆1   👉こはかすがい。
鎹が二つの材木をつなぎとめているように、不仲の夫婦でも子どもへの愛情によって夫婦のきずなが保たれること。〈漢字ペディア〉
★「鎹」は、材木をつなぐために打つコの字形の釘(クギ)。物をつなぎ合わせるものの意。
*『歌舞伎・金看板俠客本店-序幕』
カスガイ
77 細工は流流仕上げを【ゴロウ】じろ ◆1 御覧   👉さいくはりゅうりゅうしあげをごろうじろ。
物事の方法はいろいろあるのだから、途中でとやかく言わずに結果を見てから批判してくれという、仕事に対する自信を表す言葉。〈漢字ペディア〉
★「流流」は、それぞれの流儀の意。
*『明暗〈夏目漱石〉一四二』
ゴロウ
78 【シガ】にも掛けない ◆1 歯牙   👉しがにもかけない。
取り立てて言わないこと。相手にせず取り合わないこと。〈漢字ペディア〉
★「歯牙」は、歯と牙。転じてことばの端、議論の意。
*『福翁自伝〈福沢諭吉〉幼少の時』
シガ
79 十把一【カラ】げ ◆1 👉じっぱひとからげ。
多くのものを、それぞれの特徴などを認めず、一まとめに扱うこと。〈漢字ペディア〉
*『滑稽本・風来六部集-放屁論追加』
カラ
80 【シノギ】を削る ◆1   👉しのぎをけずる。
はげしく争うことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★鎬が削り取られるほど、はげしく斬り合うことから。
*『曽我物語-九・十郎が打死の事』
シノギ
81 【シュウハ】を送る ◆1 秋波   👉しゅうはをおくる。
女性が、男性の関心を惹こうとして色目を使うこと。また、男女を問わずこびを売ること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「秋波」は、秋の澄んだ波。転じて、美人の涼しい目元。また、女性のこびを含んだ目つき。
*『遠思楼詩鈔-二・下・読捜神記』
シュウハ
82 【シュンショウ】一刻直千金 ◆1 春宵   👉しゅんしょういっこくあたいせんきん。
春の夜はとりわけ趣が深く、そのひとときは何ものにもかえがたい価値があるということ。〈漢字ペディア〉
*『蘇軾-春夜詩』
シュンショウ
83 【ショウジョウ】の差 ◆1 霄壌   👉しょうじょうのさ。
天と地の差。非常に大きな違い。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「霄」は、天、空。
★「壌」は、地、土。
*『美術の翫賞〈上田敏〉』
ショウジョウ
84 【ソウコウ】の妻 ◆1 糟糠   👉そうこうのつま。
貧しい時から苦労を共にしてきた妻は、自分が富貴になっても大切にすべきであるということ。〈漢字ペディア〉
★「糟糠」は、酒かすと米ぬか。転じて、粗末な食べ物。貧しい生活。
*『後漢書-宋弘伝』
ソウコウ
85 立てば【シャクヤク】座れば牡丹 ◆1 芍薬   👉たてばしゃくやくすわればぼたん。
美人の容姿や立ち振る舞いの形容。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『延享五年小哥しゃうが集』
シャクヤク
86 【タナゴコロ】を反す ◆1   👉たなごころをかえす。
手のひらを裏返すように、物事が簡単にできること。また、態度や気持ちが簡単に変わること。〈漢字ペディア〉
*『漢書-枚乗伝』
タナゴコロ
87 【チョウビ】の勇を奮う ◆1 掉尾   👉ちょうびのゆうをふるう。
最後の勇気を出し、力を振りしぼって頑張ること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「掉尾」は、尾を振る意。一説に、捕まった魚が最後の力を出して尾を振ること。転じて、結末に至り勢いが加わること。
●〈平成29年度・第2回出題,大問㈧,小問9〉
*不明
チョウビ
88 【ツジツマ】を合わせる ◆1 辻褄   👉つじつまをあわせる。
話の前後がきちんと合い、筋道がとおるようにする。〈漢字ペディア〉
*『人さまざま〈正宗白鳥〉』
ツジツマ
89 【カカア】天下に空っ風 ◆1 👉かかあでんかにからっかぜ。
上州(群馬県)の名物。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
●〈平成29年度・第2回出題,大問㈧,小問1〉
*『諺語大辞典』
カカア
90 酒は天の【ビロク】 ◆1 美禄 美祿 👉さけはてんのびろく。
酒は天から授かったすばらしいものである。酒をほめたたえた言葉。〈漢字ペディア〉
*『漢書-下』
ビロク
91 【ノレン】に腕押し ◆1 暖簾   👉のれんにうでおし。
どうやっても、まるで相手に反応が見られず、張り合いがないたとえ。〈漢字ペディア〉
★のれんを押しても、全く手ごたえがないことから。
*『鶏〈森鷗外〉』
ノレン
92 【ハイフ】を衝く ◆1 肺腑   👉はいふをつく。
人の心に深い感銘や衝撃を与えること。強く感動させること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「肺腑」は、肺。心の奥底。
*『乳姉妹〈菊池幽芳〉前・二三』
ハイフ
93 刺の無い【バラ】は無い ◆1 薔薇 👉とげのないばらはない。
うわべは美しいものでも、裏には恐ろしい一面が隠れていることのたとえ。〈漢字ペディア〉
*不明
バラ
94 【ヒチョ】を失う ◆1 匕箸   👉ひちょをうしなう。
非常に驚いたようす。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「匕箸」は、さじと、はし。
★食事中持っていたさじとはしとを取り落とす意。
*『蜀志-先主伝』
ヒチョ
95 【ヒョウソク】が合わない ◆1 平仄   👉ひょうそくがあわない。
話のつじつまが合わないこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「平仄」は、漢詩を作る際に重んじられる韻の区別。低く平らかな声調(平)とそれ以外の声調(仄)。平仄が規則的な配置になっていない詩は、調子はずれで良くないとされる。
★漢詩が、平仄の法則に合っていないという意から。
*『雑俳・柳多留拾遺-巻一二下』
ヒョウソク
96 【フルイ】に掛ける ◆1   👉ふるいにかける。
多くの中から、基準を設けて選別し、基準に合わないものを除くこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「篩」は、粒上のものを振り動かしてより分ける、網を張った道具。
★篩をつかって粒などの大小をより分けることから。
*『米欧回覧実記〈久米邦武〉一・五』
フルイ
97 【ヘンプク】を修飾する ◆1 辺幅   👉へんぷくをしゅうしょくする。
うわべや外見を立派に飾り立て、見栄を張ること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「辺幅」は、布や織物のへりの部分のこと。
★中心的な部分でない所を飾る意から。
*『後漢書-馬援伝』
ヘンプク
98 骨折り損の【クタビ】れ儲け ◆1 草臥   👉ほねおりぞんのくたびれもうけ。
労力ばかりかかってなんの利益もなく、ただくたびれただけである。〈漢字ペディア〉
*『歌舞伎・玉藻前御園公服-六立』
クタビ
99 【リュウイン】が下がる ◆1 溜飲   👉りゅういんがさがる。
胸のつかえとなっていた不平や不満がなくなって、気持ちが晴れること。〈漢字ペディア〉
★「溜飲」は、胃の具合が悪くて、口にすっぱい液が出ること。また、その液。
*『歌舞伎・黒手組曲輪達引-二幕』
リュウイン
100 【ジダ】に触れる ◆1 耳朶   👉じだにふれる。
耳にはいる。聞き及ぶ。聞こえる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「耳朶」は、耳たぶ、または耳。
*『東京日日新聞-明治三〇年・一月七日』
ジダ
101 【タンカ】を切る ◆1 啖呵 啗呵 👉たんかをきる。
胸のすくような、鋭く歯切れのよい口調で話す。鋭い勢いでまくしたてる。また、威勢よくののしる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★痰の出る病気を痰火といい、これを治療するのを「痰火を切る」といって、胸がすっきりするところからいう。「啖呵」は、当て字。
*『滑稽本・客者評判記』
タンカ
102 【ココ】の声をあげる ◆1 呱呱   👉ここのこえをあげる。
赤ん坊が産声をあげる。転じて、子供が生まれる。誕生する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「呱呱」は、乳児の泣き声を表わす語。
*『雲は天才である〈石川啄木〉一』
ココ
103 眼光【ケイケイ】として人を射る ◆1 炯炯   👉がんこうけいけいとしてひとをいる。
目が鋭く光り、人を威圧する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
ケイケイ
104 【ラチ】が明く ◆1   👉らちがあく。
物事の決着がつく。きまりがつく。はかどる。〈漢字ペディア〉
*『雑俳・川柳評万句合-宝暦一二-梅二』
ラチ
105 【トウ】が立つ ◆1   👉とうがたつ。
時期が過ぎて食べ頃でなくなってしまう。転じて、人が、そのことに最適の年齢が過ぎてしまう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「薹」は、菜やふきの花軸、花茎。
★野菜などの花茎が伸びる意。
*『歌舞伎・染繮竹春駒-三幕』
トウ
106 【カイジン】に帰す ◆1 灰燼   👉かいじんにきす。
焼けて原形をとどめないほどになる。あとかたもなく燃え尽きる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「灰燼」は、灰と燃えかす。
*『実隆公記-文明九年・一一月二二日』
カイジン
107 【ゲンチ】を取る ◆1 言質   👉げんちをとる。
あとで証拠になる約束のことばをいわせる。約束させる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
ゲンチ
108 財布の底を【ハタ】く ◆1   👉さいふのそこをはたく。
持っている金を使いはたす。ありがねを全部使う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『怪談牡丹燈籠〈三遊亭円朝〉一八』
ハタ
109 【ネハン】に入る ◆1 涅槃   👉ねはんにいる。
釈迦が入滅する。また、広く人が死ぬこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『観智院本三宝絵-上』
ネハン
110 【タタラ】を踏む ◆1 蹈鞴 踏鞴 👉たたらをふむ。
1.たたらを踏んで空気を吹き送る。
2.勢いよく突いたり打ったりした的がはずれ、力があまって、から足を踏む。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「蹈鞴・踏鞴」は、足で踏み、風を送る大きなふいご。
*『宇津保-吹上上』
タタラ
111 【インジュ】を解く ◆1 印綬   👉いんじゅをとく。
官職をやめること。辞任すること。〈漢字ペディア〉
★本来、印綬を体からはずすことをいい、官職に就くことを「印綬を佩(オ)びる」という。
*『後漢書-賈j伝』
インジュ
112 耳に【タコ】ができる ◆1 腁胝 胼胝 👉みみにたこができる。
繰り返し何度も同じことを聞かされていやになる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『雑俳・柳多留-二〇』
タコ
113 【メッキ】が剝げる ◆1 鍍金 👉めっきがはげる。
外面のかざりがとれて、悪い中身が現われる。本性(ホンショウ)が現われる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
メッキ
114 人口に【カイシャ】す ◆1 膾炙   👉じんこうにかいしゃす。
世の中の多くの人の話題になり、もてはやされること。〈漢字ペディア〉
★「膾炙」は、なますと炙(アブ)り肉のことで、だれもが好む食べ物の例。詩文などが多くの人の口にのぼるたとえ。
*『林嵩-周朴詩集序』
カイシャ
115 【ノ】るか反るか ◆1   👉のるかそるか。
成功するか、あるいは失敗するか、度胸をきめて事にのぞむこと。また、運を天にまかせてやってみること。〈漢字ペディア〉
*『俳諧・続五色墨』
116 孟母【サンセン】の教え ◆1 三遷   👉もうぼさんせんのおしえ。
子どもの教育には良い環境を選ぶことが大切であるというたとえ。孟母三遷。〈漢字ペディア〉
★「三遷」は、三度転居する意。
★孟子(モウシ)の母は悪い環境の影響が子に及ぶのを避けるため、墓地の近くから市場の近くに、そして学校の近くへと住居を三度移した故事から。
*『古列女伝-母儀・鄒孟軻母』
サンセン
117 【ヨタ】を飛ばす ◆1 与太   👉よたをとばす。
でたらめをいう。つまらないことをいう。デマを飛ばす。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「与太」は、与太郎(ヨタロウ)の略。人形浄瑠璃社会で、うそ、でたらめをいう隠語。
*『明治大正見聞史〈生方敏郎〉明治大帝の崩御・八』
ヨタ
118 【ヤクタイ】も無い ◆1 益体   👉やくたいもない。
つまらないこと、役に立たないことの意。〈漢字ペディア〉
*『咄本・醒睡笑-六』
ヤクタイ
119 流れに【サオ】さす ◆1   👉ながれにさおさす。
ある物事を、機に乗じて思いどおりに順調に進めることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★流れに乗って棹を操り、舟を進める意から。
*『太平記-三一・新田起義兵事』
サオ
120 【タモト】を分かつ ◆1   👉たもとをわかつ。
今までいっしょだった人と関係を絶つ。また、行動を共にしていた人と別れて別々の道を行く。分袂(ブンベイ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『杜甫-寄賀蘭銛詩』
タモト
121 【ヨ】りを戻す ◆1 👉よりをもどす。
1.縒(ヨ)り合わせたものをほどいてもとに戻す。
2.物事をもとの状態にする。特に、男女の仲を元通りにする。〈大辞泉〉
*『洒落本・禁現大福帳-二』
122 【バク】の札 ◆1 👉ばくのふだ。
バクの形を描いた札。寝所に敷けば悪夢を避けるとして節分や大晦日などの夜にそれを敷いて寝る風習があった。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『俳諧・桜川-春一』
バク
123 【ヒンシュク】を買う ◆1 顰蹙   👉ひんしゅくをかう。
相手にいやがられる。〈漢字ペディア〉
★「顰蹙」は、顔をしかめて不快感を表すこと。
*『故旧忘れ得べき〈高見順〉一』
ヒンシュク
124 【フエツ】を加える ◆1 斧鉞   👉ふえつをくわえる。
他人の文章を修正する。〈漢字ペディア〉
*『渋江抽斎〈森鷗外〉六八』
フエツ
125 【フクシャ】の戒め ◆1 覆車   👉ふくしゃのいましめ。
先人の失敗を見て、教訓とするたとえ。〈漢字ペディア〉
★前の車の転覆は後続の車の戒めとなる意から。
*『晉書-庾純伝』
フクシャ
126 【フンイン】を惜しむ ◆1 分陰   👉ふんいんをおしむ。
たとえわずかな時間でも、惜しんで無駄に使わない。〈漢字ペディア〉
★「分陰」は、ちょっとの時間。寸陰。
★中国古代の聖人、夏(カ)の禹(ウ)王さえ、寸陰を惜しんだのだから、凡人は分陰をも惜しむべきであるという、晋(シン)の陶侃(トウカン)の言葉から。
*『十八史略-東晋・明帝』
フンイン
127 身の毛が【ヨダ】つ ◆1 弥立   👉みのけがよだつ。
寒さや恐ろしさのために緊張してからだの毛がさか立つ。また、そのように恐ろしさにぞっとする。戦慄(センリツ)する。身の毛立つ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『平家-三・御産』
ヨダ
128 【ソッポ】を向く ◆1 外方   👉そっぽをむく。
賛成や協力をしない。〈漢字ペディア〉
*『くれの廿八日〈内田魯庵〉三』
ソッポ
129 【トナン】の翼 ◆1 図南   👉となんのつばさ。
遠くの地で大事業をしようとする志・計画。〈大辞林〉
*『駱賓王-夏日遊徳州贈高四詩』
トナン
130 【ネジ】が緩む ◆1 螺子 螺旋
捻子
捩子
👉ねじがゆるむ。
緊張がゆるんでだらしなくなるさまのたとえ。心がたるむ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『名張少女〈田山花袋〉七』
ネジ
131 【ラクイン】を押される ◆1 烙印   👉らくいんをおされる。
ぬぐい去ることのできない汚名を受ける。また、周囲からそうであると決められてしまう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「烙印」は、熱した鉄製の印を押しつけてつけた印。刑罰として罪人の顔などにつけた。
★烙印を押され印刻される意。
*『国籍〈竹山道雄〉』
ラクイン
132 【ドブ】に金を捨てるよう ◆1   👉どぶにかねをすてるよう。
何の益にもならないことに金を浪費するたとえ。つまらないことに金をつぎこむたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
ドブ
133 【カイリョクランシン】を語らず ◆1 怪力乱神   👉かいりょくらんしんをかたらず。
理性で説明のつかないような不思議な現象については口にしないという孔子の姿勢について門人が述べたことば。当時の信仰や迷信を暗に否定したものともいわれる。また一般には、怪しげなこと、不確かなことは口にしないの意にも用いられる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「怪力乱神」は、怪異(カイイ)と勇力(ユウリョク)と悖乱(ハイラン)と鬼神(キシン)の意。
★怪しげなこと、力をたのむこと、世を乱すようなこと、鬼神に関することについては語らない意。
*『論語-述而』
カイリョクランシン
134 画竜【テンセイ】を欠く ◆1 点睛   👉がりょうてんせいをかく。
物事の最後の仕上げを欠く。全体としては良くできているが、一個所、肝心なところに不備があることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『明治の天下〈人見一太郎〉六』
テンセイ
135 【ホトボリ】が冷める ◆1   👉ほとぼりがさめる。
1.余熱がなくなる。
2.熱した感情がさめる。興奮がおさまる。
3.事件などに関する世間の注目や関心が亡くなる。〈日本国語大辞典〉
*『雑俳・柳多留-三』
ホトボリ
136 【シャショク】の臣 ◆1 社稷   👉しゃしょくのしん。
国家の重臣。〈漢検四字熟語辞典〉
★「社」は、土地の神。
★「稷」は、五穀の神。
★社、稷ともに国家の重要な守り神。転じて「社稷」は、国家。
*『論語-季氏』
シャショク
137 【ムコ】の民 ◆1 無辜   👉むこのたみ。
罪なき人々。凶作や災害に遭い罪なくして虐げられる人々をいう。〈漢検四字熟語辞典〉
★「無辜」は、罪のないこと。
*『書経-湯誥』
ムコ
138 【ハカ】が行く ◆1
👉はかがいく。
作業などが順調に進む。〈漢字ペディア〉
*『桂宮本忠見集』
ハカ
139 【タガ】が緩む ◆1   👉たががゆるむ。
年をとって鈍(ニブ)くなる。また、緊張がゆるんでしまりがなくなり、組織などの結合がゆるくなることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『歌舞伎・櫓太鼓鳴音吉原-七幕』
タガ
140 【カマド】を一つにする ◆1
👉かまどをひとつにする。
一緒に暮らす。〈漢字ペディア〉
*不明
カマド
141 【トグロ】を巻く ◆1 蜷局 👉とぐろをまく。
1.蛇などがからだを渦巻き状に巻く。
2.何人かが特に何をするでもなく、ある場所に集まっている。
3.ある場所に腰をすえて、動かないでいる。〈大辞泉〉
*『滑稽本・東海道中膝栗毛-三・下』
トグロ
142 【アコギ】が浦に引く網 ◆2 阿漕   👉あこぎがうらにひくあみ。
人にかくれてすることも、たび重なると人に知れ渡ってしまうということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「阿漕が浦」は、三重県津市一帯の海岸。
*『源平盛衰記-八・讚岐院事』
アコギ
143 寇に兵を藉し盗に糧を【モタラ】す ◆2   👉あだにへいをかしとうにりょうをもたらす。
敵に武器を貸し与え、盗賊に食糧をやる。わざわざ敵を助けて、味方の損害を大きくするたとえ。〈漢字ペディア〉
*『史記-李斯伝』
モタラ
144 中たらずと【イエド】も遠からず ◆2   👉あたらずといえどもとおからず。
何事も真心から行えば、完全とはいえないまでも、ほぼそれに近い成果をあげることができるということ。転じて、的中しないまでも、それほど見当が外れていないこと。〈漢字ペディア〉
*『大学』
イエド
145 脂に画き氷に【チリバ】む ◆2   👉あぶらにえがきこおりにちりばむ。
本体がきちんとしていなければ、いくら外側を飾っても無駄であるということ。努力をしても効果がないたとえ。〈漢字ペディア〉
★「鏤む」は、彫刻する意。変形しやすい脂に絵を描いても、氷に彫刻してもすぐに溶けてなくなってしまう意から。
*『塩鉄論-殊路』
チリバ
146 粟とも【ヒエ】とも知らず ◆2   👉あわともひえともしらず。
アワとヒエの区別もつかないほどの、高い身分や金持ちの生活をいった言葉。〈漢字ペディア〉
*『一中節・粟の段』
ヒエ
147 【イアク】の臣 ◆2 帷幄   👉いあくのしん。
常に大将のそばにいて作戦計画を立てる部下のこと。参謀。〈漢字ペディア〉
*『露命〈中山義秀〉一〇』
イアク
148 【イガグリ】も内から割れる ◆2 毬栗   👉いがぐりもうちからわれる。
だれでも年ごろになれば、自然と色気づくことのたとえ。特に女性についていう。〈漢字ペディア〉
★毬栗も時期がくれば自然と内側からはじけ割れる意から。
●〈平成20年度・第3回出題,大問㈨,小問6〉
*『日本俚諺大全』
イガグリ
149 戦を見て矢を【ハ】ぐ ◆2   👉いくさをみてやをはぐ。
平素の準備が大事だという戒め。〈漢字ペディア〉
★戦争になってから矢を作る意から。
*『夫木-二五』
150 何れ【アヤメ】か杜若 ◆2 菖蒲   👉いずれあやめかかきつばた。
どれもがすぐれて美しく、優劣をつけがたいこと。また、選びだすのに困ること。〈漢字ペディア〉
★アヤメとカキツバタは、本来は別の植物だが、似ていて区別がつけがたいことから。
*『処女連禱〈有吉佐和子〉二』
アヤメ
151 磯の【アワビ】の片思い ◆2   👉いそのあわびのかたおもい。
自分が思い慕うだけで相手はその気がない恋のたとえ。〈漢字ペディア〉
★アワビは巻貝の一種だが、二枚貝の片側だけのように見えることから。
*『古今俚諺類聚』
アワビ
152 鼬の無き間の【テン】誇り ◆2 黄鼬 👉いたちのなきまのてんほこり。
弱者が、自分より強い者やすぐれている者がいないところで大きい顔をするたとえ。また、そういう人をあざけっていう言葉。〈漢字ペディア〉
*『源平盛衰記-三三・依行家謀叛木曽上洛事』
テン
153 【イッキ】に十たび起つ ◆2 一饋   👉いっきにとたびたつ。
賢者を求めることに熱心なたとえ。〈漢字ペディア〉
★「一饋」は、一回の食事。
★古代中国の夏(カ)の禹王(ウオウ)は、善政のために賢者を熱心に求め、一回の食事の間に十回も席を立って、訪ねてきた賢者に会ったという故事から。
●〈平成20年度・第1回出題,大問㈨,小問3〉
*『淮南子-氾論訓』
イッキ
154 生まれぬ先の【ムツキ】定め ◆2 襁褓   👉うまれぬさきのむつきさだめ。
あまりに準備が大げさで早すぎること。〈漢字ペディア〉
★「襁褓」は、おむつのこと。
★子どもが生まれないうちに、早くからおむつのことなどで大騒ぎする意から。
*『玉塵抄-二二』
ムツキ
155 煙霞の【コシツ】 ◆2 痼疾   👉えんかのこしつ。
自然を愛する心が非常に強く、自然の美しさを求めて旅行にあけくれることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「痼疾」は、なかなか治らない病のこと。
*『新唐書-田遊巖伝』
コシツ
156 燕雀安んぞ【コウコク】の志を知らんや ◆2 鴻鵠   👉えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや。
小人物には、大人物の雄大な志がわからないというたとえ。〈漢字ペディア〉
★「鴻鵠」は、大きな鳥の意で、大人物のたとえ。
★中国の楚王陳勝(チンショウ)が若いころ、農耕仲間に「おたがい富貴になっても忘れないようにしよう」と言ったところ、雇い主が「小作人のお前が富貴になんかなれるものか」と嘲笑した。陳勝はため息をつき、「ツバメやスズメのような小さい鳥に、どうして大きい鳥の心の中がわかるものか」と言った故事から。
*『史記-陳渉世家』
コウコク
157 【エンコウ】月を取る ◆2 猿猴   👉えんこうつきをとる。
欲にかられ、身のほど知らずのことをして命までも落とすたとえ。また、無知で無謀な振る舞いのたとえ。〈漢字ペディア〉
★サルたちが、井戸の水に映った月を取ろうとしたところ、木の枝が折れてみな井戸に落ち、溺れ死んだという故事から。
*『』
エンコウ
158 【エンドウ】は日陰でもはじける ◆2 豌豆   👉えんどうはひかげでもはじける。
年ごろになれば、だれでも性に目覚めるということ。また、事が成るには時間が必要だが、時節がくればおのずと達せられるものだということ。〈漢字ペディア〉
★日陰で育った豌豆でさえ、時期になれば自然に実って、種がはじけることから。
●〈平成29年度・第3回出題,大問㈧,小問6〉
*『新選俚諺集』
エンドウ
159 往事【ビョウボウ】として都て夢に似たり ◆2 渺茫   👉おうじびょうぼうとしてすべてゆめににたり。
過ぎ去った昔のことは、もうかすかでとりとめもなく、すべて夢のようであるということ。〈漢字ペディア〉
★「往事」は、過ぎ去った昔のこと。
★「渺茫」は、遠くかすかではっきりしないさま。
*『白居易-十年三月三十日別微之於澧上十四年三月十一日夜遇微之於峡中詩』
ビョウボウ
160 【オウム】能く言えども飛鳥を離れず ◆2 鸚鵡   👉おうむよくいえどもひちょうをはなれず。
オウムがいかに人の言葉をうまくまねて話せるといっても、鳥であることになんら変わりはない。また、人がいくら言葉巧みに話せても、礼にはずれていたりすれば鳥獣と同じであるということ。〈漢字ペディア〉
*『諺合鏡』
オウム
161 煽てと【モッコ】には乗り易い ◆2   👉おだてともっこにはのりやすい。
人のおだてと土運びのもっこには乗りやすいものだ。〈漢字ペディア〉
*不明
モッコ
162 【ガイコツ】を乞う ◆2 骸骨   👉がいこつをこう。
辞職を願い出ること。〈漢字ペディア〉
★中国、春秋時代、斉の晏嬰(アンエイ)は、東阿(トウア)地方で善政をしていたが、主君の斉公に悪政であると責められ、失望のあげく、「主君に差し出した自分の体の骸骨だけでも返して欲しい」と願い出たという故事から。
*『晏子春秋-重而異者』
ガイコツ
163 【ガイサイ】の怨み ◆2 睚眥 睚眦 👉がいさいのうらみ。
ほんのわずかなうらみ。〈漢字ペディア〉
★ちょっとにらまれた程度のうらみの意から。
●〈平成20年度・第1回出題,大問㈨,小問8〉-「一飯の徳も必ず償い、睚眥の怨みも必ず報ゆ」
*『史記-范雎伝』
ガイサイ
164 【ガイシ】の誤り ◆2 亥豕   👉がいしのあやまり。
文字の書き誤りのこと。〈漢字ペディア〉
★「亥」と「豕」の字形が似ているので書き誤りやすいことから。
*『世話支那草-中』
ガイシ
165 【カイドウ】睡り未だ足らず ◆2 海棠   👉かいどうねむりいまだたらず。
美人が酔って眠ったあと目覚めて、まだ寝不足でなよなよとなまめかしいさま。〈漢字ペディア〉
★中国、唐の玄宗皇帝が楊貴妃(ヨウキヒ)を評した言葉。
*『冷斎夜話』
カイドウ
166 【カショ】の国に遊ぶ ◆2 華胥   👉かしょのくににあそぶ。
よい気持ちで昼寝をすること。〈漢字ペディア〉
*『文学評論〈夏目漱石〉五』
カショ
167 片手で錐は【モ】めぬ ◆2   👉かたてできりはもめぬ。
物事を行うには協力が大切であることのたとえ。〈漢字ペディア〉
*『日本俚諺大全』
168 狩人【ワナ】にかかる ◆2   👉かりゅうどわなにかかる。
人を陥れようとたくらんだ本人が、逆にわなにかかり災難にあうこと。〈漢字ペディア〉
*『俚言集覧』
ワナ
169 勧学院の雀は蒙求を【サエズ】る ◆2
👉かんがくいんのすずめはもうぎゅうをさえずる。
ふだん見慣れたり聞き慣れたりしているものはひとりでに覚えるものであるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「勧学院」は、平安時代、藤原(フジワラ)氏の子弟を教育するための学校。
★「蒙求」は、唐の李瀚(リカン)の著。有名な故事逸話を四字句で記し、二つずつ対にして覚えやすくした書。
★勧学院にとまるスズメは、そこの学生が『蒙求』を読むのを聞き覚えてさえずる意から。
*『宝物集』
サエズ
170 【カンショ】の化 ◆2 関雎   👉かんしょのか。
夫婦の仲がよくて礼儀正しく、家庭が円満であることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「関雎」は、「関関(カンカン)たる雎鳩(ショキュウ)」の略。「関関」は、和らいださま。「雎鳩」は、雌雄の仲がよいというミサゴ。
★文王と后妃の仲むつまじいようすを歌ったものといわれる『詩経』の詩から。
*『詩経-周南・兔罝・序』
カンショ
171 【カンタン】の歩み ◆2 邯鄲   👉かんたんのあゆみ。
自分の本来のものを忘れて、やたらと他人のまねをして、両方ともうまくいかなくなるたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、戦国時代、田舎の少年が趙(チョウ)の都の邯鄲に行き、その地の人の歩き方をまねたがうまくいかず、故郷に帰るとき故郷の歩き方すら忘れて這って帰ったという寓話(グウワ)から。
*『荘子-秋水』
カンタン
172 【キキョク】は鸞鳳の棲む所に非ず ◆2 枳棘   👉ききょくはらんぽうのすむところにあらず。
りっぱな人は自分の居場所を選ぶたとえ。また、すぐれた人は低い地位に甘んじるべきではないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「枳棘」は、悪い場所や低い地位のたとえ。
★「鸞鳳」は、鸞鳥と鳳凰で、ともに神鳥。転じて、すぐれた人のたとえ。
★とげのある枳棘のなかには、鸞鳥(ランチョウ)や鳳凰(ホウオウ)のような鳥はすまない意から。
*『後漢書-仇覧伝』
キキョク
173 枳棘は【ランポウ】の棲む所に非ず ◆2 鸞鳳   👉ききょくはらんぽうのすむところにあらず。
りっぱな人は自分の居場所を選ぶたとえ。また、すぐれた人は低い地位に甘んじるべきではないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「枳棘」は、悪い場所や低い地位のたとえ。
★「鸞鳳」は、鸞鳥と鳳凰で、ともに神鳥。転じて、すぐれた人のたとえ。
★とげのある枳棘のなかには、鸞鳥(ランチョウ)や鳳凰(ホウオウ)のような鳥はすまない意から。●〈平成20年度・第3回出題,大問㈨,小問10〉
*『後漢書-仇覧伝』
ランポウ
174 九仞の功を【イッキ】に虧く ◆2 一簣   👉きゅうじんのこうをいっきにかく。
最後のわずかな努力を怠ったために、それまでの努力が台無しになるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「簣」は、土を載せて運ぶ竹製のかご、もっこ。
★高い山を築くのに、完成を目前にしてあと一もっこの土盛りの作業をやめてしまえば山はできない意から。
*『書経-旅獒』
イッキ
175 【キュウジン】の功を一簣に虧く ◆2 九仞 九仭 👉きゅうじんのこうをいっきにかく。
最後のわずかな努力を怠ったために、それまでの努力が台無しになるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「簣」は、土を載せて運ぶ竹製のかご、もっこ。
★高い山を築くのに、完成を目前にしてあと一もっこの土盛りの作業をやめてしまえば山はできない意から。
*『書経-旅獒』
キュウジン
176 【キョウラン】を既倒に廻らす ◆2 狂瀾   👉きょうらんをきとうにめぐらす。
どうしようもなく衰えた形勢を挽回(バンカイ)すること。〈漢字ペディア〉
★「既倒」は、すでに倒れたこと。
★荒れ狂う大波が倒れ伏したのをもとに押し返す意。
*『韓愈-進学解』
キョウラン
177 騏も老いては【ドバ】に劣る ◆2 駑馬   👉きりんもおいてはどばにおとる。
どんなにすぐれた人でも年をとれば能力が衰えて、凡人にも及ばなくなるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「駑馬」は、足ののろい馬。
*『戦国策-斉策・閔王』
ドバ
178 【クンシュ】山門に入るを許さず ◆2 葷酒   👉くんしゅさんもんにいるをゆるさず。
修行のさまたげとなるくさい野菜や酒を、寺の門内に持ちこんではならない。〈漢字ペディア〉
●〈平成29年度・第3回出題,大問㈧,小問2〉
*『随筆・独寝-上・七六』
クンシュ
179 【クンユウ】は器を同じくせず ◆2 薫蕕   👉くんゆうはうつわをおなじくせず。
善人と悪人、また、君子と小人とは、同じ場所にいることができないということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★香りのよい草と悪臭のする草は、同じうつわには入れないという意から。
*『詩経-豳風・鴟鴞』
クンユウ
180 【ケイガク】の欲 ◆2 渓壑 谿壑 👉けいがくのよく。
限りない欲望のたとえ。強欲のたとえ。〈漢字ペディア〉
★「渓壑」は、大きな谷の意で、山の水を受け入れて尽きるときがないことからいう。
*『故事成語考-人事』
ケイガク
181 兄弟牆に【セメ】げども外其の務りを禦ぐ ◆2   👉けいていかきにせめげどもそとそのあなどりをふせぐ。
仲間どうしで内輪もめしていても、外敵がくると力を合わせてこれにあたること。兄弟についていう語だが、一般に仲間にもいう。〈漢字ペディア〉
★「牆」は、かきね。
★「鬩ぐ」は、言い争う、仲たがいすること。
★「務り」は、侮辱の意。
●〈平成20年度・第2回出題,大問㈨,小問4〉
*『詩経-小雅・常棣』
セメ
182 倹約と【リンショク】は水仙と葱 ◆2 吝嗇   👉けんやくとりんしょくはすいせんとねぎ。
倹約とけちは、見かけはスイセンとネギのように似たところがあるが、実態はまったく異なるものである。〈漢字ペディア〉
★「吝嗇」は、けちの意。
*『滑稽本・浮世風呂-四・下』
リンショク
183 【コウガイ】死に赴くは易し ◆2 慷慨 慷愾 👉こうがいしにおもむくはやすし。
いきどおり嘆き、激情にかられて死ぬことはたやすい。〈漢字ペディア〉
★「慷慨・慷愾」は、世の中のことや自己の運命を憤り嘆くこと。
●〈平成20年度・第2回出題,大問㈨,小問6〉-「慷慨(慷愾)死に赴くは易く、従容義に就くは難し」
*『謝枋得-卻聘書』
コウガイ
184 【コウシツ】の交わり ◆2 膠漆   👉こうしつのまじわり。
かたく結びついた友情。〈漢字ペディア〉
★膠(ニカワ)や漆は、接着に用いたことからいう。
*『再昌草-永正四年・五月二五日』
コウシツ
185 【コウト】死して良狗烹らる ◆2 狡兎 狡兔
狡兔
👉こうとししてりょうくにらる。
役に立つ間は大切にされ、不要になると捨てられてしまうたとえ。〈漢字ペディア〉
★獲物であるすばしこいウサギがいなくなれば猟犬は邪魔となり、煮て食われる意から。
*『韓非子-内儲説・下』
コウト
186 功名を【チクハク】に垂る ◆2 竹帛   👉こうみょうをちくはくにたる。
名前を歴史上にとどめる。後世に伝えられるような偉業をなし遂げること。〈漢字ペディア〉
★「竹帛」は、書物や歴史書、または歴史のこと。「竹」は竹の札、「帛」は白い絹のことで、ともに文字を書き記すのに用いた。
*『後漢書-ケ禹伝』
チクハク
187 【コウモリ】も鳥のうち ◆2 蝙蝠   👉こうもりもとりのうち。
ちょっとしたかかわりがあるだけなのに、仲間のように振る舞うこと。また、取るに足りない者でも仲間に加えること。〈漢字ペディア〉
★蝙蝠でも翼をもって飛ぶからには鳥である意。
*『俚言集覧』
コウモリ
188 【コウリョウ】一炊の夢 ◆2 黄粱   👉こうりょういっすいのゆめ。
人生のはかないたとえ。〈漢字ペディア〉
★「黄粱」は、アワの一種のオオアワ。
*『李俊民-送郡侯段正卿北行詩』
コウリョウ
189 古人の【ソウハク】 ◆2 糟魄 糟粕 👉こじんのそうはく。
言葉や文章では、聖人や賢人の本質を伝えるのは到底不可能であるということ。〈漢字ペディア〉
★「糟魄・糟粕」は、酒のしぼりかす。
★今日伝わる昔の聖賢の言葉や書物は残りかすのようなものであるという意。
*『荘子-天道』
ソウハク
190 琴柱に【ニカワ】す ◆2   👉ことじににかわす。
変化に応じて融通のきかないたとえ。〈漢字ペディア〉
★琴柱を膠で固定しては音の調子が変えられないことから。
*『文子-道徳』
ニカワ
191 小舟の【ヨイゴシラ】え ◆2 宵拵   👉こぶねのよいごしらえ。
物事の準備がおおげさで、早すぎるたとえ。〈漢字ペディア〉
★すぐ船出できる小さな舟が、前夜から出港準備をする意から。
*不明
ヨイゴシラ
192 【コンニャク】で石垣を築く ◆2 蒟蒻   👉こんにゃくでいしがきをきずく。
実現不可能なことのたとえ。〈漢字ペディア〉
*『浮世草子・世間母親容気-一・二』
コンニャク
193 【コンロン】火を失して玉石倶に焚く ◆2 崑崙 崑崘 👉こんろんひをしっしてぎょくせきともにやく。
価値の高いものも低いものも、同じようになくなってしまうことのたとえ。また、善人も悪人も区別なくわざわいを受けるたとえ。〈漢字ペディア〉
★崑崙山に火災が起これば、貴重な玉(タマ)も価値のない石ころも、一緒に焼けて失われてしまう意から。
*『書経-胤征』
コンロン
194 【ササヤ】き千里 ◆2   👉ささやきせんり。
ここだけの話としてささやかれたことは、すぐに世間に広く伝わってしまうものだということ。囁き八町(ハッチョウ)。〈漢字ペディア〉
*『淮南子-説林訓』
ササヤ
195 三十輻【イッコク】を共にす ◆2 一轂   👉さんじっぷくいっこくをともにす。
車の三十本の輻(ヤ)は轂(コシキ)の空虚な部分に集まっているが、この空虚な部分があってはじめて、車が回転して役に立つということ。〈漢字ペディア〉
●〈平成20年度・第2回出題,大問㈨,小問8〉-「三十輻一轂を共にす。其の無なるに当たりて車の用あり」
*『老子-一一』
イッコク
196 【シセキ】を弁ぜず ◆2 咫尺   👉しせきをべんぜず。
あたりが暗くて、ごく近くの物事もわからないこと。〈漢字ペディア〉
★「咫尺」は、きわめて近い距離。咫、尺、ともに中国、周代の尺度。
*『日本外史-二・源氏正記』
シセキ
197 【シトク】の愛 ◆2 舐犢   👉しとくのあい。
親が子を深く愛すること。〈漢字ペディア〉
★「犢」は、子牛の意で、親牛がかわいがる表現として子牛をなめることから。
*『後漢書-楊彪伝』
シトク
198 戎馬を殺して【コリ】を求む ◆2 狐狸   👉じゅうばをころしてこりをもとむ。
小さな利益をあげるために、かえって大きな損失をこうむるたとえ。人間は時に物事の本質を見極められず、大事なものを失うことへの戒め。〈漢字ペディア〉
★「戎馬」は、戦いに使うウマ。貴重な兵馬を殺して、値打ちのないキツネやタヌキを追い求めるの意から。
*『淮南子』
コリ
199 【ショウリョウ】深林に巣くうも一枝に過ぎず ◆2 鷦鷯   👉しょうりょうしんりんにすくうもいっしにすぎず。
人は足るを知り、各々(オノオノ)その分に応じて満足すべきであるというたとえ。〈漢字ペディア〉
★ミソサザイは奥深い林にすんでいるが、巣をかけている枝はひと枝にすぎないという意から。
*『荘子-逍遙遊』
ショウリョウ
200 【ショッケン】日に吠ゆ ◆2 蜀犬   👉しょっけんひにほゆ。
知識の浅い人たちが、すぐれた人の言動を理解できずに、疑って非難し、騒ぎ立てること。〈漢字ペディア〉
★蜀の地方は山が高くて霧が多く、たまに太陽が出ると怪しんで、イヌが吠えることから。
*『柳宗元-答韋中立論師道書』
ショッケン
201 【シラミ】を捫る ◆2 👉しらみをひねる。
人前であっても、あえて礼儀作法などにこだわらない態度をとること。〈漢字ペディア〉
★中国、晋(シン)代の隠者王猛が桓温(カンオン)に会見したとき、シラミをつぶしながら時世や政治を論じたことから。
*『俳諧・幻住菴記』
シラミ
202 【セッカク】の屈するは以て信びんことを求むるなり ◆2 尺蠖   👉せっかくのくっするはもってのびんことをもとむるなり。
将来大きく成功するためには、しばらく忍耐して時機を待つことも必要であるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「尺蠖」は、しゃくとりむし。
★「信」は、「伸」に同じ。
★尺取虫が身を曲げるのは次に身を伸ばして前進しようとするためである意から。
*『易経-繫辞下』
セッカク
203 千丈の堤も【ロウギ】の穴を以て潰ゆ ◆2 螻蟻   👉せんじょうのつつみもろうぎのあなをもってついゆ。
ごく小さな欠陥や油断が、取り返しのつかない大きな損害や事故の原因になるという戒め。〈漢字ペディア〉
★「螻蟻」は、アリのこと。
★「潰ゆ」は、くずれる意。
*『韓非子-喩老』
ロウギ
204 【ソウカイ】の一粟 ◆2 滄海   👉そうかいのいちぞく。
広大なもののなかのきわめて微小なもののたとえ。また、大宇宙のなかの人間の存在のはかなさをいう。大海の一粟。〈漢字ペディア〉
★大海のなかの一粒の粟(アワ)の意から。
*『蘇軾-前赤壁賦』
ソウカイ
205 【ソウカイ】変じて桑田と成る ◆2 滄海   👉そうかいへんじてそうでんとなる。
予測できないほど、世の中の移り変わりが激しいこと。また、時勢の大きな変遷のたとえ。〈漢字ペディア〉
★大海原(オオウナバラ)が桑畑に変わってしまう意から。
*『儲光羲-献八舅東帰詩』
ソウカイ
206 【ソクイン】の心は仁の端なり ◆2 惻隠   👉そくいんのこころはじんのたんなり。
人の不幸をあわれみいたむことは、仁のきざしである。〈漢字ペディア〉
★「惻隠」は、ある対象に同情、あわれみの心を抱くこと。
★「仁」は、儒教で最高の徳と説かれるもので、親愛の情を万人に及ぼすこと。
★「端」は、はじめ、いとぐち。
*『孟子-公孫丑・上』
ソクイン
207 【ダイコウ】出でずんば蒼生を如何せん ◆2 乃公 迺公
廼公
👉だいこういでずんばそうせいをいかんせん。
この自分が出馬して行動しなければ、世の人民はどうなるであろうか。世に出ようとする者の気負いを表す言葉。〈漢字ペディア〉
★「乃公・迺公」は、汝(ナンジ)の君主。転じて、目上の男子が目下の者に向かって、あるいはみずからを尊大にいうときの自称。
★「蒼生」は、人民の意。
*『世説新語-排調』
ダイコウ
208 太鼓も【バチ】の当たりよう ◆2 👉たいこもばちのあたりよう。
相手がどう応じてくるかは、こちらの出方しだいだというたとえ。〈漢字ペディア〉
★太鼓はばちの当て方ひとつで、音が大きくもなれば小さくもなることから。
*『古今俚諺類聚』
バチ
209 玉を【テラ】いて石を賈る ◆2   👉たまをてらいていしをうる。
表面はりっぱでも内実の劣っているもののたとえ。羊頭狗肉。〈漢字ペディア〉
★「衒」は、ひけらかすこと。また、売りこむこと。
★玉と偽って無価値の石ころを売りつける意から。
*『唐書-柳渾伝』
テラ
210 民を貴しと為し【シャショク】之に次ぐ ◆2 社稷   👉たみをたっとしとなししゃしょくこれにつぐ。
人民が国家の根本で最も大切であり、国家のことはこれに次ぐものであるということ。〈漢字ペディア〉
★「社稷」は、国家の意。
*『孟子-尽心・下』
シャショク
211 【チクハク】の功 ◆2 竹帛   👉ちくはくのこう。
歴史に名を残すような功績のこと。〈漢字ペディア〉
*『漢書』
チクハク
212 【チチュ】が網を張りて鳳凰を待つ ◆2 蜘蛛   👉ちちゅがあみをはりてほうおうをまつ。
力のないものが強大なものに立ち向かう。はかない抵抗のたとえ。到底太刀打ちできないことのたとえ。蟷螂が斧を以て隆車に向かう。〈漢字ペディア〉
*『曽我物語-八・屋形まわりの事』
チチュ
213 朝菌は【カイサク】を知らず ◆2 晦朔   👉ちょうきんはかいさくをしらず。
短命であることのたとえ。また、いのちのはかないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★朝生えて夕方には枯れてしまうキノコ(朝菌)は、ひと月の晦(ミソカ)も、朔(ツイタチ)も知らないという意から。
*『荘子-逍遙遊』
カイサク
214 爪で拾って【ミ】で零す ◆2   👉つめでひろってみでこぼす。
苦労して少しずつ蓄えたものを、あっという間に使い果たしてしまうこと。〈漢字ペディア〉
★「箕」は、穀物の殻・ごみなどをふるって取り除くために使われる、竹で編んだ農具。
★爪の先で拾い集めて蓄えたものを、箕で一気にこぼしてしまう意から。
*『諺苑』
215 【テイガク】の情 ◆2 棣鄂   👉ていがくのじょう。
仲むつまじい兄弟の情愛。〈漢字ペディア〉
★「棣鄂」は、ニワウメの花。兄弟にたとえる。
*『詩経-小雅・常棣』
テイガク
216 【テイヨウ】藩に触る ◆2 羝羊   👉ていようまがきにふる。
見さかいなく突進して、うまくいかずに進退きわまることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「藩」は、垣根の意。
★「羝羊」は、牡羊。
★雄のヒツジがまがきに突っこんで、角が引っかかって動けなくなるという意から。
●〈平成29年度・第1回出題,大問㈧,小問3〉
*『易経-大壮卦』
テイヨウ
217 出る船の【トモヅナ】を引く ◆2   👉でるふねのともづなをひく。
思い切りが悪く、未練たらしいことをするたとえ。〈漢字ペディア〉
★「纜」は、船をつなぎ止めるための綱。
*『諺語大辞典』
トモヅナ
218 【テンダイ】の筆 ◆2 椽大   👉てんだいのふで。
堂々としたりっぱな文章のたとえ。〈漢字ペディア〉
★「椽」は、垂木(タルキ)のこと。
★垂木のように太く大きな筆の意から。
*『晉書-王c伝』
テンダイ
219 【テン】なき森の鼬 ◆2 黄鼬 👉てんなきもりのいたち。
権力者がいない所では、つまらない人間が幅をきかせるたとえ。〈漢字ペディア〉
★テンのいない森では、イタチが身勝手な振る舞いをする意から。
*『随筆・愚雑俎-四』
テン
220 【トウソ】魚肉の際 ◆2 刀俎   👉とうそぎょにくのさい。
=俎上の肉
他人に運命がすべて握られ、身動きがとれない状態のたとえ。〈漢字ペディア〉
*『史記-項羽本紀』
トウソ
221 桃李言わざれども、下自ら【ケイ】を成す ◆2   👉とうりいわざれども、したおのずからけいをなす。
人徳のある人には、自然と人々が慕って集まるというたとえ。〈漢字ペディア〉
★モモの木やスモモの木は何も言わないが、その花を見ようとして人が集まり、自然に道ができるということ。
*『史記-李将軍伝・賛』
ケイ
222 【ドバ】も十駕 ◆2 駑馬   👉どばもじゅうが。
才能に恵まれない者でも、たゆまぬ努力を続ければ、すぐれた者に追いつくことができるということ。〈漢字ペディア〉
★「十駕」は、一〇日間続けてウマを走らせること。
★あしの遅いウマでも一〇日走れば、名馬の一日分に追いつくことができる意から。
*『荀子』
ドバ
223 鳥なき里の【コウモリ】 ◆2 蝙蝠   👉とりなきさとのこうもり。
すぐれた人のいないところでは、つまらぬ者が我が物顔に振る舞うことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★コウモリは、鳥がいない場所では鳥のような顔で飛び回る意から。
*『黄表紙・玉磨青砥銭』
コウモリ
224 吞舟の魚も水を失えば則ち【ロウギ】に制せらる ◆2 螻蟻   👉どんしゅうのうおもみずをうしなえばすなわちろうぎにせいせらる。
大人物も、才能にふさわしい地位や役職を与えられなければ、その能力を存分に発揮できず、つまらぬ者に苦しめられることになるというたとえ。〈漢字ペディア〉
★「螻蟻」は、ケラとアリのことで、小人物のたとえ。
★舟をのみこむほどの大魚でも、水から離れると、虫けらにもかなわないという意から。
*『荘子-庚桑楚』
ロウギ
225 【ナマリ】は国の手形 ◆2 👉なまりはくにのてがた。
話す言葉のなまりで、その人の故郷がわかるということ。〈漢字ペディア〉
●〈平成20年度・第3回出題,大問㈨,小問2〉
*『咄本・新噺庚申講-一・鉄きせる』
ナマリ
226 【ナンカ】の夢 ◆2 南柯   👉なんかのゆめ。
人生のはかないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「南柯」は、南にさし出した枝。
★唐の淳于棼(ジュンウフン)が酔って邸内の槐(エンジュ)の下で眠り、大槐安(ダイカイアン)国に行って国王の娘を娶り南柯郡の長官に封ぜられて二〇年を過ごした夢を見る。目がさめて槐の木の下を見ると蟻の穴が二つあり、その一つには大蟻が王としてすみ、他の一つは南に向いた枝に通じていたという故事による。
*『李公佐-南柯記』
ナンカ
227 白璧の【ビカ】 ◆2 微瑕   👉はくへきのびか。
すぐれたものにわずかな欠点のあるたとえ。完全無欠でないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★白い輪になった玉(ギョク)に、ほんのわずかのきずがある意から。
*『陶淵明集序』
ビカ
228 白駒の【ゲキ】を過ぐるが若し ◆2 👉はっくのげきをすぐるがごとし。
年月がたつのが驚くほど早いことのたとえ。光陰矢の如し。〈漢字ペディア〉
★人間の一生は、白馬が走りすぎるのをわずかな隙間(スキマ)から一瞬見るようなものだという意から。
*『荘子-知北遊』
ゲキ
229 鳩に三枝の礼あり烏に【ハンポ】の孝あり ◆2 反哺   👉はとにさんしのれいありからすにはんぽのこうあり。
親に対して礼儀と孝行を尽くすこと。〈漢字ペディア〉
★「反哺」は、食物を口移しに食べさせる意。
★ハトは親と同じ木に止まるときに三本下の枝にとまり、カラスは育ててくれた親の恩に報いるために、えさを運んで口移しにして老いた親に食べさせて養う意。
*『慈元抄-下』
ハンポ
230 比丘尼に【コウガイ】 ◆2 👉びくににこうがい。
必要のないことや不似合いなことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「筓」は、女性の髪を整えるのに使う道具。また、日本髪にさす飾り。
*『俚言集覧』
コウガイ
231 人と【ビョウブ】は直には立たず ◆2 屏風 屛風 👉ひととびょうぶはすぐにはたたず。
屛風が折り曲げないと立たないように、人も他人とほどほどに妥協しなければ、世渡りができないという教え。〈漢字ペディア〉
*『尾張俗諺-他邦通諺』
ビョウブ
232 人の【センキ】を頭痛に病む ◆2 疝気 👉ひとのせんきをずつうにやむ。
人の腹痛を心配して自分が頭痛する意から、関係のないことに余計な心配をすること。〈漢字ペディア〉
★「疝気」は、腹痛や腰痛のこと。
●〈平成27年度・第3回出題,大問㈧,小問7〉
*『洒落本・桜河微言-跋』
センキ
233 【ヒニク】の嘆 ◆2 髀肉 脾肉 👉ひにくのたん。
実力を発揮し、手柄を立てる機会がないことを嘆くたとえ。〈漢字ペディア〉
★「髀肉・脾肉」は、ももの肉。
★中国、三国時代、蜀(ショク)の劉備(リュウビ)が長い間戦いがなかったためウマに乗る機会がなく、股(モモ)の部分の肉が肥えてしまったことを嘆いた故事から。
*『三国志-蜀書・先主伝・注』
ヒニク
234 【フザン】の夢 ◆2 巫山   👉ふざんのゆめ。
男女の情交のこと。〈漢字ペディア〉
★国、楚(ソ)の懐王(カイオウ)が巫山に近い高殿で遊び、夢のなかで、朝には雲となり夕には雨となる巫山の神女と情を交わしたという故事から。
*『宋玉-高唐賦』
フザン
235 兵は【キドウ】なり ◆2 詭道   👉へいはきどうなり。
戦争はただ敵に勝てばよいので、相手をあざむく方法にほかならない。〈漢字ペディア〉
★「兵」は、戦争の意。
★「詭」は、いつわる意。
*『孫子-始計』
キドウ
236 平地に【ハラン】を起こす ◆2 波瀾   👉へいちにはらんをおこす。
物事が平穏無事にいっているところに、あえてもめごとや騒ぎを起こすこと。〈漢字ペディア〉
*『劉禹錫-竹枝詞』
ハラン
237 目は【ゴウモウ】を見るも睫を見ず ◆2 毫毛   👉めはごうもうをみるもまつげをみず。
他人の欠点は小さなことまで気がつくが、自分の欠点には気がつかないたとえ。〈漢字ペディア〉
★「毫毛」は、細かい毛の意。
★目は細い毛まで見ることができるが、自分のまつげを見ることはできない意から。
*『史記』
ゴウモウ
238 【ヤスリ】と薬の飲み違い ◆2   👉やすりとくすりののみちがい。
一見すると似ているが、実際はまったく異なることのたとえ。また、十分に聞いたり確かめたりせずにわかったつもりになること、早合点することのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「や(八)すり」と「く(九)すり」と数を並べた語呂合わせ。
*不明
ヤスリ
239 病【コウコウ】に入る ◆2 膏肓   👉やまいこうこうにいる。
1.病気が重くなり、治る見込みがなくなること。
2.趣味や道楽におぼれて抜け出せなくなるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「膏」「肓」は、内臓の深奥部の名で、薬も鍼(ハリ)も届かない箇所。
*『春秋左伝-成公一〇年』
コウコウ
240 用ある時の地蔵顔、用なき時の【エンマ】顔 ◆2 閻魔   👉ようあるときのじぞうがお、ようなきときのえんまがお。
人に物事を頼むときは笑顔をつくり、用事がないときは不愛想な顔でいること。人間の勝手なことをいう。〈漢字ペディア〉
*『北条氏直時分諺留』
エンマ
241 【ランジャ】の室に入る者は自ら香ばし ◆2 蘭麝   👉らんじゃのしつにいるものはおのずからこうばし。
よい環境にいてよい友人と交われば、自然に感化されて自分の身も正しくなるということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★よい香りのする部屋に入る者は、自然によい香りが身につくという意から。
*『浄瑠璃・前太平記古跡鑑-五』
ランジャ
242 【リギュウ】の喩え ◆2 犂牛   👉りぎゅうのたとえ。
どんな家柄に生まれようと、本人がすぐれた才能をもっていさえすれば、必ず世に用いられるという教え。〈漢字ペディア〉
★「犂牛」は、まだら牛。農耕用の役牛で、祭りの生贄に供する赤毛の牛より劣るとされる。
*『論語-雍也』
リギュウ
243 【リュウジョ】の才 ◆2 柳絮   👉りゅうじょのさい。
非凡な才女。また、文才のある女性。才媛(サイエン)。〈漢字ペディア〉
★中国、晋(シン)の謝安(シャアン)が降る雪を見て、甥(オイ)と姪(メイ)にこれを何にたとえるかと尋ねた。甥は「塩を空中にまいたようだ」と答えたのに対して、姪は「柳絮が風に舞い散るようだ」と答え、謝安を大いに感心させたという故事から。
●〈平成20年度・第3回出題,大問㈨,小問3〉
*『晉書-烈女伝・王凝氏妻謝氏』
リュウジョ
244 【リョウゲン】の火 ◆2 燎原   👉りょうげんのひ。
物事が非常な勢いで広がり、とどめることのできないたとえ。〈漢字ペディア〉
★野原を焼く火の意から。
*『伊藤特派全権大使復命書附属書類-天津談判・四』
リョウゲン
245 【リンゲン】汗の如し ◆2 綸言   👉りんげんあせのごとし。
汗は体から出ると二度と戻せないように、一度君主の口から発せられた言葉は、取り消すことができないということ。〈漢字ペディア〉
●〈平成28年度・第2回出題,大問㈧,小問8〉
*『漢書』
リンゲン
246 老牛犢を【ネブ】る ◆2   👉ろうぎゅうとくをねぶる。
親が子どもを深く愛することのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「犢」は、子牛の意。
★「舐る」は、なめまわすの意。
*『後漢書-楊彪伝』
ネブ
247 【ロウ】を得て蜀を望む ◆2   👉ろうをえてしょくをのぞむ。
人の欲望には限りがないたとえ。〈漢字ペディア〉
*『後漢書-岑彭伝』
ロウ
248 隴を得て【ショク】を望む ◆2   👉ろうをえてしょくをのぞむ。
人の欲望には限りがないたとえ。〈漢字ペディア〉
*『後漢書-岑彭伝』
ショク
249 【ロカイ】の立たぬ海もなし ◆2 櫓櫂 艪櫂 👉ろかいのたたぬうみもなし。
どのような困難においても、なんらかの方策はあることのたとえ。〈漢字ペディア〉
*『浄瑠璃・忠臣青砥刀-上』
ロカイ
250 暁知らずの【ヨイマクラ】 ◆2 宵枕   👉あかつきしらずのよいまくら。
宵ははやくから床につき、朝は遅くまで寝ていること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『譬喩尽-六』
ヨイマクラ
251 飽かぬは君の【ゴジョウ】 ◆2 御諚   👉あかぬはきみのごじょう。
主君の命令であれば、どんな無理なことでも嫌だとは思わないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「御諚」は、主君の命令。
*『幸若・鎌田』
ゴジョウ
252 【オトガイ】の雫 ◆2   👉おとがいのしずく。
手近にありながら思うようにならないこと。顎(アギト)の雫(シズク)、口に入らぬ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「頤」は、下あご。
★涎でおわるだけという意。
*『浄瑠璃・娥歌かるた-一』
オトガイ
253 商いは牛の【ヨダレ】 ◆2   👉あきないはうしのよだれ。
商売は気長に辛抱強く続けよということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★牛のよだれが、細く長く垂れ続けることからいう。
●〈平成28年度・第2回出題,大問㈧,小問1〉
*『浮世草子・日本新永代蔵-二・三』
ヨダレ
254 商人の子は【ソロバン】の音で目をさます ◆2 算盤 十露盤 👉しょうにんのこはそろばんのおとでめをさます。
人の習性が、生活環境の影響を受けることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★商人の子どもは金銭感情や損得に敏感になり、算盤の音がすると目をさます意から。
*『諺語大辞典』
ソロバン
255 【アザミ】の花も一盛り ◆2   👉あざみのはなもひとさかり。
器量のあまりよくない女性でも、年頃になると魅力が出てくるということ。蕎麦の花も一盛り。鬼も十八。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★あまり美しくない薊の花でも、美しい時がある意から。
●〈平成20年度・第1回出題,大問㈨,小問2〉
*『日本俚諺大全』
アザミ
256 普天の下、【ソット】の浜 ◆2 率土   👉ふてんのもと、そっとのひん。
全世界のこと。空がおおっているすべて、地の続くかぎり。〈漢字ペディア〉
●〈平成28年度・第3回出題,大問㈧,小問2〉
*『詩経-小雅・北山』
ソット
257 【スウジョウ】に詢る ◆2 芻蕘 蒭蕘 👉すうじょうにはかる。
物事は全ての人に相談するがよい。下層の人の声も聞くがよい。〈中国古典名言事典〉
★「芻」は、草を刈る人。
★「蕘」は、薪(タキギ)をとる人。
●〈平成28年度・第3回出題,大問㈧,小問8〉
*『詩経-大雅・板』
スウジョウ
258 口で【ケナ】して心で褒める ◆2   👉くちでけなしてこころでほめる。
口では悪く言っているが、心の中では愛情を持って見守っていること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
●〈平成28年度・第2回出題,大問㈧,小問4〉
*『日本俚諺大全』
ケナ
259 好きの道には【コモ】被る ◆2 👉すきのみちにはこもかぶる。
好きな道にあまりのめり込むと、ついには破産して乞食の境涯に落ち込んでしまうことになる。また、好きな道のためにはそのような境涯になってもかまわない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「薦かぶる」は、乞食になる。
●〈平成28年度・第2回出題,大問㈧,小問6〉
*『日本俚諺大全』
コモ
260 因果が【ツクバ】う ◆2   👉いんががつくばう。
不運な境遇になることが避けられない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★前世での悪行の報いがうずくまってちゃんと待ちかまえている意から。
●〈平成28年度・第2回出題,大問㈧,小問9〉
*『虎明本狂言・武悪』
ツクバ
261 善言は【フハク】よりも暖かなり ◆2 布帛   👉ぜんげんはふはくよりもあたたかなり。
言葉には、人の心をあたためる大きな力があることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「布帛」は、木綿と絹、織物の意。
★良い言葉は、身につける衣類よりも暖かい意から。
●〈平成28年度・第2回出題,大問㈧,小問10〉
*『荀子-栄辱』
フハク
262 【ウソ】の雄は晴れを呼び雌は雨を呼ぶ ◆2   👉うそのおすははれをよびめすはあめをよぶ。
その鳴き声で晴雨を判断する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
●〈平成27年度・第3回出題,大問㈧,小問4〉
*『諺語大辞典』
ウソ
263 【シュウレン】の臣あらんよりは寧ろ盗臣あれ ◆2 聚斂   👉しゅうれんのしんあらんよりはむしろとうしんあれ。
重税を取り立てて、人民の反感・反抗を招く臣よりも、公の財産を盗んで私腹をこやす臣の方がましである。政治の根本は財貨よりも民心を得ることにあることをいう。〈大辞林〉
●〈平成27年度・第3回出題,大問㈧,小問5〉
*『礼記-大学』
シュウレン
264 【スッポン】が時をつくる ◆2   👉すっぽんがときをつくる。
すっぽんが時を告げる。あるはずがないことのたとえ。〈大辞泉〉
●〈平成27年度・第3回出題,大問㈧,小問6〉
*『俳諧・七番日記-文化一五年-三月』
スッポン
265 【タイカ】の材は一丘の木に非ず ◆2 大廈 大厦 👉たいかのざいはいっきゅうのきにあらず。
天下に平和をもたらすことは大勢の人の力によるもので、決して少数の力ではできないということ。〈漢字ペディア〉
★大きな建物を造るときの材木は、一つの丘の木だけではとても足りない意から。
●〈平成27年度・第3回出題,大問㈧,小問10〉
*『王褒-四子講徳論』
タイカ
266 【スイキョウ】して天下治まる ◆2 垂拱   👉すいきょうしててんかおさまる。
天子の徳がいきわたって、手をこまぬいて何もしなくても天下が平穏無事に収まること。古代中国の理想的な状態。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「垂拱」は、衣裳の袖を垂れ、手をこまぬいて何もしないこと。
●〈平成28年度・第1回出題,大問㈧,小問1〉
*『書経-武成』
スイキョウ
267 捨て【バシ】を突く ◆2 👉すてばしをつく。
追いつめられた弱い鳥でも反撃してかえって相手を傷つける。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★。「捨て嘴」は、捕らえられた鳥がくちばしではむかうこと。
●〈平成28年度・第1回出題,大問㈧,小問3〉
*『日葡辞書』
バシ
268 【ウジムシ】も一代 ◆2 蛆虫   👉うじむしもいちだい。
どんな生き方をしても、一生は一生だということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
●〈平成28年度・第1回出題,大問㈧,小問6〉
*『俚言集覧』
ウジムシ
269 【ケラ】腹立つれば鶫喜ぶ ◆2 螻蛄 👉けらはらたつればつぐみよろこぶ。
一方が怒れば他方が喜ぶというように、両者の利害が反することのたとえ。〈日本国語大辞典〉
★ツグミを捕えるのに、ケラを餌として繫いで置くところからいう。
●〈平成28年度・第1回出題,大問㈧,小問8〉
*『名語記-五』
ケラ
270 【イチモツ】の鷹も放さねば捕らず ◆2 逸物   👉いちもつのたかもはなさねばとらず。
どんなにすぐれたものでも、実際に活用しなければ何の役にも立たないということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「逸物」は、とくにすぐれた存在の意。
★すぐれたタカでも、放たなければ獲物を捕らないという意から。
*『俳諧・毛吹草-二』
イチモツ
271 河童に塩を【アツラ】える ◆2   👉かっぱにしおをあつらえる。
見当はずれの注文をするたとえ。〈漢字ペディア〉
★海でとれる塩を川にすむかっぱに注文する意から。
*『俚言集覧』
アツラ
272 君子は言に【トツ】なれども行いに敏ならんと欲す ◆2   👉くんしはげんにとつなれどもおこないにびんならんとほっす。
君子は口べたであっても行動のうえでは素早くありたいと思うものである。〈漢字ペディア〉
*『論語-里仁』
トツ
273 【ジンコウ】も焚かず屁もひらず ◆2 沈香 線香 👉じんこうもたかずへもひらず。
可もなく不可もなく平々凡々であることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★香をたいて良い香りを出すのでもなく、臭いおならをするのでもないという意から。
●〈平成20年度・第3回出題,大問㈨,小問7〉
*『尾張俗諺-京師通諺』
ジンコウ
274 積悪の家には必ず【ヨオウ】有り ◆2 余殃   👉せきあくのいえにはかならずよおうあり。
悪事を重ねて来た家には、必ず子孫に災いが及んでくるということ。〈漢字ペディア〉
★「殃」は、わざわい、災難の意。
*『三代実録-貞観八年・九月二二日』
ヨオウ
275 【センダン】は双葉より芳し ◆2 栴檀   👉せんだんはふたばよりかんばし。
将来大成する人は、幼いときからすぐれた素質を現すたとえ。〈漢字ペディア〉
★栴檀はビャクダンのことで香木として知られる。ビャクダンは芽が出たころから芳香を放つことから。
*『平家-一・殿下乗合』
センダン
276 【タイカ】の顚るや、一木の支うる所に非ず ◆2 大廈 大厦 👉たいかのくつがえるや、いちぼくのささうるところにあらず。
国が滅びかかっているときは、一人の力ではいかんともしがたいたとえ。〈漢字ペディア〉
★「大廈・大厦」は、大きな家屋の意。
★大きな家が倒れかかったときには、一本の支柱だけで支えられるものではない意から。
*『文中子-事君』
タイカ
277 【タイカン】は忠に似たり ◆2 大姦 大奸 👉たいかんはちゅうににたり。
大悪人は、自分の本性を隠したくみに振る舞うので、いかにも忠臣のように見えるということ。〈漢字ペディア〉
★「大姦」は、人道にはずれた、非常に悪いこと。また、そのようなことをする人。
*『宋史-呂誨伝』
タイカン
278 鶍の【ハシ】 ◆2 👉いすかのはし。
物事がくいちがって、思いどおりにならないたとえ。〈漢字ペディア〉
★鶍は、嘴(クチバシ)が上下湾曲していて、ぴったり合わないことから。
●〈平成20年度・第1回出題,大問㈨,小問1〉-「鶍の嘴(觜)の食い違い」
*『寛永刊本蒙求抄-七』
ハシ
279 田鼠化して【ウズラ】となる ◆2   👉でんそかしてうずらとなる。
陰暦三月のこと。ウズラが麦畑などでしきりに鳴くのどかな春の季節感を表した言葉。〈漢字ペディア〉
★「田鼠」は、モグラの異名。
★モグラがウズラになるという中国古代の民間伝承から。
*『礼記-月令』
ウズラ
280 【トタン】の苦しみ ◆2 塗炭   👉とたんのくるしみ。
非常な苦しみ、苦痛のたとえ。〈漢字ペディア〉
★「塗」は、どろの意。
★「炭」は、すみ火の意。
★どろにまみれ、すみ火に焼かれる苦しみの意から。
*『淡窓詩話-上』
トタン
281 【ハイカン】を摧く ◆2 肺肝   👉はいかんをくだく。
心を尽くして考え抜くこと。なみなみならぬ苦心をすること。〈漢字ペディア〉
★古くは肺や肝臓に心があって、物事を考えるとされていたことから。
*『杜甫-垂老別詩』
ハイカン
282 百尺【カントウ】一歩を進む ◆2 竿頭   👉ひゃくせきかんとういっぽをすすむ。
ある目的や目標に到達しても、それに満足することもなく、さらなる向上をめざし努力することのたとえ。〈漢字ペディア〉
★百尺もある竿(サオ)の先にいて、さらにもう一歩を進める意から。
*『景徳伝燈録-一〇』
カントウ
283 百年【カセイ】を俟つ ◆2 河清   👉ひゃくせんかせいをまつ。
どんなに待ち望んでも、けっして実現しないことのたとえ。また、あてにできないことを期待するたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、黄河の水は常に黄土で濁っていて、百年たっても澄むことはないことから。
*『』
カセイ
284 布施ない経に【ケサ】落とす ◆2 袈裟   👉ふせないきょうにけさおとす。
報酬が少ないと、手抜きをするたとえ。布施ない経は読まぬ。〈漢字ペディア〉
★僧は、布施がないときは略式にして、経を読むのに袈裟を掛けない意から。
*『虎明本狂言・布施無経』
ケサ
285 【ブンボウ】牛羊を走らす ◆2 蚊虻   👉ぶんぼうぎゅうようをはしらす。
弱小なものが強大なものを制すること。また、ささいなことが原因で大事件や災害を引き起こすこと。〈漢字ペディア〉
★カやアブのような小虫でも多数集まって血を吸うと、それを嫌って大きなウシやヒツジも逃げる意から。
*『説苑-説叢』
ブンボウ
286 【ブンボウ】の労 ◆2 蚊虻   👉ぶんぼうのろう。
取るに足りない技能のたとえ。〈漢字ペディア〉
*『荘子-天下』
ブンボウ
287 焼け野の【キギス】夜の鶴 ◆2 雉子 👉やけののきぎすよるのつる。
親が子を思う愛情の深さのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「きぎす」は、キジの古い言い方。
★キジは、巣のある野が焼かれると、子を守るために巣にもどり、ツルは、霜や雪の夜は、寒さから子を守るために、羽を広げたままで過ごすことから。
●〈平成20年度・第3回出題,大問㈨,小問1〉
*『謡曲・丹後物狂』
キギス
288 【リョウウン】の志 ◆2 凌雲 陵雲 👉りょううんのこころざし。
俗世間を高く超越したいと願う高い志。また、志気盛んに大いに立身出世しようとする志。〈漢字ペディア〉
*『漢書-楊雄伝』
リョウウン
289 【リョウジョウ】の君子 ◆2 梁上   👉りょうじょうのくんし。
盗賊・どろぼうのこと。転じて、ネズミの別称。〈漢字ペディア〉
★「梁」は、天井の上に横に渡して棟(ムネ)を支える木。
★中国、後漢の陳寔(チンショク)が梁(ハリ)の上にひそんでいる泥棒を見て、悪い習慣が身につくとあの梁の上の君子のようになるのだと子どもに言ってきかせたという故事による。
*『後漢書-陳寔伝』
リョウジョウ
290 【ロギョ】の誤り ◆2 魯魚   👉ろぎょのあやまり。
文字の書き誤り。〈漢字ペディア〉
★「魯」と「魚」は、字形が似ていて、書きまちがいやすいことから。
*『世俗俚言集』
ロギョ
291 当たる罰は【コモ】着ても当たる ◆2 👉あたるばちはこもきてもあたる。
悪いことをすれば、薦(コモ)をかぶって罰を逃れようとしても、神様は見逃さないという戒め。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*不明
コモ
292 【アツウン】の曲 ◆2 遏雲   👉あつうんのきょく。
空を流れていく雲を止めるほどの、すばらしい音楽。また、美しい歌声のこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「遏」は、さえぎり止めること。
*『列子-湯問』
アツウン
293 新たに【モク】する者は必ず冠を弾く ◆2   👉あらたにもくするものはかならずかんむりをはじく。
清潔な人ほど、不正を遠ざけようとするものだということ。〈漢字ペディア〉
★「沐する」は、髪を洗う意。
★「弾く」は、指などではねのける意。
★髪を洗ったばかりの人は、冠の汚れを手で払ってからかぶる意から。
*『楚辞-漁父辞』
モク
294 大山も【ギケツ】より崩る ◆2 蟻穴   👉たいざんもぎけつよりくずる。
小さなことでも油断しておろそかにしていると、とりかえしのつかない大きな失敗を招く恐れがあること、ちょっとした油断や失敗が大きな危難を招くことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★どんな大きな山でも、蟻の小さな穴からしだいしだいにくずれていく意。
*『浮世草子・五箇の津余情男-一・一』
ギケツ
295 【アンエイ】の狐裘 ◆2 晏嬰   👉あんえいのこきゅう。
倹約に務めて職務に励むことのたとえ。一狐裘三十年。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「晏嬰」は、晏子。春秋時代の斉の名宰相。
★「狐裘」は、狐の脇の下の白い毛で作った高価なかわごろも。
★中国春秋時代、斉の名宰相晏嬰が質素倹約につとめ、高価なものではあるがたった一枚の狐裘を三十年間着続けて、国を治めることに励んだという故事による。
*『礼記-檀弓・下』
アンエイ
296 晏嬰の【コキュウ】 ◆2 狐裘   👉あんえいのこきゅう。
倹約に務めて職務に励むことのたとえ。一狐裘三十年。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「晏嬰」は、晏子。春秋時代の斉の名宰相。
★「狐裘」は、狐の脇の下の白い毛で作った高価なかわごろも。
★中国春秋時代、斉の名宰相晏嬰が質素倹約につとめ、高価なものではあるがたった一枚の狐裘を三十年間着続けて、国を治めることに励んだという故事による。
*『礼記-檀弓・下』
コキュウ
297 家に無くてはならぬものは上がり【ガマチ】と女房 ◆2 👉いえになくてはならぬものはあがりがまちとにょうぼう。
家には必ず上がりがまちがあるように、家庭には主婦が必要であるということ。主婦の大切さを言った言葉。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「上がり框(檔)」は、家の上り口の床に渡した横木。
*『浄瑠璃・蘆屋道満大内鑑-三』
ガマチ
298 【イサカ】い果てての契り ◆2   👉いさかいはててのちぎり。
けんかの後で、仲良くなること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「諍い」は、言い争い。口喧嘩。
*『日本俚諺大全』
イサカ
299 砂に黄金、泥に【ハチス】 ◆2   👉いさごにこがね、でいにはちす。
つまらない物の中にに良い物が混じっていることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★砂に砂金が混じっていたり、泥沼の中で蓮の花が咲いたりすることから。
*『謡曲・阿古屋松』
ハチス
300 【ツウヨウ】を感ぜず ◆2 痛痒 痛癢 👉つうようをかんぜず。
痛くもかゆくもない。身に何の利害も影響も感じない。〈日本国語大辞典〉
*『一年有半〈中江兆民〉附録』
ツウヨウ
301 【コタツ】で河豚汁 ◆2 炬燵 火燵 👉こたつでふぐじる。
安全を心がけながら一方で危険なことをするたとえ。〈漢字ペディア〉
★のんびりしながら、毒にあたる危険のあるフグを食べることから。
*『諺苑』
コタツ
302 一【ウリザネ】に二丸顔 ◆2 瓜実 瓜核 👉いちうりざねににまるがお。
女性の顔たちの良さをいう。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「瓜実」は、瓜実顔。中高の細長い顔。
★鼻筋の通った瓜実顔が一番で、次が愛嬌のある丸顔だということ。
*『日本俚諺大全』
ウリザネ
303 【イッキ】の功 ◆2 一簣   👉いっきのこう。
完成一歩手前の努力のたとえ。努力の積み重ねの大切さをいう。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「簣」は、もっこで、土を運ぶ道具。
★「功」は、努力。成果。
★学問を修め徳を積んでゆく姿を、もっこで土を運び山を作る人にたとえたもの。
*『書経-旅獒』
イッキ
304 【イッキ】を以て江河を障ぐ ◆2 一簣   👉いっきをもってこうがをふせぐ。
微力で乱を防ぐことなどのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「江河」は、長江や黄河。
★もっこ一杯のわずかな土で大河の水をせき止める意から。
*『漢書-何武・王嘉・師丹伝賛』
イッキ
305 【イッタン】の食、一瓢の飲 ◆2 一簞 一箪 👉いったんのし、いっぴょうのいん。
きわめて貧しい食事のこと。また、清貧に甘んずること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「簞」は、わりご。竹製の食器。
★「瓢」は、ひさご。酒や水を入れる器。
★わりご一杯の飯と、ひさご一杯の飲み物という意から。
*『論語-雍也』
イッタン
306 命長ければ【ホウライ】を見る ◆2 蓬萊 蓬莱 👉いのちながければほうらいをみる。
長生きをしていれば、思いがけない幸運に会うこともあるということ。〈漢字ペディア〉
★「蓬萊」は、蓬萊山の略。中国の伝説で、仙人が住み不老不死の地とされる東海の霊山。
*不明
ホウライ
307 命は【キンカ】の露の如し ◆2 槿花   👉いのちはきんかのつゆのごとし。
人の命は、朝顔の花に降りた露のように、はかないものだということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「槿花」は、朝顔の花。朝開いて夕方にしぼむことから、はかない物事のたとえ。
*『咄本・醒睡笑-二』
キンカ
308 命は【コウモウ】より軽し ◆2 鴻毛   👉いのちはこうもうよりかろし。
正義のためであれば、命を捨てても惜しくないということ。〈漢字ペディア〉
★「鴻毛」は、おおとりの羽毛のことで、非常に軽いもののたとえ。
*『文選-報任少卿書』
コウモウ
309 【イハツ】を継ぐ ◆2 衣鉢   👉いはつをつぐ。
恩師や先人から、学問・技芸などの奥義や秘伝を受け継ぐこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「衣鉢」は、袈裟と応量器(僧侶の食器)。
★もと禅宗で、師から弟子への伝法の証拠として「衣」または「衣鉢」が授けられたという伝承に基づく。
*『最暗黒之東京〈松原岩五郎〉九』
イハツ
310 【イモン】の望 ◆2 倚門   👉いもんのぼう。
子を思う親の愛情が切実なたとえ。特に母親の愛情についていう。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「倚」は、寄りかかること。
★門に寄りかかって子の帰宅を望み待つ意から。
*『戦国策-斉・下』
イモン
311 【ガマ】は恒に鳴けども、人は聴かず ◆2 蝦蟇 蝦蟆


👉がまはつねになけども、ひとはきかず。
多言は人世に益のないたとえ。〈中国古典名言事典〉
★「蝦蟇・蝦・蟇」は、ヒキガエルの別称。
★ヒキガエルは日夜喧(カマビス)しく鳴くが、誰もこれを聞いて楽しむ人はいない意。
*『太平御覧-虫豸』
ガマ
312 【ウショウ】を飛ばす ◆2 羽觴   👉うしょうをとばす。
宴会など杯のやり取りを盛んに行うこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「羽觴」は、翼を広げた雀にかたどった杯のこと。
*『李白-春夜宴桃李園序』
ウショウ
313 内股【ゴウヤク】 ◆2 膏薬   👉うちまたごうやく。
都合によってあちらこちらにつきしたがい、態度が一定しないたとえ。〈漢字ペディア〉
★内股に貼った膏薬が両方の股についてしまう意から。
*『狂歌・吾吟我集-六』
ゴウヤク
314 瓜の蔓に【ナスビ】はならぬ ◆2 茄子 👉うりのつるになすびはならぬ。
平凡な親から非凡な才能をもつ子は生まれないたとえ。また、子は親に似るものだということ。〈漢字ペディア〉
類:蛙の子は蛙
*『波形本狂言・比丘貞』
ナスビ
315 【ウロ】の争い ◆2 烏鷺   👉うろのあらそい。
囲碁の勝負のこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「烏鷺」は、カラスとサギの羽の色から、黒と白の意。転じて、碁の黒石と白石の異名。
*『黒潮〈徳富蘆花〉一・七・二』
ウロ
316 竽を好むに【シツ】を鼓す ◆2   👉うをこのむにしつをこす。
人の好みに合わないことをするたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「竽」は、笙(ショウ)に似た竹製の楽器。
★「瑟」は、大型の琴。
★「鼓す」は、かき鳴らす意。
★相手は竽を好むのに、自分の好きな瑟を鳴らして聞かせることから。
*『韓愈-答陳商書』
シツ
317 【ウンゲイ】の望み ◆2 雲霓   👉うんげいののぞみ。
切実な希望のたとえ。特に、名君の出現を待望すること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「雲霓」は、雲と虹で、雲は雨を呼び、虹は雨が降ると現れることから、雨を象徴している。
★雲が出て雨が降り虹が出るのを待ち望むことから。
*『孟子-梁恵王・下』
ウンゲイ
318 栄華有る者は必ず【ショウスイ】あり ◆2 憔悴   👉えいがあるものはかならずしょうすいあり。
栄えているものは、必ず衰える時が来るということ。栄枯盛衰は世の常であることを言った言葉。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「憔悴」は、やせ衰える。やつれる。
*『淮南子-説林訓』
ショウスイ
319 【エイジ】の貝を以て巨海を測る ◆2 嬰児   👉えいじのかいをもってきょかいをはかる。
到底できないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★幼児が貝で大海の水量を測る意から。
*『漢書-東方朔伝』
エイジ
320 【エッソ】の罪 ◆2 越俎   👉えっそのつみ。
他人の職分や権限を侵す罪。〈漢字ペディア〉
★「俎」は、神への供物(クモツ)をのせる台のことで、料理人の領分の意。
★中国古代の尭(ギョウ)帝が許由(キョユウ)に天下を譲ろうとしたとき、許由が「人は分を守ることが大切で、料理人の腕が悪いからといって、神主がそれに代わることはしない」と断ったという伝説から。
*『荘子-逍遙遊』
エッソ
321 宴安は【チンドク】 ◆2 酖毒 鴆毒 👉えんあんはちんどく。
享楽にふけることに対する戒め。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「宴安」は、仕事をせずに、遊び楽しむこと。
★「酖毒」は、鴆(チン)という毒鳥の羽を浸した猛毒の酒。
★いたずらに遊び暮らすことは、毒薬を飲むようなもので、身を滅ぼすもとである意から。
*『春秋左伝-閔公元年』
チンドク
322 【エン】を北にして楚に適く ◆2   👉えんをきたにしてそにゆく。
目的と行動とが食い違っていることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「轅」は、車の両側から前に突き出た二本のかじ棒。ながえ。
★「楚」は、中国の南にある国の古名。
★車のながえを北方に向けて、南方の楚の国へ行こうとする意から。
*『白居易-新楽府・立部伎』
エン
323 大きい【ヤカン】は沸きが遅い ◆2 薬缶   👉おおきいやかんはわきがおそい。
大人物は、ふつうの人より大成するのに歳月を要するたとえ。〈漢字ペディア〉
★大きい薬缶は容量が大きく役立つが、それだけに沸くのに時間がかかる意から。
類:大器晩成
*不明
ヤカン
324 【オガクズ】も言えば言う ◆2 大鋸屑   👉おがくずもいえばいう。
理由をつけようと思えばどんなことにもつけられるというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★無用のおがくずでも、有用なものだと理屈をつけられるということから。
*『俳諧・毛吹草-二』
オガクズ
325 【オトガイ】を解く ◆2   👉おとがいをとく。
あごがはずれるほど大笑いすること。〈漢字ペディア〉
★「解く」は、はずすの意。
*『明衡往来-上本』
オトガイ
326 家鶏を賤しみて【ヤチ】を愛す ◆2 野雉   👉かけいをいやしみてやちをあいす。
古いものを嫌い、珍しく新しいものを好むこと。また、身近な物や良いものを嫌い、遠くにあるものや悪いものを好むこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「家鶏」は、身近な物や古いもののたとえ。
★「野雉」は、野生のきじ。遠くにあるものや新しいもののたとえ。
★家で飼っているニワトリを嫌って、野生のきじを珍重する意から。
*『晋書』
ヤチ
327 風下に【ザル】 ◆2   👉かざしもにざる。
苦労しても何の役にも立たないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★風下に置いたザルで風を防ごうとしても効果がないことから。
*『和歌民のかまど』
ザル
328 河東の【シシク】 ◆2 獅子吼   👉かとうのししく。
口やかましい妻が、夫に向かってがみがみいうのを皮肉った言葉。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「河東」は、黄河の東岸。
★「獅子吼」は、獅子の吠える声。転じて、すべてを恐れさせる釈迦の説法。
★黄河の東岸で吠えたてる獅子の鳴き声という意から。
*『蘇軾-寄呉徳仁兼簡陳季常』
シシク
329 鐘も【シュモク】の当たりがら ◆2 撞木   👉かねもしゅもくのあたりがら。
人は、こちらの接し方によって態度が違ってくるということのたとえ。また、人は連れ添う相手によって、よくも悪くもなるということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「撞木」は、鐘などを打ち鳴らす棒のこと。
★鐘の音は、撞木の当たり方によって左右されるという意から。
*『洒落本・多荷論』
シュモク
330 【カミス】きの手鼻 ◆2 紙漉 紙抄 👉かみすきのてばな。
人の為にばかり物を作り、自分ではそれを使わず不自由することのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★和紙をすく職人が、紙を使わないで手で鼻をかむことから。
類:紺屋の白袴
*『諺語大辞典』
カミス
331 鴨を打って【エンオウ】を驚かす ◆2 鴛鴦   👉かもをうってえんおうをおどろかす。
一人を罰して、ほかの罪のない人々をおびえさせることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鴛鴦」は、おしどり。
★鴨を打ったために、同じ池のオシドリを驚かせる意から。
*『梅堯臣-莫打鴨』
エンオウ
332 借りる八合、【ナ】す一升 ◆2   👉かりるはちごう、なすいっしょう。
金や物を借りたら、返すときは感謝の気持ちを表すために、少し多めに返すのがよいという教え。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「済す」は、返済する。
★米を八合借りたら一升にして返せという意から。
*『諺苑』
333 驪竜【ガンカ】の珠 ◆2 頷下   👉りりょうがんかのたま。
危険を冒さなければ得られないもののたとえ。〈漢字ペディア〉
★「驪竜」は、黒色の龍。
★黒色の龍のあごの下にある珠の意。
*『荘子-列禦寇』
ガンカ
334 関関たる【ショキュウ】は河の洲に在り ◆2 雎鳩   👉かんかんたるしょきゅうはかわのすにあり。
夫婦仲がよくむつまじいこと。また、仲の良い夫婦のこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「関関」は、鳥が和らぎ鳴き交わす声の形容。
★「雎鳩」は、水鳥の名。みさご。
★川の洲で、みさごが仲良く鳴き交わしているという意から。
*『詩経-周南・関雎』
ショキュウ
335 【カンシャク】持ちの事破り ◆2 癇癪   👉かんしゃくもちのことやぶり。
感情を抑えきれず、すぐに怒り出す癇癪持ちは、物事をぶち壊してしまいやすいということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『諺語大辞典』
カンシャク
336 【カンテン】の慈雨 ◆2 干天 旱天 👉かんてんのじう。
ひでり続きのときに雨が降るように、困り果てたときに救われるたとえ。また、待望していたことが実現するたとえ。〈漢字ペディア〉
*『遅過ぎた日記〈長与善郎〉マニラの停戦協定に思ふ・八月二三日』
カンテン
337 千日の【カンバツ】に一日の洪水 ◆2 旱魃 干魃 👉せんにちのかんばつにいちにちのこうずい。
千日続くひでりと、一日ですべてを押し流す洪水とは、同程度の被害をもたらすということ。瞬時に災害をもたらす洪水の恐ろしさをいう。〈漢字ペディア〉
●〈平成20年度・第2回出題,大問㈨,小問10〉
*『諺語大辞典』
カンバツ
338 【キキ】の跼躅するは駑馬の安歩に如かず ◆2 騏驥   👉ききのきょくちょくするはどばのあんぽにしかず。
どんなにすぐれた人間でも怠けていれば、平凡だが努力し続ける人間にはかなわないというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「騏驥」は、一日に千里を走るという名馬。
★「跼躅」は、ぐずぐずして進まないこと。
★「駑馬」は、足ののろい馬。
★「安歩」は、静かにゆっくりと歩くこと。
★すぐれて足の速い馬でも、ぐずぐずしていれば、ゆっくりと歩き続ける駄馬に及ばないという意から。
*『史記-淮陰侯伝』
キキ
339 傷持つ足は【ササラ】 ◆2   👉きずもつあしはささら。
身のうしろ暗さから、簓の音にも臆すること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「簓」は、竹の先を細く割った楽器。
*『人情本・湊の月-後・七回』
ササラ
340 【シャクシ】は耳搔きにならず ◆2 杓子   👉しゃくしはみみかきにならず。
大きいものは形が似ていても、小さいもののかわりになるとは限らないたとえ。〈漢字ペディア〉
*『国民の品位』
シャクシ
341 【キビ】に付す ◆2 驥尾   👉きびにふす。
すぐれた人にしたがって物事を成しとげること。また、愚者も賢者にしたがっていれば思いのほか志をとげることができるたとえ。多く、自分の行動をへりくだっていう言葉。〈漢字ペディア〉
★「驥」は、一日に千里を走るという名馬。
★自分自身の力では遠くへ飛べない青ばえも、名馬の尾について行けば、一日に千里も行くことができる意。
*『史記-伯夷伝』
キビ
342 朽索の六馬を【ギョ】するが如し ◆2 👉きゅうさくのりくばをぎょするがごとし。
困難で危険なことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「朽索」は、くさった綱。
★「六馬」は、天子の馬車を引く六馬の馬。
★くさった綱で六頭の馬をあやつるようだという意から。
*『書経-五子之歌』
ギョ
343 【キョウド】の末魯縞に入る能わず ◆2 強弩   👉きょうどのすえろこうにいるあたわず。
初めは強いものでも衰えては力がなくなり、何事もできなくなることのたとえ。英雄や強国の末路にいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「強弩」は、引き金仕掛けの強い石弓。
★「魯縞」は、魯の国で生産される薄手の絹。
★強い弓から放たれた矢も、ついには力が弱って、魯国に産する薄い絹をつらぬくこともできないほどになる意。
*『漢書-韓安国伝』
キョウド
344 金の卵も生む【ガチョウ】を殺すな ◆2 鵝鳥 鵞鳥 👉きんのたまごもうむがちょうをころすな。
目先の利益のために、大局的な見通しを失ってはならないという戒め。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★毎日一個ずつ金の卵を生む鵞鳥を持っていた強欲者が、腹の中にはさぞ多くの金があるだろうと思い、腹を割いたが、何も出てこなかった上に鵞鳥を殺してしまったというイソップ寓話の「金の卵を生む鵞鳥」に由来する。
*『イソップ寓話』
ガチョウ
345 空谷の【キョウオン】 ◆2 跫音   👉くうこくのきょうおん。
思いがけない喜びのたとえ。また、非常に珍しいことのたとえ。懐かしい人が訪ねて来たり、うれしい便りが届いたりすると。孤立しているときに賛同者を得た場合にも用いる。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「空谷」は、人のいないさびしい谷。
★「跫音」は、足音。
★人気のない寂しい谷に聞こえる人の足音という意から。
*『荘子-徐無鬼』
キョウオン
346 草、【レイゴ】に満つ ◆2 囹圄   👉くさ、れいごにみつ。
政治がよく行われていて、犯罪がないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「囹圄」は、牢獄。
★牢獄に罪人がいないために、中に雑草が生い茂るという意から。
*『隋書-循吏伝・劉曠』
レイゴ
347 鯨に【シャチホコ】 ◆2   👉くじらにしゃちほこ。
どこまでもつきまとって、害を与えることのたとえ。また、邪魔にされてもどこまでもついていくことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『浄瑠璃・蘆屋道満大内鑑-三』
シャチホコ
348 【クシ】の歯を挽く ◆2   👉くしのはをひく。
同じような物事が次から次へと絶え間なく行われること。また、人の往来などが絶えないこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「挽く」は、のこぎりでひいて作る。
★櫛の歯を作るとき、次々に挽くように削っていくことから。
*『太平記-一〇・新田義貞謀叛事』
クシ
349 紅は【ソノウ】に植えても隠れなし ◆2 園生   👉くれないはそのうにうえてもかくれなし。
すぐれた人物はどこにいてもひときわ目立つことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★あざやかな赤色のベニバナは他の草にまぎれていても目立つことから。
*『義経記-二・鏡の宿吉次宿に強盗の入る事』
ソノウ
350 群蟻【セイセン】に付く ◆2 腥羶   👉ぐんぎせいせんにつく。
人々が私利私欲のために利益のあるところに群がり集まることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「群蟻」は、群がった蟻。
★「腥羶」は、なまぐさいもの。羊の肉。
★たくさんの蟻が羊の肉に集まることから。
●〈平成29年度・第2回出題,大問㈧,小問7〉
*『盧坦-与李渤書』
セイセン
351 白頭新の如く、【ケイガイ】故の如し ◆2 傾蓋 傾葢 👉はくとうしんのごとく、けいがいこのごとし。
交友の深さは付き合った年月の長さによらず、互いの心を知る深さによるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「傾蓋」は、車の蓋(カサ)を傾けて親しく話し合う意。
★ともに白髪になるまで長い間付き合っても、新しい友人のように心が通わないこともあるが、ちょっと車を止めて車の蓋(カサ)を傾けて話しただけでも、意気投合して昔からの親友のようになれる意から。
*『鄒陽-獄中上書自明』
ケイガイ
352 【ケイギョク】の艱 ◆2 桂玉   👉けいぎょくのかん。
よそから物価の高いところに来て生活に苦しむこと。〈漢字ペディア〉
★「桂」は、香木。
★「玉」は、宝玉。
★「艱」は、悩む、苦しむ意。
★中国戦国時代の遊説家蘇秦(ソシン)が、楚の威王に会うために楚を訪れたが、王に面会するのに三か月も待たされ、その間、宝玉よりも高い食べ物、香木よりも高い薪(タキギ)の値段に悩まされたという故事から。
*『戦国策-楚策』
ケイギョク
353 【ケイキョク】の道 ◆2 荊棘 荆棘 👉けいきょくのみち。
苦難に満ちた人生行路のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「荊棘」は、イバラ、バラなど、とげのある低木。
*不明
ケイキョク
354 桂林の一枝、【コンザン】の片玉 ◆2 崑山   👉けいりんのいっし、こんざんのへんぎょく。
少しばかりの出世のたとえ。出世したことを謙遜していう語。また、科挙(カキョ:官吏の登用試験)に合格したことを謙遜していうことば。転じて、容易に得がたい人物や物事。また、高潔で世俗を抜け出ている人物のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「桂林」は、桂の木犀(モクセイ)など香りのよい木の総称。芳香樹の林。
★「崑山」は、中国の想像上の山で崑崙山(コンロンザン)。宝玉の産地とされる。
*『晉書-郤詵伝』
コンザン
355 【ケ】にも晴れにも歌一首 ◆2   👉けにもはれにもうたいっしゅ。
一つ覚えで無芸であること。ばかの一つ覚え。〈漢字ペディア〉
★「褻」は、常日ごろ。ふだん。平生。
★ふだんでも晴れの席の時でも同じ歌一首しかよめない意。
*『虎寛本狂言・舟ふな』
356 【ケンガ】の弁 ◆2 懸河   👉けんがのべん。
よどみない弁舌。勢いがよくすらすらと流れるような話しぶり。〈漢字ペディア〉
★「懸河」は、傾斜が急で激しく流れる川。急流。
*『三教指帰・上』
ケンガ
357 【ケント】の争い ◆2 犬兎 犬兔
犬兔
👉けんとのあらそい。
無益な争い、また無益な争いをして第三者に利益をもっていかれるたとえ。〈漢字ペディア〉
★イヌがウサギを追い、ともに走り疲れて死んだのを農夫が拾った故事から。
*『戦国策-斉策・宣玉』
ケント
358 凱風南よりして彼の【キョクシン】を吹く ◆2 棘心   👉がいふうみなみよりしてかのきょくしんをふく。
母親が愛情をもって子供を暖かく見守り育てることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「凱風」は、万物を成長発育させる暖かい南風で、母の慈愛を表す。
★「棘心」は、とげのあるいばらの木の芽生えで、手のかかる子を表す。
★暖かい南風が吹いて、いばらの若い芽を育てる意から。
●〈平成20年度・第1回出題,大問㈨,小問7〉
*『詩経-邶風・凱風』
キョクシン
359 【コウケツ】を絞る ◆2 膏血   👉こうけつをしぼる。
人民に重い税金を課し、厳しく取り立てること。また心血を注ぐこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「膏血」は、肉のあぶらと血の意から、苦労して得た利益や財産のこと。
★人民が苦労して得た利益や財産をしぼり取る意から。
*『日本外史-二二・徳川氏正記』
コウケツ
360 好言は口よりし、【ユウゲン】も口よりす ◆2 莠言   👉こうげんはくちよりし、ゆうげんもくちよりす。
よい言葉は口から出るが、悪いことばもまた、口から出るということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「好言」は、よいことば。
★「莠言」は、人を惑わす有害な言葉。「莠」は水田に生える有害な雑草。
*『詩経-小雅・正月』
ユウゲン
361 合抱の木も【ゴウマツ】に生ず ◆2 毫末   👉ごうほうのきもごうまつにしょうず。
どんなに強く大きいものでも、はじめは弱く小さいものだということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「合抱」は、両手を広げて抱えるほどの大きさ。
★「毫末」は、毛の先。きわめて小さいもの。
★一抱えもある大木も、最初は小さい芽生えから大きくなったものだという意から。
*『老子-六四』
ゴウマツ
362 【ゴウリ】の差は千里の謬り ◆2 毫釐   👉ごうりのさはせんりのあやまり。
ごく小さな原因が、きわめて大きな結果をもたらすことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「毫釐」は、わずか。少しの意。
★初めはわずかな違いが、やがては途方もない違いになるということ。
*『礼記-経解』
ゴウリ
363 鉤を窃む者は【チュウ】せられ、国を窃む者は諸侯となる ◆2   👉こうをぬすむものはちゅうせられ、くにをぬすむものはしょこうとなる。
道理に合わないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鉤」は、帯留め。
★「諸侯」は、封建時代の領主。
★小さな物を盗むこそ泥は死刑に処せられ、国を奪う大泥棒は領主と為ることから。
*『荘子-胠篋』
チュウ
364 【コキュウ】にして羔袖す ◆2 狐裘   👉こきゅうにしてこうしゅうす。
全体としては良いのに、一個所だけ欠点があることのたとえ。また、部分的に悪いところはあるが、全体から見れば立派であるということ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「狐裘」は、狐の腋の下の白い毛皮で作った立派なかわごろも。
★「羔袖」は、小羊の皮で作った粗末な袖。
★高価な狐のかわごろもに小羊の皮の袖をつける意から。
*『春秋左伝-襄公一四年』
コキュウ
365 琥珀は【フカイ】を取らず ◆2 腐芥   👉こはくはふかいをとらず。
どのような時にも身の潔白を保ち、信念を曲げないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「琥珀」は、地質時代の樹脂類が地中に埋没して化石となった物。美玉。宝石。静電気を起こしやすく、物を吸いつける。
★「腐芥」は、腐ったごみ。
★琥珀は塵を吸いつける性質があるが、けがれたごみまでは吸いつけないという意から。
*『管蠡抄-一〇』
フカイ
366 【コムソウ】に尺八 ◆2 虚無僧   👉こむそうにしゃくはち。
必ずついている物、あるべき物のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「虚無僧」は、有髪の托鉢僧。深編み笠をかぶり、首に袈裟をかけ、尺八を吹いて諸国を回り修行した。
類:坊主に袈裟
*『諺語大辞典』
コムソウ
367 財宝は地獄の【イエヅト】 ◆2 家苞   👉ざいほうはじごくのいえづと。
この世で蓄えた金や宝は、罪の報いで地獄へ行くときの土産となるにすぎないということ。また、金や宝を持てば、死ぬ時もそれに心が残って、往生のさまたげになるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「家苞」は、我が家に持ち帰る土産物。
*『浄瑠璃・蝉丸-五』
イエヅト
368 【ロ】三年に棹八年 ◆2 👉ろさんねんにさおはちねん。
何事も一人前になるにはそれなりの修業が必要だということ。〈漢字ペディア〉
★櫓を使って舟をあやつれるようになるには三年かかり、棹は八年かかる。櫓よりも棹を使いこなすほうが難しいことから。
*『天理本諺苑』
369 桜三月、【ショウブ】は五月 ◆2 菖蒲   👉さくらさんがつ、しょうぶはごがつ。
時季の花を言った言葉。桜の見ごろは三月で、菖蒲の見ごろは五月であるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『諺語大辞典』
ショウブ
370 雑魚も【ウオヒレ】 ◆2 魚鰭   👉ざこもうおひれ。
大小の違いはあっても、持つべきものを持っていることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★小魚でもヒレを持っている意から。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
ウオヒレ
371 【サヤバシ】りより口走り ◆2 鞘走   👉さやばしりよりくちばしり。
失言への戒め。〈漢字ペディア〉
★刀が鞘から抜け出るよりも、口から失言が出るほうが危険であるということ。
*『諺苑』
サヤバシ
372 【シシ】に鞭打つ ◆2 死屍   👉ししにむちうつ。
亡くなった人の言動に対して非難や攻撃を加えること。〈漢字ペディア〉
*『史記-伍子胥伝』
シシ
373 蜆千より【ホラ】貝一つ ◆2 法螺   👉しじみせんよりほらがいひとつ。
役に立たないものがたくさんあるより、役に立つものが一つある方がよいということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★蜆の殻を多く集めてみても、法螺貝のように音は出ないということから。
*『譬喩尽-七』
ホラ
374 風に草【ナビ】く ◆2   👉かぜにくさなびく。
人民が権力者の言うがままになる、また、小人が有徳者に服することなどのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★風の吹くままに、草がなびき従う意。
*『論語-顔淵』
ナビ
375 疾風に【ケイソウ】を知る ◆2 勁草   👉しっぷうにけいそうをしる。
困難や試練に遭遇してはじめて、その人の意志や節操の堅固さが分かるというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「疾風」は、はやく激しく吹く風。はやて。
★「勁草」は、強い草。節操の固い人のたとえ。
★強い風が吹いてはじめて、風にも負けぬ強い草を見分けることができる意から。
*『後漢書-王覇伝』
ケイソウ
376 【ジャ】あれば香し ◆2   👉じゃあればかんばし。
才能や徳のある者は、自然に世に認められるというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「麝」は、麝香。ジャコウジカの雄の下腹部の腺(セン)を乾燥して作る香料。
★麝香のあるところには、自然に高い香気が漂っているという意から。
*『金剛川老註-上』
ジャ
377 【ジャクソウ】風の起こる所を知る ◆2 鵲巣   👉じゃくそうかぜのおこるところをしる。
動物の行動を見て色々なことを予知・予測することができるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鵲」は、かささぎ。
★かささぎは、その年の風の状態を予知して巣を作ることから。
*『淮南子-繆称訓』
ジャクソウ
378 一簞の食、【イッピョウ】の飲 ◆2 一瓢   👉いったんのし、いっぴょうのいん。
きわめて貧しい食事のこと。また、清貧に甘んずること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「簞」は、わりご。竹製の食器。
★「瓢」は、ひさご。酒や水を入れる器。
★わりご一杯の飯と、ひさご一杯の飲み物という意から。
*『論語-雍也』
イッピョウ
379 【ジャコウ】は臍故命をとらるる ◆2 麝香   👉じゃこうはへそゆえいのちをとらるる。
長所がかえって災難を招くもとになるというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★ジャコウジカは下腹部に良い香りの香料を製する腺を持っているために、人に狙われて殺されるという意から。
*『諺苑』
ジャコウ
380 【シャミ】から長老にはなれぬ ◆2 沙弥   👉しゃみからちょうろうにはなれぬ。
物事には順序や段階があり、それを順に踏んでいかなければ上位に上がれないということ。〈漢字ペディア〉
★「沙弥」は、仏門に入ったばかりの未熟な僧。
★「長老」は、学徳のすぐれた高僧の意。禅宗では、住職の称に用いる。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
シャミ
381 【シュウト】の物で相婿もてなす ◆2   👉しゅうとのものであいむこもてなす。
他人の持ち物でちゃっかりと人に自分の義理を果たすこと。自分のふところを痛めずに、他人に振る舞うこと。〈漢字ペディア〉
★「相婿」は、姉妹の夫どうしの呼び名。
★配偶者の父に招待された婿同士が、そこに出された料理や酒を勧め合って義理を果たすという意から。
類:人の褌で相撲をとる
*『浄瑠璃・文武五人男-名所尽し』
シュウト
382 【シュウトメ】の十七見た者ない ◆2   👉しゅうとめのじゅうしちみたみたものない。
真偽がはっきりしない、あてにならない話であるということ。〈漢字ペディア〉
★若いころの自慢話をする姑の、当時の姿を見た者はいないことから。
*『諺語大辞典』
シュウトメ
383 重箱に【ニシ】め ◆2 煮染   👉じゅうばこににしめ。
外見は立派なのに中身が粗末なこと。また、内容と外見が一致しないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「煮染め」は、肉や野菜などをよく煮て、しっかり味をしみこませた料理。
★立派な重箱の中に醬油で煮染めた粗末な料理が入っていることから。
*『日本俚諺大全』
ニシ
384 重箱の隅を【ヨウジ】でほじくる ◆2 楊枝 楊子 👉じゅうばこのすみをようじでほじくる。
取るに足りないささいなことまで取り上げて、詮索(センサク)したり口出ししたりするたとえ。〈漢字ペディア〉
★重箱の隅に残った物を楊枝でほじくり出すようにして食べるということから。
*『日本俚諺大全』
ヨウジ
385 【シュウビ】を開く ◆2 愁眉   👉しゅうびをひらく。
心配がなくなり、ほっと安心する。〈漢字ペディア〉
★「愁眉」は、うれいを含んだ眉。
*『菅家文草-二・賀和平』
シュウビ
386 【シュツラン】の誉れ ◆2 出藍   👉しゅつらんのほまれ。
弟子が師よりもまさるようになることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『中州集』
シュツラン
387 【ショウジョウ】は血を惜しむ、犀は角を惜しむ ◆2 猩猩   👉しょうじょうはちをおしむ。さいはつのをおしむ。
どんな者にも、守り通すべき大切なものがあるというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「猩猩」は、中国古代の伝説上の動物で猿の一種とされる。その血をとって染色に用いるといわれた。
★「犀」は、実在の犀で、角は漢方薬の解熱剤に使われる。
*『義経記-四・土佐坊義経の討手に上る事』
ショウジョウ
388 猩猩能く言えども【キンジュウ】を離れず ◆2 禽獣   👉しょうじょうよくいえどもきんじゅうをはなれず。
鳥や獣と人間との違いは礼儀を知っているかどうかであり、礼儀を知らない人間は、どんなにうまく話ができても鳥や獣と同じだというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「猩猩」は、古代中国の想像上の怪獣で、人に似て酒を好み、人語を理解するという。
★「禽獣」は、鳥や獣。
★猩猩は人間の言葉を上手に話すといっても、結局は獣に過ぎないという意から。
*『礼記-曲礼・上』
キンジュウ
389 【ショキュウ】の交わり ◆2 杵臼   👉しょきゅうのまじわり。
貧富や貴賤を問題にしない交友。主従の関係を越えた交友のこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「杵臼」は、きねとうす。もち米をつくのに用いる。
*『後漢書-呉祐伝』
ショキュウ
390 【シラ】げの中の籾 ◆2   👉しらげのなかのもみ。
よりすぐった中に悪いものが混じっていることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「精げ」は、精米した米。
★「籾」は、脱穀する前の外皮に包まれたままの米。
★精白した米の中に混じったもみごめの意から。
*『世話類聚』
シラ
391 尻切れ【トンボ】 ◆2 蜻蛉 蜻蜓 👉しりきれとんぼ。
物事が中途で切れて、完結しないこと。また、何をやっても長続きしない人に対する皮肉の言葉。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『俚言集覧』
トンボ
392 【シワ】ん坊と灰吹きは溜まるほど汚い ◆2   👉しわんぼうとはいふきはたまるほどきたない。
けちんぼうは、金がたまればたまるほどいよいよ意地汚くなる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「吝ん坊」は、けちん坊。
★「灰吹き」は、タバコの吸い殻入れの筒。
*『諺語大辞典』
シワ
393 【シワ】ん坊の柿の種 ◆2   👉しわんぼうのかきのたね。
極端なけちん坊をののしった言葉。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「吝ん坊」は、けちん坊。
★けちな人は、役に立たない柿の種さえも捨てない意から。
*『浮世草子・世間長者形気-五・一』
シワ
394 沈香も焚かず屁も【ヒ】らず ◆2   👉じんこうもたかずへもひらず。
目立った長所も欠点もない、役にも立たないが害にもならない。可もなく不可もなく平凡であることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★沈香のようなよい香りもないが、おならのような悪臭もないということから。
*『尾張俗諺-京師通諺』
395 人中の【キキ】 ◆2 騏驥   👉じんちゅうのきき。
人々の中にあって、ずばぬけてすぐれた人のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「騏驥」は、一日に千里走るという駿馬。
*『南史-徐勉伝』
キキ
396 【ジンチョウゲ】は枯れても芳し ◆2 沈丁花 瑞香 👉じんちょうげはかれてもかんばし。
すぐれているものは、最後まで本質的な価値を失わないこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★ジンチョウゲは枯れても、よい香りを漂わせることから。
*『諺語大辞典』
ジンチョウゲ
397 頭巾と見せて【ホオカム】り ◆2 頰冠 頬冠
頰被
頬被
👉ずきんとみせてほおかむり。
見かけの体裁はととのえていても、内情は苦しいことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★頭巾をかぶっているつもりでも、実際は顔を隠す頰冠りにしか見えないという意から。
*『諺苑』
ホオカム
398 【セイア】の見 ◆2 井蛙   👉せいあのけん。
狭い見識のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「井蛙」は、井戸の中にすむ蛙。転じて、世間知らず、見識の狭い人の意。
★井戸の中に居る蛙は外の広い世界を知らず、狭い物の見方しかできない意から。
*『読本・椿説弓張月-拾遺・四八回』
セイア
399 【セイコク】を失わず ◆2 正鵠   👉せいこくをうしなわず。
的の中心をはずさないこと。物事の要点や急所を正確にとらえること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「正鵠」は、弓の的の中央に在る黒い点。転じて、急所、狙いどころの意。
*『礼記-射義』
セイコク
400 【イバク】修まらず ◆2 帷幕   👉いばくおさまらず。
男女の関係、風紀が乱れていること。帷薄(イハク)修まらず。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「帷幕」は、婦人の居室。
*『孔子家語-五刑解』
イバク
401 精を得て【ソ】を忘る ◆2 👉せいをえてそをわする。
物事の真髄をつかんで、本質的ではないことは忘れてしまうこと。本質だけをとらえ、外形などにとらわれないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「麤」は、粗と同じで、粗末なもの。
★一番すぐれた点をつかまえて、できの悪さは心にかけない意から。
*『列子-説符』
402 【セッチン】の錠前 ◆2 雪隠   👉せっちんのじょうまえ。
咳ばらいをすること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「雪隠」は、便所。
★昔、便所の中では咳ばらいをして、あとから来た人に使用中であることを知らせたことから。
*『諺語大辞典』
セッチン
403 泉石【エンカ】の病 ◆2 煙霞 烟霞 👉せんせきえんかのやまい。
自然を愛し、その中で暮らすことに取りつかれ、それを病気のかかったようだと表現したもの。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「泉石」は、泉水と庭石。
★「煙霞・烟霞」は、もやとかすみ。また、もややかすみでぼんやりかすんで見える風景。
*『唐書-隠逸伝・田遊巖』
エンカ
404 戦戦【リツリツ】日に一日を慎め ◆2 慄慄   👉せんせんりつりつひにいちじつをつつしめ。
おごりたかぶらず、注意深く反省しながら毎日を慎み深く送れということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「戦戦」は、おそれてびくびくするさま。
★「慄慄」は、ふるえおそれるさま。
*『淮南子-人間訓』
リツリツ
405 仙人の千年、【カゲロウ】の一時 ◆2 蜉蝣 蜻蛉 👉せんにんのせんねん、かげろうのいっとき。
長短の差はあるが、どちらも一生であるということ。また、同じ一生でも、長短の差が大きいことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蜉蝣・蜻蛉」は、カゲロウ目の昆虫の総称。成虫は寿命が数時間から数日と短いため、はかないもののたとえにされる。
*『俚言集覧』
カゲロウ
406 【ソウイ】未だ瘳(い)えず ◆2 創痍   👉そういいまだいえず。
戦争による傷手(イタデ)から十分に立ち直っていないこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「創痍」は、刀で受けたきず。
★戦場で受けた傷あとがまだ治っていない意から。
*『史記-季布伝』
ソウイ
407 【ソウモウ】の臣 ◆2 草莽   👉そうもうのしん。
官職に就かない民間人。〈漢検四字熟語辞典〉
★「草莽」は、草むら・田舎。転じて在野・民間をいう。
*『孟子-万章・下』
ソウモウ
408 【ソウリン】実ちて礼節を知る ◆2 倉廩   👉そうりんみちてれいせつをしる。
人は生活が安定し、ゆとりができてはじめて礼儀や節度をわきまえるようになる。〈漢字ペディア〉
*『史記-貨殖伝』
ソウリン
409 駕籠【カ】き駕籠に乗らず ◆2   👉かごかきかごにのらず。
仕事でいつも扱っていても、自分のためには使わないことのたとえ。他人のために尽くすばかりで、自分のことには手が回らないこと。紺屋の白袴。槍持ち槍を使わず。髪結い髪結わず。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『俚言集覧』
410 泰山の【アマダレ】は石を穿つ ◆2   👉たいざんのあまだれはいしをうがつ。
わずかな力でも、長い間積み重ねれば大きな結果をもたらす。微力を積みあげて大事をなしとげるたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★泰山からしたたり落ちる水滴が、やがては石に穴をあける意。
*『枚乗-諫呉王書』
アマダレ
411 鯛なくば【エソ】 ◆2 狗母魚 👉たいなくばえそ。
よいものがなければ、それに代わるもので我慢するよりほかないというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「狗母魚・鱛」は、上等なかまぼこの材料になる魚。
★かまぼこを作るのに、鯛がなければ、それより劣っていてもエソを使わざるを得ないということから。
*『譬喩尽-八』
エソ
412 雨後の【タケノコ】 ◆2 👉うごのたけのこ。
同じような物事が、次から次へ続いて起こることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★雨が降ったあとは、たけのこが次々に生えてくることから。
*『面白半分〈宮武外骨〉衆議院議員総選挙夢想彙報』
タケノコ
413 蛸に骨なし【クラゲ】に目なし ◆2 海月 水母 👉たこにほねなしくらげにめなし。
わかりきったことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★蛸に骨がなく、くらげに目がないのは、誰でも知っている当たり前の事であることから。
*『諺語大辞典』
クラゲ
414 【アダ】な素足も貧から起こる ◆2 婀娜   👉あだなすあしもひんからおこる。
色っぽい素足を見せるのも、足をおおい隠す足袋が買えないほど貧乏だからである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「婀娜」は、色っぽい様子、なまめかしいさま。
*『いろは短句』
アダ
415 【タドン】に目鼻 ◆2 炭団   👉たどんにめはな。
色黒で目鼻だちがはっきりしない。醜い顔のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「炭団」は、炭の粉を丸く固めた燃料。
*『合巻・教草女房形気-三・五段』
タドン
416 隣の【ジンダ】味噌 ◆2 糂粏   👉となりのじんだみそ。
他人のものは何でもよく見えることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「糂粏味噌」は、こうじと糠と塩とをまぜてならしたもの。酢または酒を加えて食べる。また、糠味噌のことをもいう。
*『随筆・安斎随筆-六』
ジンダ
417 胴殻を【タラ】かす ◆2   👉どうがらをたらかす。
人を誘惑して本心を失わせる。色じかけでだます。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『洒落本・色深猍睡夢-下』
タラ
418 【チソウ】終わらば油断すな ◆2 馳走   👉ちそうおわらばゆだんすな。
人がもてなしてくれる裏には、何か求めることがあっての事だから、もてなされたあとは十分に気を付けろということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『諺語大辞典』
チソウ
419 近くて見えぬは【マツゲ】 ◆2 睫毛 👉ちかくてみえぬはまつげ。
他人の事はよく分かるが、自分の事はよく分からないたとえ。〈漢字ペディア〉
★目は、遠くは見えるが近くのまつげは見えない意から。
*『韓非子-喩老』
マツゲ
420 米の飯より【オボ】し召し ◆2   👉こめのめしよりおぼしめし。
贈り物はその中身よりも、それを贈ってくれた人の心持ちがうれしい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★白米の飯もありがたいが、それをくれた人の気持ちがいっそううれしい意。
*不明
オボ
421 【ノミ】の夫婦 ◆2   👉のみのふうふ。
妻が夫より大柄な夫婦のこと。〈漢字ペディア〉
★ノミは雌のほうが雄より大きいことから。
*『古今俚諺類聚』
ノミ
422 手酌五合、【タボ】一升 ◆2   👉てじゃくごごう、たぼいっしょう。
酒は、一人で手酌で飲むと五合しか飲めないが、女性が酌をしてくれると一升でも飲んでしまうということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「手酌」は、自分で自分の杯に酒を注ぐこと。
★「髱」は、日本髪の後方に張り出た部分。転じて、若い女性。
*『日本俚諺大全』
タボ
423 鉄中の【ソウソウ】 ◆2 錚錚   👉てっちゅうのそうそう。
凡人のなかで、少しすぐれた者のたとえ。〈漢字ペディア〉
★「錚錚」は、もともと金属の発する澄んだ音色の意で、転じて、人物などがりっぱなさま。
*『後漢書-劉盆子伝』
ソウソウ
424 天に跼り地に【ヌキアシ】す ◆2   👉てんにせぐくまりちにぬきあしす。
恐れおののいてびくびくすること。ひどく恐れて身の置き所のないこと。また、世の中を恐れ、隠れるようにして生きているさま。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「跼る」は、身を屈める。
★「蹐す」は、抜き足差し足で歩く。
★天は高いのに頭がつかえはせぬかと身を屈め、地面は堅いのに突き抜けはしないかと心配してそっと歩くという意から。
*『詩経-小雅・正月』
ヌキアシ
425 【トリモチ】で馬を刺す ◆2 鳥黐 👉とりもちでうまをさす。
方法が間違っていること。やっても無駄で、できるはずがないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★鳥を捕まえる鳥もちで大きな馬を捕まえることなどできない意から。
*『諺叢』
トリモチ
426 【ナタ】を貸して山を伐られる ◆2 👉なたをかしてやまをきられる。
人のためを思ってしたことが、かえって自分の損害を招くたとえ。〈漢字ペディア〉
★鉈を貸してやったら、その鉈で自分の山の木を伐(キ)られてしまったということから。
*『日本俚諺大全』
ナタ
427 夏座敷と【カレイ】は縁側がよい ◆2 王余魚 👉なつざしきとかれいはえんがわがよい。
夏は暑いので、部屋の中より縁側が過ごしやすく、鰈もヒレに近い縁側が味がいいということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「縁側」は、座敷の外側の板敷。また、魚のヒレの付け根の骨の周辺の肉。ここはその両者を掛けている。
*『譬喩尽-三』
カレイ
428 【ニオ】の浮き巣 ◆2   👉におのうきす。
不安定なことのたとえ。人生の浮き沈みなどをいう。〈漢字ペディア〉
★「鳰」は、水鳥で、カイツブリのこと。
★沼や池にすむニオはアシの間に巣を作るが、それが水に浮いているように見えることから。
*『頼政集-上』
ニオ
429 蠹【ツイバ】みて梁柱を剖く ◆2 👉とついばみてりょうちゅうをさく。
災いは小さいうちに取り除くべきだというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蠹」は、キクイムシ。
★小さなキクイムシが少しずつ木を食って、そのうちついに梁(ハリ)や柱まで食い破ってしまうという意から。
*『淮南子-人間訓』
ツイバ
430 【ニベ】もない ◆2 鮸膠 鰾膠 👉にべもない。
そっけなくて、人情味がないこと。冷淡なようす。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鮸膠・鰾膠」は、ニベという魚の浮き袋から作るにかわで、粘着力が強い。
*『おぼろ夜〈斎藤緑雨〉』
ニベ
431 【ナマコ】を藁でつなぐ ◆2 海鼠   👉なまこをわらでつなぐ。
制御・束縛の自在なこと、しだいに減少すること、また、たちまち閉口することのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★海鼠を藁でくくると縮小するという俗説による。
*『俚言集覧』
ナマコ
432 【ネイゲン】は忠に似たり ◆2 佞言   👉ねいげんはちゅうににたり。
へつらいの言葉はいかにも忠義めいて聞こえるから、注意して聞かなければならないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「佞言」は、おもねりへつらう言葉。
*『宋史-李伝』
ネイゲン
433 【ノウチュウ】の錐 ◆2 囊中 嚢中 👉のうちゅうのきり。
賢者が多くの人のなかから、その才能を現すことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★ふくろの中の錐は、その尖端(センタン)がふくろを破って突き出ることから。
*『史記-平原君伝』
ノウチュウ
434 鑿に【カンナ】の働きは無し ◆2   👉のみにかんなのはたらきはなし。
どんなにすぐれた道具であっても、物にはそれぞれの機能があるので、本来の用途以外には役に立たないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『譬喩尽-四』
カンナ
435 出ずる日【ツボ】む花 ◆2   👉いずるひつぼむはな。
前途洋々、盛んなさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★朝日が昇り、花はつぼみを持つ意。
*『幸若・信太』
ツボ
436 【ハナ】から和尚はない ◆2   👉はなからおしょうはない。
物事には順序があって、一足飛びには進めないこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★はじめから和尚になった者はいないことから。
*不明
ハナ
437 【ヒスイ】は羽を以て自ら害わる ◆2 翡翠 翡翆 👉ひすいははねをもってみずからそこなわる。
長所が、かえって害を招くもとになることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「翡翠」は、かわせみ。水辺にすみ、背や尾が青く美しい小鳥。
★かわせみは美しい羽のために、人に捕らえられるという意から。
●〈平成20年度・第1回出題,大問㈨,小問6〉
*『浮世草子・梅若丸一代記-四・一』
ヒスイ
438 【ヒッケン】を新たにする ◆2 筆硯   👉ひっけんをあらたにする。
文章や詩の構想・構成などを全面的に変更して書き改めること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「筆硯」は、筆とすずり。転じて、文章。また、文章を書くこと。
*『計画〈平出修〉』
ヒッケン
439 旱魃に【キキン】なし ◆2 飢饉 饑饉 👉かんばつにききんなし。
雨の多い年には収穫の全くないこともあるが、旱魃には多少の収穫がある。大雨より旱魃の方がましである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
キキン
440 【ヒナ】に都あり ◆2 👉ひなにみやこあり。
田舎にも都会のように賑やかな所、優美な点があるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鄙・俚」は、都から遠く離れた所。田舎。
*『俚言集覧』
ヒナ
441 【ヒョウタン】から駒が出る ◆2 瓢簞 瓢箪 👉ひょうたんからこまがでる。
あり得ないことが実現するたとえ。また、冗談で言ったことが実際に起こってしまうたとえ。〈漢字ペディア〉
★「駒」は、ウマのこと。
★ヒョウタンから馬が飛びだす意。
*『堪忍袋』
ヒョウタン
442 【ヒョウフウ】は朝を終えず、驟雨は日を終えず ◆2 飄風 飆風 👉ひょうふうはちょうをおえず、しゅううはひをおえず。
自然の変化が長続きしないように、不自然なことや生き方などは長続きしないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「飄風・飆風」は、つむじ風。暴風。
★「驟雨」は、にわか雨。はげしい雨。
★つむじ風も朝の間中吹き続けることはなく、はげしいにわか雨も一日中降り続けることはないということから。
*『老子-二三』
ヒョウフウ
443 【フクテツ】を踏む ◆2 覆轍   👉ふくてつをふむ。
前の人と同じ失敗をくりかえすことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「覆轍」は、ひっくり返った前車の轍(ワダチ)。
★転倒した前の車のわだちのあとをたどる意。
*『授業編-一』
フクテツ
444 豚も【オダ】でりゃ木に登る ◆2   👉ぶたもおだてりゃきにのぼる。
おだてられて気分をよくすれば、能力以上の働きをすること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★豚もおだてられれば木に登るようなあり得ないことをする意から。
*『にんげん動物園〈中島梓〉一〇二』
オダ
445 藪医者の薬味【ダンス】 ◆2 簞笥 箪笥 👉やぶいしゃのやくみだんす。
下手な者ほど道具にこだわり、より好みすること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★藪医者ほど立派な薬箱を持っていることから。
*『日本俚諺大全』
ダンス
446 【ヘラ】を使う ◆2 👉へらをつかう。
どちらつかずの曖昧な口調で話す。〈漢字ペディア〉
★篦は、塗るのにも、はがすのにも使われるところからいう。
*『浮世草子・傾城色三味線-大坂・二』
ヘラ
447 天に【セグクマ】り地に蹐す ◆2   👉てんにせぐくまりちにぬきあしす。
恐れおののいてびくびくすること。ひどく恐れて身の置き所のないこと。また、世の中を恐れ、隠れるようにして生きているさま。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「跼る」は、身を屈める。
★「蹐す」は、抜き足差し足で歩く。
★天は高いのに頭がつかえはせぬかと身を屈め、地面は堅いのに突き抜けはしないかと心配してそっと歩くという意から。
*『詩経-小雅・正月』
セグクマ
448 飄風は朝を終えず、【シュウウ】は日を終えず ◆2 驟雨   👉ひょうふうはちょうをおえず、しゅううはひをおえず。
自然の変化が長続きしないように、不自然なことや生き方などは長続きしないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「飄風・飆風」は、つむじ風。暴風。
★「驟雨」は、にわか雨。はげしい雨。
★つむじ風も朝の間中吹き続けることはなく、はげしいにわか雨も一日中降り続けることはないということから。
*『老子-二三』
シュウウ
449 暴虎【ヒョウガ】の勇 ◆2 馮河   👉ぼうこひょうがのゆう。
向こう見ずで無謀な行動をすることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「暴虎」は、虎を素手で打つ。
★「馮河」は、黄河を歩いて渡る意。
★虎を素手で打ち、大河を歩いて渡る意から。
*『論語-述而』
ヒョウガ
450 【ボウシ】剪らず采椽削らず ◆2 茅茨   👉ぼうしきらずさいてんけずらず。
質素な宮殿のさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「茅茨」は、茅(チガヤ)と茨(イバラ)で葺(フ)いた屋根。
★「采椽」は、丸太の垂木(タルキ)。
★帝堯が自分の宮殿を質素に作り、屋根を葺いたかやの端は切りそろえず、垂木は削らない丸太のままにして、倹約の範を示したという故事による。
*『韓非子-五蠧』
ボウシ
451 【ホウソウ】は見目定め、麻疹は命定め ◆2 疱瘡   👉ほうそうはみめさだめ、はしかはいのちさだめ。
疱瘡もはしかも、どちらも一生の一大事であるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「疱瘡」は、天然痘の別称。
★天然痘(テンネントウ)にかかると、治っても顔に跡が残って醜くなるし、はしかは命にかかわる病気であるということから。
*『諺苑』
ホウソウ
452 【ホウバイ】の笑み敵 ◆2 傍輩 朋輩 👉ほうばいのえみがたき。
同僚同志は、表面は仲良く見えても、内心はねたみ合っているものだということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「傍輩・朋輩」は、同じ主君や師などに仕えたりついたりする仲間。友達。
*『甲陽軍鑑-品七』
ホウバイ
453 【ホウロク】千に槌一つ ◆2 焙烙 炮烙 👉ほうろくせんにつちひとつ。
つまらぬ者がいくら集まっても、一人のすぐれた者にはかなわないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「焙烙・炮烙」は、素焼きの平たい土鍋。食品を煎るのに用いる。
★焙烙はどんなにたくさんあっても、槌一つで全部割れてしまうという意から。
●〈平成20年度・第2回出題,大問㈨,小問9〉
*『俳諧・毛吹草-二』
ホウロク
454 帆掛け船に【ロ】を押す ◆2 👉ほかけぶねにろをおす。
力や勢いのあるものに、さらに力を加えて勢いをつけるたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『日本俚諺大全』
455 疱瘡は見目定め、【ハシカ】は命定め ◆2 麻疹 👉ほうそうはみめさだめ、はしかはいのちさだめ。
疱瘡もはしかも、どちらも一生の一大事であるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「疱瘡」は、天然痘の別称。
★天然痘(テンネントウ)にかかると、治っても顔に跡が残って醜くなるし、はしかは命にかかわる病気であるということから。
*『諺苑』
ハシカ
456 後ろ坊主の前【スミカズラ】 ◆2 角鬘   👉うしろぼうずのまえすみかずら。
後ろ姿はよくないが、前から見ると美しいこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「角鬘」は、角前髪(スミマエガミ)の鬘。少年の美しい髪形。
*『尾張俗諺』
スミカズラ
457 松は二葉より【トウリョウ】の思いあり ◆2 棟梁   👉まつはふたばよりとうりょうのおもいあり。
将来大人物になるような人は、幼い時からすぐれた所があるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★松は発芽したばかりの二葉の頃から、屋根の棟(ムネ)や梁(ハリ)になる素質を持っているという意から。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
トウリョウ
458 【トウリョウ】の器 ◆2 棟梁   👉とうりょうのうつわ。
一国を支えるに足りる統治者。また、重い任務にたえうる人。〈漢字ペディア〉
★屋根は棟(ムネ)と梁(ハリ)で支えられていることからいう。
*『南史』
トウリョウ
459 学びて厭わず教えて【ウ】まず ◆2   👉まなびていとわずおしえてうまず。
自分が学ぶことにも、人に教育することにも熱心であるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★いくら学んでもあきることがなく、人に教えても嫌になることがないという意から。
*『孟子-公孫丑・上』
460 懐に【マムシ】を養うが如し ◆2   👉ふところにまむしをやしなうがごとし。
大変危険なことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★後日自分にわざわいをもたらす種を、気づかないで身近において育てているようなものだという意。
*『浄瑠璃・国性爺後日合戦-三』
マムシ
461 味噌汁【コシラ】えて初産する ◆2   👉みそしるこしらえてういざんする。
手抜かりなく用意周到に準備することのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★出産後の貧血防止に効果があるという味噌汁をあらかじめ作っておいて、初めてのお産をするということから。
*『浮世草子・傾城禁短気-二・三』
コシラ
462 【ミノ】を披て火を救い、瀆を毀りて水を止む ◆2 👉みのをきてひをすくい、とくをやぶりてみずをとどむ。
災いをしずめようとして、かえって大きくするたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蓑・簑」は、わらなどを編んで作った雨具。火がつきやすい。
★「瀆」は、溝。小さな堀。
★蓑を着て火を消そうとしたり、溝を壊して水を止めようとすることから。
*『淮南子-説林訓』
ミノ
463 目を【ヨギ】れば忘れず ◆2   👉めをよぎればわすれず。
聡明なさま。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★一度見たことは決して忘れない意。
*『晉書-苻融載記』
ヨギ
464 猛火【リョウゲン】より甚だし ◆2 燎原   👉もうかりょうげんよりはなはだし。
大火事が激しく燃え盛って、手が付けられないようす。転じて、悪事がたちまち世の中に広まってしまうことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「燎原」は、火が激しい勢いで野原を焼き払うこと。
*『太平記-一七・山門牒送南都事』
リョウゲン
465 本木に勝る【ウラキ】無し ◆2 末木   👉もときにまさるうらきなし。
いろいろ取り換えてみたが、やはり最初の相手が一番いいというたとえ。多く、男女の関係についていう。〈漢字ペディア〉
★「本木」は、木の幹。また、根もとの部分。
★「末木」は、樹木の先端の部分。こずえ。枝。
★最初に伸びる幹以上にりっぱな枝はないということから。
*『洒落本・客衆一華表-冨岡之套』
ウラキ
466 山の事は【キコリ】に聞け ◆2 樵夫
👉やまのことはきこりにきけ。
何事もその道の専門家に聞くのが一番確かだということ。餅は餅屋。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*不明
キコリ
467 【ユウブツ】人を移す ◆2 尤物   👉ゆうぶつひとをうつす。
すぐれてよいものは人の心を奪うということ。とくに美人について言う。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「尤物」は、すぐれて美しいもの。
*『春秋左伝-昭公二八年』
ユウブツ
468 落月【オクリョウ】の想い ◆2 屋梁   👉らくげつおくりょうのおもい。
遠く離れた地にいる友を思いやる心のこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「屋梁」は、家の棟の重みを支える横木、また、家。
*『夢李白詩』
オクリョウ
469 落落として【シンセイ】の相望むが如し ◆2 晨星   👉らくらくとしてしんせいのあいのぞむがごとし。
同年代の仲間が死んだりして残り少なくなり、寂しくなること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「落落」は、まばらで寂しいようす。
★「晨星」は、明け方の星。
★明け方の空にまばらに残った星を、遠くから眺めるようだということから。
*『劉禹錫-送張盥赴挙序』
シンセイ
470 不屑の【キョウカイ】 ◆2 教誨 教戒
教誡
👉ふせつのきょうかい。
物事を教えるときに、相手の発奮を待って悟らせること。〈漢字ペディア〉
★「不屑」は、軽々しく物事を行わない意。
★「教誨」は、教えさとす意。
*『孟子』
キョウカイ
471 理屈と【コウヤク】はどこへでもつく ◆2 膏薬   👉りくつとこうやくはどこへでもつく。
理屈はつけようと思えば、どのようなことにももっともらしくつけられるということ。〈漢字ペディア〉
★べたつく膏薬は、どこにでもはりつく意から。
*『諺語大辞典』
コウヤク
472 目に秋毫の末を察すれば耳に【ライテイ】の声を聞かず ◆2 雷霆   👉めにしゅうごうのすえをさっすればみみにらいていのこえをきかす。
小さいことに気を取られていると、重大なことに気が付かないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「秋毫」は、秋になって先が細くなった獣の毛。
★「雷霆」は、はげしいかみなり。
★秋になって抜け替わった獣の毛先を目を凝らして見ていると、そちらに気を奪われて、雷の鳴る大きな音も耳に入らないという意から。
*『淮南子-俶真訓』
ライテイ
473 良驥の足を【ホダ】して責むるに千里の任を以てす ◆2   👉りょうきのあしをほだしてせむるにせんりのにんをもってす。
能力と才能のある者でも自由に活動できる条件を与えなくては要求するだけの業績をあげられるはずがないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「良驥」は、すぐれた馬。駿馬。
★名馬の足を縛っておいて千里を走れと責め立てる意。
*『呉質-答東阿王書』
ホダ
474 【リョウチュウ】辛を忘る ◆2 蓼虫   👉りょうちゅうしんをわする。
普通の人には嫌がられるものでも、平気な人もいて、人間の好みは様々だということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★蓼(タデ)を好んで食べている虫は、あの辛くて苦い味を何とも思わないという意から。
*『左思-魏都賦』
リョウチュウ
475 遼東の【イノコ】 ◆2   👉りょうとうのいのこ。
見聞が狭いために、世の中では当たり前とされていることを、自分だけが知っていると思って得意になっていることのたとえ。ひとりよがり。〈漢字ペディア〉
★「遼東」は、遼河の東の地。現在の中国遼寧省南部一帯の地。
★「豕」は、豚。
★昔、遼東の豚が頭の白い子を生んだ。珍しいことなのでこれをお上に献上しようとして河東にくると、そこの豚は皆白かったという故事による。
*『後漢書-朱浮伝』
イノコ
476 【リンキ】は女の七つ道具 ◆2 悋気   👉りんきはおんなのななつどうぐ。
やきもちは女性の武器で、男性をあやつる絶好の手段になるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「悋気」は、やきもちをやくこと。
*『譬喩尽-二』
リンキ
477 瑠璃は【モロ】し ◆2   👉るりはもろし。
すぐれたもの、美しいものは、傷み壊れやすいたとえ。〈漢字ペディア〉
★「瑠璃」は、紺色の美しい宝石。
★唐の詩人白居易が「簡簡吟(カンカンギン)」のなかで、薄命の美少女、簡簡を歌った詩句から。
*『白居易-簡簡吟』
モロ
478 【ロウガ】の喜び ◆2 弄瓦   👉ろうがのよろこび。
女子誕生の喜び。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★中国では、昔は女子が生まれると、瓦(ガ:素焼きの土器の糸巻き)をおもちゃとして与え、手芸が巧みになることを願ったことから。
*『詩経-小雅・斯干』
ロウガ
479 【ロウショウ】の喜び ◆2 弄璋   👉ろうしょうのよろこび。
男子誕生の喜び。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★中国では、昔は男子が生まれると、璋(ショウ:半分の玉)をおもちゃに与え、その玉の徳にあやかって修養を重ねて立派な人間になることを願ったことから。
*『詩経-小雅・斯干』
ロウショウ
480 老驥【レキ】に伏すとも志千里に在り ◆2   👉ろうきれきにふすともこころざしせんりにあり。
英雄・豪傑は、年老いてもなお大志を持ち続けること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「驥」は、一日に千里を走るという名馬。
★「櫪」は、馬小屋。
★名馬は老いてうまやに繋がれていても、千里を走ろうとする志を捨てずにいるという意から。
*『曹操-碣石篇』
レキ
481 【ロウボウ】珠を生ず ◆2 老蚌   👉ろうぼうたまをしょうず。
平凡な親がりっぱな子を生むことのたとえ。鳶(トンビ)が鷹を産む。〈漢字ペディア〉
★「老蚌」は、年を経たドブガイ。または、カラスガイ。
★年老いたどぶ貝が立派な真珠を生んだという意から。
*『北斉書-陸卬伝』
ロウボウ
482 【ロザン】の真面目 ◆2 廬山   👉ろざんのしんめんもく。
物事の真相や実際の姿のこと。〈漢字ペディア〉
★「廬山」は、中国江西省にある山の意。
★「真面目」は、本当の姿の意。
★中国、北宋(ホクソウ)の文人蘇軾(ソショク)が、見る場所によって山の形が変化する廬山をながめて、物事の全体の姿のとらえにくいことを詠んだ詩から。
*『蘇軾-題西林壁詩』
ロザン
483 魯酒薄くして【カンタン】囲まる ◆2 邯鄲   👉ろしゅうすくしてかんたんかこまる。
全く関係のないことが原因となって、思わぬ結果を生むこと。また、他人のために、思いがけない災いを受けること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「魯酒」は、古代中国、魯の国の酒。
★戦国時代、楚(ソ)王が諸侯を招いた時、魯の献上した酒が薄かったので、楚王はその無礼を怒って魯を討伐した。ところが、かねて趙(チョウ)を伐ちたいと思いながら、背後の楚を恐れていた魏(ギ)が、この間に乗じて趙を攻め、その都邯鄲を包囲したという故事による。
*『荘子-胠篋』
カンタン
484 【ワイシ】の看戯 ◆2 矮子   👉わいしのかんぎ。
識見のないこと。また、むやみに他に雷同することのたとえ。矮人(ワイジン)の観場(カンジョウ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「矮子」は、背の低い人。
★「戯」は、芝居。
★背の低い人が劇場で芝居を見物し、見えないのに周囲の人の批評を聞いて、それと同じことをいうことから。
*『朱子語類』
ワイシ
485 【モヤ】いを入れる ◆2   👉もやいをいれる。
船が流れたり、動揺したりしないように他の船とつなぎ合わせたり、杭につなぎとめたりする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「舫い」は、船をつなぎとめること。
*『屋代本平家-八・備中国水島合戦事』
モヤ
486 【イヘン】三度絶つ ◆2 韋編   👉いへんみたびたつ。
書物を熟読することのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「韋編」は、竹の札をなめしがわの紐で綴じた古代中国の書物。転じて広く書物をいう。
*『史記-孔子世家』
イヘン
487 禍福は【アザナ】える縄の如し ◆2 👉かふくはあざなえるなわのごとし。
幸福とわざわいは順繰りにやってくるということ。〈漢字ペディア〉
★「糾える縄」は、よりあわせた縄。
*『史記-南越伝』
アザナ
488 【カンカ】に訴える ◆2 干戈   👉かんかにうったえる。
武力で争いの解決をはかる。武力を使う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『社会百面相〈内田魯庵〉失意政治家』
カンカ
489 【アジャリ】死して事欠けず ◆2 阿闍梨   👉あじゃりししてことかけず。
地位の高い人でも、実際の仕事をしていない人は、死んでもあまり大勢に影響がない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「阿闍梨」は、高僧。
*『諺苑』
アジャリ
490 【フンケイ】の朋友 ◆2 刎頸 刎頚 👉ふんけいのほうゆう。
刎頸の交わりで結ばれた友。親友。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『経国美談〈矢野龍渓〉前・三』
フンケイ
491 利口の【マンジ】立て ◆2 卍字 👉りこうのまんじたて。
いかにも上手に物を言うこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『毛利家文書-毛利隆元書状』
マンジ
492 【センソ】の仁 ◆2 吮疽   👉せんそのじん。
大将が部下の兵士を手厚くいたわること。〈漢字ペディア〉
★「吮疽」は、疽という悪性の腫れ物のうみを吸い出す意。
*『史記-呉起伝』
センソ
493 一薫【イチユウ】十年なお臭あり ◆2 一蕕   👉いっくんいちゆうじゅうねんなおしゅうあり。
よいことはすぐ消え、悪いことはいつまでも残るということ。また、善人の勢力は衰え、悪人が栄えるたとえ。〈漢字ペディア〉
★一本の薫(香りのよい草)と一本の蕕(悪臭を放つ草)とを一緒に置いておくと、よい香りは消え、悪臭だけが十年間も残る意から。
*『春秋左伝-僖公四年』
イチユウ
494 酒の席には【チン】、猫、婆 ◆2   👉さけのせきにはちん、ねこ、ばば。
楽しかるべき酒席で、興ざめなものとして忌み嫌うもの。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『日本俚諺大全』
チン
495 【カシャク】の鬼 ◆2 呵責   👉かしゃくのおに。
人の心を激しく責め立てるもののたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★地獄で罪の重い亡者を責める鬼の意。
*『談義本・根無草-後・一』
カシャク
496 無病にして【シンギン】す ◆2 呻吟   👉むびょうにしてしんぎんす。
何事もないのに苦痛をうったえる。困ってもいないのに不平を訴えること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★病気でもないのにうめき声をあげる意。
*『諺語大辞典』
シンギン
497 【ランサイ】玉折を為すも蕭敷艾栄をは作さじ ◆2 蘭摧   👉らんさいぎょくせつをなすもしょうふがいえいをはなさじ。
つまらぬ人間として生き長らえるより潔く死ぬ方が本望であるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蘭摧」は、蘭が折れること。
★「玉折」は、玉が砕けること。
★「蕭敷艾栄」は、よもぎが繁茂すること。
★蘭が折れ、玉が砕けるように立派な人物として死のうとも、生い茂るよもぎのようにつまらぬ者として栄えたくはないという意から。
*『世説新語-言語』
ランサイ
498 骨髄【ナゲウ】つ ◆2
👉こつずいなげうつ。
一心になる。心を打ち込む。命がけになる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浮世草子・日本永代蔵-三・五』
ナゲウ
499 【ヨクイ】の讒 ◆2 薏苡   👉よくいのざん。
身に覚えのないことで受ける讒言。特に、収賄しないのに、したとそしられること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「薏苡」は、数珠玉(ジュズダマ)または鳩麦(ハトムギ)の漢名。
★中国の後漢の将軍馬援が交阯(コウシ)を討伐して今のベトナムから帰還するにあたって、瘴気(ショウキ)をはらう薏苡を移植しようとして車につんで来たのを、人々は南方の珍宝であると思って手に入れようとした。そして馬援の死後、帝が馬援に対してある疑惑を持ったのに乗じて、その時のことを馬援が私腹をこやしたとして、讒言する者があったという故事による。
*『後漢書-馬援伝』
ヨクイ
500 【テイソ】に免れず ◆2 鼎俎   👉ていそにまぬかれず。
死ぬ運命にあることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★鼎(カナエ)で煮られ、俎(マナイタ)の上で切られるのを免れない意。
*『淮南子-説山訓』
テイソ
501 楊弓場の【ロウガイ】 ◆2 癆咳 労咳 👉ようきゅうばのろうがい。
非常に細長いもののたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「楊弓場」は、楊弓の遊戯をさせる店。
★「癆咳・労咳」は、肺結核。
★楊弓場は細長く作ってあり、肺病も体がだんだんやせ細るところからいう。
*『洒落本・青楼日記-通客之品定』
ロウガイ
502 盈丈の尾を見て【シセキ】の軀にあらざるを知る ◆2 咫尺   👉えいじょうのおをみてしせきのみにあらざるをしる。
物事は一部を知れば全体が予測できる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「盈」は、あまる意。
★「咫尺」は、短い意。
★一丈にあまるほどの尾を見れば、その体軀は決して小さくないことがわかる意。
*『抱朴子-詰鮑』
シセキ
503 【カンゴリ】屋が商売は冷たい ◆2 寒垢離   👉かんごりやがしょうばいはつめたい。
商売とはいえ冷たい。商売のきびしさをいうたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「寒垢離」は、寒中に冷水を浴びて神仏に祈願すること。
★「寒垢離屋」は、賃銭をもらい、人に代わって寒垢離をとる乞食行者。
*『譬喩尽-二』
カンゴリ
504 【コウガ】月に奔る ◆2 姮娥 嫦娥 👉こうがつきにはしる。
珍しい宝を盗んで逃げることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「姮娥」は、古代中国の人、后羿(コウゲイ)の妻。
★后羿が西王母に頼んで手に入れた不死の薬を妻の姮娥が盗んで飲み、仙人となって月に逃げ、そこのあるじとなったという故事による。
*『淮南子-覧冥訓』
コウガ
505 【キタイ】に瀕する ◆2 危殆   👉きたいにひんする。
非常に危険な状態になる。危険にさらされる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「危殆」は、非常にあぶないこと。危険。危急。
*『独逸国に対する宣戦の詔書-大正三年・八月二三日』
キタイ
506 独学にして友無きは【コロウ】にして寡聞 ◆2 孤陋   👉どくがくにしてともなきはころうにしてかぶん。
ひとりだけで学問し、啓発し合う学友がいないと、独断に陥りやすく、視野が狭くなる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『礼記-学記』
コロウ
507 万一を【ギョウコウ】す ◆2 僥倖 徼幸 👉まんいちをぎょうこうす。
万に一つもありえないような幸運を願う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『将来之日本-九』
ギョウコウ
508 【フギョウ】天地に愧じず ◆2 俯仰 俛仰 👉ふぎょうてんちにはじず。
自分の心や行動は公明正大で、天に対しても、世間に対しても、まったくやましいところがない。〈漢字ペディア〉
*『孟子-尽心・上』
フギョウ
509 菩薩は実が入れば【ウツブ】く ◆2   👉ぼさつはみがいればうつぶく。
稲はみのるにしたがって穂先を垂れる。人も内容のある人ほど頭が低く謙虚である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『町人囊-二』
ウツブ
510 朝日【センダン】乾森 ◆2 栴檀   👉あさひせんだんいぬいもり。
朝日のさす東の方角に栴檀の木があり、北西に森があって風をさえぎっている家。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「乾」は、北西。家相が良いという。
*『香川県方言辞典』
センダン
511 【アブミ】踏ん張る ◆2   👉あぶみふんばる。
できるかぎり頑張る。せいぜい気張る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鐙」は、鞍の両脇に垂らして、乗る人が足を踏みかける馬具。
★鐙にふんばって立ち上がる意。
*『洒落本・太平楽巻物』
アブミ
512 雨垂れ【カイナ】を弾く ◆2   👉あまだれかいなをはじく。
力と技にすぐれた人は、腕にふりかかる水滴をも弾くほどの勢いがある。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浄瑠璃・伊達競阿国戯場-七』
カイナ
513 【イザ】っても三文 ◆2 膝行 👉いざってもさんもん。
ちょっと外出しても、必ず費用がかかること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
イザ
514 五寸の鍵【カイコウ】を制す ◆2 開闔   👉ごすんのかぎかいこうをせいす。
小さくてもその機能によって大きな全体を決定する重要点になり得ることのたとえ。また、大きいものだけがすぐれているのではないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「開闔」は、開くことと閉じること。
★五寸(約15cm)の鍵が、門の開閉を支配する意。
●〈平成20年度・第3回出題,大問㈨,小問4〉
*『淮南子-主術訓』
カイコウ
515 【イッキク】の涙 ◆2 一掬   👉いっきくのなみだ。
少しの涙。わずかな涙。また、両手ですくうほどのたくさんの涙。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『李白-秋浦吟』
イッキク
516 社会の【ボクタク】 ◆2 木鐸   👉しゃかいのぼくたく。
世の中を教導する人。新聞記者などを指していった。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「木鐸」は、昔中国で、法令などを人民にふれる時に鳴らした鈴。
*『舗道雑記帖〈高田保〉ヨーヨー時代』
ボクタク
517 【イラカ】破れて霧不断の香を焚く ◆2   👉いらかやぶれてきりふだんのこうをたく。
隠棲した人間の住み家としてふさわしいさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★屋根がこわれてそこから霧が入り、あたかも香をたいた煙がたえず立ちこめているようであるという意。
*『平家-灌頂・大原御幸』
イラカ
518 【ウコン】の鉢巻き ◆2 鬱金   👉うこんのはちまき。
気を回す。いろいろと推測する。あれこれと邪推したりする。気が回る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鬱金」は、黄色であるところから、「黄」を「気」にかけ、また、鉢巻きは頭に回すものであるところからいうしゃれ。
*『当世色里すいことば』
ウコン
519 牛が【イナナ】き馬が吼える ◆2   👉うしがいななきうまがほえる。
物事のさかさまなことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
●〈平成20年度・第2回出題,大問㈨,小問1〉
*『曽我物語-九・祐経屋形をかへし事』
イナナ
520 【エビラ】を叩く ◆2   👉えびらをたたく。
気勢をあげるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「箙」は、矢を入れて腰に付ける道具。
*『平家-一一・那須与一』
エビラ
521 煙焰天に【ミナギ】る ◆2   👉えんえんてんにみなぎる。
火災の盛んに燃え広がるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★煙と炎が天にあふれる意。
*不明
ミナギ
522 【エンザン】に付す ◆2 鉛槧   👉えんざんにふす。
印刷して書物にする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鉛槧」は、文字を書く鉛粉、胡粉(ゴフン)と板。転じて、文筆の業。また、印刷すること。
*不明
エンザン
523 大船を動かす【ロベソ】は一尺に足らず ◆2 櫓臍 艪臍 👉おおぶねをうごかすろべそはいっしゃくにたらず。
たとえ小さくても、大きな物を動かすのに欠かせない存在があることのたとえ。また、小さな物でも大きな物を支配できることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「櫓臍・艪臍」は、和船で艪をあやつって船をこぐとき支点となる材。
*『諺語大辞典』
ロベソ
524 【オコリ】が落ちる ◆2 👉おこりがおちる。
瘧(オコリ)にかかったように物事に夢中になっていたのが、何かのはずみで急にさめる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瘧・疥」は、マラリア性の熱病。
*『評判記・野良立役舞台大鏡-大山儀右衛門』
オコリ
525 鯨に【モリ】 ◆2   👉くじらにもり。
強大なものでも、一見小さく弱々しく見えるものによって制せられることがあるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★強大な鯨がモリで殺されるところからいう。
*『諺苑』
モリ
526 お手が鳴るなら【チョウシ】と悟れ ◆2 銚子   👉おてがなるならちょうしとさとれ。
何事も機敏に要領よくふるまえ、気をきかせよ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「銚子」は、酒を入れる容器。
★手を打つのが聞こえたらすぐ酒を持って来いという意。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
チョウシ
527 男が七度追い出すまでは【リョウジ】に出ぬもの ◆2 聊爾   👉おとこがななたびおいだすまではりょうじにでぬもの。
女は離縁を言い渡されても、それが七度になるまでは軽はずみに実家に戻らないものである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「聊爾」は、軽はずみ。
*『天理本狂言・貰聟』
リョウジ
528 【イスカ】の嘴 ◆2   👉いすかのはし。
物事がくいちがって、思いどおりにならないたとえ。〈漢字ペディア〉
★鶍は、嘴(クチバシ)が上下湾曲していて、ぴったり合わないことから。
*『寛永刊本蒙求抄-七』
イスカ
529 櫓を押して【カイ】は持たれぬ ◆2   👉ろをおしてかいはもたれぬ。
二つのことは同時にできないたとえ。〈漢字ペディア〉
*『諺語大辞典』
カイ
530 【ガイカ】を奏する ◆2 凱歌   👉がいかをそうする。
勝利を祝う歌をうたう。勝利の歓声をあげる。転じて、勝利を得る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「凱歌」は、勝ちいくさを祝ってうたう歌。
*『西国立志編〈中村正直訳〉九・二七』
ガイカ
531 【イツボウ】相挿む ◆2 鷸蚌   👉いつぼうあいはさむ。
無益な争いをしていると、思わぬ第三者に乗ぜられて共倒れになることのたとえ。鷸蚌の争い。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
●〈平成29年度・第1回出題,大問㈧,小問1〉
*『書言字考節用集-八』
イツボウ
532 【カササギ】の橋 ◆2   👉かささぎのはし。
1.七夕の夜、カササギが翼を並べて天の川に架け、牽牛(ケンギュウ)星と織女(ショクジョ)星の逢瀬(オウセ)を助けるといわれる橋。
2.男女の仲をとりもつもののたとえ。〈漢字ペディア〉
*『風俗通』
カササギ
533 狆が【クシャミ】をしたよう ◆2 👉ちんがくしゃみをしたよう。
滑稽で醜い顔つきのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★狆のように、くしゃくしゃとした顔つきの意。
*『古今俚諺類聚』
クシャミ
534 元日に【ハナヒ】るは長命の相 ◆2 👉がんじつにはなひるはちょうめいのそう。
元日にくしゃみをすると長生きをすると信じられていた。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『袖中抄-二〇』
ハナヒ
535 髪結いの【チャセン】髪 ◆2 茶筅 茶筌 👉かみゆいのちゃせんがみ。
自分の技術が他人のためにだけ用いられ、自身にまで手が回らないことのたとえ。髪結い髪結わず。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「茶筅髪」は、後部を紐でたばねただけの簡単な髪の結い方。
*『俚言集覧』
チャセン
536 木の実【カヤ】の実食べても ◆2   👉きのみかやのみたべても。
どんな苦労をしても。強い決意をあらわすことば。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『対馬南部方言集』
カヤ
537 心安ければ【ボウオク】も穏やかなり、性定まれば菜根香ばし ◆2 茅屋   👉こころやすければぼうおくもおだやかなり、せいさだまればさいこんこうばし。
心が安らかであれば、粗末な柴の庵に住んでもまた楽しみがあり、心性が定まっていれば、たとえ質素な食べ物でもおいしいものである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『金言童子教』
ボウオク
538 【カヤ】にも心置く ◆2
👉かやにもこころおく。
些細なことに対しても注意を怠らないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★茅のような細い小さなものの動きにも気を配る意。
*『浄瑠璃・近江源氏先陣館-五』
カヤ
539 東海の墓【ブシン】 ◆2 普請   👉とうかいのはかぶしん。
手間ばかりかかって、はかどらないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★長崎で、唐から渡ってきた東海氏の墓の工事に2、30年(一説に3年)かかってなかなか終わらなかったという話による。
*『随筆・西遊記-五』
ブシン
540 【ガンカ】に入る ◆2 眼窩   👉がんかにいる。
目につく。目にとまる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「眼窩」は、頭骨前面にある、眼球が入っているくぼみ。
*『真善美日本人〈三宅雪嶺〉日本人の任務・三』
ガンカ
541 【カンチツ】綻ぶ ◆2 巻帙   👉かんちつほころぶ。
書物がほころびるほど、何度もくり返して読む。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「巻帙」は、書籍とそれを入れる布ばりの箱。転じて、書物。
*不明
カンチツ
542 開けた【ママ】なる雑言 ◆2   👉あけたままなるぞうごん。
言いたい放題に口をきく。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記-九』
ママ
543 驥も【レキ】に伏す ◆2   👉きもれきにふくす。
駿馬も老いるとむなしく厩(ウマヤ)につながれたままでいるが志は大きい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『曹操-碣石篇』
レキ
544 【キキ】に触れる ◆2 忌諱   👉ききにふれる。
目上の人の機嫌を損ねる。〈漢字ペディア〉
★「忌」「諱」ともに「いむ」の意。
*『魏志-衛覬伝』
キキ
545 聞く時は【キュウテイ】より重く、見て後は一毫より軽し ◆2 九鼎   👉きくときはきゅうていよりおもく、みてのちはいちごうよりかろし。
聞いていた時の話と、実際に見た時とではたいへんな違いがある。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鼎」は、金属製の重い器で、それが九つも集まったほどに重いこと。
★「毫」は、毫毛、きわめて軽いもののたとえ。
*『甲陽軍鑑-品二』
キュウテイ
546 聞く時は九鼎より重く、見て後は【イチゴウ】より軽し ◆2 一毫   👉きくときはきゅうていよりおもく、みてのちはいちごうよりかろし。
聞いていた時の話と、実際に見た時とではたいへんな違いがある。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鼎」は、金属製の重い器で、それが九つも集まったほどに重いこと。
★「毫」は、毫毛、きわめて軽いもののたとえ。
*『甲陽軍鑑-品二』
イチゴウ
547 【キクラゲ】の看板 ◆2 木耳   👉きくらげのかんばん。
耳はあっても木耳のようなもので、聞く用をなさない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「木耳」は、きのこの一種。形が人の耳に似ている。
*『落語・お祭佐七〈禽語楼小さん〉』
キクラゲ
548 過って謝るに【フル】うこと勿れ ◆2   👉あやまってあやまるにふるうことなかれ。
過失を犯したらあれこれためらうことなくすぐにあやまれ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「篩う」は、より分ける。
*『歌舞伎・桑名屋徳蔵入船物語-口明』
フル
549 【ツブテ】発句は誰もする ◆2 飛礫 👉つぶてほっくはたれもする。
付け句や連歌の作法を知らなくても、よみっぱなしの発句作りなら、誰にでもできる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「飛礫発句」は、連歌とは関係のない単独の発句。
*不明
ツブテ
550 伽羅の仏に【ハク】を置く ◆2   👉きゃらのほとけにはくをおく。
よいものを、いっそうよくすることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「伽羅」は、梵語(ボンゴ)で、黒沈香を指す「多伽羅」の略。
★「箔」は、金・銀などの金属をたたいて薄くのばしたもの。
★名木の伽羅で作った仏像を、さらに箔で飾り立てるという意から。
*『洒落本・郭中奇譚-序』
ハク
551 【キュウカツ】を換う ◆2 裘葛   👉きゅうかつをかう。
冬服と夏服を着換える。夏と冬を経る。一年を経過する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「裘」は、冬着る皮ごろも。
★「葛」は、夏着るかたびら。
*『明治月刊〈大阪府編〉五』
キュウカツ
552 【キョウク】戦兢なる者は患いを除く所以なり ◆2 恐懼   👉きょうくせんきょうなるものはうれいをのぞくゆえんなり。
何事に対してもおそれつつしむ者には、わざわいのふりかかることはない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「懼」は、おそれる。
★「戦兢」は、「戦戦兢兢」の略で、おそれつつしむ。
*『管蠡抄-八』
キョウク
553 【キョクジツ】昇天の勢い ◆2 旭日   👉きょくじつしょうてんのいきおい。
朝日が天に昇るように勢いの盛んなこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
キョクジツ
554 閻魔を抹香で【クス】べたよう ◆2   👉えんまをまっこうでくすべたよう。
にがにがしい顔つき。ひどいしかめっつら。閻魔が塩を嘗めたよう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「抹香」は、仏前に用いる香の名。
*『日本俚諺大全』
クス
555 【ケイガイ】を土木にす ◆2 形骸   👉けいがいをどぼくにす。
服装などを自然のままにして、少しも気にかけない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「形骸」は、人や動物のからだ、肉体。
★身のまわりを少しも飾らない意。
*『晉書-嵆康伝』
ケイガイ
556 長口上は【アクビ】の種 ◆2 欠伸 👉ながこうじょうはあくびのたね。
長たらしいあいさつは、聞いている人を退屈させ、あくびを催させるだけだということ。あいさつは簡潔にせよという戒め。〈漢字ペディア〉
*『日本俚諺大全』
アクビ
557 【ケッショ】の門に馬繫ぐ ◆2 闕所   👉けっしょのもんにうまつなぐ。
自ら求めて、危険なところに近寄ることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
ケッショ
558 螻蛄腹立つれば【ツグミ】喜ぶ ◆2 👉けらはらたつあればつぐみよろこぶ。
餌としてつながれて怒っているケラを見て、鶫が喜んで寄ってくる。一方の怒るようなことが他方の喜びになるというような、利害の対立する関係のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★鶫を捕らえるのに、ケラが餌としてつないでおかれたところからいう。
*『名語記-五』
ツグミ
559 【キツツキ】の子は卵から頷く ◆2 啄木鳥   👉きつつきのこはたまごからうなずく。
生まれながらにして、将来を思わせる才能があることのたとえ。栴檀(センダン)は二葉より芳し。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
キツツキ
560 【ケリ】をつける ◆2 👉けりをつける。
結末をつける。しめくくる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『大阪の宿〈水上滝太郎〉一三・四』
ケリ
561 【ケンドン】屋の冷や飯 ◆2 慳貪   👉けんどんやのひやめし。
他人の世話で忙しく、自分の身のまわりまで気を配る余裕のないことのたとえ。医者の不養生。紺屋の白袴。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「慳貪屋」は、一杯盛りきりのうどん・そばなどを売る店。
*不明
ケンドン
562 【ケンラン】の極、平淡に造る ◆2 絢爛   👉けんらんのきょく、へいたんにつくる。
文章を書き始める若いころは、やたらと華美な修飾を心がけるが、老成し、円熟した後は平淡な文を作るようになる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『通俗編-文学』
ケンラン
563 恒沙の【ケンゾク】 ◆2 眷属 眷族 👉ごうしゃのけんぞく。
きわめて多くの同類や同族。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「恒沙」は、恒河(ガンジス川)の砂。無限の数量のたとえ。
*『車屋本謡曲・春日龍神』
ケンゾク
564 【コウリ】の歌 ◆2 蒿里   👉こうりのうた。
葬送のとき、柩(ヒツギ)の引き綱をとる者が歌った歌。挽歌。薤露(カイロ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「蒿里」は、中国、山東省泰山の南にある山の名。死者の魂がここに集まると信じられた。転じて、墓所。
*『俳諧・鶉衣-後・下・九九・贈佐屋洗耳序』
コウリ
565 国土を治むる賢皇は【カンカ】を侮ること勿れ ◆2 鰥寡   👉こくどをおさむるけんおうはかんかをあなどることなかれ。
国家を治める賢主は、妻や夫を失って身寄りのない老人を見下げて軽んじてはいけない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鰥」は、妻を失った男。
★「寡」は、夫を失った女。
*『孝経-孝治章』
カンカ
566 虎口の【ザンゲン】 ◆2 讒言   👉ここうのざんげん。
窮地におとしいれられるような告げ口や、そしりごと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『吾妻鏡-文治元年・五月二四日』
ザンゲン
567 心【コウコク】にあり ◆2 鴻鵠   👉こころこうこくにあり。
心がうわの空で、物事が頭に入らないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鴻鵠」は、大きな鳥、または白鳥。
*不明
コウコク
568 【コシキ】に座するが如し ◆2   👉こしきにざするがごとし。
暑気のはなはだしいことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「甑」は、湯釜(ユガマ)にのせて、米や豆などを蒸すのに用いる器。
★甑にすわって下から蒸されているようだという意。
*『韓愈-鄭羣贈簟詩』
コシキ
569 乞食の【ダチョウ】 ◆2 駝鳥 👉こじきのだちょう。
腰をかがめてへりくだるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★ダチョウの姿にたとえていう。
*『落本・船頭深話-二』
ダチョウ
570 【コジリ】が詰まる ◆2   👉こじりがつまる。
刀のさやの先端が詰まって短くなる。転じて、抜き差しならない状態になる。借金などのために、経済的に動きがとれなくなる。首が回らない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鐺」は、刀の鞘(サヤ)の先端。
*『仮名草子・東海道名所記-三』
コジリ
571 炬燵【ハイカイ】夏将棋 ◆2 俳諧 誹諧 👉こたつはいかいなつしょうぎ。
季節に応じての趣味、たのしみをいう。また、趣味や嗜好の長続きしないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★冬はこたつにあたって俳諧を詠み、夏は露台で将棋をたのしむ意。
*不明
ハイカイ
572 言葉を【ツガ】う ◆2   👉ことばをつがう。
かたく約束する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「番う」は、二つのものを組み合わせていっしょにする。
*『天理本狂言・内沙汰』
ツガ
573 【コハク】は腐芥を取らず ◆2 琥珀   👉こはくはふかいをとらず。
どのような時にも身の潔白を保ち、信念を曲げないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「琥珀」は、地質時代の樹脂類が地中に埋没して化石となった物。美玉。宝石。静電気を起こしやすく、物を吸いつける。
★「腐芥」は、腐ったごみ。
★琥珀は塵を吸いつける性質があるが、けがれたごみまでは吸いつけないという意から。
*『管蠡抄-一〇』
コハク
574 米搗き【バッタ】が礼に来たよう ◆2 飛蝗 蝗虫 👉こめつきばったがれいにきたよう。
ぺこぺことむやみに頭をさげて相手にへつらうさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「米搗き飛蝗」は、その足をつかまえておくと、米でもつくように頭を上下に動かす虫。
*『古今俚諺類聚』
バッタ
575 【コヨリ】の馬のよう ◆2 紙縒 紙撚
紙捻
👉こよりのうまのよう。
非常にやせているさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「紙縒・紙撚・紙捻」は細長く切った和紙をよってひも状にしたもの。かんぜより。
*『諺語大辞典』
コヨリ
576 【コンロ】に目鼻 ◆2 焜炉   👉こんろにめはな。
四角い顔のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『日本俚諺大全』
コンロ
577 【サイロウ】路に当たれり、いずくんぞ狐狸を問わん ◆2 豺狼 犲狼 👉さいろうみちにあたれり、いずくんぞこりをとわん。
大悪人が政治の要路にいる場合、その下の小悪人よりも、まずその大悪人を除かなければならないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「豺狼・犲狼」は、ヤマイヌとオオカミ。
★行く手に山犬や狼がいるとき、どうして狐や狸を問題にしていられようかという意。
*『後漢書-張綱伝』
サイロウ
578 提灯持ちが【ヌカルミ】へ入る ◆2 泥濘 👉ちょうちんもちがぬかるみへはいる。
他を導くつもりが、自分が先に失敗すること、また、人のお先棒をかついでいて失敗することのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『歌舞伎・筑紫巷談浪白縫-四』
ヌカルミ
579 【ラッキョウ】の皮を剥くよう ◆2 辣韮 辣韭
👉らっきょうのかわをむくよう。
あつかましいことのたとえ。また、額が広く、あごのあたりが細い、色白な顔のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★らっきょうのように、むいてもむいても皮がある意。
*『日本俚諺大全』
ラッキョウ
580 猿の【カクラン】 ◆2 霍乱 癨乱 👉さるのかくらん。
顔を赤くして苦しんでいるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「霍乱」は、日射病や暑気あたり。
*『譬喩尽-六』
カクラン
581 乃公出でずんば【ソウセイ】を如何せん ◆2 蒼生   👉だいこういでずんばそうせいをいかんせん。
この自分が出馬して行動しなければ、世の人民はどうなるであろうか。世に出ようとする者の気負いを表す言葉。〈漢字ペディア〉
★「乃公・迺公」は、汝(ナンジ)の君主。転じて、目上の男子が目下の者に向かって、あるいはみずからを尊大にいうときの自称。
★「蒼生」は、人民の意。
*『世説新語-排調』
ソウセイ
582 【ザンゼン】として頭角を現す ◆2 嶄然   👉ざんぜんとしてとうかくをあらわす。
他にくらべてひときわすぐれている。才能が一段と抜きん出ている。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「嶄然」は、高く抜きん出たさま。
*『韓愈-柳子厚墓誌銘』
ザンゼン
583 指の先で【サンバソウ】を踏ませる ◆2 三番叟   👉ゆびのさきでさんばそうをふませる。
人を自由にこき使うことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「三番叟を踏む」は、能の三番叟の尉(ジョウ)が舞台を踏み舞う姿から、はげしく足踏みをすること。
*『滑稽本・人間万事虚誕計-前』
サンバソウ
584 梓に【チリバ】む ◆2   👉あずさにちりばむ。
書物を版木に彫りつける。本を発行する。出版する。上梓(ジョウシ)する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「梓」は、版木。
★「鏤む」は、刻(キザ)む。
*『咄本・一休関東咄-序』
チリバ
585 【ジクロ】相銜む ◆2 舳艫   👉じくろあいふくむ。
多くの船が連なって進むさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★前方の船の船尾と後方の船の船首が互いにふれあう意。
*『欧陽玄-舟次諸牐寄詩奉謝都水分監瑞卿監丞詩』
ジクロ
586 【シジ】の端書き ◆2   👉しじのはしがき。
男の恋の熱烈さ、また、恋愛の思うようにならないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「榻」は、牛車の轅(ナガエ)のささえ。
★昔、女が、言い寄る男の誠意を確かめるために、百夜通って榻に寝たら会おうといったので、男は九十九夜まで毎夜来て、榻の端にその証拠を書きつけておいたが、百夜めに支障があって行くことができず、思いを遂げられなかったという伝説による。
*『散木奇歌集-恋下』
シジ
587 【シチソウ】船のような面 ◆2 七艘   👉しちそうぶねのようなつら。
不景気な顔。浮かぬ顔。しかめっ面。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★昔、長崎へオランダ船が一年に七艘しか入港しなかった年があり、そのため長崎は大変な不景気におちいって、どの人の顔も浮かぬ顔つきだったことからいわれたという。
*『諺苑』
シチソウ
588 七年の病に三年の【モグサ】を求む ◆2   👉しちねんのやまいにさんねんのもぐさをもとむ。
病気が重いのに気づいてからあわてて良薬を求める。急場に臨んでからではどんなに良い方法をとっても効果はない、平生からの心がまえが大切だというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★七年の長いわずらいにかかってから、はじめて、三年も乾燥したよい艾を求める意。
*『孟子-離婁・上』
モグサ
589 七本【トウバ】になる ◆2 塔婆   👉しちほんとうばになる。
死ぬこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「七本塔婆」は、死後七日目ごとに一本ずつ、四十九日まで立てる七本の卒塔婆(ソトバ)。
*『洒落本・契情買虎之巻-五』
トウバ
590 【シチョウ】輸卒が兵隊ならば、蝶蝶蜻蛉も鳥の内 ◆2 輜重   👉しちょうゆそつがへいたいならば、ちょうちょうとんぼもとりのうち。
蝶やトンボに羽があるからといって鳥とはいえないように、輜重輸卒は兵隊の格好はしていても、前線で戦う兵士ではないから兵隊とはいえない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★軍需品を輸送する兵卒が兵隊と呼べるならば、空を飛ぶという理由だけで、蝶やトンボも鳥の内に入ってしまうという意。
*不明
シチョウ
591 【クジ】は三度 ◆2 👉くじはさんど。
くじは一度引いただけでは本当のところはわからない。三度の神正直。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
クジ
592 【シャクジョウ】が人を切ったよう ◆2 錫杖   👉しゃくじょうがひとをきったよう。
騒々しいさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「錫杖」は、僧や修験者が持ち歩く、頭部を塔婆形にして数個の環をはめた杖。
*『黄表紙・敵討女鉢木』
シャクジョウ
593 【シャクシャク】として余裕あり ◆2 綽綽   👉しゃくしゃくとしてよゆうあり。
ゆったりとしてゆとりのあるさま。余裕綽綽(ヨユウシャクシャク)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『孟子-公孫丑・下』
シャクシャク
594 【シャコ】で鯛を釣る ◆2 蝦蛄 青竜蝦 👉しゃこでたいをつる。
わずかの負担を元手にして多くの利益を得る。わずかな贈り物をして、多くの返礼を受けることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「蝦蛄」は、エビに似た甲殻類。各地の浅海に分布する。
類:海老で鯛を釣る
*『諺語大辞典』
シャコ
595 【ソウリョウ】の甚六 ◆2 総領 惣領 👉そうりょうのじんろく。
最初に生まれた子は甘やかされて大事に育てられるので、弟や妹に比べ、おっとりしておひとよしであるということ。〈漢字ペディア〉
★「総領・惣領」は、最初に生まれた子。長男または長女で、特に長男を言う。
★「甚六」は、お人好しの意。
*『諺苑』
ソウリョウ
596 【シュウブン】雷を成す ◆2 聚蚊   👉しゅうぶんらいをなす。
ごく小さなものでも数多く集まるとあなどれないものになるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★小さな蚊もたくさん集まると、その羽音が雷のような大きな音になるという意。
*『南史-梁武陵王紀伝』
シュウブン
597 【シュエイ】を争う ◆2 輸贏   👉しゅえいをあらそう。
勝ち負けを競い争う。勝負を争う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「輸」は、負けの意。
★「贏」は、勝ちの意。
*『花間鶯〈末広鉄腸〉下・一』
シュエイ
598 【ジュシ】ともに謀るに足らず ◆2 竪子 豎子
孺子
👉じゅしともにはかるにたらず。
あんな小僧と一緒に大事をはかることなどできない。〈漢字ペディア〉
★「竪子・孺子」は、人をののしっていう言葉。
★この男はたいした人物ではなく、一緒に天下の事をはかるに値しないという意。
*『史記-項羽本紀』
ジュシ
599 【シュス】の小袖に木綿裏 ◆2 繻子   👉しゅすのこそでにもめんうら。
小袖の表が高級な繻子で裏が粗末な木綿であるように、物事が不釣り合い、不似合いであること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浄瑠璃・荒御霊新田神徳-六』
シュス
600 【ジュンサイ】で鰻繫ぐ ◆2 蓴菜
👉じゅんさいでうなぎつなぐ。
ばかばかしくてできないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★どちらもぬるぬるしていて、縛りようがないところからいう。
*『譬喩尽-七』
ジュンサイ
601 【シュンラン】秋菊俱に廃すべからず ◆2 春蘭   👉しゅんらんしゅうぎくともにはいすべからず。
いずれもすぐれていて甲乙がつけがたいことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★春蘭も秋菊もともに趣があって美しく見捨てがたいという意。
*『旧唐書-裴子余伝』
シュンラン
602 【ヨウチョウ】たる淑女は君子の好逑 ◆2 窈窕   👉ようちょうたるしゅくじょはくんしのこうきゅう。
美しくて、たおやかな女子は、立派な君子の妻にふさわしい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「窈窕」は、しとやかで奥ゆかしいさま。
★「好逑」は、よいつれあい。
*『詩経-周南・関雎』
ヨウチョウ
603 窈窕たる淑女は君子の【コウキュウ】 ◆2 好逑   👉ようちょうたるしゅくじょはくんしのこうきゅう。
美しくて、たおやかな女子は、立派な君子の妻にふさわしい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「窈窕」は、しとやかで奥ゆかしいさま。
★「好逑」は、よいつれあい。
*『詩経-周南・関雎』
コウキュウ
604 【ノウショウ】を絞る ◆2 脳漿   👉のうしょうをしぼる。
知恵の限りを尽くして考える。脳みそを絞る。知恵を絞る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「脳漿」は、脳の表面と脳膜の間や脳室内を満たす液体。
*『一年有半〈中江兆民〉附録・大耻辱大滑稽』
ノウショウ
605 【ショウイ】未だ癒えず ◆2 傷痍   👉しょういいまだいえず。
打撃や失敗などの影響からまだ立ちなおれない。回復しない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★きずがまだなおらない意。
*『史記-劉敬伝』
ショウイ
606 天道に【エコ】なし ◆2 依怙   👉てんどうにえこなし。
天道は公平でえこひいきがない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浄瑠璃・天智天皇-二』
エコ
607 奴は婢を見て【インギン】 ◆2 慇懃   👉ぬはひをみていんぎん。
身分の低い者は、同じような立場の者に親しみを感じるのが人情だというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★下男は他家へ使いに行ったとき、その家の主人よりも、下女に対して親しく、ねんごろに挨拶をするものだという意。
*『譬喩尽-二』
インギン
608 祭の延びた六月の【ツゴモリ】 ◆2 晦日 👉まつりののびたろくがつのつごもり。
気が抜けるさま。張り合いがなくなるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★大阪では六月の末に大きな祭がつぎつぎに行なわれるが、それが日延べになってしまう意。
*『浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵-三』
ツゴモリ
609 虱紐の【エニシ】 ◆2   👉しらみひものえにし。
夜鷹(ヨタカ)などの下級の街娼と契ること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「虱紐」は、腹のあたりに結ぶ、虱よけの薬を塗った紐。
*『洒落本・意気客初心-上』
エニシ
610 【シンイ】の炎 ◆2 瞋恚 嗔恚 👉しんいのほのお。
他人に対する烈しいうらみや怒り。炎にたとえていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『大日本国法華経験記-上・一九』
シンイ
611 【ジンギ】釈教恋無常 ◆2 神祇   👉じんぎしゃっきょうこいむじょう。
世態のさまざまであることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★和歌の分類をならべたもので、人事全般がこれらのうちのどれかに含まれるところからいう。
*『仮名草子・新竹斎-四・一』
ジンギ
612 身上が【モツ】れる ◆2   👉しんじょうがもつれる。
経済状態が苦しくなる。倒産しそうになる。身上が痛む。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『合巻・傾城盛衰記』
モツ
613 【シンチュウ】を磨く ◆2 真鍮   👉しんちゅうをみがく。
若衆道で、両者が互いに真情を尽くして交わる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浄瑠璃・児源氏道中軍記-四』
シンチュウ
614 針縷に順う者は【イバク】を成す ◆2 帷幕   👉しんるにしたがうものはいばくをなす。
小さなものも集まればやがて大きなものになるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★針仕事を業とする者が、ついには大きな幕を縫い上げる意。
*『説苑-政理』
イバク
615 【シンボチ】太鼓 ◆2 新発意   👉しんぼちたいこ。
人をだましてうまく物を取り上げること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「新発意」は、発心して新たに仏門に入った人。
★若衆歌舞伎の狂言に、盗人が新発意をだまして太鼓を奪う「新発意太鼓」があるところからいう。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
シンボチ
616 汁食い【カンキン】唐辛子熱湯順礼長左衛門 ◆2 看経   👉しるくいかんきんとうがらしあつゆじゅんれいちょうざえもん。
のんびりと長い物のたとえ。また、ばかばかしいこと、何の意味もないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『俚言集覧』
カンキン
617 【モクシ】尽く裂く ◆2 目眥 目眦 👉もくしことごとくさく。
激怒のさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「目眦」は、まなじり。
★まなじりをいからせてにらみつける意。
*『史記-項羽本紀』
モクシ
618 利物の【スイジャク】 ◆2 垂迹   👉りもつのすいじゃく。
仏菩薩が衆生を救うために、種々の姿をとって現われること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「利物」は、一切衆生に恵みを与えること。
★「垂迹」は、仏・菩薩(ボサツ)が衆生(シュジョウ)を救うために、仮に神の姿になってこの世に出現すること。
*『太平記-三九・神木御帰座事』
スイジャク
619 大は棟梁と為し小は【スイカク】と為す ◆2 榱桷   👉だいはとうりょうとなししょうはすいかくとなす。
才能に応じてふさわしい場所に人を登用することのたとえ。適材適所。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「棟梁」は、建物のむねやはり。
★「榱桷」は、たるき。
★大きい材木はむな木やはりとして用い、小さいのはたる木にする意。
*『宋史-張宏伝』
スイカク
620 晩学と雖も【セキガク】に昇る ◆2 碩学   👉ばんがくといえどもせきがくにのぼる。
学問の習得は年齢にも学ぶ期間の長さにも関係ない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★年をとってから学びはじめた者でも大学者になれるという意。
*『譬喩尽-一』
セキガク
621 【ヒタキ】は物貰い ◆2 火焼 👉ひたきはものもらい。
鶲が頭を下げて木の幹をつついて餌を手に入れること。転じて、各方面に頭を下げて物をもらい歩く人をいやしんでいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鶲」は、小鳥の名。
*不明
ヒタキ
622 【トウテン】の勢い ◆2 滔天   👉とうてんのいきおい。
天までみなぎるほどの勢い。非常に盛んな勢い。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「滔天」は、水が、天に届くほど満ちあふれること。
*『晉書-愍帝紀論』
トウテン
623 【キク】は方円の至りなり、聖人は人倫の至りなり ◆2 規矩   👉きくはほうえんのいたりなり、せいじんはじんりんのいたりなり。
規矩は正方形や円をあらわし示す時の基準となるものであり、聖人は人が人の道を行なう上においてこの上もない手本となるものである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「規矩」は、コンパスやさしがねのこと。
*『孟子-離婁・上』
キク
624 【ロウギ】の誠 ◆2 螻蟻   👉ろうぎのまこと。
自分の誠意をへりくだっていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「螻蟻」は、虫のケラやアリ。
*『蘇轍-為兄軾下獄上書』
ロウギ
625 【ブンゼイ】山を負う ◆2 蚊蜹 蚊蚋 👉ぶんぜいやまをおう。
力不足で重任に堪えられないことのたとえ。身に過ぎた重責を負うことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★蚊(カ)や蚋(ブユ)が山を背に負う。
*『荘子-応帝王』
ブンゼイ
626 転んでから尻【ハショ】る ◆2 端折   👉ころんでからしりはしょる。
失敗してから気をつけても、もう手おくれであるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「端折る」は、和服の裾(スソ)をつまんで帯にはさむ意。
★転んだ後で、また転ばぬよう、着物の裾を帯にはさむ意。
*不明
ハショ
627 子持ち二人【ブチ】 ◆2 扶持   👉こもちににんぶち。
赤ん坊を世話する母親や妊婦は二人分食事をとること。また、子どものためにも栄養をとらなければならないこと。〈漢字ペディア〉
★「扶持」は、昔、武士が給付された扶持米(フチマイ)のこと。
*『日本俚諺大全』
ブチ
628 【ヒキュウ】の節 ◆2 匪躬   👉ひきゅうのせつ。
自分の利害を顧みないで、忠節を尽くす事。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「匪躬」は、わが身の利害得失を考えないこと。
*『韓愈-諍臣論』
ヒキュウ
629 【トソ】は延年の仙薬 ◆2 屠蘇   👉とそはえんねんのせんやく。
正月に飲む屠蘇の酒は、長生きのための妙薬である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「屠蘇」は、元日、または三が日に祝儀として飲む薬酒。
*『日本俚諺大全』
トソ
630 【ロウゲツ】の扇子 ◆2 臘月   👉ろうげつのせんす。
時期はずれで役に立たないもののたとえ。秋の扇。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「臘月」は、陰暦一二月の異称。
★冬になって不要となった扇子の意。
*『句双紙』
ロウゲツ
631 【モウセン】を被る ◆2 毛氈   👉もうせんをかぶる。
1.不首尾になる、失敗する。特に、主人や親の手前をしくじる。主家をお払い箱になる。親から勘当される。
2.女郎買いをして金を使う。また、金がなくなる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★1.は、歌舞伎で、死人になった役者を毛氈で隠して舞台を去らせるところからいう。
★2.は、遊女が見世に出ている時は毛氈を敷いていたところからいう。
*『浄瑠璃・神霊矢口渡-四』
モウセン
632 【セキトク】書疏は千里の面目 ◆2 尺牘   👉せきとくしょそはせんりのめんぼく。
手紙の字が上手であると、はるかな遠方や後世までも自分の名誉が保たれる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「尺牘」は、手紙。
★「書疏」は、手紙。
*『顔氏家訓-雑芸』
セキトク
633 倉廩実ちて【レイギョ】空し ◆2 囹圄   👉そうりんみちてれいぎょむなし。
食に満ち足りていれば人は罪を犯さない。食糧事情さえよければ、天下は平安である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「囹圄」は、牢屋。
★米蔵がいっぱいになれば、牢屋には罪人がいなくなる意。
*『管子-五輔』
レイギョ
634 【ナガツボネ】の煤掃き ◆2 長局   👉ながつぼねのすすはき。
女たちが大勢集まってがやがや騒いでいることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「長局」は、一棟を幾つかに仕切った住居。転じて、そうした生活状態にあった江戸城などの奥女中たちをいう。
*『黄表紙・両国名取』
ナガツボネ
635 親、物に狂わば子は【ハヤ】すべし ◆2   👉おや、ものにくるわばこははやすべし。
親のする事が万が一道理に合わなくても、それを受けいれて考えるのが、子としての孝行のあり方である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『咄本・醒睡笑-四』
ハヤ
636 腸持ちのお大黒【コウガイワゲ】の尊像 ◆2 筓髷 筓鬟
笄髷
笄鬟
👉わたもちのおだいこくこうがいわげのそんぞう。
妻帯僧を風刺することば。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「大黒」は、大黒天のことで、ここは僧の妻のこともかけていう。
★「筓髷・筓鬟・笄髷・笄鬟」は、笄(コウガイ)のまわりに毛をまきつけた女の髪の形。
*『譬喩尽-二』
コウガイワゲ
637 【ゾウフ】を揉む ◆2 臓腑   👉ぞうふをもむ。
ひどく気を揉む。苦慮する。ひじょうに心配をするさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「臓腑」は、心臓・肺・腎臓などの五臓と、胃・腸などの六腑。
*『浄瑠璃・心中天の網島-下』
ゾウフ
638 【トクサ】に兎 ◆2 木賊 砥草 👉とくさにうさぎ。
絵によい取り合わせ。竹に雀。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『天理本諺苑』
トクサ
639 親の欲目と他人の【ヒガメ】 ◆2 僻目   👉おやのよくめとたにんのひがめ。
親は子を実際以上によく見ようとし、他人はまた実際よりも悪く見ようとする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
ヒガメ
640 【ウルメ】と博打は一返し ◆2 潤目   👉うるめとばくちはひとかえし。
博打の損は、運さえよければ一度にとりもどせる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「潤目」は、潤目鰯(ウルメイワシ)。
*『土佐の俚諺・一』
ウルメ
641 火打ち箱に【エンショウ】入れて昼寝する ◆2 煙硝 烟硝
焰硝
焔硝
塩硝
👉ひうちばこにえんしょういれてひるねする。
大変危険なことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「煙硝・烟硝・焰硝・焔硝・塩硝」は、火薬。
*『浄瑠璃・大塔宮曦鎧-三』
エンショウ
642 【ホグ】れを取る ◆2   👉ほぐれをとる。
相手の身構えのくずれたのにつけ入る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
類:虚に乗ず
*『浄瑠璃・多田院開帳-一』
ホグ
643 【ムグラ】の宿 ◆2   👉むぐらのやど。
荒れた家や貧しい家。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★むぐらの生い茂った家の意。
*『伊勢物語-三』
ムグラ
644 根太に【コウヤク】 ◆2 膏薬   👉ねぶとにこうやく。
たちまちにつぶれるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「根太」は、背中・腿部(タイブ)・臀部(デンブ)などにできるはれもの。「根太(ネダ)」と読めば、床板を支えるため、床の下に渡す横木の意。
*『浮世草子・庭訓染匂車-五・二』
コウヤク
645 【ケイケイ】として孑立し、形影相弔う ◆2 煢煢   👉けいけいとしてげつりつし、けいえいあいとむらう。
寂しく一人ぼっちの生活をし、ただ自分の身と自分の影で互いに慰め合っている。〈中国古典名言事典〉
*『李密-陳情表』
ケイケイ
646 身体【ハップ】之を父母に受く ◆2 髪膚   👉しんたいはっぷこれをふぼにうく。
からだや髪も皮膚も、すべて父母からいただいたものである。これをあえてこわしたり傷つけたりしないのが孝行の始めである。孔子の教え。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「髪膚」は、頭髪と皮膚。また、からだ。
*『孝経-開宗明義章』
ハップ
647 【カイドウ】の雨を帯びたる風情 ◆2 海棠   👉かいどうのあめにぬれたるふぜい。
美人がうちしおれているさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★雨にうたれた海棠にたとえていう。
*『浄瑠璃・神霊矢口渡-四』
カイドウ
648 貧すれば【ドンス】の帯を売り ◆2 緞子   👉ひんすればどんすのおびをうり。
生活に困窮すれば大切な緞子の帯まで売ることになる。貧すれば鈍する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★緞子に、鈍(ドン)す、をかけていう。
*『播州赤穂地方の俗信及び俚諺』
ドンス
649 弓矢を包み【カンカ】を袋にす ◆2 干戈   👉ゆみやをつつみかんかをふくろにす。
天下が太平になって武器を必要としなくなる。戦乱がおさまって世の中が平和になる。弓を弓袋にす。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「干戈」は、たてとほこ。
★武器をつかわないのでかたづける意。
*『太平記-一二・兵部卿親王流刑事付驪姫事』
カンカ
650 尼や沙弥や茄子の【ヘタ】や ◆2 👉あまやしゃみやなすのへたや。
こどもが人をからかい、馬鹿にしていうことば。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★あげられているものは、いずれも役に立たない、ろくでもないものとして用いられている。
*『俚言集覧』
ヘタ
651 【ダイゴ】の上味翻じて毒薬となる ◆2 醍醐   👉だいごのじょうみほんじてどくやくとなる。
人のために好ましい物も程度や時期を誤れば、かえって害になることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★醍醐の上等な味も用い方を誤れば毒薬になる意。
*『五燈会元-黄檗惟勝禅師』
ダイゴ
652 【テラツツキ】の子は卵から頷く ◆2 寺啄   👉てらつつきのこはたまごからうなずく。
生まれながらにして、将来を思わせる才能があることのたとえ。啄木鳥の子は卵から頷く。栴檀は二葉より芳し。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「寺啄」は、キツツキの異名。
*『俚言集覧』
テラツツキ
653 女は華丹の【ヨウチョウ】を乱すを悪む ◆2 窈窕   👉じょはかたんのようちょうをみだすをにくむ。
化粧も度が過ぎると逆効果になるものである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「華丹」は、白粉(オシロイ)や紅(ベニ)。
★「窈窕」は、美しくたおやかなさま。
★女が厚化粧して自然の美しさをそこなうのを嫌う意。
*『揚子法言-吾子』
ヨウチョウ
654 【ハキョウ】再び照らさず ◆2 破鏡   👉はきょうふたたびてらさず。
一度失われたり壊れたりしたものは二度と元に戻ることはない。転じて、一度過ぎ去った時は再び帰らない。死んだ者は再びこの世に生き返らない。また、一度破れた男女の仲は決してもとにもどらないことのたとえ。覆水盆に返らず。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★落花(ラッカ)枝に帰らず、破鏡再び照らさずの略。
*『景徳伝燈録』
ハキョウ
655 【ドンチョウ】芝居で花道が無い ◆2 緞帳   👉どんちょうしばいではなみちがない。
鼻筋の通らない顔立ちの人。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「緞帳芝居」は、引き幕の使用が許されず、代わりに垂れ幕を用いた下等な小劇場。
★客席を貫いて役者の出入りする花道に、鼻道をかけていう。
*『諺語大辞典』
ドンチョウ
656 【ヒョウタン】に釣り鐘 ◆2 瓢簞 瓢箪 👉ひょうたんにつりがね。
比べものにならないもののたとえ。また、不釣り合いなもののたとえ。月と鼈(スッポン)。〈漢字ペディア〉
★ヒョウタンと釣り鐘は、ぶら下がるという点では同じだが、大きさ、重さもまったくちがう意から。
*『浄瑠璃・双生隅田川-三』
ヒョウタン
657 【チョウチョウ】しきは恥じ易し ◆2 喋喋   👉ちょうちょうしきははじやすし。
口数の多い者はその分だけ恥をかくことが多い。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「喋喋」は、ぺらぺらと軽々しくしゃべること。また、そのさま。
*『俚言集覧』
チョウチョウ
658 産の苦は青竹をも【ヒシ】ぐ ◆2   👉さんのくはあおたけをもひしぐ。
出産の時の産婦のはげしい苦しみは、青竹をつかみ割るほどである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『譬喩尽-六』
ヒシ
659 夏の昼【ウドン】 ◆2 饂飩   👉なつのひるうどん。
時季に合ったごちそうのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『ことわざお国めぐり・八群馬の巻』
ウドン
660 昼寝は【ハッサク】まで、火燵は亥の子から ◆2 八朔   👉ひるねははっさくまで、こたつはいのこから。
昼寝をするのは涼しくなる陰暦八月一日頃までで火燵開きは陰暦十月の亥の日以後にせよ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『日本俚諺大全』
ハッサク
661 百足【ゴコウ】の違い ◆2 蜈蚣   👉ひゃくそくごこうのちがい。
言い方が違っても実質は同じである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「百足」も「蜈蚣」もムカデのこと。
*『浮世草子・京縫鎖帷子-一・一』
ゴコウ
662 【チュウチョウ】の藤は松に離れて便り無し ◆2 惆悵   👉ちゅうちょうのふじはまつにはなれてたよりなし。
かよわい女がたよりにしていた男に離れてなげき悲しむさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「惆悵」は、なげきかなしむこと。
★柔弱な藤は松の木にすがるより他に頼りとするものがない意。
*『義経記-七・判官北国落の事』
チュウチョウ
663 牖戸を【チュウビュウ】す ◆2 綢繆   👉ゆうこをちゅうびゅうす。
災難に備える努力をすることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「牖」は、窓。
★「綢繆」は、ゆるんだところを修理すること。
★風雨に備えて窓や戸を修理する意。
*『詩経-豳風・鴟鴞』
チュウビュウ
664 【チョザイ】千年の寿も如かじ槿花一日の栄には ◆2 樗材   👉ちょざいせんねんのことぶきもしかじきんかいちじつのえいには。
無為無能で長生きするよりは、短くても立派な業績を残して終わる人生のほうがよいというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「樗材」は、役に立たない材木。
★「槿花一日の栄」は、ムクゲがたった一日だが美しい花を咲かせること。
★千年を経た無用の材木よりも、一日だけ美しい花を咲かせるムクゲのほうがまさっている。
*『譬喩尽-二』
チョザイ
665 飛鳥故郷を過ぐるや猶【テキチョク】徘徊す ◆2 躑躅   👉ひちょうこきょうをすぐるやなおてきちょくはいかいす。
故郷を懐(オモ)う念の強いことをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「躑躅」は、足ぶみをし、ためらうこと。
★鳥でさえも故郷の空を飛ぶ時には、故郷をなつかしんでしばらくためらいさまよう意。
*『旧唐書-太宗紀・下』
テキチョク
666 一言既に出ずれば【シバ】も追い難し ◆2 駟馬   👉いちげんすでにいずればしばもおいがたし。
一度口から出たことばは、容易に取り返せない。ことばを慎むべきことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「駟」は、四頭立ての馬車。
*『句双紙』
シバ
667 【インギン】を通じる ◆2 慇懃   👉いんぎんをつうじる。
男女がひそかに情交を結ぶ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『史記-司馬相如伝』
インギン
668 母の【セッカン】より隣の人の扱いが痛い ◆2 折檻   👉ははのせっかんよりとなりのひとのあつかいがいたい。
親は慈愛の心で子に接するのだが、他人は損得勘定で寄ってくるから真実味もなく冷たい。肉親の愛の深さをいうたとえ。親の打つ拳(コブシ)より他人の摩(サス)るが痛い。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★母親に打たれることよりも、近隣の他人の仲裁のほうが恐ろしい意。
*『浄瑠璃・薩摩歌-中』
セッカン
669 祭が【ツカ】える ◆2   👉まつりがつかえる。
喧嘩の勢いがそがれる。喧嘩がとぎれる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『歌舞伎・助六廓夜桜』
ツカ
670 渡り【ヒヨドリ】に戻り鶫 ◆2   👉わたりひよどりにもどりつぐみ。
行くものもあれば帰るものもあって、種々様々であること。世はさまざまであることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『日本俚諺大全』
ヒヨドリ
671 【キヅマ】を合わせる ◆2 気褄   👉きづまをあわせる。
相手の機嫌をとる。〈漢字ペディア〉
*不明
キヅマ
672 【セキレイ】原に在り、兄弟難を急にす ◆2 鶺鴒   👉せきれいげんにあり、けいていなんをきゅうにす。
兄弟は危難にあって互いに助け合うべきである。二羽がつれだっているセキレイを兄弟にたとえ、またそのせわしない動きを、兄弟が助け合うさまにたとえていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『詩経-小雅・常棣』
セキレイ
673 【タネフクベ】の底を叩く ◆2 種瓢 種瓠
種匏
👉たねふくべのそこをたたく。
将来のことも考えず、また、将来をあきらめて、残すところなく使いはたす。すっかり使いきる。全部なくしてしまう。底をはたく。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「種瓢」は、種子をとるために残しておくヒョウタンの実。
*『俚言集覧』
タネフクベ
674 大きに【メイテイ】の常灯明 ◆2 酩酊   👉おおきにめいていのじょうとうみょう。
大いに酒に酔っぱらったというむだ口。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「常灯明」は、神仏の前などに常にともしておくあかり。
★常灯明は単に添えただけの語か、あるいは、「いつもゆらゆらしている」の意をかけるか。
*『洒落本・中洲の花美-小通の登楼』
メイテイ
675 【ヒサゲ】の水が湯となる ◆2 提子 👉ひさげのみずがゆとなる。
しっとの情がはげしく燃えるさま、胸の中が煮えかえるさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「提・提子」は、銀や錫(スズ)などでつくった、つると注ぎ口のある鍋(ナベ)形の銚子(チョウシ)。
*『歌謡・淋敷座之慰-高安通ひ』
ヒサゲ
676 【ビタサンモン】の値うちも無い ◆2 鐚三文   👉びたさんもんのねうちもない。
全く価値がない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『日本俚諺大全』
ビタサンモン
677 鼎の【ケイチョウ】を問う ◆2 軽重   👉かなえのけいちょうをとう。
権力者の実力を疑うこと。また、統治者を軽んじ、代わって天下を取ろうとするたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、春秋時代に周王朝が衰えたころ、楚(ソ)の荘王(ソウオウ)が周の使者に、周の宝器「九鼎」の大小や軽重を尋ねた。しかし、それはかなえの譲渡、すなわち王位の譲渡を意味するので、無礼な振る舞いであったことから。
*『春秋左伝-宣公三年』
ケイチョウ
678 弁慶に【ナギナタ】 ◆2 薙刀 長刀
眉尖刀
👉べんけいになぎなた。
強い弁慶に最も得意とする薙刀を持たせる。鬼に金棒(カナボウ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『滑稽本・浮世床-二』
ナギナタ
679 飲みの【スクネ】 ◆2 宿禰 宿祢 👉のみのすくね。
酒を飲むこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★垂仁天皇のころの相撲取りの開祖と伝えられる野見宿禰にかけていったしゃれ。
*『洒落本・船頭部屋-七軒堀親里の套』
スクネ
680 神は【ネギ】のはからい ◆2 禰宜 祢宜 👉かみはねぎのはからい。
神の意志は奉仕する人の扱いよう一つで、どのようにでもなる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「禰宜・祢宜」は、神に仕える人。
*『謡曲・蟻通』
ネギ
681 【イテキ】だも君有り ◆2 夷狄   👉いてきだもきみあり。
どんなところにも相応の人物がいるものだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★野蛮国にも君子はいる意。
*『論語-八佾』
イテキ
682 【シッコシ】が無い ◆2 尻腰   👉しっこしがない。
気構え、忍耐力がない。落ち着きがない。いくじがない。元気がない。力がない。力が入らない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「尻腰」は、「しりこし」の変化した語。度胸、根気、忍耐力などをいう。
*『雑俳・川柳評万句合-明和三・信二』
シッコシ
683 【メイテツ】身を保つ ◆2 明哲   👉めいてつみをたもつ。
聡明で事理に詳しい人は危険を避けて身の安全を保つこと。また、賢く世に処して自分の地位を守ること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「明哲」は、聡明で事理に通じていること。
*『詩経-大雅・烝民』
メイテツ
684 【カショク】の典 ◆2 華燭   👉かしょくのてん。
結婚式。〈漢字ペディア〉
★「典」は、儀式の意。
*『鴛鴦帳〈泉鏡花〉五八』
カショク
685 【ニンニク】の袈裟 ◆2 忍辱   👉にんにくのけさ。
忍辱の心。身を守る衣にたとえていう。転じて、僧侶が身にまとう袈裟のこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「忍辱」は、忍辱波羅蜜(ニンニクハラミツ)の略。外部からの迫害や侮辱を耐え忍んで心を動かさないこと。
*『謡曲・葵上』
ニンニク
686 【カタジケナ】さに涙こぼるる ◆2 👉かたじけなさになみだこぼるる。
神々しさに心をうたれ、思わず涙がこぼれるほどである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『謡曲・巴』
カタジケナ
687 【テンテン】の思い ◆2 輾転 展転 👉てんてんのおもい。
輾転として思い悩むこと。とくに人を思い慕うこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『白居易-長恨歌』
テンテン
688 はやりの【ハンテン】着ない者は馬鹿 ◆2 半纏 袢纏 👉はやりのはんてんきないものはばか。
時勢にひとりさからうのは愚かなことであるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
ハンテン
689 【ランラン】として巌下の電の如し ◆2 爛爛   👉らんらんとしてがんかのいなずまのごとし。
眼光の鋭いことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「爛爛」は、光り輝くさま、鋭く光るさま。
★「巖下」は、大きな岩の下。
*『世説新語-容止』
ランラン
690 【ロクロ】首の反吐 ◆2 轆轤 👉ろくろくびのへど。
長い物事のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『洒落本・愚人贅漢居続借金』
ロクロ
691 盗人を捕らえて縄を【ナ】う ◆2   👉ぬすびとをとらえてなわをなう。
事が起こってからあわてて準備を始めても間に合わないことや、時機に遅れて用をなさないことのたとえ。また、準備を怠って行きあたりばったりに物事をすることにもいう。泥棒を捕らえて縄を綯う。泥縄。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★泥棒を見つけてから、しばる縄をないはじめても間に合うはずがない意。
*『俳諧・毛吹草-二』
692 袴の【マチ】に雑魚たまる ◆2   👉はかまのまちにざこたまる。
ありえないこと、また、思いがけない幸運のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「襠」は、袴の内股の部分。
*『俳諧・毛吹草-二』
マチ
693 色を見て枝を【タワ】む ◆2 👉いろをみてえだをたわむ。
慎重に確かめてから事を行なうことのたとえ。枝を見て花を折る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★花の色を見てから枝を折る意。
*『日本俚諺大全』
タワ
694 南瓜が【クサメ】する ◆2 👉かぼちゃがくさめする。
容貌の醜いさま。狆(チン)が嚔(クシャミ)をしたよう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『人情本・春色江戸紫-二・一二回』
クサメ
695 【ロウガイ】病みの肉の落ちるよう ◆2 癆咳 労咳 👉ろうがいやみのにくのおちるよう。
急にげっそりとやせるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「癆咳・労咳」は、肺結核。
*『日本俚諺大全』
ロウガイ
696 【セイセイ】たる多士文王以て寧し ◆2 済済   👉せいせいたるたしぶんおうもってやすし。
威儀のととのった、りっぱな臣下が多かったので、文王は心やすらかに国を治めることができた。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「済済」は、威儀のととのっているさま。
★「文王」は、紀元前一二世紀頃、中国周王朝を創建した王。古代の理想的な聖人君主の典型とされる。
*『詩経-大雅・文王』
セイセイ
697 年寄の言う事と牛の【シリガイ】は外れない ◆2
尻繫
尻繋
👉としよりのいうこととうしのしりがいははずれない。
経験を積んできた老人の意見は、尊重すべきだということ。〈漢字ペディア〉
★「鞦・紂・尻繫・尻繋」はウシと牛車をつなぐひも。
★老人の言葉と鞦は決して外れることのないことから。
*『いらぬことわざ』
シリガイ
698 一木【タイカ】の崩るるを支うる能わず ◆2 大廈 大厦 👉いちぼくたいかのくずるるをささうるあたわず。
大勢が傾きかけている時には、一人の力ではどうすることもできない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「大廈・大厦」は、大きな家。
★大きな家が倒れる時は、一本の木で支えることはできない意。
*『文中子-事君』
タイカ
699 【シュセキ】は諸芸万能の上盛り ◆2 手蹟 手跡 👉しゅせきはしょげいばんのうのうわもり。
書道はいろいろの芸や才能の中で最も重要なものである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「上盛り」は、最上のもの。
★「手跡・手蹟」は、書き残された文字。筆跡。
*『仮名草子・可笑記-五』
シュセキ
700 文質【ヒンピン】として、然る後に君子なり ◆2 彬彬   👉ぶんしつひんぴんとして、しかるのちにくんしなり。
文は養って身に付けたもの、すなわち後天的な修養であり、質は天性の質朴誠実で飾り気のないものである。この両者が、いずれ劣らず立派に兼ね備わっていてこそ君子といえるのだ。〈中国古典名言事典〉
*『論語-雍也』
ヒンピン
701 【ビワ】黄にして医者忙しく橘黄にして医者蔵る ◆2 枇杷   👉びわきにしていしゃせわしくたちばなきにしていしゃかくる。
夏は病人が多く出て、医者が繁盛し、冬には病人が少なくなって医者がひまになることをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★枇杷が黄色に色づくと医者が忙しくなり橘の実が色づくと医者が青くなる意。
*『和漢古諺-下』
ビワ
702 芸無し座頭の【ビワ】拵え ◆2 琵琶   👉げいなしざとうのびわごしらえ。
できもしない者、あるいは下手な者にかぎって、あれこれと道具の詮議をするというたとえ。下手の道具調べ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「座頭」は、盲人の琵琶法師。
*『青森県五戸語彙』
ビワ
703 喉を【ヤク】して背を拊つ ◆2 👉のどをやくしてせをうつ。
前後から急所を攻めて、避ける道がないようにする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★前から喉をしめ後から背を打つ意。
*『史記-劉敬伝』
ヤク
704 夢は【ゴゾウ】の疲れ ◆2 五臓   👉ゆめはごぞうのつかれ。
夢は五臓が疲れているために見るものだということ。〈漢字ペディア〉
★「五臓」は、肝・心・脾・肺・腎。
*『歌舞伎・幼稚子敵討-二』
ゴゾウ
705 早いが【ショウガン】 ◆2 賞翫 賞玩 👉はやいがしょうがん。
仕事の早いもの、時期の早いものがまず第一に珍重されること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「賞翫・賞玩」は、ほめ味わうこと。尊重すること。
*『堪忍袋』
ショウガン
706 【キャラ】の仏に箔を置く ◆2 伽羅   👉きゃらのほとけにはくをおく。
よいものを、いっそうよくすることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「伽羅」は、梵語(ボンゴ)で、黒沈香を指す「多伽羅」の略。
★「箔」は、金・銀などの金属をたたいて薄くのばしたもの。
★名木の伽羅で作った仏像を、さらに箔で飾り立てるという意から。
*『洒落本・郭中奇譚-序』
キャラ
707 【ハック】の隙を過ぐるが如し ◆2 白駒   👉はっくのげきをすぐるがごとし。
年月がたつのが驚くほど早いことのたとえ。光陰矢の如し。〈漢字ペディア〉
★人間の一生は、白馬が走りすぎるのをわずかな隙間から一瞬見るようなものだという意から。
*『荘子-知北遊』
ハック
708 【ノロマ】が箱を食らう ◆2 鈍間 野呂松 👉のろまがはこをくらう。
意気消沈したさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『洒落本・新吾左出放題盲牛-折助冷飯』
ノロマ
709 切羽【ハバキ】する ◆2   👉せっぱはばきする。
切羽と鎺がぴったりとつくところから、ひざづめで談判をする、掛け合う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鎺」は、刀身が抜けぬようにつば元を固める金具。
*『浄瑠璃・五十年忌歌念仏-上』
ハバキ
710 【ヨミジ】の障り ◆2 黄泉路   👉よみじのさわり。
冥土へ行く時の心がかり。成仏の妨げ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「黄泉路」は、黄泉の国へ行く道。あの世への道。
*『太平記-二・長崎新左衛門尉意見事』
ヨミジ
711 石持の【ハンミョウ】 ◆2 斑猫   👉いちもちのはんみょう。
避けるべき、恐ろしいもののたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「石持」は、女がこれを食べると妊娠しないといわれる魚。
★「斑猫」は、劇毒を含む昆虫。
*『浮世草子・御前義経記-三・一』
ハンミョウ
712 【トマト】が赤くなると医者が青くなる ◆2 蕃茄   👉とまとがあかくなるといしゃがあおくなる。
トマトの栄養価が高いことをいう。柚が黄色くなれば医者が青くなる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★トマトが旬になると、病人が少なくなって医者が困る意。
*不明
トマト
713 【ラッコ】の皮 ◆2 猟虎 獺虎
海獺
海猟
👉らっこのかわ。
ラッコの手ざわりのよい毛皮。転じて、上下だれに対しても従順な人、他人の言うままになる人のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『古文真宝彦龍抄』
ラッコ
714 潮先の【イナ】で飛び上がっている ◆2   👉しおさきのいなでとびあがっている。
潮のさしてくるとき、鯔(イナ:ボラの幼魚)が水面上によく飛び上がるように、突飛な行動をする者、思い上がっている者などにいうしゃれ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
イナ
715 【コトジ】に膠す ◆2 琴柱 箏柱
筝柱
👉ことじににかわす。
変化に応じて融通のきかないたとえ。〈漢字ペディア〉
★琴柱を膠で固定しては音の調子が変えられないことから。
*『文子-道徳』
コトジ
716 【ヒデリ】に不作無し ◆2 👉ひでりにふさくなし。
ひでりの年は干害もあるが、全体としては豊作であること。旱魃(カンバツ)に飢饉(キキン)無し。〈漢字ペディア〉
*『日本俚諺大全』
ヒデリ
717 【カンバツ】に飢饉なし ◆2 旱魃 干魃 👉かんばつにききんなし。
雨の多い年には収穫の全くないこともあるが、旱魃には多少の収穫がある。大雨より旱魃の方がましである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
カンバツ
718 礼に腰折れず、【キョウコウ】に筆費えず ◆2 恐惶   👉れいにこしおれず、きょうこうにふでついえず。
礼儀はつくすべきである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★どんなに深く頭を下げても腰が折れることはないし、どれほど慇懃(インギン)に書いても筆がすりへることはない意。
*『葉隠-一』
キョウコウ
719 【ヒボウ】の木 ◆2 誹謗   👉ひぼうのき。
天子の過失をしるす木。また、天子が自ら戒めて政治をすることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★中国、古代の聖天子舜が木を橋の上に立て、人民に政治の過ちを書かせて反省の資としたという伝説による。
*『大戴礼-保傅』
ヒボウ
720 【ムビ】にも忘れない ◆2 夢寐   👉むびにもわすれない。
眠っている間も忘れたことがない。片時も忘れない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「夢寐」は、眠って夢を見ること。また、その間。
*『随筆・山中人饒舌-下』
ムビ
721 【カリョウ】頻伽の声 ◆2 迦陵   👉かりょうびんがのこえ。
美しい声のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「迦陵頻伽」は、極楽浄土に棲むという美声の鳥。
*『妙法蓮華経-三』
カリョウ
722 迦陵【ビンガ】の声 ◆2 頻伽   👉かりょうびんがのこえ。
美しい声のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「迦陵頻伽」は、極楽浄土に棲むという美声の鳥。
*『妙法蓮華経-三』
ビンガ
723 【ヒンバ】の貞 ◆2 牝馬   👉ひんばのてい。
めす馬のように、忍耐強く従順で分をまもるという徳。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「牝馬」は、めすのウマ。
*『易経-坤卦』
ヒンバ
724 【ヒンセン】の知は忘るべからず ◆2 貧賤 貧賎 👉ひんせんのともはわするべからず。
どんなに裕福になっても、まずしい時代に苦楽をともにした友人を忘れることなく、交友を大切にしなくてはならないということ。〈漢字ペディア〉
*『後漢書-宋弘伝』
ヒンセン
725 明主は【イッピン】一笑を愛しむ ◆2 一顰 一嚬 👉めいしゅはいっぴんいっしょうをおしむ。
すぐれた君主は、群臣に心の中を推し測られないよう、感情を軽々しく表に現わさない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「顰・嚬」は、憂えて顔をしかめること。
*『韓非子-内儲説・上』
イッピン
726 憎いが余って【フビン】 ◆2 不憫 不愍 👉にくいがあまってふびん。
憎みつづけているうちに、かえって相手が気の毒に思えてくること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「不憫・不愍」は、気の毒なこと。あわれでかわいそうなようす。
*『浄瑠璃・心中二枚絵草紙-中』
フビン
727 師匠の【ハナ】負け ◆2   👉ししょうのはなまけ。
最初は師匠が弟子に負けることもあるが、これは試みにやったもので、何度もやれば結局は師匠のほうが強い。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「端」は、最初。
*不明
ハナ
728 【フギョウ】の間 ◆2 俯仰 俛仰 👉ふぎょうのかん。
わずかなあいだ。つかのま。〈漢字ペディア〉
*『漢書-鼂錯伝』
フギョウ
729 焼き【フ】の土左衛門 ◆2 👉やきふのどざえもん。
焼いて軽くなった麩が、水につかって土左衛門になればさぞかしよく浮くだろうというところから、すっかり浮かれきっているというしゃれ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「焼き麩」は、生麩を焼いた食品。
★「土左衛門」は、溺死体。
*『洒落本・嘉和美多里』
730 菜種から【カブラ】まで ◆2 蕪菁
👉なたねからかぶらまで。
どれもこれも。すべて。一から十まで。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
カブラ
731 【フギン】に立つ ◆2 諷経   👉ふぎんにたつ。
いっしょに事をなす、お相伴(ショウバン)をする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「諷経」は、声を出して経を読むこと。特に、禅宗では仏前の勤行をいう。
*『洒落本・短華蘂葉』
フギン
732 【フクレキ】の志 ◆2 伏櫪   👉ふくれきのこころざし。
不遇にあっても抱き続ける高邁(コウマイ)な志。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「伏櫪」は、馬が厩(ウマヤ)の中に伏していること。
*『曹操-碣石篇』
フクレキ
733 【フイゴ】の向こう面 ◆2
吹子
👉ふいごのむこうづら。
ふうふういうこと。苦しみながらやっとどうにかやっていること。転じて、相手をその表情からとぼけた間抜けな顔という悪態。また、口をとがらしてぶうぶういう意とも。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★ふいごには空気穴があって、ふうふうと風を吹き出すところからいう。
*『歌舞伎・船打込橋間白浪』
フイゴ
734 【ドテラ】三尺五分月代 ◆2 褞袍 縕袍 👉どてらさんじゃくごぶさかやき。
博徒や地廻りの風俗をいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「褞袍・縕袍」は、綿を入れた広袖(ヒロソデ)の着物。
★「月代」は、古く成人男子が前額から頭の中央にかけて髪をそったこと、また、その部分。
★どてらを着て三尺帯を締め、月代を五分ぐらいの長さに伸ばしている意。
*『人情本・春秋二季種-四・一九回』
ドテラ
735 五両で帯買うて三両で【ク】ける ◆2   👉ごりょうでおびこうてさんりょうでくける。
本来の目的よりも、それに付随したことにかえって費用がかかることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★五両で買った帯に、さらに三両かけて絎(ク)け縫いする。
*『古今俚諺類聚』
736 気佳なるかな、鬱鬱【ソウソウ】たり ◆2 葱葱   👉きかなるかな、うつうつそうそうたり。
すばらしい雲気だ。まことに盛んに立ち込めている。光武帝誕生の前に、ある占師が発した予言。〈中国古典名言事典〉
★「鬱鬱葱葱」は、気の盛んなるさま。
*『十八史略-東漢・光武帝』
ソウソウ
737 老いの【ヒガミミ】 ◆2 僻耳   👉おいのひがみみ。
年を取って耳が遠くなり、聞き誤りが多いこと。また、ひがんで悪い意味に聞き取ること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『大鏡-六・道長下』
ヒガミミ
738 井底の【ア】 ◆2   👉せいていのあ。
視野や見識などが狭く小さいことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★井戸の底にすむカエルの意。
*『後漢書-馬援伝』
739 【ドバ】に鞭打つ ◆2 駑馬   👉どばにむちうつ。
能力以上のことを無理に強要するたとえ。また、自分の努力をへりくだっていう言葉。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★駑馬に鞭打って無理に速く走らせようとする意から。
*不明
ドバ
740 【ヨゼン】を保つ ◆2 余喘   👉よぜんをたもつ。
滅亡しそうなものが、かろうじて続いていることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「喘」は、息(イキ)。
★今にも絶え入りそうな息をしながら、やっと生き続けている意。
*『江戸から東京へ〈矢田挿雲〉七・六三』
ヨゼン
741 【ミドリゴ】は水の泡 ◆2 嬰児 緑児 👉みどりごはみずのあわ。
幼児の命のもろさを水の泡のはかなさにたとえていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「嬰児・緑児」は、生まれて間もない子ども。ちのみご。あかんぼう。
*『読本・開巻驚奇俠客伝』
ミドリゴ
742 貧乏な烏は盆に【カクラン】をする ◆2 霍乱 癨乱 👉びんぼうなからすはぼんにかくらんをする。
眼前の利を取ることができない不運な境遇のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「霍乱」は、日射病や脳貧血などの病気。
★貧しくて運が悪い烏は、墓に供物が多いお盆の時に折悪く病気になって、それを食べることができない意。
*『諺苑』
カクラン
743 【タイカン】の雲霓を望むが若し ◆2 大旱   👉たいかんのうんげいをのぞむがごとし。
好事の到来を熱望するたとえ。〈漢字ペディア〉
★「大旱」は、ひどい日照り。
★「雲霓」は、雲と虹のこと。
★大日照りには、雨の降る前兆である雲や虹が出るのを待ちこがれる意から。
*『孟子-梁恵王・下』
タイカン
744 【ボウショク】の願い ◆2 望蜀   👉ぼうしょくのねがい。
一つの望みをとげ、さらにその上を望むこと。飽くことのない願い。隴(ロウ)を得て蜀を望む。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
ボウショク
745 【キッサキ】を折る ◆2
👉きっさきをおる。
出ばなをくじく。鋭鋒(エイホウ)をくじく。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『雑俳・楊梅』
キッサキ
746 北門の【サヤク】 ◆2 鎖鑰   👉ほくもんのさやく。
北方の守り。国の北部の守護。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鎖鑰」は、錠前と鍵。転じて、外敵の侵入を防ぐ重要な場所。
*『宋史-寇準伝』
サヤク
747 孔席暖まらず、【ボクトツ】黔まず ◆2 墨突   👉こうせきあたたまらず、ぼくとつくろまず。
孔子と墨子は道を説いて東奔西走し、家におちつくことがなかったことをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「墨突」は、墨子(ボクシ)の家の煙突。
★孔子のすわる席は暖まることなく、墨子の家の煙突は煙で黒くなることがない意。
*『班固-答賓戯』
ボクトツ
748 【チシャ】の葉の搔き取り ◆2 萵苣   👉ちしゃのはのかきとり。
チシャの葉は、かき取っても次々に生えてくる。また、取っても次々に出てくるので、なくならないもののたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『尾張俗諺-補』
チシャ
749 呪いは【ヒヨコ】の如くねぐらに舞い戻る ◆2   👉のろいはひよこのごとくねぐらにまいもどる。
人をのろえば、そののろいはひよこがねぐらに帰るように自分の身の上にふりかかってくる。人を呪わば穴二つ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
ヒヨコ
750 遺愛寺の鐘は枕を【ソバダ】てて聴く ◆2   👉いあいじのかねはまくらをそばだててきく。
静かで何物にも煩わされない生活。また、悠々自適の生活を送ること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★遺愛寺の鐘の音は、寝たまま枕を傾けて聞く意。
*『白居易-香炉峰下新卜山居草堂初成偶題東壁詩』
ソバダ
751 【ヤリブスマ】を作る ◆2 槍衾 鎗衾
鑓衾
👉やりぶすまをつくる。
衾のように、すき間なく一面に槍の穂先をそろえて突き出す。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『信長記-一上・美濃の国森戸合せんの事』
ヤリブスマ
752 枕を扇ぎ【フスマ】を温む ◆2   👉まくらをあおぎふすまをあたたむ。
愛情を込めて親を養うたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、後漢時代、黄香(コウカ)は母を失ったのち、父に孝養を尽くし、暑いときには扇で父の枕元をあおぎ、寒いときには身をもって父の寝具をあたためたという故事から。
*『東観漢記-一九』
フスマ
753 当て【コテ】なしに左官はできぬ ◆2 👉あてこてなしにさかんはできぬ。
鏝がなければ壁塗りの左官の仕事ができないように、当て事(目的)を持たなくては何事もできない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『日本俚諺大全』
コテ
754 【ヌタ】の鉢の高名 ◆2   👉ぬたのはちのこうみょう。
うぬぼれ、高慢をいうたとえ。手前味噌。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「抜かぬ太刀の高名」のもじり。
★自分で自分の作ったぬた料理をほめる意。
*『洒落本・阿蘭陀鏡-一』
ヌタ
755 六大【ムゲ】の月 ◆2 無碍 無礙 👉ろくだいむげのつき。
清浄無垢(セイジョウムク)で、一点のくもりもないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「六大」は、宇宙の万象を形づくる六種の根本要素で、地・水・火・風・空・識をいう。
★「無碍」は、この六大が互いに融合して自在なこと。
*『中院本平家-一〇・宗論の事』
ムゲ
756 【オコ】の高名せぬに如かず ◆2 烏滸 尾籠
👉おこのこうみょうせぬにしかず。
ただ勇気を誇るだけのようなつまらないふるまいをして、名をあげようなどとはしないほうがよい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
●〈平成29年度・第2回出題,大問㈧,小問8〉
*『保元-二・白河殿へ義朝夜討に寄せらるる事』
オコ
757 妄りに与うるは物を【コウガク】に遺棄するに如かず ◆2 溝壑   👉みだりにあたうるはものをこうがくにいきするにしかず。
理由もなく人に物を与えるのは、どぶに棄てるよりもよくない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『説苑-立節』
コウガク
758 【ヤタケ】にはやる ◆2 弥猛   👉やたけにはやる。
心がいよいよあせって勇み立つ。また、気がもめていらだつ。弥猛に思う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浄瑠璃・嫗山姥-一』
ヤタケ
759 【モクショウ】の間 ◆2 目睫   👉もくしょうのかん。
きわめて近いところ、また時間が迫っていることのたとえ。目前。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★目とまつげの間の意。
*『花柳春話〈織田純一郎訳〉附録七』
モクショウ
760 【エンモン】に降る ◆2 轅門   👉えんもんにくだる。
戦いで、敵に降参する。軍門にくだる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「轅門」は、車の轅(ナガエ)を向かい合わせて造った門。昔、中国で戦陣などに設けた。
*『佳人之奇遇〈東海散士〉六』
エンモン
761 【ヨワ】の嵐 ◆2 夜半   👉よわのあらし。
1.夜吹く嵐。
2.一夜のうちに桜を散らしてしまう嵐。無常の嵐。また、気づかないほんのしばらくの間に変化が起こることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『安法集』
ヨワ
762 草の【ユカリ】 ◆2 所縁 👉くさのゆかり。
ある一つの因縁によって、それにつながる他のものにも情愛を感じること。転じて、何らかの縁でつながるもの。紫のゆかり。草のたより。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『蜻蛉-下・天延二年』
ユカリ
763 座頭の【グミ】 ◆2 茱萸 胡頽子
👉ざとうのぐみ。
相手が事情のわからないのにつけこんで、ひどいことをすること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
グミ
764 【シラン】の友 ◆2 芝蘭   👉しらんのとも。
よい感化をもたらす友人。よい友だち。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『世俗諺文』
シラン
765 松蔭の【ナラ】の木 ◆2
👉まつかげのならのき。
大きさがはなはだしく違うことのたとえ。月とすっぽん。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『合巻・教草女房形気-一七・一〇段』
ナラ
766 鶴の【ハギ】も切るべからず ◆2 👉つるのはぎもきるべからず。
ものにはそれぞれ本来の性質があるもので、無理に人為を加えてはならないという戒め。〈漢字ペディア〉
★「脛」は、すねの意。
★ツルのはぎが長いからといって切ってしまえばツルは悲しむということから。
*『荘子-駢拇』
ハギ
767 愚かなる羊は【サイロウ】にその身を談ず ◆2 豺狼 犲狼 👉おろかなるひつじはさいろうにそのみをだんず。
相手の見分けもつかぬ愚かさのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★愚かな羊は自分をねらっている山犬や狼(オオカミ)に身の上相談をする意。
*『西洋諺草』
サイロウ
768 【ケンバ】の齢 ◆2 犬馬   👉けんばのよわい。
イヌやウマのように取り立てて功績もなく、いたずらに年を取るたとえ。自分の年齢をへりくだっていう語。〈漢字ペディア〉
*『漢書』
ケンバ
769 【ケンバ】の労 ◆2 犬馬   👉けんばのろう。
主人や他人のために力を尽くすことをへりくだっていう語。〈漢字ペディア〉
★イヌやウマほどの働きの意。
*『読本・椿説弓張月-続・四四回』
ケンバ
770 【ケンバ】の養い ◆2 犬馬   👉けんばのやしない。
親を養うのに、イヌやウマを飼うように、ただ食べさせるだけで敬う気持ちのないたとえ。〈漢字ペディア〉
*『論語-為政』
ケンバ
771 【ケイコツ】の頭に蠅がたかる ◆2 軽忽   👉けいこつのあたまにはえがたかる。
そそっかしい者の頭には蠅さえたかってくる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『俚言集覧』
ケイコツ
772 天人に【ヨウラク】取らしたような ◆2 瓔珞   👉てんにんにようらくとらしたような。
天人の瓔珞をとって身につけたかと思われるような、たいへんな美人。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瓔珞」は、首かざり。
*『譬喩尽-五』
ヨウラク
773 【ソモソモ】から着きにけりまで ◆2 抑抑 👉そもそもからつきにけりまで。
最初から最後まで。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★謡曲は冒頭が「そもそもこれは…にて候」という名のりで始まり、道中の山河・風景を述べ、「はや…に着きにけり」と結ぶことが多かったところからいう。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
ソモソモ
774 【ラクヨウ】の紙価を高める ◆2 洛陽   👉らくようのしかをたかめる。
ある著作や書物の評判が高くなること。また、評判となって盛んに売れ、広く読まれること。〈漢字ペディア〉
★中国、西晋(セイシン)の左思が作った『三都賦(サントのフ)』が世間で評判となり、人々が争って転写したため、洛陽の紙が不足して紙の値段が高騰したという故事から。
*『晉書-文苑伝・左思』
ラクヨウ
775 【オチウド】は薄の穂にも怖じる ◆2 落人   👉おちうどはすすきのほにもおじる。
びくびくしている者は、何でもないものまで恐れることのたとえ。落ち武者は薄の穂に怖じる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「落人」は、戦いに負け、人目をしのんで逃げて行く者。
*『瑠璃・国性爺後日合戦-二』
オチウド
776 【ウロン】の沙汰 ◆2 胡乱   👉うろんのさた。
怪しく、疑わしいという評判やうわさ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「胡乱」は、疑わしい、怪しい。
*『瑠璃・夏祭浪花鑑-九』
ウロン
777 【ルイラン】の危うき ◆2 累卵   👉るいらんのあやうき。
非常に不安定で危ういことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★積みかさねた卵がくずれてこわれやすいように、不安定で危ういことから。
*『韓非子-十過』
ルイラン
778 【ランカン】に共に倚ると雖も山色を看ること同じからず ◆2 欄干 欄杆
欄桿
闌干
👉らんかんにともによるといえどもさんしょくをみることおなじからず。
人によって見方、考え方の異なることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「欄干・欄杆・闌干」は、てすり。
★同じ欄干にもたれていても見る山の景色は同じではない意。
*『譬喩尽-四』
ランカン
779 鹿の【シガラミ】 ◆2   👉しかのしがらみ。
萩(ハギ)の異名。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『新古今-秋上・三二八』
シガラミ
780 【リリョウ】頷下の珠 ◆2 驪竜   👉りりょうがんかのたま。
危険を冒さなければ得られないもののたとえ。〈漢字ペディア〉
★「驪竜」は、黒色の龍。
★黒色の龍のあごの下にある珠の意。
*『荘子-列禦寇』
リリョウ
781 竿竹で星を【カ】つ ◆2   👉さおだけでほしをかつ。
1.不可能なことをする愚かさのたとえ。
2.思うようにいかないもどかしさのたとえ。〈漢字ペディア〉
*『世話詞渡世雀-上』
782 真竜も勢いを失えば【キュウイン】に同じ ◆2 蚯蚓   👉しんりゅうもいきおいをうしなえばきゅういんにおなじ。
傑出した人物も勢いを失うと平凡な人と同じに見えてくるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「蚯蚓」は、ミミズ。
★本物の竜であっても勢力を失うと、みみずのように力を失う意。
*『源平盛衰記-四四・平家虜都入』
キュウイン
783 安い【ハタゴ】のよき馳走 ◆2 旅籠 旅篭 👉やすいはたごのよきちそう。
相手の示す好意の裏に何かたくらみがありそうで、気味が悪く油断ができないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★宿賃の安い宿屋で、出るはずのない御馳走が出る意。
*『諺苑』
ハタゴ
784 【キュウチョウ】懐に入れば漁師も殺さず ◆2 窮鳥   👉きゅうちょうふところにいればりょうしもころさず。
追いつめられた人が助けを求めてくれば、これを見捨てないのが人の道であるということ。〈漢字ペディア〉
*『太平記-一八・比叡山開闢事』
キュウチョウ
785 渡り鵯に戻り【ツグミ】 ◆2 👉わたりひよどりにもどりつぐみ。
行くものもあれば帰るものもあって、種々様々であること。世はさまざまであることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『日本俚諺大全』
ツグミ
786 擦ったの【モジ】ったの ◆2   👉すったのもじったの。
なんのかのと言うさま。あれやこれやと自分勝手な言い分を言いたてるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浄瑠璃・大内裏大友真鳥-一』
モジ
787 腹の皮を【ヨジ】る ◆2   👉はらのかわをよじる。
おかしさに、腹の皮がよじれるほど大笑いをする。おかしくてたまらないさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『いろは交友録〈徳川夢声〉け』
ヨジ
788 【アカザ】の杖をつく ◆2   👉あかざのつえをつく。
あぶなっかしく転びやすいこと。物事に失敗しがちなこと。また、老人。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
アカザ
789 備後表に【コウライベリ】 ◆2 高麗縁   👉びんごおもてにこうらいべり。
備後(広島県)産の畳表に高麗縁をつけたもの。畳の最高品をいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「高麗縁」は、白地の綾に菊の花や雲の形の模様を黒く織り出した畳のへり。
*『俗諺辞林』
コウライベリ
790 【ハモ】も一期、海老も一期 ◆2   👉はももいちご、えびもいちご。
人の一生は、境遇の違いや賢愚の差はあっても、たいてい同じようなものであるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★海魚のハモもエビも、一生を生きる点で変わりはない意。
●〈平成29年度・第2回出題,大問㈧,小問4〉
*『かた言-五』
ハモ
791 【ロウチョウ】雲を恋う ◆2 籠鳥 篭鳥 👉ろうちょうくもをこう。
拘束されている者が自由な境遇をうらやむことのたとえ。また、離れた故郷を恋しく思うことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★籠の中の鳥が空の雲を恋い慕う意。
*『本朝文粋-六・申勘解由次官幷図書頭状〈菅原文時〉』
ロウチョウ
792 飢寒身に至る時は【レンチ】を顧みず ◆2 廉恥   👉きかんみにいたるときはれんちをかえりみず。
飢えや寒さが人間を破廉恥なものにしてしまう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「廉恥」は、心が正しく欲がなくて、恥を知ること。
★ひもじさや寒さが身にせまれば、人間だれしも廉恥の心を失ってしまうものだという意。
*『金言童子教』
レンチ
793 【ニシン】と筍 ◆2 👉にしんとたけのこ。
料理の相性がいいもの。仲がいいこと、気が合うことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
ニシン
794 【トモ】が回る ◆2 👉ともがまわる。
物事に応じてとっさに頭がはたらく、気がきく。手まわしがよい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『太閤記-一・秀吉軽一命於敵国成要害之主事』
トモ
795 【ハクロ】は塵土の穢れを禁ぜず ◆2 白鷺   👉はくろはじんどのけがれをきんぜず。
清廉潔白な人物は、どんなに悪い地位や境遇にいても、自分の生き方や信念をまげないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★シラサギはあくまで白く、汚れた土の上にたってもみずから汚れることがないから、汚れなどは問題にしない意。
*『浄瑠璃・用明天皇職人鑑-四』
ハクロ
796 狐憑きに【ウイロウ】を飲ます ◆2 外郎   👉きつねつきにういろうをのます。
口数の多いことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★狐つきの人に外郎薬(江戸時代小田原名物の小粒丸薬)を飲ませると、さんざんしゃべった後に快癒するというところからいう。
*『洒落本・風俗通-二』
ウイロウ
797 割った茶碗を【ツ】いでみる ◆2   👉わったちゃわんをついでみる。
とりかえしがつかないと知りながら、なお未練を残すさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浄瑠璃・壇浦兜軍記-二』
798 高名の【ウデマク】り ◆2 腕捲   👉こうみょうのうでまくり。
さほど実力もないのに、うぬぼれて強がること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『譬喩尽-二』
ウデマク
799 魂を失い【ハク】を落とす ◆2   👉たましいをうしないはくをおとす。
ひどく驚き、あわてふためく。また、精神が不安定で奇怪な行動をすること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「魂」は、天から受けた精神のたましい。
★「魄」は、地から受けた肉体のたましい。
*不明
ハク
800 【ケン】を旋らし坤を転ず ◆2   👉けんをめぐらしこんをてんず。
国の政局を一新すること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「乾」は、天。
★「坤」は、地。
★天地を一回転させて、元の位置に戻すという意から。
*『韓愈-潮州刺史謝上表』
ケン
801 乾を旋らし【コン】を転ず ◆2   👉けんをめぐらしこんをてんず。
国の政局を一新すること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「乾」は、天。
★「坤」は、地。
★天地を一回転させて、元の位置に戻すという意から。
*『韓愈-潮州刺史謝上表』
コン
802 君を視ること【エキキ】に如かず ◆2 奕棋 奕棊 👉きみをみることえききにしかず。
臣下がみだりに君主を廃立するのは、君主を囲碁ほどにも見ていないことだという意。〈新大字典〉
★「奕棋」は、碁をうつこと。
*『左伝・襄公二十五』
エキキ
803 【リ】を探って珠を獲 ◆2   👉りをさぐってしゅをう。
危険を冒して大きな利益を得るたとえ。また、要領を得た素晴らしい文章を作ることのたとえとしても用いる。〈漢検四字熟語辞典〉
★「驪」は、驪竜のこと。黒色の竜。この竜の顎の下には珠玉があるとされる。
★驪竜の顎の下を探って珠玉を手に入れる意。
*『荘子-列禦寇』
804 【チュウセキ】の夜 ◆2 疇昔 畴昔 👉ちゅうせきのよ。
昨夜。ゆうべ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「疇昔」は、きのう・昨日・ゆうべ・むかし。
*『礼記-檀弓・上』
チュウセキ
805 幽明を【チュッチョク】す ◆2 黜陟   👉ゆうめいをちゅっちょくす。
正しい基準に従って人材を評価すること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「黜陟」は、退けることと官位を引き上げること。
★「幽明」は、暗愚と賢明の意。
★暗愚なものを退け、賢明なものを登用するということから。
*『書経-舜典』
チュッチョク
806 【チョレキ】の材 ◆2 樗櫟 樗檪 👉ちょれきのざい。
役に立たない人やもの。自己の謙称。〈漢検四字熟語辞典〉
★「樗櫟」は、おうちと、くぬぎで役に立たない木、無用の材。無用の人。
*不明
チョレキ
807 【ケイガイ】の知己 ◆2 傾蓋 傾葢 👉けいがいのちき。
少し語り合っただけなのに、古くからの友人のように打ち解けて親しくなるたとえ。また、そのような仲。〈漢字ペディア〉
★「傾蓋」は、車につけられたかさをかたむける意で車を止めることをいう。
★「知己」は、自分の真価を知ってくれる親しい友人。
★孔子が偶然出会った程子(テイシ)と道端で車を止め、親しく語り合った故事から。
*『史記-鄒陽伝』
ケイガイ
808 【カンカ】を倒載す ◆2 干戈   👉かんかをとうさいす。
戦いがすんで平和になったことの形容。〈漢検四字熟語辞典〉
★「干戈」は、盾と矛で、武器の総称。
★周の武王が、殷の紂王を討伐して帰るとき、武器を逆さまに車に載せ、刃を虎の皮で覆って、二度と戦いをしないことを示した故事から。
*『礼記-楽記』
カンカ
809 【トウロウ】の衛 ◆2 蟷螂 螳螂
蟷蜋
螳蜋
👉とうろうのえい。
微弱な兵力・兵備のたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「蟷螂・螳螂」は、かまきり。
★「衛」は、まもり・守備、防備する人の意。
*『魏都賦』
トウロウ
810 【トコク】の禄 ◆2 斗斛   👉とこくのろく。
わずかな俸禄。〈漢検四字熟語辞典〉
*『祭十二郎文』
トコク
811 【ニクタン】して羊を牽く ◆2 肉袒   👉にくたんしてひつじをひく。
降伏して臣下となることを請い願うこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「肉袒」は、肌脱ぎして上半身をあらわすこと。
★「羊を牽く」は、料理人として仕える意。
★肌を脱いで上半身を現し羊をひくこと。降伏の時、思いのままに罰してよいとの意志を示す。
*『春秋左氏伝-宣公一二年』
ニクタン
812 轅に【スガ】りて轍に臥す ◆2 👉ながえにすがりてわだちにふす。
立派な人の留任を希望して引き留めること。〈漢検四字熟語辞典〉
★立派な地方長官が転任したり退任したりするのを人民が惜しむことをいう。
*『白孔六帖-刺史』
スガ
813 竜に【ヨ】じ驥に附く ◆2   👉りゅうによじきにつく。
すぐれた人物に仕えることによって、自分も出世すること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「驥」は、一日に千里を走るという名馬。
★竜につかまり、驥につき従う意。
*『三国志-呉書・呉主権伝・注』
814 竜に攀じ【キ】に附く ◆2   👉りゅうによじきにつく。
すぐれた人物に仕えることによって、自分も出世すること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「驥」は、一日に千里を走るという名馬。
★竜につかまり、驥につき従う意。
*『三国志-呉書・呉主権伝・注』
815 肥馬に乗り、【ケイキュウ】を衣る ◆2 軽裘   👉ひばにのり、けいきゅうをきる。
たいそう富貴なさま。また、富貴な人の外出のよそおい。〈漢検四字熟語辞典〉
★「肥馬」は、肥えた立派な馬のこと。
★「軽裘」は、軽くて高級な皮衣の意。
*『論語-雍也』
ケイキュウ
816 【フキ】の才 ◆2 不羈   👉ふきのさい。
何事にも拘束されないのびのびした才能。学才がすぐれていることをいう。非凡の才。〈漢検四字熟語辞典〉
★「羈」は、つなぐ意。
*『漢書-司馬遷伝』
フキ
817 【ブンシ】、牛を咬む ◆2 蚊子   👉ぶんし、うしをかむ。
痛くもかゆくもないこと。また、自分の実力をわきまえずに行動すること。〈漢検四字熟語辞典〉
★蚊が牛を咬むということから。「子」は接尾語。
*不明
ブンシ
818 【ヘンチ】の労 ◆2 腁胝 胼胝 👉へんちのろう。
大変な骨折り。〈漢検四字熟語辞典〉
★「腁」は、ひび。
★「胝」は、あかぎれのこと。
★ひびやあかぎれが切れるほどの骨折りの意。
*『梁書-賀琛伝』
ヘンチ
819 旁らより時に【セイチュウ】す ◆2 掣肘   👉かたわらよりときにせいちゅうす。
他人の仕事にわきから口を出して邪魔をすること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「掣肘」は、人の肘を引っ張ること。
*『呂氏春秋-具備』
セイチュウ
820 【テッケン】を磨穿す ◆2 鉄硯   👉てっけんをませんす。
猛烈に勉強すること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「磨」は、磨滅させる。すりへらす。
★「穿」は、穴をあける。
★鉄でできている硯(スズリ)をすり減らして穴をあけるほど勉強するという意。
*『新五代史-桑維翰伝』
テッケン
821 頂を摩して【クビス】に放(いた)る ◆2
👉いただきをましてくびすにいたる。
自分の身を犠牲にして、他人のために尽くすこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★頭のさきから足のかかとまですり減らす意。
*『孟子-尽心・上』
クビス
822 【ヨウキュウ】、釣を垂る ◆2 羊裘   👉ようきゅう、ちょうをたる。
隠者の姿をいう。〈漢検四字熟語辞典〉
★「裘」は、かわごろも、獣の毛皮で作った服。
★「釣」は、釣り糸の意。
★羊の皮ごろもを着て釣り糸を垂れる意。
*『後漢書-厳光伝』
ヨウキュウ
823 【リンロウ】、目に満つ ◆2 琳琅 琳瑯 👉りんろう、めにみつ。
美しいもの、すばらしいものが満ち溢れていること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「琳琅」は、美しい玉。
★美しい玉が目の前に満ち溢れている意。
*不明
リンロウ
824 【ロ】鳴き犬吠ゆ ◆2   👉ろなきいぬほゆ。
拙劣でつまらない文章や聞くに値しない話のたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「驢」は、驢馬(ロバ)。
★驢馬が鳴き犬が吠える。また、その声。ありふれていて聞くに値しない意。
*『朝野僉載-庾信』
825 【イツヤ】の覧 ◆2 乙夜   👉いつやのらん。
天子が書物を読むこと。〈漢字ペディア〉
★「乙夜」は、現在の午後9時から11時頃。亥の刻。
★中国、唐の文宗が昼間多忙なため夜に読書をしたことから。
*不明
イツヤ
826 【サツビラ】を切る ◆2 札片 札枚 👉さつびらをきる。
惜しげもなく金を使う。〈漢字ペディア〉
★「札片」は、紙幣。
*『落語・入黒子〈六代目桂文治〉』
サツビラ
827 肩を【ソビ】やかす ◆2 👉かたをそびやかす。
肩を高くたてて、威勢を示す。高ぶった態度をとるさまに言う。肩を怒らす。〈日本国語大辞典〉
*『歯車〈芥川龍之介〉六』
ソビ
828 三寸の【クサビ】 ◆2 👉さんずんのくさび。
物事のかなめをたとえていう言葉。〈漢字ペディア〉
★車輪が心棒からはずれないように車軸にさしてとめておく短いくさびの意。
*『淮南子-人間訓』
クサビ
829 【カマド】を分ける ◆2
👉かまどをわける。
分家させる。世帯を別にする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『読本・糸桜春蝶奇縁-八・一二』
カマド
830 【オオナタ】を振るう ◆2 大鉈 大屶 👉おおなたをふるう。
人員や経費などを大胆に処理する。〈漢字ペディア〉
*『文化分析の構想〈梅棹忠夫〉三・四』
オオナタ
831 【トシュ】なお辞せず ◆2 斗酒   👉としゅなおじせず。
大酒を飲む。〈日本国語大辞典〉
★「斗酒」は、一斗(約18リットル)の酒。転じて、多量の酒。
★一斗の酒も辞退しないで飲む意。
*『二人女房〈尾崎紅葉〉下』
トシュ
832 【カブリ】を振る ◆2   👉かぶりをふる。
否定の意志表示をする。〈漢字ペディア〉
★「頭」は、あたま。かしら。
★頭を左右に振る意。
*『虎明本狂言・花子』
カブリ
833 切なくなれば【ウズラ】も木へ登る ◆2   👉せつなくなればうずらもきへのぼる。
苦しくなって、せっぱつまればふつうではできない事でもするものだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
●〈平成29年度・第1回出題,大問㈧,小問4〉
*不明
ウズラ
834 三人寄れば【クガイ】 ◆2 公界   👉さんにんよればくがい。
人が三人集まれば、そこはもう公的な場所となる。三人で話したり行なったりしたことの秘密はもれるものと思ったほうがよい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「公界」は、おおやけのこと。公的な場。表向き。
●〈平成29年度・第1回出題,大問㈧,小問8〉
*『浮世草子・御前義経記-二・三』
クガイ
835 積水を【センジン】の谿に決す ◆2 千仞 千尋 👉せきすいをせんじんのたににけっす。
勢いがすさまじいさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★堤を切って、満々とたたえた水を深い谷に落とす意。
●〈平成29年度・第2回出題,大問㈧,小問3〉
*『孫子-軍形』
センジン
836 【クレ】は桶屋の棚にあり ◆2   👉くれはおけやのたなにあり。
人から物をくれと言われたときに、まぜかえしていう憎まれ口。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「榑」は、板材。そぎいた。へぎいた。
★「物をくれ」の「くれ」と「榑」をかけていう。
●〈平成29年度・第2回出題,大問㈧,小問6〉
*『諺語大辞典』
クレ
837 羹に懲りて【ナマス】を吹く ◆2

👉あつものにこりてなますをふく。
一度の失敗にこりて、必要以上に用心することのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★不用意に口にした吸い物の熱さにこりて、なますやあえもののような冷たい料理までも吹いてさます意。
●〈平成29年度・第3回出題,大問㈧,小問1〉
*『楚辞-惜誦』
ナマス
838 泥鰌汁に【キンツバ】 ◆2 金鍔 金鐔 👉どじょうじるにきんつば。
食い合わせが悪いとされる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
●〈平成29年度・第3回出題,大問㈧,小問8〉
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
キンツバ
839 行い、【イヤシク】も合わず ◆2   👉おこない、いやしくもあわず。
道義の為には、必ずしも無理に人に容れられようとは求めない。〈中国古典名言事典〉
*『史記-平原君伝』
イヤシク
840 【セイカ】丹田に力を入れる ◆2 臍下   👉せいかたんでんにちからをいれる。
どっしり落ち着く、度胸を据える。臍の下三寸(約九センチメートル)余りの臍下丹田に気力を集めれば、健康を保ち勇気が生じるといわれる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
●〈平成20年度・第2回出題,大問㈨,小問2〉
*『潮風〈里見ク〉七』
セイカ
841 師の処る所【ケイキョク】生ず ◆2 荊棘 荆棘 👉しのおるところけいきょくしょうず。
戦争が長続きすれば、田畑は荒れたままになる。〈中国古典名言事典〉
★「師」は、大軍。
★「荊棘」は、いばら。
★働けるものが皆軍隊に取られてしまうことから。
●〈平成20年度・第2回出題,大問㈨,小問3〉
*『老子-三十章』
ケイキョク
842 空き家で声【カ】らす ◆2   👉あきやでこえからす。
骨を折っても人に認められない。むだ骨を折る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★人の住んでいない家で、繰り返し案内を求めても返事がないところからいう。
●〈平成20年度・第3回出題,大問㈨,小問5〉
類:空家で棒を振る
類:空家を叩く
*『日本俚諺大全』
843 真金は【メッキ】せず ◆2 鍍金 👉しんきんはめっきせず。
人の真才あるものは、うわべを飾るに及ばぬ。〈中国古典名言事典〉
★真の黄金は鍍(メッキ)せずという意。
*『李神-答章孝標詩』
メッキ
844 周公【キョウク】す流言の日、王莽謙恭す未だ簒せざるの時 ◆2 恐懼   👉しゅうこうきょうくすりゅうげんのひ、おうもうけんきょうすいまださんせざるのとき。
人の真偽は軽々しく批評することはできない。〈中国古典名言事典〉
★聖人といわれた周公も讒言を蒙(コウム)った時代には恐懼していたし、王位を奪った王莽もまだ簒弑を行わなかった頃は恭謙をよそおっていたという意。
*『白居易-放言詩』
キョウク
845 【ユハズ】の調 ◆2 弓弭
弓筈
👉ゆはずのみつぎ。
上代、男子のみつぎもの。〈日本国語大辞典〉
★「弭・弓弭・弓筈」は、弓の両端の弦(ツル)をかけるところ。
★弓矢で取った鳥獣が主であったところから言う。
*『古事記-中』
ユハズ
846 六宮の【フンタイ】顔色なし ◆2 粉黛   👉りっきゅうのふんたいがんしょくなし。
楊貴妃の比類ない美しさ。〈中国古典名言事典〉
★「六宮」は、宮中。女官のいるところ。
★「粉黛」は、白粉や黛(マユズミ)。夫人のお化粧。
★流石に化粧を凝らした宮中数多くの美女たちも、この人にあっては色褪せてしまう意。
*『白楽天-長恨歌』
フンタイ
847 一斑を見て【ゼンピョウ】を卜す ◆3 全豹   👉いっぱんをみてぜんぴょうをぼくす。
物事のごく一部分からその全体を推し量るたとえ。〈漢字ペディア〉
★ヒョウの毛皮の一つのまだら模様を見ただけで、そのヒョウの毛皮全体を推察する意から。
*『本朝文粋-二・意見十二箇条〈三善清行〉』
ゼンピョウ
848 【イツ】を以て労を待つ ◆3 👉いつをもってろうをまつ。
十分に休息して英気を養い、遠方から攻めて来る疲れきった敵を迎え討つ意で、孫子の説いた必勝法。〈漢字ペディア〉
★「佚・逸」は、楽にして休む。
★「労」は、疲労の意。
●〈平成29年度・第3回出題,大問㈧,小問10〉
*『孫子-軍争』
イツ
849 魚を得て【セン】を忘る ◆3   👉うおをえてせんをわする。
目的を達するとそれまで役に立ったものを忘れてしまうたとえ。〈漢字ペディア〉
★魚を捕ってしまうとうれしさのあまり、筌(水中に沈めて魚を捕る竹かご)のことなど忘れてしまう意。
●〈平成20年度・第3回出題,大問㈨,小問9〉
*『荘子-外物』
セン
850 【ウジャク】の智 ◆3 烏鵲   👉うじゃくのち。
遠い先のことばかり心配して身近な危険を考えないこと。〈漢字ペディア〉
★カササギが強風を避けて低い枝に巣を作るのはよいとしても、そのためにひなや卵が危険にさらされることを忘れていることから。
●〈平成29年度・第3回出題,大問㈧,小問5〉
*『淮南子』
ウジャク
851 【ウチョク】の計 ◆3 迂直   👉うちょくのけい。
遠回りのようだが、実際には最も効果的な手段のこと。〈漢字ペディア〉
★「迂」は、遠回りすること。
★「直」は、直行する意。
★迂回して敵を安心させ敵の油断に乗じて一気に攻めこむ戦法から。
*『孫子』
ウチョク
852 【カイアン】の夢 ◆3 槐安   👉かいあんのゆめ。
南柯の夢。人生のはかないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
*不明
カイアン
853 【ガイダ】珠を成す ◆3 咳唾   👉がいだたまをなす。
権勢が盛んでその言葉が尊ばれること。また、詩文の才が豊かでその言葉が美しいこと。〈漢字ペディア〉
★せきやつばが美しい珠になる意から。
*『趙壱-刺世疾邪賦』
ガイダ
854 【ガクキュウ】大鵬を笑う ◆3 鷽鳩   👉がくきゅうたいほうをわらう。
つまらない者には大人物の志がわからないたとえ。〈漢字ペディア〉
★「鷽鳩」は、小さいハト。一説にイカル。
★「大鵬」は、おおとり。伝説上の霊鳥で、九万里も舞い上がるという。
★小さいハトが、おおとりが天高く舞い上がるのを笑う意。
*『荘子』
ガクキュウ
855 【キソク】を展ばす ◆3 驥足   👉きそくをのばす。
すぐれた人がその才能や能力を十分に発揮すること。〈漢字ペディア〉
*『蜀志-龐統伝』
キソク
856 【キュウ】を負う ◆3   👉きゅうをおう。
勉学のため、故郷から他郷に行くこと。他郷に遊学すること。〈漢字ペディア〉
★笈(オイ)を背負って他郷に行く意から。
*『史記-蘇秦』
キュウ
857 【ギヨウ】に堪えず ◆3 伎癢 技癢 👉ぎようにたえず。
技能のすぐれた者が、腕前を見せたくてむずむずすること。〈漢字ペディア〉
★「伎癢・技癢」は、腕が鳴る意。
*『風俗通-六・声音筑』
ギヨウ
858 【キョウボク】は風に折らる ◆3 喬木   👉きょうぼくはかぜにおらる。
他に抜きんでる者はとかく人からねたみや恨みを受けて、非難や中傷をされやすいたとえ。また、人の上に立つ者は非難や中傷を受けやすいたとえ。〈漢字ペディア〉
★高い木は風の影響を受けて折れやすいことから。
*『社会百面相〈内田魯庵〉電影・三』
キョウボク
859 【キリン】の躓き ◆3   👉きりんのつまずき。
どんなにすぐれた人でも、時には失敗やまちがいがあるたとえ。〈漢字ペディア〉
*『東大国文研究室本十訓抄-一・序』
キリン
860 【キリン】も老いては駑馬に劣る ◆3   👉きりんもおいてはどばにおとる。
どんなにすぐれた人でも年をとれば能力が衰えて、凡人にも及ばなくなるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「駑馬」は、足ののろい馬。
*『戦国策-斉策・閔王』
キリン
861 【コウガク】を塡む ◆3 溝壑   👉こうがくをうずむ。
命を失うこと。のたれ死にをすること。〈漢字ペディア〉
★「溝壑」は、みぞ。どぶ。谷間。
*『戦国策-趙策下・孝成王』
コウガク
862 巧詐は【セッセイ】に如かず ◆3 拙誠   👉こうさはせっせいにしかず。
うまくごまかすよりはつたなくても誠意のあるほうがよい。〈漢字ペディア〉
★「拙誠」は、つたなくとも真心のある意。
*『魏志注-劉嘩伝』
セッセイ
863 【コウリョウ】雲雨を得 ◆3 蛟竜   👉こうりょううんうをう。
英雄や豪傑が時を得て大いに活躍するたとえ。〈漢字ペディア〉
★蛟竜が雲雨に乗じて天に昇る意から。
●〈平成28年度・第3回出題,大問㈧,小問3〉
*『呉志-周瑜伝』
コウリョウ
864 【コウリョウ】悔い有り ◆3 亢竜   👉こうりょうくいあり。
物事は頂点を極めてしまうと必ず衰えるたとえ。〈漢字ペディア〉
★いったん天高くまでのぼりつめた竜は、あとはくだるしかなく、やがて後悔することになる意から。
*『易経-乾卦』
コウリョウ
865 【ココウ】の臣 ◆3 股肱   👉ここうのしん。
君主の手足となって働く、最も頼りにしている家来。腹心の部下。〈漢字ペディア〉
★「股」と「肱」は、ともに人の動くときにかなめとなるところであることから、なくてはならない大切なものの意。
*『史記-太史公自序』
ココウ
866 【ジジョ】の交わり ◆3 爾汝   👉じじょのまじわり。
互いに相手を呼び捨てで呼び合えるほど親しい関係。〈漢字ペディア〉
★「爾汝」は、相手を軽んじて、または親しんで呼びすてにすること。
*『布令必用新撰字引〈松田成己〉』
ジジョ
867 【シ】も舌に及ばず ◆3   👉しもしたにおよばず。
一度口にしたことは取り返しがつかないものであり、口は慎むべきであるというたとえ。〈漢字ペディア〉
★いったん口から出た言葉には四頭立ての馬車でも追いつかないということ。
*『論語-顔淵』
868 【ショウショウ】の憂え ◆3 蕭牆 蕭墻 👉しょうしょうのうれえ。
身近な心配事。内輪の争い。また、内乱のこと。〈漢字ペディア〉
★「蕭牆」は、門の内側にある垣。転じて、内部のこと。
*『論語』
ショウショウ
869 善行は【テッセキ】無し ◆3 轍迹   👉ぜんこうはてっせきなし。
真の善行は、人に目立たないものであることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「轍迹」は、わだちのあと。
★人が歩けば足跡が残り、車ではわだちが残るが、本当に上手に行く人は、わだちや足跡を残さないという意から。
*『老子-二七』
テッセキ
870 【ソウソウ】の変 ◆3 滄桑   👉そうそうのへん。
桑畑が青海原と変わり、大海が干上がって桑畑となるような世の中の激しい変化や時勢の目まぐるしい変動。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「滄桑」は、「滄海桑田(ソウカイソウデン)」の略で、青海原と桑畑のこと。
*『神仙伝』
ソウソウ
871 大行は【サイキン】を顧みず ◆3 細謹   👉たいこうはさいきんをかえりみず。
大事業をなし遂げるためには、小さな事柄や欠点にこだわらない。〈漢字ペディア〉
★「大行」は、大事業の意。
★「細謹」は、ささいなつつしみの意。
*『史記-項羽紀』
サイキン
872 【チョッカン】は一番槍より難し ◆3 直諫 直諌 👉ちょっかんはいちばんやりよりかたし。
直諫は、戦場での一番槍よりも勇気がいるものだということ。〈漢字ペディア〉
★「直諫」は、遠慮せずに率直に相手をいさめること。
★「一番槍」は、戦場で一番に敵陣に突入して槍を突き入れること。また、その人。
*『駿台雑話-三』
チョッカン
873 鶴【キュウコウ】に鳴き声天に聞こゆ ◆3 九皐 九皋 👉つるきゅうこうになきせいてんにきこゆ。
すぐれた人物は、隠れていてもその名声が遠くまで知れ渡ることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「九皐・九皋」は、奥深いところにある沼沢。
★鶴は奥深い沼沢にいても、その気品のある声は天にまで届く意から。
*『詩経-小雅・鶴鳴』
キュウコウ
874 【テップ】の急 ◆3 轍鮒   👉てっぷのきゅう。
危険や災難が差し迫っていることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★車のわだちの水たまりで、苦しみあえぐフナの意から。
*『荘子-外物』
テップ
875 【デデムシ】が日和を知る ◆3 蝸牛   👉ででむしがひよりをしる。
自分の身分や立場をわきまえないで振る舞うことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★カタツムリが、できない天気の予測をする意から。
*『浄瑠璃・役行者大峯桜-三』
デデムシ
876 天機【セツロウ】すべからず ◆3 洩漏   👉てんきせつろうすべからず。
重大な秘密は絶対に人にもらしてはならない。〈漢字ペディア〉
*『儒林外史』
セツロウ
877 【トショ】の羊 ◆3 屠所   👉としょのひつじ。
死が目前に迫っているもののたとえ。〈漢字ペディア〉
★屠殺場に引かれて行くヒツジの意から。
*『北本涅槃経-三八』
トショ
878 【ハクガ】琴を破る ◆3 伯牙   👉はくがきんをやぶる。
自分のよき理解者の死を悼むたとえ。〈漢字ペディア〉
*『』
ハクガ
879 【ベツ】人を食わんとして却って人に食わる ◆3   👉べつひとをくわんとしてかえってひとにくわる。
おろかな者が他人に危害を加えようとして、かえって自分がひどい目に遭うということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「鼈」は、スッポン。
★人をとって食おうとしたスッポンが、逆に、人につかまって食べられてしまうという意から。
*不明
ベツ
880 【モッコウ】にして冠す ◆3 沐猴   👉もっこうにしてかんす。
服装などがりっぱでも、実質は野卑で粗暴な人のたとえ。〈漢字ペディア〉
★「沐猴」は、サルのこと。
★サルがりっぱな冠をかぶる意から。
*『史記-項羽本紀』
モッコウ
881 病は【ショウユ】に加わる ◆3 少愈   👉やまいはしょうゆにくわわる。
病気は、少し治りかけたころ、つい油断して治療を怠り、悪化させることがある。また、災いはちょっとした油断から起こるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「愈」は、病気が治ること。
*『説苑-敬慎』
ショウユ
882 山に躓かずして【テツ】に躓く ◆3   👉やまにつまずかずしててつにつまずく。
大事には注意を払うため失敗しないが、小事には油断をして失敗することが多いたとえ。〈漢字ペディア〉
★「垤」は、蟻塚(アリヅカ)や小高い丘のこと。
*『韓非子-六反』
テツ
883 幽谷を出でて【キョウボク】に遷る ◆3 喬木   👉ゆうこくをいでてきょうぼくにうつる。
学問が進み知識を得て、人格が高まるたとえ。また、出世するたとえ。〈漢字ペディア〉
★鳥が深い谷間から舞い上がって樹木に飛びうつる意から。
*『孟子-滕文公・上』
キョウボク
884 門を開きて盗みに【ユウ】す ◆3   👉もんをひらきてぬすみにゆうす。
自分から進んで災難を招くこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「揖す」は、会釈する。また、会釈して招き入れること。
★わざわざ門を開けて、うやうやしく盗人を迎え入れる意から。
*『呉志-孫権伝』
ユウ
885 両葉去らずんば【フカ】を用うるに至る ◆3 斧柯   👉りょうようさらずんばふかをもちうるにいたる。
悪事や災いは小さなうちに取り除いておかないと、あとで面倒なことになるということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「両葉」は、芽が出たばかりの二葉。
★「斧柯」は、斧の柄(エ)、また斧のこと。
★二葉のときに切り取っておかないと、大木になってからでは斧(オノ)を用いなければならなくなるという意から。
*『古今諺』
フカ
886 【レイコウ】を食らう者は大牢の滋味を知らず ◆3 藜羹   👉れいこうをくらうものはたいろうのじみをしらず。
いやしい人間には、高尚で奥深いことは理解できないということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「大牢」は、りっぱなごちそう、最高の料理の意。
★粗末な食事ばかりしている者には、りっぱなごちそうの味はわからないという意から。
*不明
レイコウ
887 【レイスイ】の交わり ◆3 醴水   👉れいすいのまじわり。
甘酒のような交わりと、水のような交わり。君子の交わりは水のように淡白であるがいつまでも変わることがなく、小人の交わりは甘酒のように甘く濃厚であるがすぐ飽きてしまうということ。〈漢字ペディア〉
★「醴」は、甘酒。
*『礼記』
レイスイ
888 老牛【トク】を舐る ◆3   👉ろうぎゅうとくをねぶる。
親が子どもを深く愛することのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「犢」は、子牛の意。
★「舐る」は、なめまわすの意。
*『後漢書-楊彪伝』
トク
889 【ロセイ】の夢 ◆3 盧生   👉ろせいのゆめ。
人の世の栄華がはかないたとえ。邯鄲の夢。〈漢字ペディア〉
*『漢語大和故事-五』
ロセイ
890 挙ぐることは【コウモウ】の如く、取ることは拾遺の如し ◆3 鴻毛   👉あぐることはこうもうのごとく、とることはしゅういのごとし。
軽い羽毛を持ち上げたり、落ちているものを拾い上げたりするように、たやすいということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鴻毛」は、おおとりの羽毛の意。軽いもののたとえ。
★「拾遺」は、落ちているものを拾うこと。
*『漢書-梅福伝』
コウモウ
891 奔車の上に仲尼無く、【フクシュウ】の下に伯夷無し ◆3 覆舟   👉ほんしゃのうえにちゅうじなく、ふくしゅうのしたにはくいなし。
聖人や賢者は、危うい国家の下に身は置かないということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「仲尼」は、孔子の字(アザナ)。
★「伯夷」は、中国の殷(イン)末周初の賢者。
★「奔車」「覆舟」は、ともにあやうい国家のたとえ。
★狂奔する車には孔子(コウシ)もおとなしく乗っていられず、転覆した舟の下からは伯夷でものがれようとする意から。
●〈平成20年度・第1回出題,大問㈨,小問5〉
●〈平成28年度・第3回出題,大問㈧,小問5〉
*『韓非子-安危』
フクシュウ
892 【クドウ】を行く者は至らず ◆3 衢道   👉くどうをゆくものはいたらず。
いろいろなことに手を出す者は、結局大成しないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「衢道」は、四方に通じる道。枝道。
★本道からはずれて脇道を進む者は、目的地に着くことができない意から。
●〈平成28年度・第3回出題,大問㈧,小問7〉
*『荀子-勧学』
クドウ
893 性は猶【キリュウ】の如し ◆3 杞柳   👉せいはなおきりゅうのごとし。
本来善でも悪でもない人の本性を、よいほうに曲げて形作るのはその人の後天的な努力による。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「杞柳」は、柳の一種。
★柳の板を自在に曲げて器を作る意から。
●〈平成28年度・第3回出題,大問㈧,小問9〉
*『孟子-告子・上』
キリュウ
894 考えと【ソクイ】は練る程良い ◆3 続飯   👉かんがえとそくいはねるほどよい。
よく練った続飯がよいように、考えも練るほどよい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「続飯」は、飯粒を練った糊(ノリ)。
*不明
●〈平成28年度・第3回出題,大問㈧,小問10〉
ソクイ
895 【キンユ】瑕を匿す ◆3 瑾瑜   👉???
義未詳。
●〈平成28年度・第2回出題,大問㈧,小問2〉
*不明
キンユ
896 海は【スイロウ】を譲らず、以て其の大を成す ◆3 水潦   👉???
義未詳。
●〈平成28年度・第2回出題,大問㈧,小問3〉
*不明
スイロウ
897 【ケイショウ】は歳寒に彰れ、貞臣は国危に見る ◆3 勁松   👉けいしょうはさいかんにあらわれ、ていしんはこっきにあらわる。
国が危機にみまわれた時に真の忠臣があらわれでてくる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「勁松」は、風雪に耐える強い松。
★他の樹木が枯れ落ちた寒い冬に常に緑である松の強さがはっきりわかる意から。
●〈平成28年度・第2回出題,大問㈧,小問7〉
*『潘岳-西征賦』
ケイショウ
898 修身【セイカ】治国平天下 ◆3 斉家   👉しゅうしんせいかちこくへいてんか。
まず身を修め、それを家庭に及ぼして家をととのえ、その後に国を治めて天下を平和に保つこと。儒教で、政治家の理念を説いた語。〈漢字ペディア〉
★「斉」は、ととのえる意。
●〈平成27年度・第3回出題,大問㈧,小問1〉
*『礼記-大学』
セイカ
899 【ブンゼイ】膚を咬み虎狼肉を食らう ◆3 蚊蜹 蚊蚋 👉???
義未詳。●〈平成27年度・第3回出題,大問㈧,小問2〉
*不明
ブンゼイ
900 雲は無心にして【シュウ】をいず ◆3   👉くもはむしんにしてしゅうをいず。
自然に従い、何物にも束縛されず、悠々と心静かに生活することのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「岫」は、山の洞穴の意。
●〈平成27年度・第3回出題,大問㈧,小問3〉
*『帰去来辞』
シュウ
901 【セキレキ】になれて玉淵をうかがわず ◆3 磧礫   👉せきれきになれてぎょくえんをうかがわず。
つまらぬものに慣れてしまい、本当にすばらしいものを見ようとしないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★。「磧礫」は、川原の小石。
★「玉淵」は、美玉を産する深い淵。
★川原の小石に慣れ親しんで、宝玉の沈んでいる深い淵をのぞきこもうとしない意から。●〈平成27年度・第3回出題,大問㈧,小問8〉
*『左思-呉都賦』
セキレキ
902 【テッショ】を磨く ◆3 鉄杵   👉てっしょをみがく。
根気よく一つの事に励むたとえ。〈漢字ペディア〉
★「鉄杵」は、鉄製のきねのこと。
●〈平成27年度・第3回出題,大問㈧,小問9〉
*『曹学佺-蜀中名勝記』
テッショ
903 【ハンカン】苦肉の策 ◆3 反間   👉はんかんくにくのさく。
自分を犠牲にして相手を欺き、敵どうしの仲をさくような計略。〈大辞泉〉
★「反間の計」と「苦肉の計」を組み合わせた語。
●〈平成28年度・第1回出題,大問㈧,小問2〉
*不明
ハンカン
904 【シュヒ】終に外に向かって曲げず ◆3 手臂   👉しゅひついにそとにむかってまげず。
正しい道理は、曲げられることがないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★手の臂(ヒジ)は外に向けては曲げることができない意から。
●〈平成28年度・第1回出題,大問㈧,小問4〉
*『明暦刊本句双紙抄』
シュヒ
905 【キケン】を被って稚児を威す ◆3 鬼臉   👉きけんをかぶってちじをおどす。
地位、勢力をたのんで人をおどすたとえ。また、虚勢をはって後進の者をおどすたとえ。〈日本国語大辞典〉
★「鬼臉は、鬼のような恐ろしい顔。
★鬼の面を被って子供をおどす意から。
●〈平成28年度・第1回出題,大問㈧,小問5〉
*『帰有園塵談』
キケン
906 若し薬【メイゲン】せざればその疾癒えず ◆3 瞑眩   👉もしくすりめいげんさぜればそのやまいいえず。
忠言・忠告をするにしてもそれによって相手がはげしい反応を起こすほどのものでなければその非は直らないものだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★もし薬を飲んでも、目まいがするほどの反応がなければその病気は治らない意から。
●〈平成28年度・第1回出題,大問㈧,小問7〉
*『書経-説命上』
メイゲン
907 【シュクスイ】の歓 ◆3 菽水   👉しゅくすいのかん。
貧しい生活を送りながらも孝養に励んで、親を喜ばせること。〈漢字ペディア〉
★「菽水」は、豆と水。粗末な食物のたとえ。
★孔子が弟子の子路に、貧困のなかでも親を喜ばせるのが本当の親孝行であるとさとした言葉から。
●〈平成28年度・第1回出題,大問㈧,小問9〉
*『礼記-檀弓・下』
シュクスイ
908 【カイラン】を既倒に反す ◆3 回瀾 廻瀾 👉かいらんをきとうにかえす。
勢力のおとろえたのを挽回する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★うずまく大波をささえてもとに押し返す意から。
●〈平成28年度・第1回出題,大問㈧,小問10〉
*『韓愈-進学解』
カイラン
909 【カコウ】有りと雖も食らわずんばその旨きを知らず ◆3 嘉肴   👉かこうありといえどもくらわずんばそのうまきをしらず。
聖人のすぐれた道も学ばなければそのよさを知ることはできないたとえ。また、すぐれた人物も、用いてみなければその器量を知ることはできないたとえ。〈漢字ペディア〉
★いくらおいしいごちそうがあっても食べてみなければそのうまさはわからない意。
*『礼記-学記』
カコウ
910 【キッチュウ】の楽しみ ◆3 橘中   👉きっちゅうのたのしみ。
囲碁や将棋をする楽しみ。〈漢字ペディア〉
★「橘中」は、橘の実の中。
★中国の巴邛で、大きな橘の実を割ったら、その中で仙人が碁を楽しんでいたという幽怪録の故事による。
*『諺語大辞典』
キッチュウ
911 昨日の【ツヅレ】、今日の錦 ◆3 襤褸   👉きのうのつづれ、きょうのにしき。
世の栄枯盛衰の激しいたとえ。〈漢字ペディア〉
★「襤褸」は、ぼろぼろの着物のこと。
*『諺苑』
ツヅレ
912 【ジュウバ】を殺して狐狸を求む ◆3 戎馬   👉じゅうばをころしてこりをもとむ。
小さな利益をあげるために、かえって大きな損失をこうむるたとえ。人間は時に物事の本質を見極められず、大事なものを失うことへの戒め。〈漢字ペディア〉
★「戎馬」は、戦いに使うウマ。貴重な兵馬を殺して、値打ちのないキツネやタヌキを追い求めるの意から。
*『淮南子』
ジュウバ
913 【ショリ】の嘆 ◆3 黍離   👉しょりのたん。
国の滅亡を嘆き悲しむこと。〈漢字ペディア〉
★「黍離」は、黍の穂の垂れたさま。
★中国、東周の大夫(タイフ)が西周の王宮の跡がキビ畑となって荒れ果てているのを見て、詠嘆の詩を作った故事から。
*『詩経-王風・黍離』
ショリ
914 【シラン】の室に入るが如し ◆3 芝蘭   👉しらんのしつにいるがごとし。
徳のある人とつきあううちに自然と感化されるたとえ。〈漢字ペディア〉
★芝蘭の香の満ちた部屋に長くいると、やがてその香が身にしみつくから。
*『孔子家語-六本』
シラン
915 【シラン】の化 ◆3 芝蘭   👉しらんのか。
徳の高い人とつきあうことによって、いつの間にかその美しい徳から感化されること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『孔子家語-六本』
シラン
916 【セキヒン】洗うが如し ◆3 赤貧   👉せきひんあらうがごとし。
金も物もまったくない、極端な貧乏ぐらしの形容。〈漢字ペディア〉
★「赤貧」は、極めて貧しく何一つ持ち物のないこと。
*『日本風景論〈志賀重昂〉九』
セキヒン
917 【セキヘキ】宝に非ず、寸陰是競う ◆3 尺璧   👉せきへきたからにあらず、すんいんこれきそう。
大きな宝玉よりも、時間のほうが貴重であるという戒め。〈漢字ペディア〉
★「尺璧」は、直径が一尺もあるような宝玉の意。
★「寸陰」は、わずかな時間の意。
*『金言童子教』
セキヘキ
918 【セッキ】骨を銷す ◆3 積毀   👉せっきほねをしょうす。
悪口も積み重なると、ついには硬い骨も溶かしてしまう。多くの人の言うことの恐ろしさをたとえたもの。〈漢字ペディア〉
★「毀」は、そしる意。
★「銷」は、溶かす意。
*『風俗通-正失』
セッキ
919 積毀骨を【ショウ】す ◆3   👉せっきほねをしょうす。
悪口も積み重なると、ついには硬い骨も溶かしてしまう。多くの人の言うことの恐ろしさをたとえたもの。〈漢字ペディア〉
★「毀」は、そしる意。
★「銷」は、溶かす意。
*『風俗通-正失』
ショウ
920 千里の馬は常に有れども【ハクラク】は常には有らず ◆3 伯楽   👉せんりのうまはつねにあれどもはくらくはつねにはあらず。
有能な人はいくらでもいるが、それを見いだして力を発揮させる人はなかなかいないというたとえ。〈漢字ペディア〉
★「千里の馬」は、一日に千里も走るすぐれたウマのことで、転じてすぐれた人の意。
★「伯楽」は、ウマの良否を見分ける名人。
★名馬はいつの時代でもいるが、その馬を見つけ出して、その能力を発揮させる伯楽はいない意。
*『韓愈-雑説・四』
ハクラク
921 【ソウジョウ】の仁 ◆3 宋襄   👉そうじょうのじん。
無用なあわれみをかけ、不利益をこうむること。愚かな恩情のたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、春秋時代、宋の襄公(ジョウコウ)が楚(ソ)と戦ったとき、敵陣が整う前に攻めるべきだという部下の進言をしりぞけ、君子ぶって敵の準備が整ってから戦闘を開始して敗れた故事から。
*『十八史略-宋』
ソウジョウ
922 【ソウシン】人を殺す ◆3 曽参   👉そうしんひとをころす。
うそも度重ねて言われると、ついにはそれを信じるようになるというたとえ。〈漢字ペディア〉
★親孝行で名高い孔子の門人、曽参の母に、ある者が「曽参が人を殺した」と誤って伝えた。二人目までは信じなかった母親も、三人目が同じことを告げたときには、織りかけの機(ハタ)をほうりだして飛びだしたという故事から。
*『戦国策-秦策・上』
ソウシン
923 大声、【リジ】に入らず ◆3 里耳 俚耳 👉たいせい、りじにいらず。
あまりに高尚な道理は、俗人にはなかなか理解されない。〈漢字ペディア〉
★「大声」は、高雅な音律の意。
★「里耳・俚耳」は、俗人の耳の意。
★高雅な音楽は俗人の耳には分かりにくい意から。
*『荘子-天地』
リジ
924 【チョウベン】馬腹に及ばず ◆3 長鞭   👉ちょうべんばふくにおよばず。
いかに力があっても、なお及ばないところがあるたとえ。〈漢字ペディア〉
★鞭(ムチ)が長すぎると、かえってウマの腹に届かないことから。
*『春秋左氏伝-宣公一五年』
チョウベン
925 【チョウモン】の一針 ◆3 頂門   👉ちょうもんのいっしん。
人の急所を鋭くつく戒めのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「頂門」は、頭のてっぺんのことで、そこに一本の針を突き刺す意から。
*『蘇軾-王遵巖評』
チョウモン
926 土に【キュウ】 ◆3   👉つちにきゅう。
いくら努力しても効果がないこと。無駄なことのたとえ。ことわざ。〈漢字ペディア〉
類:糠に釘
*『滑稽本・和荘兵衛-四・大人国』
キュウ
927 【デンソ】化して鶉となる ◆3 田鼠   👉でんそかしてうずらとなる。
陰暦三月のこと。ウズラが麦畑などでしきりに鳴くのどかな春の季節感を表した言葉。〈漢字ペディア〉
★モグラがウズラになるという中国古代の民間伝承から。
*『礼記-月令』
デンソ
928 生涯は【テンポウ】に似たり ◆3 転蓬   👉しょうがいはてんぽうににたり。
志成らず、ついに一生涯は風のまにまに転がっていく、根を離れた蓬の玉のようなものである。〈中国古典名言事典〉
*『杜子美-哥舒開府に投贈す二十韻』
テンポウ
929 【バクシュウ】の嘆 ◆3 麦秀   👉ばくしゅうのたん。
国の滅亡を嘆き悲しむこと。〈漢字ペディア〉
★「麦秀」は、麦の穂がのびていること。
★中国、殷(イン)の滅亡後、殷の王族だった箕子(キシ)が旧都を通り、栄華をきわめた宮殿跡が畑になり、麦が育っているのを見て、詠嘆の詩を作った故事から。
*『史記-宋微子世家』
バクシュウ
930 【ハクラク】の一顧 ◆3 伯楽   👉はくらくのいっこ。
不遇だった者が有力者によって引き立てられるたとえ。〈漢字ペディア〉
★良馬を売ろうとして市に出た者が、いっこうに売れないので、ウマの鑑定の名人、伯楽に頼んで、通りすがりにそのウマを一度振り返って見てもらうと、たちまち十倍の値がついたという故事から。
*『戦国策-燕策・五』
ハクラク
931 万緑【ソウチュウ】紅一点 ◆3 叢中   👉ばんりょくそうちゅうこういってん。
多くの男性のなかに、女性がただ一人いることのたとえ。また、多くのもののなかに、一つだけすぐれたものが存在するたとえ。〈漢字ペディア〉
★あたり一面の緑の草むらのなかに、一輪の赤い花がある意から。
*『王安石-詠石榴詩』
ソウチュウ
932 飛脚に三里の【キュウ】 ◆3   👉ひきゃくにさんりのきゅう。
勢いのある者に、さらに勢いが加わることのたとえ。走り馬に鞭。〈漢字ペディア〉
★「三里」は、膝頭(ヒザガシラ)の下の少しくぼんだところで、灸の急所。
★もともと足の速い飛脚の足に灸をすえれば、ますます速さを増す意から。
*『譬喩尽-八』
キュウ
933 【フイ】の友 ◆3 布衣   👉ふいのとも。
地位身分や貧富などのちがいを越えてつきあう友人のこと。〈漢字ペディア〉
★「布衣」は、木綿または麻の衣服のことで、庶民をいう。
*『史記-范雎伝』
フイ
934 【フシン】の憂い ◆3 負薪   👉ふしんのうれい。
自分が病気であることを遠回しにいう言い方。〈漢字ペディア〉
★薪(マキ)を背負って働いたために体調をくずしたという意から。
*『礼記-曲礼・下』
フシン
935 面に【ダ】せば自ら乾く ◆3   👉めんにだせばおのずからかわく。
他人に侮辱されてもじっと耐えて、不満を示さない忍耐力が大切であることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、唐の役人で武将であった婁師徳(ロウシトク)が、役人になる弟に「相手につばを吐きかけられても、つばが乾くまでこらえよ」と忍耐について教え諭したという故事から。
*『新唐書』
936 夜行くに【シュウ】を被る ◆3 👉よるいくにしゅうをきる。
功名を立てても、故郷へ帰らなければだれも認めてくれないたとえ。〈漢字ペディア〉
★夜中に刺繡(シシュウ)をほどこしたりっぱな衣服を着て歩いても、だれも見てくれないの意から。
*『史記-項羽本紀』
シュウ
937 【リョオウ】の枕 ◆3 呂翁   👉りょおうのまくら。
=邯鄲の夢
人の世の栄華がはかないたとえ。〈漢字ペディア〉
*不明
リョオウ
938 藜羹を食らう者は【タイロウ】の滋味を知らず ◆3 大牢   👉れいこうをくらうものはたいろうのじみをしらず。
いやしい人間には、高尚で奥深いことは理解できないということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「大牢」は、りっぱなごちそう、最高の料理の意。
★粗末な食事ばかりしている者には、りっぱなごちそうの味はわからないという意から。
*不明
タイロウ
939 【アメウシ】に腹突かれる ◆3 黄牛   👉あめうしにはらつかれる。
軽く見ていた相手にやり込められることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「黄牛」は、牝牛の別名。飴色の毛の牛で、性質は温順。
★角もなくおとなしい牝牛に腹を突かれるという意から。
*『十訓抄-三・俊綱下播磨大宮先生義定詠尾上松歌事』
アメウシ
940 【オクロウ】に愧じず ◆3 屋漏   👉おくろうにはじず。
たとえ人が見ていないところでも、恥ずかしい行いをしないこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「屋漏」は、室の西北の隅。家の最も奥まった暗い所。転じて、人の見ていない所の意。
*『詩経-大雅』
オクロウ
941 【ウツバリ】の塵を動かす ◆3   👉うつばりのちりをうごかす。
歌声のすばらしいたとえ。また、音楽の巧みなたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、漢代の虞公(グコウ)という歌の名手が歌うと、その声が響き渡って梁の上の塵まで動いたという故事から。
*『劉向別録』
ウツバリ
942 【リョウジン】を動かす ◆3 梁塵   👉りょうじんをうごかす。
歌声のすぐれていること。音楽にすぐれていることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★中国、漢の時代の魯の虞公は大変な美声で、歌うと梁(ハリ)の上の塵(チリ)まで動いたという故事による。
*『七略別録』
リョウジン
943 【イキン】の栄 ◆3 衣錦   👉いきんのえい。
成功して故郷に錦(ニシキ)を飾る栄誉。〈漢字ペディア〉
*『欧陽脩-相州画錦堂記』
イキン
944 【イコウ】鶴を好む ◆3 懿公   👉いこうつるをこのむ。
大切にすべき者を軽視してつまらぬ者を大切にし、身を滅ぼすことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★中国春秋時代、衛の君主懿公は臣下や国民よりも鶴を愛し、爵位を与えたりして大切にした。戦争が起きたとき、懿公が兵に戦うように命じたが、「鶴に戦わせればいい」と言って協力しなかったため、懿公は身を滅ぼしたという故事から。
*『春秋左伝-閔公二年』
イコウ
945 【イチエイ】眼があれば空華乱墜す ◆3 一翳   👉いちえいまなこにあればくうげらんついす。
一点の理に対するとらわれから無数の迷いが生じるというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★眼の中に一点でも翳(カゲ)りが有れば、さまざまな幻影・幻覚が乱れ落ちてくる意。
*『景徳伝燈録-福州芙蓉山・霊訓禅師』
イチエイ
946 【ゴドウ】角を断つ ◆3 梧桐   👉ごどうつのをたつ。
柔よく剛に勝つたとえ。〈中国古典名言事典〉
★柔らかな梧桐がかえって堅い角を断ち切る意。
*『』
ゴドウ
947 一家を【キチョ】す ◆3 機杼   👉いっかをきちょす。
工夫をこらして独自の文体や表現法を確立し、一派をおこすこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「機杼」は、杼(ヒ)で、はたの横糸を通す道具。転じて、はたを織るように工夫して、文章を作ること。
*『北史-祖瑩伝』
キチョ
948 【イッチュウ】を輸す ◆3 一籌   👉いっちゅうをゆす。
わずかな差で負けることのたとえ。また、一歩遅れること。やや劣ることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「籌」は、勝負事などで数を計算するときに用いた細長い竹の棒。
★「輸す」は、負ける意。
*『陸游-九月六夜夢中作笑詩詩』
イッチュウ
949 【イッピ】の労 ◆3 一臂   👉いっぴのろう。
わずかな労力。少しの骨折り。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『火の柱〈木下尚江〉一八・一』
イッピ
950 【イツビ】の言 ◆3 溢美   👉いつびのげん。
度を越したほめ過ぎの言葉。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「溢」は、度を越すという意。
*不明
イツビ
951 【イトン】の富 ◆3 猗頓   👉いとんのとみ。
巨万の富、莫大な財産のこと。〈漢字ペディア〉
★中国、春秋時代、魯(ロ)の頓という男が陶朱(トウシュ)公の教えを受け、猗氏という土地でウシやヒツジを飼って大いに財をなしたという故事から。
*『史記-貨殖伝』
イトン
952 衣は【ハク】を重ねず ◆3   👉いははくをかさねず。
質素なこと。倹約すること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「帛」は、絹の着物。
★絹の着物を二枚重ねて着ていないという意から。
*『尹文子-大道・上』
ハク
953 【イヒン】の器 ◆3 渭浜   👉いひんのき。
将相となるべき大人物をいう。〈日本国語大辞典〉
★「渭」は、黄河の支流。渭水。
★「浜」は、ほとり。
★「器」は、立派な人物。
★渭水のほとりで釣りをしていた太公望が、周の文王に見出されて、将相となったという故事から。
●〈平成29年度・第3回出題,大問㈧,小問3〉
*『儲光羲-哥舒大夫頒徳詩』
イヒン
954 【イラン】の林に交われども赤栴檀の香は失せず ◆3 伊蘭   👉いらんのはやしにまじわれどもしゃくせんだんのかはうせず。
劣悪な環境の中にあっても、人の心の中の清らかなものは失われないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「伊蘭」は、煩悩の心のたとえ。
★「栴檀」は、念仏の心のたとえ。
*『観仏三昧海経-一』
イラン
955 家に【ヘイソウ】有り、之を千金に享つ ◆3 弊帚 敝帚 👉いえにへいそうあり、これをせんきんにあつ。
うぬぼれが強いことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「弊帚」は、こわれて役に立たない古いほうき。
★「享つ」は、相当する意。
★自分の家の破れたほうきを、千金の価値があると思い込む意から。
*『曹丕-典論・論文』
ヘイソウ
956 【イゲン】の佩 ◆3 韋弦   👉いげんのはい。
自分の性格を改めて修養しようと戒めの為のものを身に付けること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「韋」は、なめし皮。
★「弦」は、ゆみづるで強くきびしい。
★昔、中国の西門豹がなめし皮を身につけて、その性急な性格を戒め、董安于が弓づるを帯びて、その緩慢な性格を改めたという故事から。
*『韓非子-観行』
イゲン
957 【ウ】方なれば水方なり ◆3   👉うほうなればみずほうなり。
君主という器次第で、人民はよくも悪くもなるということのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「盂」は、盆の一種。はち、わん。
★「方」は、四角形の意。
★容器が四角形ならば、中の水も四角形になることから。
*『韓非子-外儲説・左上』
958 魚は【ジョウロウ】に焼かせよ、餅は下種に焼かせよ ◆3 上臈 👉さかなはじょうろうにやかせよ、もちはげすにやかせよ。
魚や餅の上手な焼き方を言ったもの。また、仕事によって人には適不適があるから、ふさわしい人を選べということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「上掾vは、身分の高い婦人。
★「下種」は、身分の卑しい者。
★魚はおっとりした人がゆっくり焼いた方が身が崩れないので良いが、餅はがつがつした人が何度もひっくり返した方が焦げすぎないので良いという意から。
*『諺苑』
ジョウロウ
959 【エイマン】の咎 ◆3 盈満   👉えいまんのとが。
富や権力が絶頂に達すると、必ず衰退の兆しが表れること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「盈満」は、満ち足りること。
★物事が満ち足りているときは、災いが生じやすいという意から。
*『後漢書-方術伝折像』
エイマン
960 越鶏は【コクラン】を伏す能わず ◆3 鵠卵   👉えっけいはこくらんをふくすあたわず。
人の才能を超えた大きなことを求めても無理だというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「越」は、昔、中国の東南にあった地方の古名。
★「鵠」は、白鳥。
★「伏す」は、卵を抱いて孵(カエ)す意。
★小型の越の鳥は白鳥の大きな卵を温めることは不可能なことから。
●〈平成29年度・第2回出題,大問㈧,小問5〉
*『荘子-庚桑楚』
コクラン
961 【エンカ】の駒 ◆3 轅下   👉えんかのこま。
無理なことを強いられて苦しむこと。また、人から束縛されて自由にならないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「轅」は、牛馬に引かせるために、馬車の左右両側から前に差し出た二本の棒。ながえ。
★「駒」は、二歳の若い馬。
★まだ力が弱いのに車につながれた若馬の意から。
*『史記-魏其武安伝』
エンカ
962 【エンソ】河に飲むも満腹に過ぎず ◆3 偃鼠 鼴鼠
鼹鼠
👉えんそかわにのむもまんぷくにすぎず。
人はそれぞれの分に応じて満足するものであるたとえ。身の程を知るがよいということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「偃鼠・鼴鼠」は、もぐら。
★もぐらが河の水を飲んでも、小さな腹を満たすにすぎない意から。
*『荘子-逍遙遊』
エンソ
963 愛【オクウ】に及ぶ ◆3 屋烏   👉あいおくうにおよぶ。
愛情が深いことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★人を愛すると、その人の家の屋根にいるカラスまでかわいいと思うようになるという故事から。
類:屋烏の愛
*『説苑-貴徳』
オクウ
964 【ウ】を好むに瑟を鼓す ◆3   👉うをこのむにしつをこす。
人の好みに合わないことをするたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「竽」は、笙(ショウ)に似た竹製の楽器。
★「瑟」は、大型の琴。
★「鼓す」は、かき鳴らす意。
★相手は竽を好むのに、自分の好きな瑟を鳴らして聞かせることから。
*『韓愈-答陳商書』
965 思い【オモクサ】思われ面皰 ◆3 面瘡   👉おもいおもくさおもわれにきび。
にきびは、人を恋しく思ったり人に思いを寄せられていたりする証拠だということ。若い男女を冷かしていうことが多い。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「面瘡」は、にきび、そばかすなどのこと。
*『日本俚諺大全』
オモクサ
966 表木綿の裏【カイキ】 ◆3 甲斐絹 海気
海黄
👉おもてもめんのうらかいき。
うわべを地味にして、目に見えない所に贅沢をすることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「甲斐絹」は、甲斐(山梨県)で作られる平織の絹布。
★木綿の表地でできた着物の裏地に、甲斐絹をつけることから。
*『諺語大辞典』
カイキ
967 【オンザ】の初物 ◆3 穏座   👉おんざのはつもの。
盛りを過ぎるころの果物や野菜などは、初物と同じように珍重されるということ。また、物事の終わりがよい時や、晩年になって知識や芸能などが大成することのたとえにも用いられる。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「穏座」は、朝廷などで正式の宴会がすんだあと、くつろいで行う略式の飲食や奏楽。転じて、盛りを過ぎた物、とくに果物や野菜について言う。
類:終わり初物
類:末の初物。
*『俳諧・鷹筑波-二』
オンザ
968 【カイケイ】の恥 ◆3 会稽 会𥡴 👉かいけいのはじ。
敗戦の屈辱。また、他人から受けた酷い恥辱。積年の恨みや恥辱にも言う。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「会稽」は、中国浙江(セッコウ)省紹興(ショウコウ)市の東南にある会稽山。
★中国、春秋時代、越王勾践(コウセン)は会稽山の戦闘で呉王夫差(フサ)に敗れ、さまざまな屈辱を味わったという故事から。
*『史記-越世家』
カイケイ
969 【カイトク】車を破る ◆3 快犢   👉かいとくくるまをやぶる。
元気過ぎて乱暴な子供は、将来大物になる可能性があること。そうした子は将来有望であるから成長が楽しみであること。また、そうした子供には自制させて無事に成長させるべき意にも用いる。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「快犢」は、元気の良い子牛。
★元気のよい子牛は車を壊すこともあるが、成長した後が楽しみだという意から。
*『晉書-石季龍載記・上』
カイトク
970 【ガイフウ】南よりして彼の棘心を吹く ◆3 凱風   👉がいふうみなみよりしてかのきょくしんをふく。
母親が愛情をもって子供を暖かく見守り育てることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「凱風」は、万物を成長発育させる暖かい南風で、母の慈愛を表す。
★「棘心」は、とげのあるいばらの木の芽生えで、手のかかる子を表す。
★暖かい南風が吹いて、いばらの若い芽を育てる意から。
*『詩経-邶風・凱風』
ガイフウ
971 【ウツバリ】の燕 ◆3   👉うつばりのつばめ。
我が子を思う親の深い愛情のたとえに言う。〈日本国語大辞典〉
★梁(ヤナ)に巣をつくり育てる燕の意。
*『謡曲・丹後物狂』
ウツバリ
972 鏡明らかなれば則ち【ジンコウ】止まらず ◆3 塵垢   👉かがみあきらかなればすなわちじんこうとどまらず。
心の美しい人は、欲望に心を乱されることはない。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★磨かれた鏡は、塵や垢でも、曇ることがないという意から。
*『荘子-徳充符』
ジンコウ
973 餓鬼も【ニンズ】 ◆3 人数   👉がきもにんず。
取るに足りない者でも時には何かの役に立つこともあるたとえ。また、取るに足りない者でも大勢集まるとあなどりがたいたとえ。〈漢字ペディア〉
*『月庵酔醒記-中・世活』
ニンズ
974 【カシ】の璧 ◆3 和氏   👉かしのへき。
中国古代の名高い宝玉の名。〈漢字ペディア〉
★中国、春秋時代、楚(ソ)の卞和(ベンカ)が山中で宝石の原石を見つけ、脂、(レイオウ)に献上したところ、ただの石と鑑定され罰に左足を切られた。のち武王に献じたが、やはり石ころと鑑定され右足を切られた。その後、文王のとき、今度は献上せず玉を抱いて涙を流していたところを文王に下問され、文王が鑑定させたところ、果たして天下の宝玉であったという故事から。
*『韓非子-卞和篇』
カシ
975 【カセイ】は虎よりも猛し ◆3 苛政   👉かせいはとらよりもたけし。
むごい政治を戒める語。〈漢字ペディア〉
★むごい政治が人民を苦しめるのは、人食いトラよりも激しく恐ろしいということ。
*『礼記-檀弓下』
カセイ
976 花中の【オウゼツ】は花ならずして芳し ◆3 鶯舌 鴬舌 👉かちゅうのおうぜつははなならずしてかんばし。
周囲の環境が良いと、その中に居るものも自然に良くなることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★花の中で鳴くウグイスの声は、花がにおうように美しく感じられるという意から。
*『虎明本狂言・花子』
オウゼツ
977 【エッケン】雪に吠ゆ ◆3 粤犬   👉えっけんゆきにほゆ。
識見の狭い者は他の卓絶した言行に対し、疑い怪しんで非難する。〈中国古典名言事典〉
★粤(エツ)の地方は雪が少ないので、雪が降ると、常ならば雪をよろこぶ犬が怪しんで吠える意。
*『楊万里-茘子歌』
エッケン
978 【カデン】に履を納れず ◆3 瓜田   👉かでんにくつをいれず。
人に疑われるようなことはするなということ。〈漢字ペディア〉
★ウリ畑でくつをはきなおすとウリを盗んでいると疑われるおそれがあることから。
*『古楽府-君子行』
カデン
979 【ガトウ】の側他人の鼾睡を容れず ◆3 臥榻   👉がとうのかたわらたにんのかんすいをいれず。
自分の国以外の国の独立を許すわけにはいかない。あくまでも天下を統一する意志があるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「臥榻」は、寝台。
★「鼾睡」は、いびきをかいて眠ること。
★自分の寝台のそばで大きないびきをかいているじゃま者の存在を許すことはできない意。
*『十八史略-宋・太祖皇帝』
ガトウ
980 神の【ホクラ】も梯のままに ◆3 神庫   👉かみのほくらもはしだてのままに。
一見困難と思われることでも、適切な手段を用いれば、実現できることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「神庫」は、神宝を納めておく蔵。
★「梯」は、はしごの意。
★高くて近寄りがたい神庫でも、はしごをかければ登れるという意から。
*『書紀(720)垂仁八七年二月』
ホクラ
981 【カリョウ】の別れ ◆3 河梁   👉かりょうのわかれ。
人と別れること。特に親しい人を見送るつらい別れ。〈漢字ペディア〉
★「河梁」は、河に架けられた橋。
★匈奴(キョウド)に捕らわれていた漢の李陵(リリョウ)が、先に郷里に帰る蘇武(ソブ)に「手を携(タズサ)えて河梁に上る…」という惜別の詩を送ったことから。
*『李白-蘇武詩』
カリョウ
982 餓狼の【ホウチュウ】を守る如し ◆3 庖厨 庖廚 👉がろうのほうちゅうをまもるごとし。
大切なものをもっとも危険な人物に守らせることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「餓狼」は、飢えた狼。
★「庖厨」は、台所。
★飢えた狼に台所を守らせるという意から。
*『後漢書-仲長統伝』
ホウチュウ
983 河は【イイ】を以ての故に能く遠し ◆3 委蛇   👉かわはいいをもってのゆえによくよおし。
大きな事を成し遂げるには、あせって一線に進むのではなく、段階を踏んでこそ達成できることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「委蛇」は、曲がりくねるさま。
★川は曲がりくねって流れるから、遠くまで流れることができるという意から。
*『説苑-説叢』
イイ
984 【カワラケ】の欠けも用あり ◆3 土器 👉かわらけのかけもようあり。
不要だと思われる物でも、何かの役に立つ事があるというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「土器」は、素焼きの陶器。
★用をなさない壊れた土器でも、何かの役に立つことから。
*『町人囊-序』
カワラケ
985 【カンガイ】相望む ◆3 冠蓋 冠葢 👉かんがいあいのぞむ。
使者が次々に送り出されるさま。〈漢字ペディア〉
★使者の冠と使者を乗せた車のおおいが順々に見える意。
*『戦国策-襄王』
カンガイ
986 【カン】無きを以て吠えざるの狗を畜うべからず ◆3 👉かんなきをもってほえざるのいぬをかうべからず。
天下太平の世の中でも、無能な人間を登用すべきではないということのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★悪人がいないからといって、吠えない犬を飼う必要はないという意から。
*『蘇軾-上神宗皇帝書』
カン
987 【カンピョウ】の一斑 ◆3 管豹   👉かんぴょうのいっぱん。
物の見方や考え方の狭いことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★管を通して豹の毛皮を覗き、その斑の一部を見ることから。
*『晉書-王献之伝』
カンピョウ
988 【キ】、塩車に服す ◆3   👉き、えんしゃにふくす。
すぐれた人物が世に認められないでつまらない仕事をさせられることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「驥」は、一日に千里を走るという名馬。
★「塩車」は、塩を運ぶ車。
★名馬が塩を運ぶ車を引くのに使われる意から。
*『戦国策-楚策』
989 【キザン】の志 ◆3 箕山   👉きざんのこころざし。
世俗の名利を捨てて隠れ住み、自分の節操を守ること。〈漢字ペディア〉
*『曹丕-又与呉質書』
キザン
990 貴珠は【センボウ】より出ず ◆3 賤蚌 賎蚌 👉きしゅはせんぼうよりいず。
すぐれた人物が貧賤な境遇から生まれ出ることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「貴珠」は、真珠。
★「蚌」は、ドブ貝。からす貝の一種。
★貴重な真珠が汚いドブ貝の中からとれるという意から。
*『抱朴子-博喩』
センボウ
991 【キセキ】に入る ◆3 鬼籍   👉きせきにいる。
死亡すること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鬼籍」は、過去帳。本来の意味は、閻魔が持っている帳面で、そこには死者の氏名や死亡年月日が書き記してあるという。
★過去帳に記入されるということから。
*『経国美談〈矢野龍渓〉前・七』
キセキ
992 【ギバ】、扁鵲でもいかぬ ◆3 耆婆   👉ぎば、へんじゃくでもいかぬ。
不治の病のたとえ。また、事態が深刻でどうにもならないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「耆婆」は、古代インドの名医。
★「扁鵲」は、古代中国の名医。
★耆婆や扁鵲という名医をもってしても治らないという意から。
*『俚言集覧』
ギバ
993 【ギュウテイ】鶏を烹る ◆3 牛鼎   👉ぎゅうていにわとりをにる。
大きな才能をもつ人には、小さな仕事は適さないたとえ。〈漢字ペディア〉
★ウシを煮るほどの大きななべは、ニワトリを煮るのに適さない意から。
*『史記』
ギュウテイ
994 一簞の【シ】、一瓢の飲 ◆3   👉いったんのし、いっぴょうのいん。
きわめて貧しい食事のこと。また、清貧に甘んずること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「簞」は、わりご。竹製の食器。
★「瓢」は、ひさご。酒や水を入れる器。
★わりご一杯の飯と、ひさご一杯の飲み物という意から。
*『論語-雍也』
995 【キョッコウ】の楽しみ ◆3 曲肱   👉きょっこうのたのしみ。
貧しいなかから見いだされる楽しみ。〈漢字ペディア〉
★「曲肱」は、ヒジを曲げて枕にして眠ること。貧しい生活のたとえ。
*『論語-述而』
キョッコウ
996 【キンカク】の贈 ◆3 巾幗   👉きんかくのぞう。
意気地のないことをあざけること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「巾幗」は、女性の髪飾り。一説に、女性が喪中にかぶる冠。
★女性用の髪飾りを男性に贈る意から。
*『晉書-宣帝紀』
キンカク
997 騏驥の【キョクチョク】するは駑馬の安歩に如かず ◆3 跼躅   👉ききのきょくちょくするはどばのあんぽにしかず。
どんなにすぐれた人間でも怠けていれば、平凡だが努力し続ける人間にはかなわないというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「騏驥」は、一日に千里を走るという名馬。
★「跼躅」は、ぐずぐずして進まないこと。
★「駑馬」は、足ののろい馬。
★「安歩」は、静かにゆっくりと歩くこと。
★すぐれて足の速い馬でも、ぐずぐずしていれば、ゆっくりと歩き続ける駄馬に及ばないという意から。
*『史記-淮陰侯伝』
キョクチョク
998 【キンラン】の契り ◆3 金蘭   👉きんらんのちぎり。
固く美しい友情のこと。〈漢字ペディア〉
★「金」は、固いもののたとえ。
★「蘭」は、美しいたとえ。
*『易経-繫辞・上』
キンラン
999 金を炊ぎ玉を【セン】す ◆3   👉きんをかしぎぎょくをせんす。
豪華で贅沢な食事。歓待されたことに感謝の気持ちを述べる時にも用いる。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「饌す」は、食べる。また、並べる。
★黄金を炊いて食物とし、玉を取りそろえて膳に並べるという意から。
*『駱賓王-帝京篇』
セン
1000 【イサゴ】に黄金、泥に蓮 ◆3
砂子
沙子
👉いさごにこがね、でいにはちす。
つまらない物の中にに良い物が混じっていることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★砂に砂金が混じっていたり、泥沼の中で蓮の花が咲いたりすることから。
*『謡曲・阿古屋松』
イサゴ
1001 強弩の末【ロコウ】に入る能わず ◆3 魯縞   👉きょうどのすえろこうにいるあたわず。
初めは強いものでも衰えては力がなくなり、何事もできなくなることのたとえ。英雄や強国の末路にいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「強弩」は、引き金仕掛けの強い石弓。
★「魯縞」は、魯の国で生産される薄手の絹。
★強い弓から放たれた矢も、ついには力が弱って、魯国に産する薄い絹をつらぬくこともできないほどになる意。
*『漢書-韓安国伝』
ロコウ
1002 【キカク】の勢い ◆3 掎角   👉きかくのいきおい。
前後から呼応して敵に当たる態勢をいう。〈新大字典〉
★「掎角」は、前後相応じて敵に当たること。鹿を捕獲するとき、後ろからあしを引くのを「掎」、前から角をつかむのを「角」ということから。
*『北史-爾朱栄伝』
キカク
1003 君子【トウトウ】として小人戚戚たり ◆3 蕩蕩   👉くんしとうとうとしてしょうじんせきせきたり。
君子は道に従って行動するから、心は穏やかでのびのびとしているが、小人はいつもくよくよと思い悩んでいるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蕩蕩」は、穏やかで心がゆったりしていること。
★「戚戚」は、心配してくよくよすること。
*『論語-述而』
トウトウ
1004 君子は【ホウチュウ】を遠ざく ◆3 庖厨 庖廚 👉くんしはほうちゅうをとおざく。
君子は生き物の死をあわれんで、それらが料理される台所には近寄らないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「庖厨」は、台所の意。
*『孟子-梁恵王・上』
ホウチュウ
1005 蛍火を以て【シュミ】を焼く ◆3 須弥   👉けいかをもってしゅみをやく。
微力な者が、できもしない大きなことをしようとするたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「須弥」は、須弥山(シュミセン)。仏教の世界観で、宇宙の中心にそびえるという高い山。
★小さな蛍の火で須弥山のような大きな山を焼こうとする意から。
*『大方広円覚修多羅了義経略疏-二』
シュミ
1006 【ケイケイ】甕裏の天 ◆3 醯鶏   👉けいけいおうりのてん。
世間知らずで見識の狭い人のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「醯鶏」は、酢や酒の甕(カメ)などに住む小虫。かつおむし。
★「甕裏」は、甕の中。
★甕の底に住む小虫が、甕の中だけを天地と考えて外界を知らないことから。
*『荘子-田子方』
ケイケイ
1007 【ケツ】の犬尭に吠ゆ ◆3   👉けつのいぬぎょうにほゆ。
人間は、自分の主人から目を掛けられ、恩義を受けると、主人のためにはどんなことでもするようになるというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「桀」は、中国古代夏(カ)王朝の暴君。
★「尭」は、中国古代の伝説上の帝王。理想的な君主。
★暴君の桀王に飼われている犬は、主人の命令があれば聖人の尭帝にも吠えつくということから。
*『鄒陽-獄中上梁王書』
ケツ
1008 【ケンカ】玉樹に倚る ◆3 蒹葭   👉けんかぎょくじゅによる。
身分の低い人物が、身分の高い親戚の勢いを借りること。また、権威のある親戚のおかげで栄えるのをあざけること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蒹」は、まだ穂のででいない荻(オギ)。「葭」は生えたばかりの葦(アシ)。ともに、つまらない草の意。身分の低い者のたとえ。
★荻と葦が美しい木に寄りかかって生存している意から。
●〈平成29年度・第2回出題,大問㈧,小問2〉
*『世説新語-容止』
ケンカ
1009 【ケンケン】壅がざれば終に江河となる ◆3 涓涓   👉けんけんふさがざればついにこうがとなる。
災いは、小さなうちに断ち切らなければ、大事に至ることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「涓涓」は、小川などの水が細く流れるさま。
★「江河」は、長江と黄河。大河の意。
★小さな流れの内にせき止めないと、しまいには大きな川となるということから。
*『孔子家語-観周』
ケンケン
1010 【ケンテキ】岩を穿つ ◆3 涓滴   👉けんてきいわをうがつ。
小さなことでも続ければ大事を成すたとえ。〈漢字ペディア〉
★「涓滴」は、水のしずく。したたり。
★一滴ずつの水も、とぎれることなく落ち続ければ、岩に穴をあける意から。
*不明
ケンテキ
1011 【ケンロ】の技 ◆3 黔驢   👉けんろのわざ。
自分の腕前や技量が劣っているのを自覚せずに恥をかくこと。また、取るに足りない見かけ倒しの腕前や技量。〈漢字ペディア〉
★「黔驢」は、黔州(ケンシュウ:中国貴州省)のロバ。
★ある人がロバのいない黔州にロバを連れて行き放した。トラは体の大きいロバを見て初めは恐れたが、蹴(ケ)るだけでほかに何もできないことを見破り、ついにロバを食い殺した故事から。
*『柳宗元-三戒・黔之驢』
ケンロ
1012 孔丘【トウセキ】俱に塵埃 ◆3 盗跖   👉こうきゅうとうせきともにじんあい。
聖人も悪人も、死んでしまえばみんな同じようにちりやほこりになってしまうということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「孔丘」は、孔子。
★「盗跖」は、孔子と同じ春秋時代の大泥棒。
*『杜甫-酔時歌』
トウセキ
1013 【コウキョウ】で親の頭を打つ ◆3 孝経   👉こうきょうでおやのあやまをうつ。
言うこととすることが違っていること。言行不一致のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「孝経」は、中国の経書の一つ。孔子が門人の曽参と行動について行った問答を、弟子が記録したものといわれる。
★親孝行を解く孝経で親をたたく意から。
*『秘蔵宝鑰-中』
コウキョウ
1014 【コウジ】の下必ず死魚有り ◆3 香餌   👉こうじのもとかならずしぎょあり。
人は利益を得るためには、命を落とすこともいとわないものだというたとえ。また、利益のかげには必ず危険がひそんでいるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「香餌」は、よいかおりのする餌。
*『三略-上略』
コウジ
1015 【ゴウシャ】の眷属 ◆3 恒沙   👉ごうしゃのけんぞく。
きわめて多くの同類や同族。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「恒沙」は、恒河(ガンジス川)の砂。無限の数量のたとえ。
*『車屋本謡・春日龍神』
ゴウシャ
1016 【コウセン】の路上老少無し ◆3 黄泉   👉こうせんのろじょうろうしょうなし。
死は、年齢に関係なくおとずれるということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「老少」は、老人と若者のこと。
★あの世への道を行く者には、老いも若きもないという意から。
*『諺語大辞典』
コウセン
1017 【エイ】を脱す ◆3 👉えいをだっす。
才気が自然に表に現れることのたとえ。〈日本国語大辞典〉
*不明
エイ
1018 【コウモウ】を以て炉炭の上に燎く ◆3 鴻毛   👉こうもうをもってろたんのうえにやく。
きわめて簡単に物事が片付くことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鴻毛」は、おおとりの毛。
★おおとりの毛は炉の炭の上ですぐに燃えてしまうことから。
*『史記-刺客伝・荊軻』
コウモウ
1019 呉下の【アモウ】 ◆3 阿蒙   👉ごかのあもう。
いつまでも進歩がない昔のままの人間であるたとえ。また、無学な者のたとえ。〈漢字ペディア〉
★「呉下」は、呉国にいるということ。
★「阿」は、親しんで呼びかける際に名前の上につける語。
★呉国にいたころの蒙さんの意。
★中国、三国時代、無学だった呉の呂蒙(リョモウ)は主君孫権のすすめで学問に励んだ。久しぶりに会った魯粛(ロシュク)が「もはや呉にいたころの蒙さんではない」と言って感服した故事から。
*『呉志注-呂蒙伝』
アモウ
1020 黒牛【ハクトク】を生む ◆3 白犢   👉こくぎゅうはくとくをうむ。
人間世界のまわり合わせの吉凶は一定していないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「白犢」は、白い子牛。
★中国、宋の人の家で黒い牛が白い小牛を続けて生んだので、これを孔子の言に従って天帝に奉ったところ、その家の親子が盲目になった。しかし、そのために戦争で死ぬことから免れたという故事による。
*『列子-説符』
ハクトク
1021 鵠を刻して【ボク】に類す ◆3   👉こくをこくしてぼくにるいす。
謹厳実直の人を見習って努力すれば、同じようにはなれなくても、似通った善人にはなれるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鵠」は、白鳥。
★「鶩」は、あひる。
★白鳥を彫刻してうまくできなくても、アヒルぐらいには見えるという意から。
*『後漢書-馬援列伝』
ボク
1022 【ゴソ】は五技にして窮す ◆3 梧鼠 鼯鼠 👉ごそはごぎにしてきゅうす。
器用でいろいろできるが、どれもものにならないこと。けら才。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「梧鼠・鼯鼠」は、むささび。
★むささびの五技とは飛ぶ、木登りをする、泳ぐ、掘る、走るの五つ。むささびが多くの技能を持ちながら、どれも中途半端であることからいう。
*『荀子-勧学』
ゴソ
1023 【コゾ】植えた柿の木 ◆3 去年   👉こぞうえたかきのき。
物事の成就しないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★柿は植えてから一年では実がならないところからいう。
*『歌謡・禁中千秋万歳歌-京の町』
コゾ
1024 【コチュウ】の天 ◆3 壺中 壷中 👉こちゅうのてん。
世俗を離れた別世界。また、酒を飲み世俗を忘れる楽しみ。〈漢字ペディア〉
★中国、後漢時代、費長房(ヒチョウボウ)は、薬屋の老人が店を閉めるとたちまち小さくなってつぼにとび込むのを見つけ、自分も一緒につぼに入れてもらったところ、そこにはりっぱな宮殿や山のような美酒・美肴(ビコウ)があり、楽しみを尽くして帰ってきたという故事から。
*『後漢書-方術伝下・費長房』
コチュウ
1025 【コテツ】の鮒魚 ◆3 涸轍   👉こてつのふぎょ。
危機や困難が目の前にさしせまっていること。また、窮地に立たされた人のたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「涸」は、水がかれること。
★「轍」は、車のわだちで車輪のあと。
★「鮒魚」は、ふな。
★水が枯れた轍(ワダチ)にいる鮒(フナ)の意。
*『荘子-外物』
コテツ
1026 【ウツバリ】の埃落つ ◆3   👉うつばりのほこりおつ。
歌のうまいことのたとえ。梁(ウツバリ)の塵を動かす。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浮世草子・好色二代男-五・三』
ウツバリ
1027 【サイイ】親を娯しましむ ◆3 綵衣 彩衣 👉さいいおやをたのしましむ。
親孝行のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「綵衣」は、五色の美しい模様のある衣服。
★子供が着る色模様の衣服を着て親を喜ばせるという意。
★中国、周代に老萊子(ロウライシ)という人が、70になっても色模様の着物を着、赤子のまねをしてみせて高齢の親を慰め喜ばせたという故事による。
*『曹植-鼓卑舞歌・霊芝篇』
サイイ
1028 【サイシン】の憂い ◆3 采薪   👉さいしんのうれい。
自分の病身をへりくだっていう語。〈漢字ペディア〉
★病気になって、たきぎをとりにすら行けないという意。
*『孟子-公孫丑・下』
サイシン
1029 桀の犬【ギョウ】に吠ゆ ◆3   👉けつのいぬぎょうにほゆ。
人間は、自分の主人から目を掛けられ、恩義を受けると、主人のためにはどんなことでもするようになるというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「桀」は、中国古代夏(カ)王朝の暴君。
★「尭」は、中国古代の伝説上の帝王。理想的な君主。
★暴君の桀王に飼われている犬は、主人の命令があれば聖人の尭帝にも吠えつくということから。
*『鄒陽-獄中上梁王書』
ギョウ
1030 【サク】を易う ◆3   👉さくをかう。
学徳の高い人が死ぬ。転じて、人が死ぬ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「簀」は、寝床の下にも敷く竹で編んだすのこ。
★「易」は、取り換える意。
★孔子の弟子の曽子が危篤になったとき、大夫の季孫から賜った美しい簀を敷いたまま臨終を迎えることを憚り、他の簀にかえたという故事による。
*『礼記-檀弓上』
サク
1031 【サンカイ】を植う ◆3 三槐   👉さんかいをうう。
子孫に高位高官にのぼる者の出るのを期待することのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「三槐」は、「槐」はえんじゅの木。中国周代、朝廷の庭に三本のえんじゅの木を植え、三公(太師・太傅(タイフ)・太保)がこの木の方に向かって座って執務したことから、三公を三槐、その位を槐位といった。
*『蘇軾-三槐堂銘』
サンカイ
1032 【ザンシン】国を乱し妬婦家を破る ◆3 讒臣   👉ざんしんくにをみだしとふいえをやぶる。
偽って主君に告げ口をする臣下がいれば国は乱れるし、嫉妬深い女は家の平和を壊すもとになるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「讒臣」は、事実を曲げ偽って他人の悪口を主君につげる臣下。
★「妬」は、やきもちをやくこと。
*『曽我物語-二・若君の御事』
ザンシン
1033 【サンプ】の養 ◆3 三釜   👉さんぷのよう。
給与が少なく貧しいなかで、親に孝養をつくすこと。〈漢字ペディア〉
★「釜」は、中国、春秋戦国時代の容量の単位で、食米六斗四升のこと。転じて、薄給の意。
★曽子が、わずか三釜の給料でも親に孝養をつくすことができて楽しかったが、後に3000鍾(1鍾は10釜)の高給をとるようになっても親が死んでしまって楽しくないと言ったという故事による。
*『荘子-寓言』
サンプ
1034 【ジキョウ】息まず ◆3 自彊   👉じきょうやまず。
ひたすらつとめ励んで怠らないこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「自彊」は、自らつとめはげむこと。
*『易経-乾卦』
ジキョウ
1035 【シチョウ】百を累ぬるも一鶚に如かず ◆3 鷙鳥   👉しちょうひゃくをかさぬるもいちがくにしかず。
無能な者が大勢いても、たった一人の有能な人物のすることには及ばないというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鷙鳥」は、ツバメの別称。ここでは、無能な人物のたとえ。
★「鶚」は、みさご。魚を捕食するのが巧みな大鳥。ここでは、有能な人物のたとえ。
*『漢書-鄒陽伝』
シチョウ
1036 【シ】の隙を過ぐるが若し ◆3   👉しのげきをすぐるがごとし。
時間や月日の経過の速いことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「駟」は、四頭だての馬車。
★「隙」は、すき間。
★四頭立ての馬車が戸のすき間の向こうを一瞬のうちに過ぎ去ることから。
*『礼記-三年問』
1037 【シュウイ】に在りて争わず ◆3 醜夷   👉しゅういにありてあらそわず。
兄弟や仲間と争って父母に心配をかけるようなことはしないということ。人の子としての親に対する礼を述べたもの。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「醜夷」の「醜」は、衆。「夷」は、ともがら。自分と同等の仲間の意。
*『礼記-曲礼・上』
シュウイ
1038 衆草と【ゴ】す ◆3   👉しゅうそうとごす。
賢人・君子が凡人と交わっていることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「衆草」は、多くの草。雑草。
★「伍す」は、仲間になる。交わる。
*『琴操-上・猗蘭操』
1039 【シュクバク】を弁ぜず ◆3 菽麦   👉しゅくばくをべんぜず。
この上なく愚かな者のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「菽麦」は、豆と麦。
★「弁ずる」は、区別する。
★豆と麦は区別しやすいのに、それができない意から。
●〈平成20年度・第2回出題,大問㈨,小問5〉
*『春秋左伝-成公一八年』
シュクバク
1040 【シュミセン】と丈競べ ◆3 須弥山   👉しゅみせんとたけくらべ。
比較にならないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「須弥山」は、仏説で世界の中心にそびえるという高い山。山上に帝釈天の宮殿があるという。
*『涅槃経』
シュミセン
1041 【ショウホ】履に薦く ◆3 章甫   👉しょうほくつにしく。
上下・善悪が逆になり、区別のないこと。また、有能な人物をつまらない仕事に使うこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「章甫」は、殷代の冠の名。
★「履」は、靴のこと。
★頭にかぶるものを靴にしてはく意から。
*『賈誼-弔屈原文』
ショウホ
1042 【ショウホ】を資して越に適く ◆3 章甫   👉しょうほをししてえつにゆく。
道理や目的に外れた行為や見当違いなことをするたとえ。また、ある所では必要な者でも、所によっては不必要とされるたとえ。場違いなことのたとえ。程度の低い者には高尚なことは理解できないことのたとえにも言う。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「章甫」は、殷代の冠の名。
★「資す」は、売る意。
★章甫の冠を売ろうとして、冠などかぶらない越の国へ行く意から。
*『荘子-逍遙遊』
ショウホ
1043 耆婆、【ヘンジャク】でもいかぬ ◆3 扁鵲   👉ぎば、へんじゃくでもいかぬ。
不治の病のたとえ。また、事態が深刻でどうにもならないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「耆婆」は、古代インドの名医。
★「扁鵲」は、古代中国の名医。
★耆婆や扁鵲という名医をもってしても治らないという意から。
*『俚言集覧』
ヘンジャク
1044 真金は【ト】せず ◆3   👉しんきんはとせず。
真に才能のある人は、肩書などで飾り立てたりする必要はないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鍍す」は、めっきする。
★純粋の金は、めっきする必要がないという意から。
*『李紳-答章孝標詩』
1045 【シンスイ】の労 ◆3 薪水   👉しんすいのろう。
炊事仕事の苦労。また、労を惜しまずに人に仕えて働くこと。〈漢字ペディア〉
*『梁昭明太子-陶靖節伝』
シンスイ
1046 醯鶏【オウリ】の天 ◆3 甕裏 甕裡 👉けいけいおうりのてん。
世間知らずで見識の狭い人のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「醯鶏」は、酢や酒の甕(カメ)などに住む小虫。かつおむし。
★「甕裏」は、甕の中。
★甕の底に住む小虫が、甕の中だけを天地と考えて外界を知らないことから。
*『荘子-田子方』
オウリ
1047 【スイキュウ】の夢 ◆3 炊臼   👉すいきゅうのゆめ。
妻に先立たれる夢。また、妻が死ぬことのたとえ。〈漢字ペディア〉
*『酉陽雑俎-八』
スイキュウ
1048 【ズイシュ】をもって雀を弾つ ◆3 隋珠 随珠 👉ずいしゅをもってすずめをうつ。
用いるものが適当でないたとえ。また、得るところが少なく失うことが多いたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「隋珠・随珠」は、中国春秋時代、隋侯(ショコウ)が命を助けた礼として大蛇から贈られたという天下の名玉。
★貴重な宝珠を使って雀を打ち落とす意から。
*『荘子-譲王』
ズイシュ
1049 水行して【コウリュウ】を避けざるは漁夫の勇なり ◆3 蛟竜   👉すいこうしてこうりゅうをさけざるはぎょふのゆうなり。
どんな困難に直面しても自分の天命を受け入れ、それを恐れないのが聖人の勇気であるということ。また、どんな職業にもそれなりの危険があり、勇気を必要とするということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蛟竜」は、想像上の動物。水中にひそみ、雷雨にあえば天に昇って竜になるという。
★普通の人は恐れて逃げる蛟竜がいても、漁師は平気で水上を進んでいく勇気がある意から。
*『荘子-秋水』
コウリュウ
1050 【スイレン】の政 ◆3 垂簾   👉すいれんのまつりごと。
幼少の天子に代わって、皇太后(天子の母)あるいは大皇太后(天子の祖母)が政治をとること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「垂簾」は、すだれを垂れること。
★古代中国では、男女の別がきびしかったため、皇太后などが群臣とは直接顔を合わせず、御簾(ミス)を隔てて政務を聞いたことから。
*『宋史-礼志』
スイレン
1051 桂玉の【カン】 ◆3   👉けいぎょくのかん。
よそから物価の高いところに来て生活に苦しむこと。〈漢字ペディア〉
★「艱」は、悩む、苦しむ意。
*不明
カン
1052 狐裘にして【コウシュウ】す ◆3 羔袖   👉こきゅうにしてこうしゅうす。
全体としては良いのに、一個所だけ欠点があることのたとえ。また、部分的に悪いところはあるが、全体から見れば立派であるということ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「狐裘」は、狐の腋の下の白い毛皮で作った立派なかわごろも。
★「羔袖」は、小羊の皮で作った粗末な袖。
★高価な狐のかわごろもに小羊の皮の袖をつける意から。
*『春秋左伝-襄公一四年』
コウシュウ
1053 【セイエイ】、海を塡む ◆3 精衛   👉せいえい、うみをうずむ。
不可能なことを企て、徒労に終わること。また、いつまでも悔やみ続けること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「精衛」は、海辺にすむという古代中国の想像上の小鳥の名。
★中国古代の伝説上の皇帝炎帝(エンテイ)の娘女娃(ジョア)が東海で溺れ死んでしまった。女娃は精衛という名の小鳥に化身して、西山の小石や小枝をくわえては、東海をうずめようとしたが、とうとうその効はなかったという伝説から。
*『山海経-北山』
セイエイ
1054 聖人は【セキヘキ】を貴ばずして寸陰を重んず ◆3 尺璧   👉せいじんはせきへきをとうとばずしてすんいんをおもんず。
時間の大切さを言った言葉。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「尺璧」は、直径一尺もある宝玉。
★「寸陰」は、ほんのわずかな時間。
★聖人は大きくて立派な宝玉よりも、わずかな時間を大切にするという意。
*『淮南子-原道訓』
セキヘキ
1055 性は猶【タンスイ】のごとし ◆3 湍水   👉せいはなおたんすいのごとし。
人の本性は善にも悪にもなり得るということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「湍水」は、渦巻きながら流れる水。
★人間の生まれながらの性質は、渦を巻いて流れる水のようなものであるという意。
*『孟子-告子・上』
タンスイ
1056 【セイヨウ】白を染む ◆3 青蠅 青蝿 👉せいようはくをそむ。
小人が潔白な君子を中傷しけがすたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★青ばえが白いものにたかって黒く汚す意から。
*『丁儀-試u賦』
セイヨウ
1057 【セキイン】堤を穿てば一邑を漂わす ◆3 尺蚓   👉せきいんつつみをうがてばいちゆうをただよわす。
わずかな油断から大事を引き起こすことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蚓」は、ミミズで、「尺蚓」はここでは小さなミミズ。
★「邑」は、村。
★小さなミミズが堤防に穴をあけただけでも、そこから堤防が切れて一つの村全体が水浸しになる意から。
*『劉子新論-慎隟』
セキイン
1058 【セッカイ】で腹を切る ◆3 狭匙 切匙 👉せっかいではらをきる。
できるはずのないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「狭匙・切匙」は、すり鉢の内側についた味噌などをかき落とすのに使う、しゃもじを縦半分に切ったような形の道具。
★木でできたセッカイで切腹する意から。
類:擂粉木で腹切る
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
セッカイ
1059 雪泥の【コウソウ】 ◆3 鴻爪   👉せつでいのこうそう。
人間の行為など一時的で儚いものであることのたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「雪泥」は、雪解けのぬかるみ。
★「鴻爪」は、鴻(オオトリ)の爪跡。
★雪解けのぬかるみにはおおとりの爪跡さえ残らないという意。
*『蘇軾-和子由澠池懐旧詩』
コウソウ
1060 川淵深くして【ギョベツ】之に帰し、山林茂れば禽獣之に帰す ◆3 魚鼈   👉せんえんふかくしてぎょべつこれにきし、さんりんしげればきんじゅうこれにきす。
善政の行われるところには自然に民衆が集まり、徳の高い君主のもとには有能な人材が集まるというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「魚鼈」は、魚とすっぽん。転じて、広く魚類の意。
★川の水の深い所には自然に魚が集まり、山の木が茂れば鳥や獣がそこに寄り合う意から。
*『荀子-致士』
ギョベツ
1061 千里【ガ】を命ず ◆3   👉せんりがをめいず。
遠方の友をはるばる訪ねることのたとえ。また、遠方からおいでになること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「駕を命ず」は、乗り物の用意をさせること。
★遠くにいる友人を訪ねるために、乗り物の用意を命じることから。
*『晉書-嵆康伝』
1062 【ソウチュウ】塵を生じ、釜中魚を生ず ◆3 甑中   👉そうちゅうちりをしょうじ、ふちゅううおをしょうず。
非常に貧しいことのたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「甑」は、こしき、せいろう。
★「魚」は、ぼうふらともいう。
★非常に貧しく長い間炊事をしていないので、こしきに塵がつもり、釜に魚がわくということ。
*『後漢書-范冉伝』
ソウチュウ
1063 【ソウホウ】の志 ◆3 桑蓬   👉そうほうのこころざし。
男子が天下に雄飛しようとする志をいう。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「桑蓬」は、桑弧蓬矢(ソウコホウシ)の略。桑の木で作った弓と、よもぎの茎で作った矢。
★昔、中国で男子が生まれたとき、桑の木の弓とよもぎの矢で天地四方の六方向を射て、将来の雄飛を祈ったことから。
*『常山文集-一三・七言絶句』
ソウホウ
1064 滄浪の水清まば以て吾が【エイ】を濯う可し ◆3   👉そうろうのみずすまばもってわがえいをあらうべし。
世の中が平穏な時には、中央に出て使えるということ。また、世の中の移り変わりに応じて柔軟に行動するたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「滄浪」は、川の名。揚子江の支流漢水の下流。
★「纓」は、冠のひも。
★滄浪の水の流れが澄んだ時は、冠のひもを洗って出て行き君に仕えようという意から。
*『楚辞-漁父』
エイ
1065 老いて【トフ】の功を知る ◆3 妬婦   👉おいてとふのこうをしる。
若いうちは、やきもちやきの妻がうるさく感じられてしかたがなかったが、老年になると本当の値うちがわかってくる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「妬婦」は、やきもちやきの妻。
●〈平成29年度・第1回出題,大問㈧,小問9〉
*『五雑組-人部四』
トフ
1066 粟の【ヒ】有るが若し ◆3 👉ぞくのひあるがごとし。
よい物の中に悪い物が混じっているたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「粟」は、米・きび・あわなど、穀物の総称。ここでは、もみのままの穀物の意。
★「秕」は、からばかりで実の入っていないもみ。しいな。
★実の入っているもみの中に、実の入っていないシイナが混じっているようなものだという意から。
*『書経-仲虺之誥』
1067 鼠穴を治めて【リリョ】を壊る ◆3 里閭   👉そけつをおさめてりりょをやぶる。
小さな害を除こうとして大切なものを台無しにしてしまうたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「里閭」は、村の入口の門。
★鼠を退治しようとして村の門を壊してしまうという意から。
*『淮南子-説林訓』
リリョ
1068 楚囚其の冠を【エイ】す ◆3   👉そしゅうそのかんむりをえいす。
祖国を忘れず、その誇りを持ち続けること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「楚囚」は、捕虜となった楚の国の人。
★「纓す」は、冠のひもをあごの下で結ぶ。
★楚の人は、捕虜となってもなお故国の冠をつけているという意から。
*『文天祥-正気歌』
エイ
1069 刀下の鳥【リンソウ】に交わる ◆3 林藪 林薮 👉とうかのとりりんそうにまじわる。
九死に一生を得た思いをすることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★斬り殺されようとした鳥がのがれて、林ややぶの中で遊ぶ意。
*『源平盛衰記-四七・六代蒙免上洛』
リンソウ
1070 大功を天下に建つる者は必ず先ず【ケイモン】の内を修む ◆3 閨門   👉たいこうをてんかにたつるものはかならずまずけいもんのうちをおさむ。
大きな事を成し遂げるには、まず身近なところをきちんとおさめることが大切である。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「閨門」は、家庭の意。
★天下に大功をたてようとする者は、まず家庭内をうまくおさめるものだという意。
*『新語-慎徴』
ケイモン
1071 臥榻の側他人の【カンスイ】を容れず ◆3 鼾睡   👉がとうのかたわらたにんのかんすいをいれず。
自分の国以外の国の独立を許すわけにはいかない。あくまでも天下を統一する意志があるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「臥榻」は、寝台。
★「鼾睡」は、いびきをかいて眠ること。
★自分の寝台のそばで大きないびきをかいているじゃま者の存在を許すことはできない意。
*『十八史略-宋・太祖皇帝』
カンスイ
1072 【ダイチン】の寿 ◆3 大椿   👉だいちんのじゅ。
人の長寿を祝う言葉。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「大椿」は、中国古代にあったという伝説上の木の名。八千年を春とし、八千年を秋とし、三万二千年が人間の一年に相当するという非常に長生きの木。
★漢字ペディアの椿項の下付きに「大椿」の記載があるが、読みはタイチンのみのよう。
*『荘子-逍遙遊』
ダイチン
1073 【タンシツ】文らず ◆3 丹漆   👉たんしつかざらず。
もともと美しいものは、とくに飾る必要がないこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「丹漆」は、赤いうるし。
★「文る」は、模様などを描いてかざる意。
*『孔子家語-好生』
タンシツ
1074 痴ならず【ロウ】ならざれば姑公と成らず ◆3   👉ちならずろうならざればここうとならず。
姑(シュウトメ)は嫁のわずかな落度をこまかくあげつらうべきではない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「姑公」は、姑。
★何を見ても愚人のように理解せず、何が聞こえても耳が聞こえないようにふるまわなければ、よい姑とはならない意。
*『宋書-庾炳之伝』
ロウ
1075 中流の【シチュウ】 ◆3 砥柱   👉ちゅうりゅうのしちゅう。
困難や誘惑がある中でもびくともせず、節義を守る者のたとえ。乱世にあっても節を持して屈しないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「砥柱」は、中国河南省陝県の東方、四十清里の黄河の中にある砥石(トイシ)のようになめらかな柱状の石。激流の中に不動のまま立っている。
*『鶴年-自詠詩』
シチュウ
1076 【チョウキョウ】帰らんか、食に魚無し ◆3 長鋏   👉ちょうきょうかえらんか、しょくにうおなし。
地位や待遇について不平をいうことば。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「長鋏」は、長い剣。
★長剣よ帰ろうか、膳部には魚もついていない意。
★孟嘗君(モウショウクン)の食客馮諼(フウカン)が、長い剣を弾(ハジ)いてこの句を歌い、待遇に対する不平を告げたので、孟嘗君はこれを聞いて待遇をあげた。しばらくすると、また剣を叩きながら「外出するのに車がない」と歌ったので車を与えると、さらに「一家揃って住むことができない」と歌った。左右の者は皆これを憎み、貪欲で飽くことを知らないと言ったが、孟嘗君が親の食費まで面倒をみてやると、その後まったく歌わなくなり、後に孟嘗君のために大いに働いたという故事。
*『戦国策-斉策・閔王』
チョウキョウ
1077 【チョッキュウ】父を証す ◆3 直躬   👉ちょくきゅうちちをしょうす。
正直すぎるとかえって道にはずれたことと変わらなくなってしまうことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★楚の人で、あまりに正直なので直躬と呼ばれていた男が父の盗みを申し出て進んで証人になったという故事による。
*『荘子-盗跖』
チョッキュウ
1078 山【バンゼイ】を呼ぶ ◆3 万歳   👉やまばんぜいをよぶ。
世の中が平和であることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★山の神も天下泰平をことほぐ意。
*『漢書-武帝紀』
バンゼイ
1079 月の影取る【マシラ】 ◆3   👉つきのかげとるましら。
身の程をわきまえず、欲望に迷って身を滅ぼすことのたとえ。また、愚かで無謀なことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★猿が水にうつる月を取ろうとして溺死したという中国の寓話による。
*『摩訶僧祇律-七』
マシラ
1080 【ツバキ】で矢を矧ぐ ◆3   👉つばきでやをはぐ。
いい加減な仕事をすること。また、壊れやすく、もろいことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★矢を作るのに、にかわの代わりにつばでくっつけてごまかしておく意から。
*『玉塵抄-五』
ツバキ
1081 【テイキン】三月四書大学 ◆3 庭訓   👉ていきんさんがつししょだいがく。
学問をしてもすぐにあきて長続きしないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「庭訓往来」は、室町時代の初等教科書。
★「四書」は、大学・中庸・論語・孟子の総称。
★『庭訓往来』は三月の項で、『四書』は、はじめの『大学』で学ぶのをやめてしまう意。
*『譬喩尽-五』
テイキン
1082 【ショウテイ】の門 ◆3 鐘鼎   👉しょうていのもん。
由緒ある家。富貴の家。〈日本国語大辞典〉
★「鐘鼎」は、釣り鐘(ガネ)と鼎(カナエ)。
★鐘と鼎が共に中国古代の王権の象徴とされ、宝器であるところから。
*『本朝文粋-一四・為重明親王家室四十九日願文〈大江朝綱〉』
ショウテイ
1083 【デッ】すれども緇まず ◆3   👉でっすれどもくろまず。
悪い環境の中でよからぬ人物とつきあっても、それに影響されないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「涅す」は、黒い土で黒色に染めること。
★「緇む」は、黒く染まる意。
★いくら黒い土で染めても黒くならない意。
*『論語-陽貨』
デッ
1084 【テットウ】水を漏らさず ◆3 鉄桶   👉てっとうみずをもらさず。
鉄製の桶(オケ)が水を漏らさないように、堅固でつけ入る隙がないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*不明
テットウ
1085 天地は万物の【ゲキリョ】、光陰は百代の過客 ◆3 逆旅   👉てんちはばんぶつのげきりょ、こういんはひゃくだいのかかく。
この世のすべてのものは、はかなく変わりやすいものだということ。〈漢字ペディア〉
★「逆旅」は、宿屋の意。
★天地を万物が訪れては立ち去っていく宿に、月日を永遠に歩み続ける旅人にたとえる。
*『李白-春夜宴桃李園序』
ゲキリョ
1086 【トウコ】の筆 ◆3 董狐   👉とうこのふで。
権勢に屈せず、ありのままに歴史を記すこと。〈漢字ペディア〉
★「董狐」は、中国春秋時代、晋の史官。
★中国、春秋時代、晉の史官董狐は、その君霊公が趙穿(チョウセン)に攻め殺されたとき、正卿の趙盾(チョウトン)が前もって霊公を諫めず、また君主を殺した趙穿を討とうとしなかったので、趙盾にこそ罪があると記録したところから後世良史と称せられたという故事による。
*『春秋左伝-宣公二年』
トウコ
1087 十【ハシバミ】の九つ空 ◆3   👉とおはしばみのここのつから。
物事の当たり外れは、外れの方が圧倒的に多いというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「榛」は、山野に自生するカバノキ科の落葉低木。実は食べられる。
★ハシバミの実は十のうち九つは空(カラ)であるということから。
*『俚言集覧』
ハシバミ
1088 【トキ】にも非時にも外れる ◆3 斎食 👉ときにもひじにもはずれる。
何も得ることができないというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「斎・斎食」は、寺の午前中の食事。
★「非時」は、午後に取る食事。
★午前の食事も午後の食事も食べそこなうという意から。
*『やぶにまぐわ-五・一』
トキ
1089 【トソウ】の人 ◆3 斗筲   👉とそうのひと。
1.器量が小さい人。度量が狭い人。
2.料が少なく、身分が低い人。〈漢字ペディア〉
★「筲」は、一斗二升を入れる竹の器。当時の一斗は約二(リットル)で、わずかな分量の意。
●〈平成20年度・第1回出題,大問㈨,小問9〉-「斗筲の人、何ぞ算うるに足らんや」
*『論語-子路』
トソウ
1090 【ト】啄みて梁柱を剖く ◆3 👉とついばみてりょうちゅうをさく。
災いは小さいうちに取り除くべきだというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蠹・蠧」は、キクイムシ。
★小さなキクイムシが少しずつ木を食って、そのうちついに梁(ハリ)や柱まで食い破ってしまうという意から。
*『淮南子-人間訓』
1091 【トリョウ】の技 ◆3 屠竜   👉とりょうのぎ。
習得しても実際には役立たない技術のたとえ。〈漢字ペディア〉
★朱泙漫(シュヒョウマン)という男が竜を屠殺する技術を支離益(シリエキ)という者に大金を払って学び、三年かかって習得した。しかし、せっかくの技術も、竜が実在しないので役立てることはできなかったという寓話から。
*『荘子-列禦寇』
トリョウ
1092 布は【ヌキ】から男は女から ◆3   👉ぬのはぬきからおとこはめから。
布の善し悪しがそれを織る横糸によって決まるように、男の善し悪しは妻の心がけによって決まるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「緯」は、織物の横糸。
*『やぶにまぐわ-一・五』
ヌキ
1093 猫に【マタタビ】 ◆3 木天蓼   👉ねこにまたたび。
大好物のたとえ。また、何か物を与えたときに効果が著しいことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「木天蓼」は、つる性落葉低木。果実は猫の大好物だといわれる。
*『洒落本・契情買虎之巻』
マタタビ
1094 【ネコババ】でしゃあしゃあまじまじ ◆3 猫糞   👉ねこばばでしゃあしゃあまじまじ。
悪いことをしても素知らぬ顔で平気でいること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『滑稽本・浮世風呂-三・上』
ネコババ
1095 【ハイシャク】に勝えず ◆3 杯杓   👉はいしゃくにたえず。
酒を飲み過ぎて、もうこれ以上は飲めないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「杯杓」は、さかずきとひしゃく。酒をくむ器。また、酒を飲む意。
*『史記-項羽本紀』
ハイシャク
1096 【ハクシュウ】の操 ◆3 柏舟   👉はくしゅうのみさお。
夫が死んだのちも、妻が貞操を守ること。〈漢字ペディア〉
★中国周代、衛(エイ)の太子共伯の妻の共姜(キョウキョウ)が、夫の死後、再婚を勧められたが、それを断り、誓いの歌「柏舟」を詠んだという故事から。
*『詩経-鄘風・柏舟序』
ハクシュウ
1097 【バクヤ】を鈍しと為し鉛刀を銛しと為す ◆3 莫邪   👉ばくやをにぶしとなしえんとうをするどしとなす。
人の賢愚についての世間の評価があてにならないことのたとえ。いい加減な評価のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「莫邪」は、名剣の名。
★「銛し」は、鋭利なこと。
★名刀莫邪を鈍刀と言い、鉛の刀をよく切れるという意から。
*『浄瑠璃・雪女五枚羽子板-厄払ひ』
バクヤ
1098 【ハクユ】杖に泣く ◆3 伯兪   👉はくゆつえになく。
親が年老いたことを知り、嘆き悲しむこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「杖」は、むちの意。
★中国、漢の伯兪がある日、過ちを犯し、母にむちで打たれたが、今まで泣いたこともなかったわが子が泣くので母がそのわけをたずねると、かつて痛かった母のむちが痛くなくなってしまったのは母が衰えたためであろうといったという故事から。
*『説苑-建本』
ハクユ
1099 【ヨウ】を作る ◆3   👉ようをつくる。
悪い前例を作ること。よくない例を残すこと。〈漢字ペディア〉
★「俑」は、死者とともに埋葬する人形のこと。
★昔中国で、木や土で作った人形を死者とともに埋葬する風習が広まり、孔子がそれを人を生き埋めにするのに似ているとして憎んだという故事による。
*『孟子-梁恵王・上』
ヨウ
1100 罷士は【ゴ】無く罷女は家無し ◆3   👉ひしはごなくひじょはいえなし。
疲れた兵士たちは隊列を組むことができないし、道徳にそむく女は家庭を持つことはできないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「罷士」は、疲れた兵士。
★「伍」は、隊伍。縦横にきちんと並んだ隊列の組。
★「罷女」は、道徳にそむく女。
*『管子-小匡』
1101 日照りの【タカボクリ】 ◆3 高木履   👉ひでりのたかぼくり。
不似合いなことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「木履」は、厚い木の台の底をくりぬいて作った少女用の下駄。ぽっくり。
★晴れた日に歯の高い雨天用の下駄を履くことから。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
タカボクリ
1102 人屑と【トコロ】屑は投げる所はない ◆3 野老   👉ひとくずとところくずはなげるところはない。
トコロは苦味を抜けばぜんぶ食べられるので捨てないように、人も賢愚にかかわらず、何かしら用いどころがある。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「野老」は、ヤマノイモ科のつる性多年草。
*『青森県五戸語彙』
トコロ
1103 人にして古今に通ぜずんば馬牛にして【キンキョ】するなり ◆3 襟裾   👉ひとにしてここんにつうぜずんばばぎゅうにしてきんきょするなり。
学問を身につけてはじめて人間として価値があるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「襟裾」は、着物の襟(エリ)と裾(スソ)。転じて、衣服を着るという意。
★人は、無学で古今の道理も心得ていなければ、馬や牛が着物を着ているのと同じであるという意から。
*『韓愈-符読書城南詩』
キンキョ
1104 【トキュウ】の地 ◆3 菟裘 莵裘 👉ときゅうのち。
退官して余生を過ごす土地。隠居の地。〈漢字ペディア〉
★「菟裘」は、中国、春秋時代の魯(ロ)の地名で、隠公がその地に隠居したことから。
*『春秋左氏伝』
トキュウ
1105 【ヒョウコ】の心 ◆3 氷壺 氷壷 👉ひょうこのこころ。
潔白で汚れのない心のこと。〈漢字ペディア〉
★「氷壺」は、氷を入れた玉製のつぼの意で、清廉潔白な心のたとえ。
*『王昌齢-芙蓉楼送辛漸詩』
ヒョウコ
1106 【ヒンケイ】晨す ◆3 牝鶏   👉ひんけいあしたす。
女性が権勢を振るうたとえ。また、それが家庭や国を滅ぼすもととなるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「牝鶏」は、めんどり。
★「晨す」は、夜明けを告げる意。
★夜明けの時を告げるのはおんどりで、めんどりが代わってするのは秩序の乱れであり、家や国の滅亡の前兆とされたことから。
*『書経-牧誓』
ヒンケイ
1107 【フセツ】の教誨 ◆3 不屑   👉ふせつのきょうかい。
物事を教えるときに、相手の発奮を待って悟らせること。〈漢字ペディア〉
★「不屑」は、軽々しく物事を行わない意。
★「教誨」は、教えさとす意。
*『孟子』
フセツ
1108 鷽鳩【タイホウ】を笑う ◆3 大鵬   👉がくきゅうたいほうをわらう。
つまらない者には大人物の志がわからないたとえ。〈漢字ペディア〉
★「鷽鳩」は、小さいハト。一説にイカル。
★「大鵬」は、おおとり。伝説上の霊鳥で、九万里も舞い上がるという。
★小さいハトが、おおとりが天高く舞い上がるのを笑う意。
*『荘子』
タイホウ
1109 【ハクジョウ】の塵 ◆3 陌上   👉はくじょうのちり。
路上のちりや砂ぼこり。転じて、飛び散って定めないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
*不明
ハクジョウ
1110 【ヘイスイ】相逢う ◆3 萍水   👉へいすいあいあう。
旅行中などに、偶然出会って知り合いになることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「萍」は、浮き草。
★浮き草と水が出会うという意から。一説に、水に漂う浮き草同士が出会う意からとも。
*『縢王閣序』
ヘイスイ
1111 【ヘイリ】を棄つるが如し ◆3 弊履 敝履 👉へいりをすつるがごとし。
惜しげもなく捨てること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「弊履・敝履」は、破れて使い物にならない履物。値打ちのないもののたとえ。
★使い物にならない履物を捨てるようだということから。
*『孟子-尽心・上』
ヘイリ
1112 【ベキラ】の鬼 ◆3 汨羅   👉べきらのおに。
おぼれ死んだ人。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「汨羅」は、中国湖南省北東部を西流し、湘江に注ぐ川。
★「鬼」は、霊魂。
★戦国時代の楚の詩人で『楚辞』の代表的作家屈原(クツゲン)の投身した所として有名。
*『拙堂文集-二・下岐蘇川記』
ベキラ
1113 鞍に拠りて【コベン】す ◆3 顧眄   👉あんによりてこべんす。
★馬の鞍によりかかって前後を見回す。威勢の盛んな態度。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「顧眄」は、周囲を見ること。
★中国漢代の将軍馬援が、老年でなお役に立つことを示そうとして、天子の前で馬に乗って勢いの盛んなところを見せたという故事による。
*『後漢書-馬援伝』
コベン
1114 【ヘクソ】葛も花盛り ◆3 屁糞 屁屎 👉へくそかずらもはなざかり。
美しくない娘でも、年頃になるとそれなりに魅力的になるものだというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「屁糞葛・屁屎葛」は、つる性の多年草。夏に、外側が白色、内側が赤紫色の花をつける。全体に悪臭がある。
★ヘクソカズラのような植物にも、何らか見られる花盛りの時期があるという意から。
*『日本俚諺大全』
ヘクソ
1115 【ヘッツイ】より女房 ◆3 👉へっついよりにょうぼう。
一家をかまえる資力がなく、生活力もないのに結婚しようとすること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「竈」は、かまど。転じて、生計。また、独立した一家の意。
*『日本俚諺大全』
ヘッツイ
1116 偏聴【カン】を生ず ◆3 👉へんちょうかんをしょうず。
一方の言い分だけを聞いて物事を処理したり仲裁をしたりすると、悪い結果になるということ。〈漢字ペディア〉
★「偏聴」は、一方の言い分だけを聞くこと。
★「姦」は、道理に外れた悪いこと。
★中国、前漢時代、同僚の中傷によって投獄された鄒陽(スウヨウ)が梁(リョウ)の孝王に無実を訴えた手紙の言葉から。
*『鄒陽-獄中上書自明』
カン
1117 【ホウイ】に靴の沓 ◆3 布衣   👉ほういにかのくつ。
不似合いなさま。釣り合いの取れていない様子のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「布衣」は、無官の者が来た布製の狩衣(カリギヌ)。平服、普段着の意。
★「靴の沓」は、礼式の時に履く牛皮製の履物。
★衣服を着て儀式用の履物を履くという意から。
*『江戸職人歌合-下』
ホウイ
1118 鳳凰笯(ど)に在り【ケイボク】翔舞す ◆3 鶏鶩   👉ほうおうどにありけいぼくしょうぶす。
すぐれた人物が自由に権力を発揮することができず、取るに足りない人間が我が物顔に振る舞うことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鳳凰」は、中国古代伝説上の瑞鳥。
★「笯」は、鳥かご。
★「鶩」は、アヒル。
★鳳凰がかごに入れられて自由に飛べず、鶏やアヒルのようなつまらぬ鳥が自由に飛び回っているという意から。
*『楚辞-九章・懐沙』
ケイボク
1119 【ソバク】に烏有り ◆3 楚幕   👉そばくにからすあり。
敵の陣中に人影がないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「楚幕」は、楚の陣営。
★楚の陣営にカラスがいるということは、人気(ヒトケ)がない証拠の意から。
*『春秋左氏伝』
ソバク
1120 仏の【ハク】を剝がす ◆3   👉ほとけのはくをはがす。
欲にからんで非道なことをするたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★仏像の金箔を剝がして盗むという意から。
*『浄瑠璃・賀古教信七墓廻-三』
ハク
1121 墓木已に【キョウ】す ◆3   👉ぼぼくすでにきょうす。
長生きしている相手をののしる言葉。また、死んでから長い年月が過ぎていることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「木墓」は、墓に植えた木。
★「拱す」は、両手でかかえる意。
★墓に植えた木が、ひとかかえもある程に大きくなっているという意から。
*『春秋左伝-僖公三二年』
キョウ
1122 誉める人に買った【タメシ】なし ◆3   👉ほめるひとにかったためしなし。
品物をよくほめる客は、実際には買う気のない客であるということ。また、お世辞ばかり言う人は信用できないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『譬喩尽-一』
タメシ
1123 【ホリュウ】の質 ◆3 蒲柳   👉ほりゅうのしつ。
生まれつき体が弱いこと。〈漢字ペディア〉
★「蒲柳」は、かわやなぎの別称。
★蒲柳は木自体が細くて弱く、秋も早くに葉を落とすことから。
*『世説新語-言語』
ホリュウ
1124 【ホンド】の基は高きを成す能わず ◆3 畚土   👉ほんどのもといはたかきをなすあたわず。
基礎がしっかりしていなければ、大きな事は出来ないたとえ。また、物にはそれぞれ限度があるというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「畚」は、もっこ。縄を網のように編み、土や石を運ぶ道具。
★もっこ一杯ほどの土の基礎の上には、高い建物を建てることはできないということから。
*『塩鉄論-非鞅』
ホンド
1125 学ぶ者は牛毛の如く、成る者は【リンカク】の如し ◆3 麟角   👉まなぶものはぎゅうもうのごとく、なるものはりんかくのごとし。
学問を志す者は牛の毛のように多いが、それを成就する者は麒麟の角のようにまれである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『北史-文苑伝序』
リンカク
1126 水到りて【キョ】成る ◆3   👉みずいたりてきょなる。
その時機がくれば物事はおのずから完成するたとえ。〈漢字ペディア〉
★「渠」は、みぞ。掘割。
★水が流れてくれば自然にみぞはできる意から。
*『蘇軾-答秦太虚書』
キョ
1127 道遠くして【キ】を知る ◆3   👉みちとおくしてきをしる。
すぐれた人物の真価は、乱世や逆境になって初めてわかるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「驥」は、一日に千里を走るという駿馬。
★遠い道のりを行って、はじめて駿馬の能力が分かるということから。
*『曹植-矯志』
1128 深山木の中の【ヨウバイ】 ◆3 楊梅   👉みやまぎのなかのようばい。
多くの中で特にすぐれていることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「楊梅」は、やまもも。
*『平家-一〇』
ヨウバイ
1129 身を立つるは【コウテイ】を以て基と為す ◆3 孝悌 孝弟 👉みをたつるはこうていをもってもといとなす。
立身出世するには、父母に孝養を尽くし、年長者によく仕えることが根本だということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「孝悌・孝弟」は、父母に孝行をし、長兄に仕えてよくしたがうこと。
*『新唐書-柳玭伝』
コウテイ
1130 【ムクロジ】は三年磨いても黒い ◆3 無患子   👉むくろじはさんねんみがしてもくろい。
生まれつきの特性は変えられないこと。また、努力を続けても効果のないこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「無患子」は、ムクロジ科の落葉高木。固く黒い種子は羽根突きの羽の玉などに使われる。
*『諺語大辞典』
ムクロジ
1131 【ムボウ】の禍 ◆3 毋望 無望
毋妄
無妄
👉むぼうのわざわい。
思いがけないわざわい。〈漢検四字熟語辞典〉
★「毋望・無望・毋妄・無妄」は、望んでいない、思いがけない意。
*『史記-春申君伝』
ムボウ
1132 目に【シュウゴウ】の末を察すれば耳に雷霆の声を聞かず ◆3 秋毫   👉めにしゅうごうのすえをさっすればみみにらいていのこえをきかす。
小さいことに気を取られていると、重大なことに気が付かないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「秋毫」は、秋になって先が細くなった獣の毛。
★「雷霆」は、はげしいかみなり。
★秋になって抜け替わった獣の毛先を目を凝らして見ていると、そちらに気を奪われて、雷の鳴る大きな音も耳に入らないという意から。
*『淮南子-俶真訓』
シュウゴウ
1133 【モウキ】の浮木 ◆3 盲亀   👉もうきのふぼく。
出会うことが非常に難しいこと。また、めったにない幸運に巡り合うことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★大海中に住み、100年に一度水面に浮かび出るといわれる盲目の亀が、流れただよう浮木のただ一つの穴に入ろうとするという寓話による。
*『北本涅槃経-二』
モウキ
1134 猛虎の猶予するは【ホウタイ】の螫を致すに若かず ◆3 蜂蠆   👉もうこのゆうよするはほうたいのせきをいたすにしかず。
力のある者でも決断力がなく、断行することができなければ、つまらない者にも劣ること。また、無力の者でも、行動すれば効果をあげることができること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蜂蠆」は、蜂と、さそり。
★「螫」は、毒虫が針で刺すこと。
★どんなにたけだけしい虎でも、行動を起こすのをためらっていては、蜂やさそりが刺すほどの力にも及ばないという意から。
*『史記-淮陰侯伝』
ホウタイ
1135 【グウシ】の孔 ◆3 藕糸   👉ぐうしのあな。
きわめて小さいもののたとえ。〈漢字ペディア〉
★「藕糸」は、蓮(ハス)の茎や根の中にある糸。
*『六十華厳経-七』
グウシ
1136 猛虎の猶予するは蜂蠆の【セキ】を致すに若かず ◆3   👉もうこのゆうよするはほうたいのせきをいたすにしかず。
力のある者でも決断力がなく、断行することができなければ、つまらない者にも劣ること。また、無力の者でも、行動すれば効果をあげることができること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蜂蠆」は、蜂と、さそり。
★「螫」は、毒虫が針で刺すこと。
★どんなにたけだけしい虎でも、行動を起こすのをためらっていては、蜂やさそりが刺すほどの力にも及ばないという意から。
*『史記-淮陰侯伝』
セキ
1137 【ヨク】して宿を射ず ◆3   👉よくしてしゅくをいず。
生き物を取る場合にも、慈悲の心を失うようなことはしないということ。何事にも程度をわきまえた人物の振る舞いのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「弋」は、いぐるみ。野に糸や網をつけて、鳥にあたると絡まるようにしたもの。
★「宿」は、ねぐらで眠っている鳥。
★いぐるみを使って鳥を取ることはしても、眠っている鳥を射ることはしないという意から。
*『論語-術而』
ヨク
1138 雷声【コウダイ】雨点全く無し ◆3 浩大   👉らいしょうこうだいうてんまったくなし。
前触ればかりで、何も起こらないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「浩大」は、広く大きいこと。
★「雨点」は、雨粒。
★雷鳴がとどろくだけで雨が一粒も降らないという意から。
*『碧巖録-頌』
コウダイ
1139 【ラキ】千箱、一暖に過ぎず ◆3 羅綺   👉らきせんばこ、いちだんにすぎず。
無駄な贅沢は必要ないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「羅綺」は、美しい衣服の意。羅は、うすぎぬ。綺は、あやぎぬ。
★美しい衣服がたくさんあっても、暖まるために必要なのは一着である。
*『和漢古諺-下』
ラキ
1140 蘭摧玉折を為すも【ショウフ】艾栄をは作さじ ◆3 蕭敷   👉らんさいぎょくせつをなすもしょうふがいえいをはなさじ。
つまらぬ人間として生き長らえるより潔く死ぬ方が本望であるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蘭摧」は、蘭が折れること。
★「玉折」は、玉が砕けること。
★「蕭敷艾栄」は、よもぎが繁茂すること。
★蘭が折れ、玉が砕けるように立派な人物として死のうとも、生い茂るよもぎのようにつまらぬ者として栄えたくはないという意から。
*『世説新語-言語』
ショウフ
1141 【ランデン】玉を生ず ◆3 藍田   👉らんでんぎょくをしょうず。
名門の家から優秀な指定が出ること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「藍田」は、中国陝西省(センセイショウ)に在る山の名。美しい宝玉の産地として有名。
*『呉志-諸葛恪伝・注』
ランデン
1142 李下に【ケイケイ】無し ◆3 蹊径   👉りかにけいけいなし。
立派な役人のもとでは、不正なことが行われる余地はないということのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「李」は、木の李(スモモ)と人の名前の李とをかけたもの。
★「蹊径」は、小道。通り道。
★すももの木の下に隠れた小道はない意。
*『新唐書-李乂伝』
ケイケイ
1143 離朱が明も【ショウジョウ】の塵を視る能わず ◆3 睫上   👉りしゅがめいもしょうじょうのちりをみるあたわず。
世の中には、どんなにすぐれた人にもわからないことがあるということ。また、自分のことは分からないものだというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「離朱」は、中国古代の伝説上の人物。視力がすぐれ、百歩離れた所からでも毛の先がよく見えたという。
★「睫」は、まつげ。
*『本朝文粋-七・奉菅右相府書』
ショウジョウ
1144 蘭摧玉折を為すも蕭敷【ガイエイ】をは作さじ ◆3 艾栄   👉らんさいぎょくせつをなすもしょうふがいえいをはなさじ。
つまらぬ人間として生き長らえるより潔く死ぬ方が本望であるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蘭摧」は、蘭が折れること。
★「玉折」は、玉が砕けること。
★「蕭敷艾栄」は、よもぎが繁茂すること。
★蘭が折れ、玉が砕けるように立派な人物として死のうとも、生い茂るよもぎのようにつまらぬ者として栄えたくはないという意から。
*『世説新語-言語』
ガイエイ
1145 茅茨剪らず【サイテン】削らず ◆3 采椽   👉ぼうしきらずさいてんけずらず。
質素な宮殿のさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「茅茨」は、茅(チガヤ)と茨(イバラ)で葺(フ)いた屋根。
★「采椽」は、丸太の垂木(タルキ)。
★帝堯が自分の宮殿を質素に作り、屋根を葺いたかやの端は切りそろえず、垂木は削らない丸太のままにして、倹約の範を示したという故事による。
*『韓非子-五蠧』
サイテン
1146 【リョウショウ】の志 ◆3 凌霄   👉りょうしょうのこころざし。
立身出世しようという志をいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「霄」は、空。
★空をしのぐ志の意。
*『開元天宝遺事-上』
リョウショウ
1147 【リョウコ】は深く蔵して虚しきが如し ◆3 良賈   👉りょうこはふかくぞうしてむなしきがごとし。
賢者はその学徳や才能を深く隠して、ひけらかすことはしないたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「賈」は、商人の意。
★よい商人は品物があっても店の奥にしまって店先に並べないために、何もないように見えることから。
*『史記-老子伝』
リョウコ
1148 寇準、殿に上りて、百僚【コリツ】す ◆3 股栗 股慄 👉こうじゅん、でんにのぼりて、ひゃくりょうこりつす。
寇準は、宋代の名臣であって、善は善なりとし、悪は悪なりとしたから、彼が一たび御殿に上ると、部下の役人どもは皆、今度は自分がどいう処置を受けるかと震え恐れていたという。〈中国古典名言事典〉
★「股栗・股慄」は、恐れて股(モモ)のところまで震えること。
*『宋名臣言行録-寇準』
コリツ
1149 【レイゲン】の情 ◆3 鴒原   👉れいげんのじょう。
兄弟の深い情愛のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「鴒原」は、水鳥である鶺鴒がいま高原で鳴いていることで、このような危急の難儀のとき助けになるのは兄弟の深い情愛であるという意。
*『詩経-小雅・常棣』
レイゲン
1150 【レイシュ】設けず ◆3 醴酒   👉れいしゅもうけず。
師を敬う気持ちが薄くなることのたとえ。また、人をもてなす礼儀が粗略になること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「醴酒」は、甘酒。
★甘酒を出さないという意から。
*『漢書-楚元王伝』
レイシュ
1151 【レイ】を以て海を測る ◆3   👉れいをもってうみをはかる。
狭い見識だけで、大きな問題を議論すること。また、不可能なことにも言う。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蠡」は、ひさご。一説に、ほら貝。
★ひさごで海水を汲み、大海の量を測ることから。
*『東方朔-答客難』
レイ
1152 【レンコク】の下 ◆3 輦轂   👉れんこくのもと。
天子のいる都。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「輦」は、人が引く車。とくに天子の乗る車。
★「轂」は、こしき。車輪の軸の通る部分。
★天子の車の下の意から。
*『司馬遷-報任安書』
レンコク
1153 【ロヨウ】の戈 ◆3 魯陽   👉ろようのほこ。
勢いが盛んなことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、戦国時代、楚(ソ)の魯陽公が韓(カン)との戦いで日暮れにさしかかったとき、戈を手に取って日を差し招くと夕日が逆戻りしたという故事から。
*『淮南子-覧冥訓』
ロヨウ
1154 禍いは【カイダ】に生ず ◆3 懈惰   👉わざわいはかいだにしょうず。
わざわいは用心するところには生まれないで、おこたってゆるがせにするところから生ずる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「懈惰」は、おこたること。怠惰。
*『韓詩外伝-八』
カイダ
1155 形は【コウボク】の如く心は死灰の如し ◆3 槁木   👉かたちはこうぼくのごとくこころはしかいのごとし。
心身に活気、生気のないさま。また一説に、無念、無想、無為なるさまとも。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「槁木」は、枯れ木。
★形は枯れ木のようであり、心は冷たい灰のようである意。
*『荘子-斉物論』
コウボク
1156 【ユウウ】の情 ◆3 友于   👉ゆううのじょう。
兄弟友愛の情。兄弟仲のよいこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『書経-君陳』
ユウウ
1157 命を信ずる者は【ジュヨウ】亡し ◆3 寿夭   👉めいをしんずるものはじゅようなし。
天命を信じる者は生死にこだわらないから、寿命の長いとか短いとかは問題にしない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「寿夭」は、長生きと若死に。長寿と夭折(ヨウセツ)。
*『列子-力命』
ジュヨウ
1158 【ギョクシ】当無し ◆3 玉卮 玉巵 👉ぎょくしとうなし。
すばらしく見えて役に立たないもののたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「玉巵」は、玉で造ったさかずき。
★「当」は、底。
★玉の杯に底がないこと。
*『韓非子-外儲説右上』
ギョクシ
1159 【カンジン】の前には機巧を言うことなかれ ◆3 奸人 姦人 👉かんじんのまえにはきこうをいうことなかれ。
悪がしこい者の前では、悪用されるといけないから、物事のからくりを話さないほうがよい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「機巧」は、からくり。
*『譬喩尽-二』
カンジン
1160 家鴨の【チギ】重し負うたような ◆3 杠秤
扛秤
👉あひるのちぎおもしおうたような。
背が低く、尻の不格好な女の歩くさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「杠重し」は、大きくて重い物をはかるのに用いる大さおばかりのおもり。
*『譬喩尽-六』
チギ
1161 【オウゴ】屋の火事で棒焼く ◆3   👉おうごやのかじでぼうやく。
ぼやく。不平を言う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「朸」は、天秤棒。
★天秤棒を商う朸屋が火事になると棒が焼けるところから、ぼやく、を棒焼くにかけたしゃれ。
*『譬喩尽・四』
オウゴ
1162 【ケイロク】捨て難し ◆3 鶏肋   👉けいろくすてがたし。
たいして役に立たないが捨てるには惜しい。鶏肋。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
ケイロク
1163 【ボウシ】背に在り ◆3 芒刺   👉ぼうしはいにあり。
びくびくして落ち着かないさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「芒刺」は、草木のとげ。いばらなどのとげ。
★いばらのとげがせなかにある意。
*『漢書-霍光伝』
ボウシ
1164 人にして恒無くんば以て【フイ】を作すべからず ◆3 巫医   👉ひとにしてつねなくんばもってふいをなすべからず。
人として一定の心がない者は巫子(ミコ)の占いでも医者の治療でも救うことができない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★恒心のない人は卜占(ボクセン)の結果も医者の指導も守っていくことができないところからいう。
*『論語-子路』
フイ
1165 【カンシン】の股くぐり ◆3 韓信   👉かんしんのまたくぐり。
大きな目的のために、一時の屈辱に耐え忍ぶことのたとえ。韓信匍匐(カンシンホフク)。〈漢字ペディア〉
★中国、漢代の名将韓信が若いとき、無頼の少年に「臆病(オクビョウ)風に吹かれて長剣をぶら下げているが、それでおれを刺してみろ。できなければ俺の股をくぐれ」と辱められたが、韓信はじっと耐えて股をくぐり、のちに大人物になった故事から。
*『史記-淮陰侯伝』
カンシン
1166 【ホウガ】の馬 ◆3 泛駕   👉ほうがのうま。
ずばぬけた才能や学識があって、普通の道に従わない英雄豪傑のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「泛」は、くつがえすこと。
★わだちに従わずに走って車をひっくり返す馬の意。
*『漢書-武帝紀』
ホウガ
1167 【トクヒツ】を呵する ◆3 禿筆   👉とくひつをかする。
へたな文章を書く。自分の文章を謙遜していう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★穂先のすりへった筆に息を吹きかけて書く意。
*不明
トクヒツ
1168 野人【ケンキン】の意 ◆3 献芹   👉やじんけんきんのい。
人に物を贈ったり、目上の人に意見書を提出したりする時に、へりくだっていうことば。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「献芹」は、つまらない野菜を献上すること。「芹」は、せり。
★粗野な田舎者がつまらない野菜を献上する意。
*不明
ケンキン
1169 庸中の【コウコウ】 ◆3 佼佼   👉ようちゅうのこうこう。
平凡な人々の中ですぐれていること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「佼佼」は、容貌の美しいさま。
*『後漢書-劉盆子伝』
コウコウ
1170 【トツトツ】人に迫る ◆3 咄咄   👉とつとつひとにせまる。
詩文書画などがたいへんすぐれているのを感嘆してほめることば。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「咄咄」は、事の意外さに驚いて声を発するさま。
*『世説新語-排調』
トツトツ
1171 【キシュウ】の妾 ◆3 箕帚 箕箒 👉きしゅうのしょう。
人の妻となることを謙遜していう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★ちりとりと、ほうきとをとる婢(ハシタメ)の意。
*『戦国策-楚策』
キシュウ
1172 【キシュウ】を執る ◆3 箕帚 箕箒 👉きしゅうをとる。
妻妾(サイショウ)となって仕える。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『史記-高祖本紀』
キシュウ
1173 【コッショ】に付する ◆3 忽諸   👉こっしょにふする。
命令などをおろそかにする。ゆるがせにする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『日本の下層社会〈横山源之助〉五・九』
コッショ
1174 【キンボウ】に名を掛く ◆3 金榜   👉きんぼうになをかく。
科挙に及第することを言う。試験に合格すること。また、栄達して顕官に列すること。〈日本国語大辞典〉
★「金榜」は、中国で科挙の及第者の名前を掲示した、黄金製のふだ。
*不明
キンボウ
1175 【モウキョク】の恩 ◆3 罔極   👉もうきょくのおん。
きわまりない恩。父母の高恩。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「罔」は、「無」に同じで、「罔極」は限りないこと、無限。
*『詩経-小雅・蓼莪』
モウキョク
1176 友に交わるには須く三分の【キョウキ】を帯ぶべし ◆3 俠気 侠気 👉ともにまじわるにはすべからくさんぶのきょうきをおぶべし。
交友は利害関係で結ばれた利己本位なものでなく、友人のためにはあとへもひかぬ男気が必要である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『菜根譚-前』
キョウキ
1177 【ゲンカン】は竿上の褌を手向く ◆3 阮咸   👉げんかんはかんじょうのこんをたむく。
阮咸が七夕の日に世人が豪華で美しい衣装を庭で干すのにならって、ふんどしを竿にかけて世を愚弄したという「晉書-阮籍伝」に見える故事。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「阮咸」は、中国、晉の時代の人。字は仲容。竹林の七賢人の一人。阮籍の甥(オイ)にあたる。
*『晉書-阮籍伝』
ゲンカン
1178 【リンカン】の美 ◆3 輪奐   👉りんかんのび。
建物の広大で壮麗な美しさをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「輪奐」の「輪」は、屈曲して高大なさま。「奐」は大きく盛んなさま。
*『本朝文粋-九・大極殿成命宴詩序〈三善清行〉』
リンカン
1179 自家の【ケンシュウ】は自家知る ◆3 姸醜 妍醜 👉じかのけんしゅうはじかしる。
自分の長所、短所は自分でわかる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「姸醜」は、容貌の美しさ、醜さ。
*『松林飯山詩』
ケンシュウ
1180 【リョコウ】の人 ◆3 閭巷   👉りょこうのひと。
民間の人。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「閭巷」は、むらざと、ちまた。
*『史記-伯夷伝』
リョコウ
1181 【セキショウ】鉢の目高 ◆3 石菖   👉せきしょうばちのめだか。
狭い世間しか知らない器量の小さい人物。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★石菖を植える平たい水鉢に放されたメダカの意。
*『滑稽本・浮世風呂-前・下』
セキショウ
1182 一葉の【ヘンシュウ】 ◆3 扁舟   👉いちようのへんしゅう。
一艘(イッソウ)の小舟。一葉舟(ヒトハブネ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『蘇軾-前赤壁賦』
ヘンシュウ
1183 江南の橘江北に移されて【キ】となる ◆3   👉こうなんのたちばなこうほくにうつされてきとなる。
場所や状況によって、同じ人間でも性質が変化するというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★揚子江(ヨウスコウ)の南方に産する橘(タチバナ)を、江北に移植すれば枳(カラタチ)になる意。
*『韓詩外伝-巻一〇』
1184 明日一理を弁え、久しくすれば自然に【ショウコウ】す ◆3 浹洽   👉みょうにちいちりをわきまえ、ひさしくすればしぜんにしょうこうす。
今日一つの道理、明日一つの道理とわきまえていけば、年月をかさねるうちに心は自然にその道にそまるものである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「浹洽」は、水が物をうるおすようにあまねく行きわたること。
*『金言童子教』
ショウコウ
1185 【ヤイト】箸にて目を突く ◆3 👉やいとばしにてめをつく。
すばしこくて細かいこと、せわしないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「灸箸」は、灸(キュウ)をすえるとき、艾(モグサ)をはさむ箸。
*『浮世草子・本朝二十不孝-三・二』
ヤイト
1186 矯めつ【スガ】めつ ◆3   👉ためつすがめつ。
いろいろな方向から、よく見るようす。〈漢字ペディア〉
★「眇める」は、片目を細くしてねらい見る。
*『虎明本狂言・鏡男』
スガ
1187 【ケッチュウ】其の身を忘る ◆3 桀紂   👉けっちゅうそのみをわする。
夏の桀王と殷の紂王は、後のことも考えず暴虐の限りを尽くしたため、ついには国を亡ぼしてしまったという故事。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『貞観政要-君臣鑑誡』
ケッチュウ
1188 【レイシ】を捻ったよう ◆3 茘枝   👉れいしをひねったよう。
顔かたちの醜い人のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「茘枝」は、中国南部原産の果樹。果実は表面に鱗状の突起が多く、赤く熟する。
*『日本俚諺大全』
レイシ
1189 【イリョ】の情 ◆3 倚閭   👉いりょのじょう。
外出した子の帰りを待ちわびる母の情をいう。倚門の望。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「閭」は、村の入口の門。転じて、村。
*不明
イリョ
1190 【チョウチュウ】の枯骨 ◆3 冢中   👉ちょうちゅうのここつ。
無能で取り柄のない人のたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「冢」は、墓の意。
★墓の中の白骨の意。
*『三国志-蜀志・先主伝』
チョウチュウ
1191 【アクチ】も切れぬ ◆3 緊唇   👉あくちもきれぬ。
まだ一人前でない少年。若輩、青二才。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「緊唇」は、巣立ちまえの小鳥のくちばしのつけ根にある黄色の部分。
*『浄瑠璃・嫗山姥-一』
アクチ
1192 【チリケ】から水を掛ける ◆3 身柱 天柱 👉ちりけからみずをかける。
ぞっとすること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「身柱・天柱」は、灸(キュウ)をすえる点の一つ。両肩の中央で、うなじの下。
★えりくびから水をかける意。
*『雑俳・川傍柳-五』
チリケ
1193 明日は【エンブ】の塵ともならばなれ ◆3 閻浮   👉あすはえんぶのちりともならばなれ。
明日は死んでしまってもかまわない、どうなろうとなるようになれ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「閻浮」は、「閻浮提(エンブダイ)」の略で、人間世界、現世のこと。
★明日はこの広い人間世間の塵となって飛び消えるものなら消えてしまえという意。
*『仮名草子・恨の介-下』
エンブ
1194 【チョボイチ】なら七里帰っても張れ ◆3 樗蒲一   👉ちょぼいちならしちりかえってもはれ。
強く人をひきつける賭博の魅力をいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「樗蒲一」は、さいころを使って行なう賭博の名。転じて、博奕。
★賭け事と聞いたら、今来た道を七里戻っても加われという意。
*『歌舞伎・御摂勧進帳-四立』
チョボイチ
1195 腕無しの振り【ギッチョウ】 ◆3 毬杖 毬打 👉うでなしのふりぎっちょう。
自分の力に過ぎたことを無理にしようとするたとえ。実力もないくせに虚勢だけをはること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「振り毬杖」は、槌の形の杖で木製の毬を打つ遊戯。
*『碧巖雷沢抄-六』
ギッチョウ
1196 腕無しの振り【ズンバイ】 ◆3 飄石   👉うでなしのふりずんばい。
自分の力に過ぎたことを無理にしようとするたとえ。実力もないくせに虚勢だけをはること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「振り飄石」は、竿の先につけた糸に小石をつけて、振り飛ばす道具。
★腕力もない者が石投げをしようとする意。
*『浄瑠璃・出世景清-四』
ズンバイ
1197 【アメツチ】を袋に縫う ◆3 天地   👉あめつちをふくろにぬう。
年の始めに口ずさむ言寿(コトホギ)歌のことば。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『蜻蛉-中・安和二年』
アメツチ
1198 【イ】を秉る ◆3 👉いをとる。
人の守るべき道をしっかりと守る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「彝」は、祭器の一種。常に宗廟に供えられるところから、転じて、守るべき法をいう。
*『詩経-烝民』
1199 【イイボ】してもつ釣る ◆3 飯粒   👉いいぼしてもつつる。
飯粒ほどのわずかな餌で大きな獲物を手に入れる。海老で鯛を釣る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「もつ」は、鯥(ムツ)のこと。
*『土左-承平五年二月八日』
イイボ
1200 【イカキ】俯けたような ◆3 笊籬   👉いかきうつむけたような。
妊婦の腹の出たさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「笊籬」は、竹で編んだかご。ざる。
★竹のざるを伏せた姿にたとえていう。
*『徒然草-一一八』
イカキ
1201 【イグチ】も靨 ◆3 兎唇 兔唇
兔唇
欠唇
👉いぐちもえくぼ。
ひいき目で見れば、相手の欠点、短所も美点、長所に見えることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「兎唇・欠唇」は、生まれつき上くちびるがウサギの口のように縦に裂けていること。
*『御伽草子・をこぜ』
イグチ
1202 出ずるに警し、入るに【ヒッ】す ◆3   👉いずるにけいし、いるにひっす。
天子や貴人の出入り、通行に際し、声をかけて、道筋の者に失礼のないよう注意をうながすこと。警蹕。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「蹕す」は、道行く人を払う意。
*『漢書-梁孝王』
ヒッ
1203 【シコウ】の聡 ◆3 師曠 師昿 👉しこうのそう。
耳が鋭敏なこと。音楽を聞き分けられる人のこと。〈漢字ペディア〉
★師曠は中国、春秋時代、晋(シン)の平公に仕えた盲人の楽師。
*『孟子-離婁・上』
シコウ
1204 【イッキ】の寄り合い ◆3 一揆   👉いっきのよりあい。
物さわがしいことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★一揆の集会の雰囲気のさまから。
*『俳諧・毛吹草-二』
イッキ
1205 【イッサン】を博す ◆3 一粲   👉いっさんをはくす。
自作の詩文などを贈るときのへりくだった言い方。どうぞお笑いくださいの意。〈漢字ペディア〉
*『即興詩人〈森鷗外訳〉小尼公』
イッサン
1206 命が【ス】える ◆3   👉いのちがすえる。
死にぞこない、または、おまえは死ぬことにきまったとののしる時のことば。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★生命が腐る意。
*『浄瑠璃・諸葛孔明鼎軍談-美人絵合』
1207 命を【ゲイゲイ】の腮に懸く ◆3 鯨鯢   👉いのちをげいげいのあぎとにかく。
船板一枚の危険な生活のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鯨鯢」は、雄・雌のクジラ。
★海上に一命をかける意。
*『浄瑠璃・吉野忠信-二』
ゲイゲイ
1208 田走るより【クロ】走れ ◆3   👉たはしるよりくろはしれ。
遠回りでも安全で確実な方法を選んだほうが結局は得であるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「畔」は、田の中の境。あぜ。
★同じ目的地に向かうのに、畦道(アゼミチ)を通って行くのは遠まわりに思われるが、田の中を突っ切って行けば足はとられ着物もよごれ、得策ではない意。

類:急がば回れ
*不明
クロ
1209 瓦の窓、縄の【トボソ】 ◆3   👉かわらのまど、なわのとぼそ。
貧しい家のありさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「枢」は、戸の梁(ハリ)と敷居とにあけた穴。
★こわれたかめの口を窓とし、縄で扉の枢をしばる意。
*『史記-秦始皇本紀・賛』
トボソ
1210 陰陽を【ショウリ】す ◆3 燮理   👉いんようをしょうりす。
陰と陽の二気をやわらげ調整する。中国古代の政治思想で、すぐれた政治を行なうこと、聖天子の政治の行ない方などのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「燮理」は、やわらげおさめる意。
*『書経-周官』
ショウリ
1211 植木屋の【セリ】分け ◆3   👉うえきやのせりわけ。
気が多い。「木」を「気」にかけたしゃれ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「糶分け」は、植木の整理をすること。
*不明
セリ
1212 水鳥【クガ】に惑う ◆3   👉みずとりくがにまどう。
勝手が違ってまごまごするたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「陸」は、陸地。
*『源氏-玉鬘』
クガ
1213 于公【モンリョ】を高大にす ◆3 門閭   👉うこうもんりょをこうだいにす。
陰徳を行なう者は、その子孫が栄える。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★于公は漢の宰相于定国の父で、長く裁判官をつとめており、彼の裁判はいつも公平だった。ある日彼の家の門がこわされたとき、修理してくれた村人に次のようにいった。「門を高く大きくして、四頭だての高い屋根の馬車がはいれるようにしなさい。私は裁判において陰徳を多く積んでおり、まだ一度も人に無実の罪をきせたことはないので、子孫には必ず家を興す者がでるだろうから」と。はたしてその子定国が宰相になったという故事による。
*『漢書-于定国伝』
モンリョ
1214 内に怨女無く、外に【コウフ】無し ◆3 曠夫 昿夫 👉うちにえんじょなく、そとにこうふなし。
。男女がそれぞれ平安に一夫一婦の夫婦生活を営むこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「曠夫」は、妻のない男。
★男女がそれぞれ相手を得て、一人身を嘆く女も、一人身をかこつ男もない意。
*『孟子-梁恵王・下』
コウフ
1215 生まるる子の【エナ】に親の定紋 ◆3 胞衣   👉うまるるこのえなにおやのじょうもん。
生まれつき備わっている子の格式。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★胎児を包んでいる膜に親の紋が付いているという俗説による。
*『随筆・近世江都著聞集-五』
エナ
1216 【エンチョウ】悲歌の士 ◆3 燕趙   👉えんちょうひかのし。
国を憂え、慷慨する人。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★中国の春秋戦国時代、燕・趙の両国には憂国の士が多くいたところからいう。
*『江淹-詣建平王上書』
エンチョウ
1217 王臣【ケンケン】躬の故にあらず ◆3 蹇蹇   👉おうしんけんけんみのゆえにあらず。
臣下が、わが身の利害を忘れて、君王に忠義を尽くすこと。また、そのようでなければならないという理念をいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「蹇蹇」は、忠義を尽くすさま。
*『易経-蹇卦』
ケンケン
1218 王良車に登れば馬に【ヒド】無し ◆3 罷駑   👉おうりょうくるまにのぼればうまにひどなし。
明君が国を治めると人民が立派になってよく治まるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★王良が馬を御すときには、疲れた馬でも、のろい馬でもよく走ることから。
*『論衡-率性』
ヒド
1219 【オオヌサ】の引く手あまた ◆3 大幣 大帛 👉おおぬさのひくてあまた。
多数の人々から親しく交際を求められること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「大幣」は、祓(ハラ)えの式に用いる、榊(サカキ)や大串につけた幣帛(ヘイハク)。
★式後、参列の人々がこれを引き寄せて身をなで、罪やけがれをそれに移したことからいう。
*『古今-恋四・七〇六』
オオヌサ
1220 初手はちょろちょろ中かっか末は【オキビ】 ◆3 熾火 燠火 👉しょてはちょろちょろなかかっかすえはおきび。
飯をたくときの初めから終わりまでの火加減をいうことば。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「熾火・燠火」は、木の燃えた赤い炭。
★はじめは弱く、途中で激しく燃やし、最後は余熱でむらすようにせよ。
*『譬喩尽-一』
オキビ
1221 山の神に【オコゼ】 ◆3 虎魚 👉やまのかみにおこぜ。
好物を見て喜ぶさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★山の神は鰧が大好物であるという。
*『俳諧・毛吹草-二』
オコゼ
1222 釈迦が【ゲンゾク】してきても ◆3 還俗   👉しゃかがげんぞくしてきても。
たとえどのようなことがあろうとも。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「還俗」は、出家した僧や尼が、再び世俗の人間にかえること。
★釈迦が俗人にもどるような、あり得ないことが起こったとしてもという意。
*『人情本・貞操園の朝顔-初・四回』
ゲンゾク
1223 女郎の千枚【ギショウ】 ◆3 起請   👉じょろうのせんまいぎしょう。
女郎が、金にさえなれば何人の客にでも起請を書くこと。また、一般に信用できないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「起請」は、愛情の変わらないことを誓った誓約書。
*『諺語大辞典』
ギショウ
1224 【オボコ】の臍 ◆3 未通女   👉おぼこのへそ。
非常に気の小さいことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「未通女」は、うぶな男や生娘(キムスメ)。
*『洒落本・龍虎問答』
オボコ
1225 【カネ】を付ける ◆3 鉄漿   👉かねをつける。
1.お歯黒をつける。
2.栗の実や蚕豆(ソラマメ)が成熟して黒くなる。
3.土蔵の中の品をぬすむ。また、土蔵に黒い腰板をはる。盗人仲間の隠語。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鉄漿」は、お歯黒のこと。
*『平家-九・忠度最期』
カネ
1226 【ガ】を枉ぐ ◆3   👉がをまぐ。
貴人がわざわざ訪れる。来訪することをいう尊敬語。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「駕」は、乗り物。
★乗り物を道中からまげる意。
*『蜀志-諸葛亮伝』
1227 【ガイカン】事定まる ◆3 蓋棺 葢棺 👉がいかんことさだまる。
生きている間には公平な判断はできない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「蓋棺」は、人の死の意。
★生前の真価は死後になって定まる意。
*『諺語大辞典』
ガイカン
1228 【シュウシ】の化 ◆3 螽斯   👉しゅうしのか。
夫婦が和合して子供を多く作り、子孫が繁栄することのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「螽斯」は、イナゴ。
★イナゴは一度に九九匹というたくさんの子を産むとされるところからいう。
*『太平記-一・儲王御事』
シュウシ
1229 【カカツ】の親 ◆3 瓜葛   👉かかつのしん。
親類の縁が広がりつながること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★瓜(ウリ)や葛(クズ)のつるが伸びてからまるさまから。
*『晉書-王導伝』
カカツ
1230 天津橋上【トケン】の声を聞く ◆3 杜鵑   👉てんしんきょうじょうとけんのこえをきく。
邵康節(ショウコウセツ)が洛陽の天津橋上でホトトギスの声を聞き、地気(精気)が南に移り、天下の乱れることを予知した故事。〈中国古典名言事典〉
*『邵氏聞見録』
トケン
1231 【カク】、脹満医者いらず ◆3   👉かく、ちょうまんいしゃいらず。
膈や脹満になったら医者を呼んでもしかたがない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「脹満」は、腹にガスなどがたまって異常にふくれる病気。
*『対馬南部方言集』
カク
1232 【カズキ】着た御居処はつめられず ◆3 被衣   👉かずききたおいどはつめられず。
相手が上品だと、へたな手出しをすることができない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「被衣」は、平安時代以降、身分の高い女性が外出のとき人目を避けるために頭からかぶった薄い衣。きぬかずき。
★かずきを着て歩いているような貴婦人のお尻はつねるわけにはいかない意。
*『譬喩尽-二』
カズキ
1233 風【ショウショウ】として易水寒し ◆3 蕭蕭   👉かぜしょうしょうとしてえきすいさむし。
風はものさびしく吹き、易水の流れは冷たい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★荊軻(ケイカ)が秦の始皇帝を刺すために出発する時、易水(中国、河北省の川)で見送りの人と別れるにあたって決死の覚悟をうたった詩の一節。
*『史記-刺客伝・荊軻』
ショウショウ
1234 三界の火宅、【シク】の露地 ◆3 四衢   👉さんがいのかたく、しくのろじ。
苦しみの絶えない人間界と、それを離れたやすらかで静寂な世界。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「火宅」は、現世。娑婆(シャバ)。悩み・苦しみに満ちたこの世を、火事で燃える家にたとえた語。
★「四衢」は、四つ辻。
★「露地」は、俗界を離れた静かな境地。
*『法華経-譬喩品』
シク
1235 【カツ】え坊主が斎に会ったよう ◆3   👉かつえぼうずがときにあったよう。
がつがつして食べることをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★貧しくてひもじい思いをしている僧が、檀家で食事を出された時のさまから。
*『日本俚諺大全』
カツ
1236 紙屋の【ホウグ】でしわくたじゃ ◆3 反古 反故 👉かみやのほうぐでしわくたじゃ。
着物などがしわくちゃになったとき、また、人の顔が皺だらけである時などに言うしゃれ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「反古」は、不用の紙。むだ紙。ほご。
★しわくちゃである意。
*不明
ホウグ
1237 【カユ】相揜(おお)わず ◆3 瑕瑜   👉かゆあいおおわず。
長所と欠点をともにあらわして、隠さないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瑕」は、玉の傷。
★「瑜」は、玉の美しい光。
★玉は、一部分の傷によって全体の光を隠してしまうということがなく、また、光も美しい光そのままに傷の存在を隠さない意。
*『礼記-聘義』
カユ
1238 【カン】を掛く ◆3   👉かんをかく。
辞職する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★冠は官吏の用いるべきもので、冠を解いて物に掛ける意。
*『後漢書-逸民伝・逢萌』
カン
1239 【カンケン】を叙す ◆3 寒暄   👉かんけんをじょす。
時候の挨拶をする。〈日本国語大辞典〉
★「寒暄」は、さむさとあたたかさ。
*『空華日用工夫略集-嘉慶二年・二月二六日』
カンケン
1240 【カンショウ】病みの汚いもの知らず ◆3 癇性 癇症 👉かんしょうやみのきたないものしらず。
病的に潔癖な人は、かえって普通人以上のきたないことをして気がつかないでいる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『日本俚諺大全』
カンショウ
1241 【カンセン】枯木を抱く ◆3 寒蟬 寒蝉 👉かんせんこぼくをいだく。
その場を離れようとしないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「寒蟬」は、秋に鳴くセミ。ヒグラシなど。
★秋の蝉は枯れ木にしがみついて、死ぬまで離れようとしない意。
*『大観本謡曲・俊寛』
カンセン
1242 【カンゼン】氷釈する ◆3 渙然   👉かんぜんひょうしゃくする。
氷がとけるように疑問や迷いなどが解ける。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「渙然」は、疑問などが解けるさま。
★光り輝く意である「煥然」と、書き誤らないこと。
*『杜預文-春秋左氏伝序』
カンゼン
1243 【カントウ】の愛 ◆3 甘棠   👉かんとうのあい。
人民が為政者の徳を慕って寄せる情のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「甘棠」は、リンゴと同属の木。コリンゴ、ヒメカイドウなどとも呼ばれる。
★中国、周の召公が地方を巡行したとき、ある里では甘棠の木の下で人々の訴えを聞き、裁判を行なった。里の人々はその時の召公の徳を慕って、のちのちまでそのゆかりの木を大切にしたという故事による。
*『史記-燕召公世家』
カントウ
1244 【カンバセ】を犯す ◆3   👉かんばせをおかす。
目上の人に、あえて自分の考えを言う。面(オモテ)を犯す。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『駿台雑話-三・杉田壱岐』
カンバセ
1245 鞿(き)を以て【カントツ】を御す ◆3 駻突   👉きをもってかんとつをぎょす。
軽い、おだやかな刑罰によって悪人の行動をおさえようとすることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「駻突」は、荒馬。
★おもがいだけで荒馬を思う通りに動かそうとする意。
*『漢書-刑法志』
カントツ
1246 【キカク】の思い ◆3 亀鶴   👉きかくのおもい。
不老長寿の願い。長生きの望み。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★鶴は千年、亀は万年の長寿を保つといわれるところからいう。
*『洒落本・狐竇這入-一』
キカク
1247 【キカン】の禍 ◆3 鬼瞰   👉きかんのわざわい。
鬼神が、あまりに満ち足りおごっている家に罰として下すわざわい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瞰」は、上から見おろすこと。
*『揚雄-解嘲文』
キカン
1248 【キガン】友を偲ぶ ◆3 帰雁 帰鴈 👉きがんともをしのぶ。
春になって、雁が群れをなし、連なり飛んで行くのを見て、遠くにいる友をしのび、なつかしく思う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『大観本謡曲・檀風』
キガン
1249 菊を【トウリ】の下に采り、悠然として南山を見る ◆3 東籬   👉きくをとうりのもとにとり、ゆうぜんとしてなんざんをみる。
菊を東の垣根の下に折り取り、ゆったりとした気持ちで南方に見える山を眺め見る。貧に安んじ、心にもの思うこともなく、自然を楽しんで生きる日常生活の心境。陶潜の詩の一節。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『陶潜-飲酒詩・其五』
トウリ
1250 【キシ】連抱にして数尺の朽あるも良工は棄てず ◆3 杞梓   👉きしれんぽうにしてすうせきのきゅうあるもりょうこうはすてず。
その人の長所を生かして使うのが人材を生かす道だというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「杞」は、カワヤナギの木。
★「梓」は、アズサの木。
★杞や梓のような良材の、いくかかえもあるような大木に、数尺の腐食が入っていようとも、良い職人は捨てずに使うものだという意。
*『孔叢子-居衛』
キシ
1251 柄の無い所に柄を【ス】げる ◆3   👉えのないところにえをすげる。
無理に理屈をこねる。さまざまな口実を設ける。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『歌舞伎・黄門記童幼講釈-三幕』
1252 【キハダ】を嘗めた啞(おし)のよう ◆3 黄檗 黄蘗

👉きはだをなめたおしのよう。
口のきけない人が黄蘗を嘗めてもその苦さを口で表現することができないように、遭遇した艱難辛苦を他人にうまく表現できない。思いがけず苦い目にあった人の表情などをたとえていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「黄檗・檗」は、ミカン科の落葉高木で、この樹皮は健胃整腸の漢方薬となり、極めて苦い。
*『諺語大辞典』
キハダ
1253 箕売り笠にて【ヒ】る ◆3   👉みうりかさにてひる。
箕を売る人が、自分では箕を使わず、笠で代用する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「箕売り」は、箕を売る人。
★「簸る」は、箕で穀物などをふるってくずなどを除くこと。
*『俳諧・毛吹草-二』
1254 【ギュウシュウ】馬勃敗鼓の皮 ◆3 牛溲   👉ぎゅうしゅうばぼつはいこのかわ。
価値の無いもの、役に立たないもののたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「牛溲」は、牛の小便。
★「馬勃」は、馬の糞。
★「敗鼓」は、破れた太鼓。
*『韓愈-進学解』
ギュウシュウ
1255 【キョウテイ】に秘す ◆3 筐底 筺底
篋底
👉きょうていにひす。
人に見られないように、箱の奥深くしまっておく。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「筐底・篋底」は、はこの底。はこの中。
*『花間鶯〈末広鉄腸〉中・自序』
キョウテイ
1256 【ギョロ】を弁ぜず ◆3 魚魯   👉ぎょろをべんぜず。
字の形が似ていて区別がしにくいこと。また、その違いがわからないこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『譬喩尽-六』
ギョロ
1257 轆轤首が【キラズ】を食う ◆3 雪花菜   👉ろくろくびがきらずをくう。
すぐ詰まることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「雪花菜」は、おから。
★のどに詰まりやすいおからを首の長い轆轤首が食う意。
*『洒落本・愚人贅漢居続借金』
キラズ
1258 【キン】を懐き瑜を握る ◆3   👉きんをいだきゆをにぎる。
内に高徳をもっている人のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瑾」も「瑜」も美しい宝玉。
★美しい宝玉をふところに入れ、また手に握り持っている。
*『楚辞-九章・懐沙』
キン
1259 瑾を懐き【ユ】を握る ◆3   👉きんをいだきゆをにぎる。
内に高徳をもっている人のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瑾」も「瑜」も美しい宝玉。
★美しい宝玉をふところに入れ、また手に握り持っている。
*『楚辞-九章・懐沙』
1260 【キンラン】着るか薦着るか ◆3 金襴   👉きんらんきるかこもきるか。
成功して金襴の衣を着る立派な身分になるか、または乞食となってこもを着るか。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『五島民俗図誌』
キンラン
1261 口吸うと【シュモツ】にいえば耳立たず ◆3 腫物   👉くちすうとしゅもつにいえばみみたたず。
膏薬(コウヤク)で腫れ物の膿(ウミ)を吸い出すのも、傷の口を吸う(接吻する)といえば聞こえがよい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「腫物」は、「腫れ物」に同じ。
*『譬喩尽-四』
シュモツ
1262 【グリ】を舞う ◆3 屈輪   👉ぐりをまう。
屈輪の連続した渦巻き文様のように、あれこれ考えても、考えがまとまらないで、あわてることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「屈輪」は、文様の一種。渦巻き文様を連続させたもので、寺院の建築などに用いる。
*『洒落本・魂胆惣勘定-上』
グリ
1263 群玉【ヨウダイ】の仙境 ◆3 瑶台 瑤台 👉ぐんぎょくようだいのせんきょう。
西王母(セイオウボ)が住むという珠玉で飾りたてた宮殿。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「群玉」は、多くの宝石。
★「瑶台」は、珠玉で飾りたてた高殿。
★「仙境」は、仙人の住むという土地。
*『随筆・吉原大全-三』
ヨウダイ
1264 鶏鳴に起き【ジジ】として善をなす ◆3 孳孳   👉けいめいにおきじじとしてぜんをなす。
早起きをして、一所懸命励んでよい行ないをする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「孳孳」は、努力して励むさま。
*『孟子-尽心・上』
ジジ
1265 【ケイヨウ】は少なきを以て貴なりとし、石礫は多きを以て賤しとす ◆3 瓊瑶 瓊瑤 👉けいようはすくなきをもってきなりとし、せきれきはおおきをもっていやしとす。
数少ないものが尊ばれることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瓊瑶」は、美しい玉、美麗な宝玉。
★美しい玉は数が少ないために尊重され、石ころはいくらでもあるから大切にされない。
*『明文抄-三・人事上』
ケイヨウ
1266 瓊瑶は少なきを以て貴なりとし、【セキレキ】は多きを以て賤しとす ◆3 石礫   👉けいようはすくなきをもってきなりとし、せきれきはおおきをもっていやしとす。
数少ないものが尊ばれることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瓊瑶」は、美しい玉、美麗な宝玉。
★美しい玉は数が少ないために尊重され、石ころはいくらでもあるから大切にされない。
*『明文抄-三・人事上』
セキレキ
1267 【ケイリン】の一枝、崑山の片玉 ◆3 桂林   👉けいりんのいっし、こんざんのへんぎょく。
少しばかりの出世のたとえ。出世したことを謙遜していう語。また、科挙(カキョ:官吏の登用試験)に合格したことを謙遜していうことば。転じて、容易に得がたい人物や物事。また、高潔で世俗を抜け出ている人物のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「桂林」は、桂の木犀(モクセイ)など香りのよい木の総称。芳香樹の林。
★「崑山」は、中国の想像上の山で崑崙山(コンロンザン)。宝玉の産地とされる。
*『晉書-郤詵伝』
ケイリン
1268 下衆無い【ジョウロウ】は成らず ◆3 上臈 👉げすないじょうろうはならず。
すべてこの世は身分の上下貴賤があってはじめて成り立つものだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★下賤な身分の者の働きがなくては、高貴な身分の者の生活も成り立っていかないという意。
*『俳諧・毛吹草-二』
ジョウロウ
1269 【ケツ】を助けて虐を為す ◆3   👉けつをたすけてぎゃくをなす。
悪人と結んで悪事をはたらく。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『史記-留侯世家』
ケツ
1270 【ケラ】の子は卵から頷く ◆3 啄木鳥   👉けらのこはたまごからうなずく。
生まれながらにして、将来を思わせる才能があることのたとえ。啄木鳥の子は卵から頷く。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
ケラ
1271 【ケラツツキ】の子は卵から頷く ◆3 啄木鳥   👉けらつつきのこはたまごからうなずく。
生まれながらにして、将来を思わせる才能があることのたとえ。啄木鳥の子は卵から頷く。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
ケラツツキ
1272 【フケイ】短しといえども之をつがば則ち憂えん ◆3 鳧脛 鳬脛 👉ふけいみじかしといえどもこれをつがばすなわちうれえん。
物には、それぞれにふさわしい自然の特徴があるから、いたずらに手を加えたりしないで自然のままに従うのがよいということ。〈漢字ペディア〉
★「鳧脛」は、カモの脛(ハギ)の意。
★カモの脚は短いけれど、これをつぎ足してのばしてやれば、カモは嫌がる意。
*『荘子-駢拇』
フケイ
1273 【ゴゼ】の日高に着いたよう ◆3 瞽女   👉ごぜのひだかについたよう。
遅くなるはずなのに、意外に早く到着することのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★旅をする瞽女がまだ日の高いうちに宿に着いたようだという意。
*『雑俳・鶯宿梅-もじり附』
ゴゼ
1274 【コ】ならず聾ならざれば公たる能わず ◆3   👉こならずろうならざればこうたるあたわず。
ささいな見聞にこだわるようでは、人を治める立場にはなれない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瞽」は、目が見えないこと。
★「聾」は、耳がきこえないこと。
★「公」は、天子、君主。
*『諺語大辞典』
1275 高山【シュンゲン】草木を生ぜず、松柏の地は其の土肥えず ◆3 峻原   👉こうざんしゅんげんそうもくをしょうぜず、しょうはくのちはそのつちこえず。
きびしく取り立て、また土木事業などによって国民を休む間もなく働かせれば、その国は弱って滅亡するというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
「峻原」は、けわしい高原。
高い山とけわしい高原には草木が育たず、松や柏のような常緑樹が繁る土地は、一年中葉の陰になって土地が肥えない意。
*『国語-晉語・九』
シュンゲン
1276 孔子に【トウセキ】 ◆3 盗跖   👉こうしにとうせき。
最善のものがあれば、反対に最悪のものがある。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「盗跖」は、孔子と同じ春秋時代の大泥棒。
*『浄瑠璃・津戸三郎-一』
トウセキ
1277 【コウトク】に縊る ◆3 溝瀆 溝涜 👉こうとくにくびる。
つまらない死に方のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「溝瀆」は、みぞ、どぶ。
★「縊る」は、首をしめて殺す。
★自ら首を締め、みぞに落ちて死ぬ意。
*『論語-憲問』
コウトク
1278 【リュウセツ】にして竜顔 ◆3 隆準   👉りゅうせつにしてりょうがん。
鼻柱が高く通って、顔が竜のようだ。高祖(劉邦(リュウホウ))のなみなみでない面相の表現。〈中国古典名言事典〉
★「準」は、鼻柱。
*『十八史略-西漢・高祖』
リュウセツ
1279 衡門の下以て【セイチ】すべし ◆3 棲遅 栖遅 👉こうもんのもともってせいちすべし。
粗末な家でも、住めば心楽しく安らぎの日々を送るにふさわしい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「衡門」は、柱に横木をわたしただけの門。
★「棲遅」は、いこい安らぐこと。
*『詩経-陳風・衡門』
セイチ
1280 【コウリョウ】の子弟 ◆3 膏粱   👉こうりょうのしてい。
富貴の家に生まれた者。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「膏粱」は、肥えた肉とうまい粟(アワ)。転じて、おいしい食べ物。
★美食をしつけている子弟の意。
*『天香楼偶得』
コウリョウ
1281 後家の見せかけ数珠は奥【モミ】 ◆3 紅絹 👉ごけのみせかけじゅずはおくもみ。
後家が、おもてむきは数珠をつまぐりながら亡夫の跡をとむらい、さも殊勝らしくしているけれども、その実、喪服の裏地に扇情的な紅絹をまとっていること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「紅絹」は、紅色で無地の絹布。和服の袖裏や胴裏などに使う。
*『譬喩尽-五』
モミ
1282 【コケイ】を守る ◆3 孤閨   👉こけいをまもる。
夫が死亡したり、または旅行中で長期不在の間など、妻がつつましく家を守って生活すること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「孤閨」は、女性のひとり寝の部屋。
*不明
コケイ
1283 【コゴ】み女に反り男 ◆3   👉こごみおんなにそりおとこ。
女はやや前かがみの姿勢が見よく、男は後へやや反った姿勢が見よい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺苑』
コゴ
1284 志合えば胡越も【コンテイ】たり、志合わざれば骨肉も讐敵たり ◆3 昆弟   👉こころざしあえばこえつもこんていたり、こころざしあわざればこつにくもしゅうてきたり。
真に人と人とが結ばれるのは地縁でも血縁でもなく、こころざしが一致するかどうかによる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「胡越」は、中国で、北方の胡の国と南方の越の国で、互いに疎遠である者のたとえ。
★「昆弟」は、兄弟。
★「讐敵」は、うらみのある敵。
★こころざしが合えば、北方の胡の者も南方の越の者と兄弟のようになれるが、合わなければ肉親も仇敵となる意。
●〈平成29年度・第3回出題,大問㈧,小問4〉
*『漢書-鄒陽伝』
コンテイ
1285 【コス】い子身をもたぬ ◆3   👉こすいこみをもたぬ。
わるがしこい者は、はじめはうまくやっていても、いつかは失敗して破滅する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『南総の俚俗』
コス
1286 無功の賞は不義の富禍の【ナカダチ】なり ◆3   👉むこうのしょうはふぎのとみわざわいのなかだちなり。
功績のない者に賞を与えるのは、道にはずれた富を与えることであり、わざわいを招くもとになるから、すべきではない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『玉函秘抄-上』
ナカダチ
1287 【コノテガシワ】の二面 ◆3 側柏 児手柏 👉このてがしわのふたおも。
コノテガシワの葉が表裏いずれとも定めにくいこと。転じて、物事がいずれか定めがたいことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『万葉-一六・三八三六』
コノテガシワ
1288 【コハン】は見易く人斑は見難し ◆3 虎斑   👉こはんはみやすくじんぱんはみがたし。
虎の斑点はよく見えるが、人の心の中はそう簡単に見分けることができない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「人斑」は、「虎斑」に対して人の心をたとえていったことば。
*『明暦刊本句双紙』
コハン
1289 【コビン】が禿げる ◆3 小鬢   👉こびんがはげる。
この上なくうまいものを食べた時のさま。頰(ホオ)が落ちるよう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
コビン
1290 【ゴマ】の灰 ◆3 護摩   👉ごまのはい。
旅人をだまして金品を奪う者。〈漢字ペディア〉
★ただの灰を、ありがたい護摩を焚(タ)いた灰として旅人に高く売りつけた者がいたことから。
*『評判記・役者舞扇子-京・浅尾十次郎』
ゴマ
1291 【サライ】の食 ◆3 嗟来   👉さらいのし。
無礼な態度で与えられる食物のこと。〈漢字ペディア〉
★「嗟」は、発語の助字。
★さあ、来てくらえの意。
*『礼記-檀弓・下』
サライ
1292 嗟来の【シ】 ◆3   👉さらいのし。
無礼な態度で与えられる食物のこと。〈漢字ペディア〉
★「嗟」は、発語の助字。
★さあ、来てくらえの意。
*『礼記-檀弓・下』
1293 道傍の【クリ】 ◆3 苦李   👉どうぼうのくり。
人に見向きもされないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★道端に実っている苦いスモモは、だれも取ろうとしないことから。
*『晉書-王戎伝』
クリ
1294 之を東隅に失い【ソウユ】に収む ◆3 桑楡   👉これをとうぐうにうしないそうゆにおさむ。
初めに失敗したことを、後に回復する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「東隅」は、日の出る所。
★「桑楡」は、日の沈む所。
*『後漢書-馮異伝』
ソウユ
1295 【コンリョウ】の袖に隠れる ◆3 衮竜 袞竜 👉こんりょうのそでにかくる。
天子の権威の陰で勝手に振る舞う。〈漢字ペディア〉
★「衮竜」は、竜のぬいとりをした天子の衣服。
*『虞美人草〈夏目漱石〉六』
コンリョウ
1296 【サ】を投ぐる間 ◆3   👉さをなぐるま。
ごく短い時間、または、歳月が早く過ぎることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「梭」は、機(ハタ)を手織りするとき、横糸をつけて縦糸の間をすばやく通す器具。
*『叢書本謡曲・時有』
1297 【コウコウ】夢に入る ◆3 箜篌   👉こうこうゆめにいる。
後来自分の妻となるべき人を夢に見ること。〈中国古典名言事典〉
★「箜篌」は、楽器の名。音調の偕和することから、妻を連想する。
*『閲微草堂筆記』
コウコウ
1298 鍋の【サカヤキ】石の髭 ◆3 月代 月額 👉なべのさかやきいしのひげ。
見たことのない物、あるべからざる物のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「月代・月額」は、古く成人男子が前額から頭の中央にかけて髪をそったこと、また、その部分。
*『狂歌・後撰夷曲集-一〇』
サカヤキ
1299 【セイサク】を奉ず ◆3 正朔   👉せいさくをほうず。
王の統治に服従する、臣民となる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「正朔」は、暦のことで、「正」は年の始め。「朔」は月の始めの意。
★古代中国で、新しい王が立つと暦を改めたところからいう。
*『随筆・折たく柴の記-下』
セイサク
1300 三月の桜【ザ】め ◆3   👉さんがつのさくらざめ。
桜の花の色はさめやすいところから、飽きやすいことのたとえ。陰暦三月の嫁入り、嫁迎えを避ける際にいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺苑』
1301 【ザンゼン】を保つ ◆3 残喘   👉ざんぜんをたもつ。
やっと生きながらえている。なんとか生き残っている。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「残喘」は、残りの息、死にかかっている命。
*『俳人蕪村〈正岡子規〉時代』
ザンゼン
1302 紫燕は柳樹の枝に戯れ白鷺は【リョウカ】の蔭に遊ぶ ◆3 蓼花   👉しえんはりゅうじゅのえだにたわむれはくろはりょうかのかげにあそぶ。
燕は柳の枝をぬって飛びかい、白鷺(シラサギ)は蓼(タデ)の花の近くで遊ぶ。それぞれ自分に応じた連れ、相手のあることにいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「紫燕」は、燕(ツバメ)の異名。
*『曽我物語-九・十番ぎりの事』
リョウカ
1303 仕置き場の【スリ】 ◆3 掏摸 掏児 👉しおきばのすり。
どんな所にでも悪人はいるものだ。また、根っからの悪人のこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「仕置き場」は、刑場。
★刑場でもなおスリを働く者がある意。
*『いろは短句』
スリ
1304 【シカ】が見える ◆3 疵瑕   👉しかがみえる。
人の欠点はよくわかる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「疵」は、身のきず。「瑕」は、玉のきず。転じて、欠点、短所、過失などをいう。
*『譬喩尽-七』
シカ
1305 【シシュ】を遺さず ◆3 錙銖   👉ししゅをのこさず。
少しの落ち度もないこと。あますところがないこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「錙銖」は、わずかな目方。転じて微細なこと。
*『韓愈-送高閑上人序』
シシュ
1306 【シズ】が伏せ屋に月もさす ◆3 👉しずがふせやにつきもさす。
風流に貴賤の別はないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★身分の低いいやしい者が住むそまつな家にも、月の光はさしこむ意。
*『諺語大辞典』
シズ
1307 七仏通戒の【ゲ】 ◆3   👉しちぶつつうかいのげ。
釈迦牟尼仏など過去七仏が通戒(略戒)とした簡略に諸仏の教戒を示した偈。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「偈」は、仏の徳をたたえる韻文体の経文で四句から成る。
*『法華玄義-上』
1308 しつこい坊主に【ダンナ】がない ◆3 檀那   👉しつこいぼうずにだんながない。
しつこい者は人に嫌われるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「檀那」は、寺などのために金銭、物品を施してくれる人。檀家、施主。
★喜捨、寄進をしつこく言う坊主には檀那のなり手がない意。
*『諺苑』
ダンナ
1309 【シモク】大なれど視ること鼠に若かず ◆3 鴟目   👉しもくだいなれどみることねずみにしかず。
大も小に及ばぬことがあるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鴟」は、フクロウ。
★フクロウの目は大きいが、視力の点では鼠に及ばない意。
●〈平成20年度・第3回出題,大問㈨,小問8〉
*『淮南子-氾論訓』
シモク
1310 【シャク】を飛ばす ◆3   👉しゃくをとばす。
修行僧が各地を遍歴する。行脚する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『孫綽-遊天台山賦』
シャク
1311 【ジャクマク】の枢 ◆3 寂寞 寂漠 👉じゃくまくのとぼそ。
ものさびしく静かな隠者の住居。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「寂寞・寂漠」は、物静かなさま。セキバク。
★「枢」は、戸、扉。
*『太平記-一一・書写山行幸』
ジャクマク
1312 【シャコク】撃つ ◆3 車轂   👉しゃこくうつ。
人や車の往来の激しいさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「車轂」は、車のこしきで、車輪の中心の輻(ヤ)が集まる丸い部分で、中を車軸が貫いている。
*『戦国策-斉策・宣王』
シャコク
1313 書は道を求むる【センテイ】なり ◆3 筌蹄   👉しょはみちをもとむるせんていなり。
書物は、学問の道を学びきわめるために必要な手段である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「筌蹄」は、道具、手段、方便。
*不明
センテイ
1314 【ショウ】を乞いて酒を得る ◆3 漿   👉しょうをこいてさけをえる。
希望した以上のよい物を得ることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「漿」は、米を煮た汁、おもゆ。また、広く飲みもの。
*『遊仙窟』
ショウ
1315 糞土の【ショウ】は杇(ぬ)るべからず ◆3 👉ふんどのしょう。
性根のしっかりしない者は教えるかいもないというたとえ。また、「糞土の牆」だけで、怠け者、教育しがいのない者をいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「糞土」は、上塗りができず、壁土の用をなさない腐ってボロボロになった土の意。
★ぼろぼろに腐った土で造った塀は、もとがしっかりしていないので、はげても上塗りができない意。
*『論語-公冶長』
ショウ
1316 【ショウカ】遥かに聴く孤雲の上、聖衆来迎す落日の前 ◆3 笙歌   👉しょうかはるかにきくこうんのうえ、しょうじゅらいごうすらくじつのまえ。
雲の上から音楽が聞こえ、極楽の諸菩薩が西から入り日の輝きを背負って迎えにやってくる。寂昭上人が荘厳な極楽往生のさまを詠んだという詩句。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「笙歌」は、雅楽の管楽器、笙に合わせてうたう歌。
*『十訓抄-一〇・大江定基出家入唐事』
ショウカ
1317 【ショウキ】大臣の棚から落ちたよう ◆3 鍾馗   👉しょうきだいじんのたなからおちたよう。
いばっていた者がしくじって、面目まるつぶれでみじめなさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鍾馗」は、中国で、魔を除くという神。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
ショウキ
1318 常山の【ダセイ】 ◆3 蛇勢   👉じょうざんのだせい。
どこから見ても隙や欠点がないこと。また、隙や欠点のない陣の態勢のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「常山」は、中国五岳の一、山西省にある山。
★常山に住む率然(ソツゼン)という両頭の蛇は、首を打たれれば尾が助け、尾を打たれれば首が助け、胴を打たれれば、首・尾ともに助けたという故事による。
*『孫子-九地』
ダセイ
1319 小便【タゴ】にも小波 ◆3 担桶   👉しょうべんたごにもさざなみ。
よい悪いの差はあっても物本来の性質は変わらないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「担桶」は、肥桶。
★小便担桶の中でも、揺れ動くと普通の水と同じように小便に小波が立つ意。
*『俚言集覧』
タゴ
1320 【ショウラ】の契り ◆3 松蘿   👉しょうらのちぎり。
松の木によく松蘿がからみつくように、からみついて離れない深い愛情。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「松蘿」は、サルオガセ、または蔓草をいう。
*『源平盛衰記-三九・時頼横笛事』
ショウラ
1321 奴は【ヒ】を見て慇懃 ◆3   👉ぬはひをみていんぎん。
身分の低い者は、同じような立場の者に親しみを感じるのが人情だというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★下男は他家へ使いに行ったとき、その家の主人よりも、下女に対して親しく、ねんごろに挨拶をするものだという意。
*『譬喩尽-二』
1322 【シンイキ】を撤して諸生を待つ ◆3 畛域   👉しんいきをてっしてしょせいをまつ。
師弟のわくをこえて、門弟に接する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「畛域」は、さかい、へだて。
*不明
シンイキ
1323 【ソシシ】の空国 ◆3 膂宍   👉そししのむなくに。
肥沃でない土地。〈大辞泉〉
★「膂宍」は、背筋の肉。
★背筋には肉が少ないことから。
*『書紀-神代下』
ソシシ
1324 【カクケイ】長しと雖もこれを断たばすなわち悲しむ ◆3 鶴脛   👉かくけいながしといえどもこれをたたばすなわちかなしむ。
物にはおのおの自然に備わった特性があるので、みだりに人為を加えてはいけない意。鶴長鳧短(フタン)。〈新大字典〉
*不明
カクケイ
1325 【コウユ】の地 ◆3 膏腴   👉こうゆのち。
地味が肥えて作物のよく実る土地。〈新大字典〉
★「膏腴」は、地味が肥えている意。
*不明
コウユ
1326 【ユウヒ】の夢 ◆3 熊羆   👉ゆうひのゆめ。
夢に熊やひぐまを見るのは男子出産の瑞祥である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『詩経-小雅・斯干』
ユウヒ
1327 【ゲンゲン】相摩す ◆3 舷舷   👉げんげんあいます。
水上の激しい戦いのようす。〈漢字ペディア〉
★「舷舷」は、ふなべりと、ふなべり。
*不明
ゲンゲン
1328 四十【シンゾ】五十島田 ◆3 新造   👉しじゅうしんぞごじゅうしまだ。
年輩の女性が年齢不相応の若い服装、化粧などをすること。三十(サンジュウ)振(フ)り袖(ソデ)四十島田(シジュウシマダ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「新造」は、若い女、若い遊女。
★「島田」は、島田髷(シマダマゲ)。代表的な日本髪で、おもに未婚の女性や花嫁が結う。
*『日本俚諺大全』
シンゾ
1329 【チョキ】が親船 ◆3 猪牙   👉ちょきがおやぶね。
比較にならないほど弱小であることのたとえ。また、弱小な者が強大な者にたちむかうことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「猪牙」は、猪牙船の略で、二人乗りの小舟。
★船体の小さな猪牙船が大きな親船に対抗する意。
*『洒落本・嘉和美多里』
チョキ
1330 昨日の【ダイジン】、今日の乞食 ◆3 大尽   👉きのうのだいじん、きょうのこじき。
人の身のうつり変わりがはげしいことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「大尽」は、大金持ち。富豪。
*『日本俚諺大全』
ダイジン
1331 無尽の【タノモシ】を頼むよう ◆3 頼母子   👉むじんのたのもしをたのむよう。
無尽や頼母子への加入を人に頼むときのように、あれこれ説明し、一生懸命頼み込むさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「無尽」「頼母子」は、共に庶民金融の一種で、成員相互の金銭の融通を目的として組織された講。
*『浮世草子・三千世界色修行-二・二』
タノモシ
1332 【フウジン】の警 ◆3 風塵   👉ふうじんのけい。
兵乱のこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『漢書-終軍伝』
フウジン
1333 【ヨバリ】垂れ嫌うて夜糞垂れ貰うた ◆3 夜尿   👉よばりたれきろうてよぐそたれもろうた。
妻を離縁し、再婚してみると前妻よりひどい女だった。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「夜尿」は、寝小便。
★夜尿症の妻を嫌って追い出して新しい妻を貰ったが、夜糞垂れだったという意。
*『日本俚諺大全』
ヨバリ
1334 【フウヨウ】衰えて盧橘花開く ◆3 楓葉   👉ふうようおとろえてろきつはなひらく。
秋から冬への季節の移り変わり。また、衰えるものがあれば一方では栄えるものがあるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「楓葉」は、紅葉した楓(カエデ)の葉。
★「盧橘」は、金柑(キンカン)の異名。
*『戴叔倫-湘南即事詩』
フウヨウ
1335 類を出で【スイ】を抜く ◆3   👉るいをいですいをぬく。
多数の中にあって、特別に秀でている。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「萃」は、群衆のこと。
*『孟子-公孫丑・上』
スイ
1336 【ツム】の緒の切れたよう ◆3 紡錘 👉つむのおのきれたよう。
物事が中途で切れてあとが続かないさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「紡錘・錘」は、糸巻きなどの心棒。
*『尾張俗諺』
ツム
1337 臍が【ニットウ】渡天する ◆3 入唐   👉へそがにっとうとてんする。
あんまりおかしくって臍が唐から天竺へまでも渡って行く。臍が茶を沸かす。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浄瑠璃・呼子鳥小栗実記-上』
ニットウ
1338 上方【ゼイロク】に広島乞食 ◆3 贅六   👉かみがたぜいろくにひろしまこじき。
上方の人と広島の人をののしっていうことば。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「贅六」は、昔、江戸の人の上方の人に対する蔑称。才六が江戸風に訛った。
*『日本の諺〈正岡子規編』
ゼイロク
1339 【シュウゴウ】を析つ ◆3 秋毫   👉しゅうごうをわかつ。
きわめてこまかいところまで分析する。大へんこまかい計算をする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「秋毫」は、きわめてわずかなこと。少し。
*『史記-平準書』
シュウゴウ
1340 【リョウキ】の足を絆して責むるに千里の任を以てす ◆3 良驥   👉りょうきのあしをほだしてせむるにせんりのにんをもってす。
能力と才能のある者でも自由に活動できる条件を与えなくては要求するだけの業績をあげられるはずがないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「良驥」は、すぐれた馬。駿馬。
★名馬の足を縛っておいて千里を走れと責め立てる意。
*『呉質-答東阿王書』
リョウキ
1341 徒居しょうより膝麻【ウ】め ◆3   👉ただいしょうよりひざそうめ。
ひまがあったら、無為に過ごさないで少しでも働け。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「麻」は、あさ。菅麻(スガソ)など、多く他の語と複合して用いる。
★「績む」は、麻などの繊維をより、つないで糸にする。つむぐ。
★ただ座っているぐらいなら、あいている膝を使って苧(カラムシ)でも績(ウ)むがよいという意。
*『譬喩尽-三』
1342 【オウゴ】を折る ◆3   👉おうごをおる。
朸(オウゴ)をになって商うような小売商人が再び商いができないほど失敗する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「朸」は、天秤棒(テンビンボウ)。
*不明
オウゴ
1343 【センチ】の火事 ◆3 雪隠   👉せんちのかじ。
やけくそ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「雪隠(センチ)」は、雪隠(セッチン)がなまったもの。便所の意。
★雪隠の火事なら糞が焼けるというところからいうしゃれ。
*『大新板おどけ粋言葉』
センチ
1344 夜明けの【ピンゾロ】 ◆3 一揃   👉よあけのぴんぞろ。
博打や遊興などで夜を明かして帰った夫に女房が両目をむいて怒るさま。また、その女房をしゃれていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「一揃」は、二個の采の目がそろって一(ピン)と出ること。
*『洒落本・道中粋語録』
ピンゾロ
1345 我が物いらずの【センジョウ】張り ◆3 僭上 僣上 👉わがものいらずのせんじょうばり。
自分のふところを痛めずにおごること。人の物を使って贅沢をすること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「僭上張り」は、身分不相応な言動をすること。
*『譬喩尽-二』
センジョウ
1346 乗り合い船の【ヒゼン】搔き ◆3 皮癬 👉のりあいぶねのひぜんかき。
周囲に迷惑なもののたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「皮癬搔き」は、疥癬(カイセン)のような伝染性のかゆい皮膚病を持つ人。
*『譬喩尽-四』
ヒゼン
1347 仁王の【シラクモ】 ◆3 白癬 白禿瘡 👉におうのしらくも。
誰も気がつかない、とりざたする者もないというしゃれ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「白癬・白禿瘡」は、頭部におこる皮膚病。
★高いところにあって、気がつく者がいないところからいう。
*『洒落本・売花新駅-駅路風景』
シラクモ
1348 【ソコウ】橡を賦(くば)る ◆3 狙公   👉そこうとちをくばる。
朝三暮四。猿まわしが、猿の餌に芧(どんぐり・とちのみ)を与えるのに、朝三つ、夕四つにしたら喜ばなかったので、朝四つ、夕三つにしたら大いに喜んだという『荘子-斉物論』のたとえ話。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「狙公」は、猿まわし。
*『荘子-斉物論』
ソコウ
1349 尺牘【ショソ】は千里の面目 ◆3 書疏   👉せきとくしょそはせんりのめんぼく。
手紙の字が上手であると、はるかな遠方や後世までも自分の名誉が保たれる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「尺牘」は、手紙。
★「書疏」は、手紙。
*『顔氏家訓-雑芸』
ショソ
1350 【テイエイ】の音 ◆3 鄭衛   👉ていえいのおん。
野卑または猥褻(ワイセツ)で風俗を乱す音楽。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★鄭国と衛国との歌謡が淫猥(インワイ)で、正雅でなかったところからいう。
*『礼記-楽記』
テイエイ
1351 【テイセイ】雅を乱る ◆3 鄭声   👉ていせいがをみだる。
鄭の国の歌や音楽はみだらで、上品な音楽や風俗を乱す。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鄭声」は、中国の春秋時代、鄭国の音楽の意。
*『論語-陽貨』
テイセイ
1352 ちゃっちゃの【ヒコ】 ◆3 曽孫   👉ちゃっちゃのひこ。
非常に背の低い小さな人のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「ちゃっちゃ」は、鷦鷯(ミソサザイ)の異称。
★ミソサザイのひ孫の意。
*『諺語大辞典』
ヒコ
1353 なりに似せて【ヘソ】を巻く ◆3 巻子 綜麻 👉なりににせてへそをまく。
同じ事柄でもそれをする人それぞれの性格によって、出来上がりに差異が出てくる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「巻子・綜麻」は、つむいだ糸を丸く巻いたもの。おだまき。
*『浮世草子・御入部伽羅女-二・八』
ヘソ
1354 更に【ナシジ】の重箱 ◆3 梨子地   👉さらになしじのじゅうばこ。
まったくない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「梨子地」は、金銀の粉末をまきちらし、梨の実の膚に似せた蒔絵。
★まったくないの「さらにない」と「梨子地の重箱」の「なし」をかけたしゃれ。
*『洒落本・妓者呼子鳥-四』
ナシジ
1355 忠臣蔵は歌舞伎の【ドクジントウ】 ◆3 独参湯   👉ちゅうしんぐらはかぶきのどくじんとう。
忠臣蔵がいつ上演してもあたる狂言であることをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「忠臣蔵」は、ここでは人形浄瑠璃『仮名手本忠臣蔵』の略称。
★「独参湯」は、漢方薬で、気付けの妙薬とされる。
★歌舞伎で、客の入りの思わしくないときは、『忠臣蔵』をかけると、気付け薬が効くように必ず持ち直す意。
*『歌舞妓年代記-三・延享三年』
ドクジントウ
1356 煢煢として【ゲツリツ】し、形影相弔う ◆3 孑立   👉けいけいとしてげつりつし、けいえいあいとむらう。
寂しく一人ぼっちの生活をし、ただ自分の身と自分の影で互いに慰め合っている。〈中国古典名言事典〉
*『李密-陳情表』
ゲツリツ
1357 【ハク】を散じて亡卒の遺骸を収む ◆3   👉はくをさんじてぼうそつのいがいをおさむ。
仁君が戦死者を手あつく葬ること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「帛」は、精美な絹。
★帛を放出して戦死者の遺体を収容する意。
*『旧唐書-高麗伝』
ハク
1358 存亡の【トキ】 ◆3
👉そんぼうのとき。
生き残るか滅亡するかの分かれ目の重要な時機・場合。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「秋・穐・龝」は、大切な時期。
*『布令必用新撰字引〈松田成己〉』
トキ
1359 【ハッコウ】日を貫く ◆3 白虹   👉はっこうひをつらぬく。
臣下の兵が、君主に危害を加える前兆。〈漢字ペディア〉
★白色のにじが太陽を突きとおす意から。
*『戦国策-魏策』
ハッコウ
1360 【デイリ】に土塊を洗う ◆3 泥裏 泥裡 👉でいりにどかいをあらう。
汚れや醜さの度合いがはなはだしいことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★泥の中で土の塊を洗う意。
*『五燈会元-一六・雪竇顕禅師法嗣』
デイリ
1361 神を【シ】うる者は、殃い三世に及ぶ ◆3   👉かみをしうるものは、わざわいさんせいにおよぶ。
神をあざむく者は、わざわいが三世にまで及ぶ。〈中国古典名言事典〉
*『漢書-郊祀志』
1362 【モンドリ】を打つ ◆3 翻筋斗 飜筋斗 👉もんどりをうつ。
宙返りをする。頭からころがる。とんぼがえりをする。もどりを打つ。もんどりを切る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『虎寛本狂言・鎌腹』
モンドリ
1363 泰山頽れ【リョウボク】折る ◆3 梁木   👉たいざんくずれりょうぼくおる。
人君子の死をたとえていう。孔子が自分の死を予感して歌ったという。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★人々が仰ぐ泰山がくずれ、すべての柱がたよりにする梁(ハリ)が折れる意。
*『礼記-檀弓・上』
リョウボク
1364 【セイタイ】が立て板に香炉木の墨 ◆3 青黛   👉せいたいがたていたにこうろぎのすみ。
美しい黒髪のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「青黛」は、濃い青色。
★「香炉木の墨」は、唐木(トウボク)の香ばしい墨。香木をたたいてまぜこんだ墨。
★青黒色の立て板に流した香り高い墨汁の意。
*『御伽草子・富士の人穴草子』
セイタイ
1365 【インツウ】沢山 ◆3 員子 銀子 👉いんつうさわやま。
金銀がたくさんあること。お金がふんだんにあること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浄瑠璃・三日太平記-六』
インツウ
1366 尺沢の【ゲイ】 ◆3   👉せきたくのげい。
見識の狭いたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「尺沢」は、小さい池。
★「鯢」は、サンショウウオ。一説に、メダカ。
★小さい池にすむサンショウウオの意。
*『宋玉-対楚王問』
ゲイ
1367 【ゼンダク】を重んじる ◆3 然諾   👉ぜんだくをおもんじる。
一度引き受けたことは何があってもやりとげる。〈漢字ペディア〉
★「然諾」は、引き受けること。承諾。
*『日本開化小史〈田口卯吉〉三・五』
ゼンダク
1368 伊達の【スアワセ】 ◆3 素袷   👉だてのすあわせ。
粋に見せようとして、寒いときにも我慢して薄着でいること。伊達の薄着。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「素袷」は、襦袢(ジュバン:和服用の下着)を着ないで、素肌にあわせの着物を着ること。
*『日本俚諺大全』
スアワセ
1369 火を恋う【セイガ】は焰に焼かれ、花を貪る胡蝶は蜘蛛の網(い)にかかる ◆3 青蛾   👉ひにこうせいがはほのおにやかれ、はなをむさぼるこちょうはくものいにかかる。
物事に執着したために、身を滅ぼすことのたとえ。また、進んで災難を身に受けることのたとえ。夏の虫飛んで火に入る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
セイガ
1370 【チトウ】春草の夢 ◆3 池塘   👉ちとうしゅんそうのゆめ。
若い日の楽しみのうつろいやすくはかないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「池塘」は、池の堤(ツツミ)。
★池の堤の春草の上でまどろんだ少年時代の夢の意。
*『朱熹-偶成詩』
チトウ
1371 【チグ】の縁 ◆3 値遇   👉ちぐのえん。
前世の宿縁によって現世でまれにめぐり合う、深い関係。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「値遇」は、出会うこと。めぐりあうこと。また、仏の縁によって現世で出会うこと。
*『明徳記-下』
チグ
1372 【ノウテイ】の智 ◆3 囊底 嚢底 👉のうていのち。
ありったけの知恵。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「囊底」は、袋の底。
*『晉書-慕容垂載記』
ノウテイ
1373 馳走【タッパイ】 ◆3 答拝   👉ちそうたっぱい。
客などにていねいなもてなしをすること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『書言字孝節用集-八』
タッパイ
1374 伯氏壎を吹き仲氏【チ】を吹く ◆3   👉はくしけんをふきちゅうしちをふく。
兄弟が仲のよいさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「伯氏」は、長兄。
★「仲氏」は、次兄。
★「壎」は、土笛。
★「篪」は、竹笛。
★兄弟で合奏する意。
*『詩経-小雅・何人斯』
1375 伯氏【ケン】を吹き仲氏篪を吹く ◆3   👉はくしけんをふきちゅうしちをふく。
兄弟が仲のよいさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「伯氏」は、長兄。
★「仲氏」は、次兄。
★「壎」は、土笛。
★「篪」は、竹笛。
★兄弟で合奏する意。
*『詩経-小雅・何人斯』
ケン
1376 【ソウカク】の好 ◆3 総角   👉そうかくのよしみ。
幼いころの交友。おさな友だち。〈漢字ペディア〉
★「総角」で、「あげまき」とも読む。〈漢字ペディア〉
*『晋書-何劭伝』
ソウカク
1377 一夜【ケンギョウ】向こう見ず ◆3 検校   👉いちやけんぎょうむこうみず。
一攫千金ばかりを夢みて、将来の事など考えない。博徒の生活態度などをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『人情本・浪模様尾花草紙-中・三』
ケンギョウ
1378 沖の【ハマチ】 ◆3   👉おきのはまち。
あてにならないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「魬」は、ブリの若魚の呼び名。
★逃げ足が速く、群棲していると思ってもたちまち逃げ去って捕獲できないところからいう。
*『俚言集覧』
ハマチ
1379 擂り粉木に【シメ】 ◆3 注連
七五三
👉すりこぎにしめ。
不似合いなさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「注連・標」は、しめなわ(注連縄・標縄)の略。
★「七五三縄」で「しめなわ」と読み、「七五三」で「しめ」と読むが、七五三(シメ)については漢字ペディアに記述無し。
*『俚言集覧』
シメ
1380 【ヒヂリメン】虎の皮より恐ろしい ◆3 緋縮緬   👉ひぢりめんとらのかわよりおそろしい。
商売女はおそろしい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「緋縮緬」は、多く商売女の腰巻に用いられ、「虎の皮」は、鬼の犢鼻褌(フンドシ)とされたところからいう。
*『雑俳・柳多留-三五』
ヒヂリメン
1381 両脚の【ショチュウ】 ◆3 書厨 書廚 👉りょうきゃくのしょちゅう。
ただいたずらに読書をするだけで、その本の意味をよく解することができない人。応用のきかない人をいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「書厨・書廚」は、本箱、書棚。書篋(ショキョウ)。書笥(ショシ)。
★両足のある本箱の意。
*『南斉書-陸澄伝』
ショチュウ
1382 【ユウコ】を綢繆す ◆3 牖戸   👉ゆうこをちゅうびゅうす。
災難に備える努力をすることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「牖」は、窓。
★「綢繆」は、ゆるんだところを修理すること。
★風雨に備えて窓や戸を修理する意。
*『詩経-豳風・鴟鴞』
ユウコ
1383 【ユウチュウ】に日を窺う ◆3 牖中   👉ゆうちゅうにひをうかがう。
視野の狭いたとえ。知識や見識の浅薄なことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「牖」は、明かりとりの窓の意。
★窓から太陽をうかがい見る意から。
●〈平成29年度・第3回出題,大問㈧,小問9〉
*『世説新語-文學』
ユウチュウ
1384 【ヤチョ】にして介するもの ◆3 野猪   👉やちょにしてかいするもの。
イノシシに鎧を着せたような、向こう見ずな人のたとえ。猪武者(イノシシムシャ)。〈漢字ペディア〉
★「介」は、鎧の意。
*『日本外史-三・源氏正記』
ヤチョ
1385 【オンボウ】も焼き賃 ◆3 隠亡   👉おんぼうもやきちん。
どんな職業にもそれぞれ相応の報酬があり、無報酬で働く者はいない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「隠亡」は、昔、死人の火葬・埋葬をしたり、墓所を守ったりした職業の人。
*『譬喩尽-二』
オンボウ
1386 塗り箸【トロロ】 ◆3 薯蕷   👉ぬりばしとろろ。
いっこうにかからない、なかなかだまされない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★つかめなかったり、すべったりして、箸にかからないところからいうしゃれ。
*『譬喩尽-二』
トロロ
1387 枯魚索を銜む、幾何か【ト】せざらん ◆3 👉こぎょなわをふくむ、いくばくかとせざらん。
人も同じようにはかなく短い命であるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「蠹・蠧」は、虫食うこと
★なわに通した干し魚が、どれだけの間、虫に食われずにいられようかという意。
*『孔子家語-致思』
1388 世は【ヌバタマ】の闇の儲け ◆3 射干玉 野干玉
烏玉
烏珠
👉よはぬばたまのやみのもうけ。
この世の闇に乗じて不当に儲けること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『たけくらべ〈樋口一葉〉九』
ヌバタマ
1389 鼻毛で【ヤンマ】を釣る ◆3 蜻蜓   👉はなげでやんまをつる。
鼻毛が長く伸びていることのたとえ。阿呆(アホウ)の鼻毛で蜻蛉を繫ぐ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『譬喩尽-一』
ヤンマ
1390 狗尾をもて【チョウ】に継ぐ ◆3   👉こうびをもてちょうにつぐ。
冠を飾る貂がたりなくなるほど、官爵を濫発することのたとえ。また、善美なものの後に粗悪なものが続くことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「狗尾」は、犬の尾。
★「貂」は、毛皮が美しい獣。テン。
★貂(テン)の尾で飾った冠を戴く者の後に、狗尾で飾った冠が続く意。
*『晉書-趙王倫伝』
チョウ
1391 鶏鳴【クハイ】相聞こゆ ◆3 狗吠   👉けいめいくはいあいきこゆ。
人家が隣接して続いているさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★鶏や犬の鳴き声が互いに聞こえ合う意。
*『孟子-公孫丑・上』
クハイ
1392 鍋に耳あり【チロリ】に口あり ◆3 銚釐   👉なべにみみありちろりにくちあり。
秘密のもれやすいことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「耳」は、鍋の取っ手。
★「銚釐」は、酒を燗(カン)するための金属製のうつわ。
★「口」は、注ぎ口。
*『譬喩尽-三』
チロリ
1393 方枘(ほうぜい)を持って【エンサク】に内れんと欲す ◆3 円鑿   👉ほうぜいをもってえんさくにいれんとほっす。
物事の相合わないたとえ。〈中国古典名言事典〉
★四角なほぞ(木材などを接合する際、一方の端部に作る突起)をまるい穴にはめこもうとするようなものだ。できるものではない。
*『史記-孟子伝』
エンサク
1394 【チョウジョク】皆忘る ◆3 寵辱   👉ちょうじょくみなわする。
美しい景色にみとれるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「寵辱」は、寵愛を受けることと、恥辱を受けること。
★栄光も失意もすべてを忘れる意。
*『范仲淹-岳陽楼記』
チョウジョク
1395 【チュウサク】を帷帳の中に運らし、勝を千里の外に決す ◆3 籌策 籌筴 👉ちゅうさくをいちょうのなかにめぐらし、かちをせんりのそとにけっす。
大昭の幕中において軍略をめぐらし、勝を遠方の地に決する。張子房(チョウシボウ)の材能を評した漢の高祖の言葉。〈中国古典名言事典〉
*『史記-高祖紀』
チュウサク
1396 【クバ】の心 ◆3 狗馬   👉くばのこころ。
君主など上位の者への忠誠の心をへりくだっていう語。〈漢字ペディア〉
★「狗馬」は、イヌやウマのようにいやしい者の意。
*『漢書』
クバ
1397 黄髪【ハハ】に謀れば、則ち過つ所なし ◆3 番番   👉こうはつははにはかれば、すなわちあやまつところなし。
すべてのことは髪の黄色になった老人に相談すれば、過ちなきを得る。秦の穆公(ボッコウ)の教え。〈中国古典名言事典〉
*『史記-秦紀』
ハハ
1398 高山に登らざる者は、【テンツイ】の患いを知ること無し ◆3 顚墜 顛墜 👉こうざんにのぼらざるものは、てんついのうれいをしることなし。
賢者は、物事に慎重で、徒(イタズラ)に危険に近付いたりはしないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★高い山に登らない者は、転落を心配する必要がない意。
*『金言童子教』
テンツイ
1399 【ヤカク】子を思う ◆3 夜鶴   👉やかくこをおもう。
親の子に対する愛情が深いことのたとえ。夜(ヨル)の鶴。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★夜、巣ごもっている鶴が、子の鶴のことを思って鳴く意。
*『白居易-新楽府・五弦弾』
ヤカク
1400 【ヤカク】鶏群に在り ◆3 野鶴   👉やかくけいぐんにあり。
大人物が仕官しないで俗世間の中で超然としていること、また、すぐれた人物が一人だけ、衆人の中で目立っていることをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★野の鶴が鶏の群れの中にいる意。
*『晉書-嵆紹伝』
ヤカク
1401 【テニヲハ】が合わない ◆3 弖爾乎波 天爾遠波 👉てにをはがあわない。
助詞・助動詞が正しく使われていない。言葉の用法がおかしい。文脈が整わない。また、話のつじつまが合わない。弖爾波(テニワ)が合わない。〈大辞泉〉
★「弖爾乎波・天爾遠波」は、漢文を訓読するとき、補読しなければならない、助詞・助動詞・活用語尾・接辞などの古称。てには。
*『夜の鶴』
テニヲハ
1402 【リエン】の弟子 ◆3 梨園   👉りえんのでし。
玄宗の梨園で舞楽を習得した人。転じて、俳優、演劇人、特に歌舞伎役者をいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『太平記-四・笠置囚人死罪流刑事』
リエン
1403 【タナソコ】にめぐらす ◆3 手底   👉たなそこにめぐらす。
自由に、思いのままに取り扱うことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『読本・椿説弓張月-後・二二回』
タナソコ
1404 【エンブダイ】第一 ◆3 閻浮提   👉えんぶだいだいいち。
この世で第一のもの。世界一。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『平家-二・善光寺炎上』
エンブダイ
1405 【ヒアワイ】から日食を拝むよう ◆3 廂間   👉ひあわいからにっしょくをおがむよう。
斜視であるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「廂間」は、たてこんだ家のひさしとひさしの間の、狭く日の当たらない所。
*『諺苑』
ヒアワイ
1406 朋友には相踰えず、【ハンパク】には提挈せざれ ◆3 頒白 斑白
半白
👉ほうゆうにはあいこえず、はんぱくにはていけつせざれ。
友人と並んで歩く時には先に立たぬようにし、白髪まじりの老人には重い物を持たせないで自分がかわって持つようにせよ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「頒白・半白・斑白」は、白髪まじりの頭。胡麻塩(ゴマシオ)頭。
★「提挈」は、手に持つこと。
*『金言童子教』
ハンパク
1407 朋友には相踰えず、頒白には【テイケツ】せざれ ◆3 提挈   👉ほうゆうにはあいこえず、はんぱくにはていけつせざれ。
友人と並んで歩く時には先に立たぬようにし、白髪まじりの老人には重い物を持たせないで自分がかわって持つようにせよ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「頒白・半白・斑白」は、白髪まじりの頭。胡麻塩(ゴマシオ)頭。
★「提挈」は、手に持つこと。
*『金言童子教』
テイケツ
1408 【テイトウ】も尚耳あり ◆3 鼎鐺   👉ていとうもなおみみあり。
聞き知っているはずなのに理解を示さない人をなじっていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★かなえやなべでさえ耳がある意。
★漢検出版の「漢検四字熟語辞典」に、「鼎鐺玉石」という四字熟語があるが、読みはテイソウギョクセキ読みしか記載がない。
*『十八史略-宋・太祖』
テイトウ
1409 【シュウカ】敵せず ◆3 衆寡   👉しゅうかてきせず。
少数は多数にかなわないこと。戦争や勝負では人数が多いほうが有利であるということ。〈漢字ペディア〉
*『日本外史-二・源氏正記』
シュウカ
1410 深き淵に臨まざる者は【ボツデキ】の患いを知ること無し ◆3 没溺   👉ふかきふちにのぞまざるものはぼつできのうれいをしることなし。
経験豊かな知者は物の理をよく知っているからどんなときでも深い淵を臨むように恐れ慎しんで行動するものだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★深い淵に臨むような危ない目にあったことのない人は、沈み溺れる苦しみを全く知らないという意。
*『説苑-雑言』
ボツデキ
1411 【トシ】女羅に付く ◆3 菟糸 莵糸
兎糸
兔糸
兔糸
👉としじょらにつく。
男女の結合、結婚のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「菟糸・莵糸・兎糸・兔糸」は、根無し葛。
★「女羅」は、猿麻桛(サルオガセ)。
★根無し葛(カズラ)のつるが、サルオガセに巻きつく意。
*『古詩十九首-其八』
トシ
1412 【トヒ】に歩みを失う ◆3 都鄙   👉とひにあゆみをうしなう。
自分の立場を失って、どうしてよいか分らないでいるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「都鄙」は、都会と田舎。
★都会でも田舎でも歩けなくなる意。
*『太平記-二一・天下時勢粧事』
トヒ
1413 兜を【イクビ】に着る ◆3 猪頸 猪頚
猪首
👉かぶとをいくびにきる。
敵を恐れない、勇敢なさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★兜を少し上向きにしてかぶる意。
*『保元-中・白河殿へ義朝夜討ちに寄せらるる事』
イクビ
1414 【エノコ】の火を踏みたるよう ◆3 犬子 犬児
👉えのこのひをふみたるよう。
驚きあわてるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「犬子・犬児・狗」は、イヌの子。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
エノコ
1415 牛縻に【トウ】を通す ◆3   👉はなづらにとうをとおす。
牛の鼻に籐のつるを通して働かせるように、人を残酷に使う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『開化自慢〈山口又市郎〉初・上』
トウ
1416 【ハナヅラ】に籐を通す ◆3 牛縻 鼻縻 👉はなづらにとうをとおす。
牛の鼻に籐のつるを通して働かせるように、人を残酷に使う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『開化自慢〈山口又市郎〉初・上』
ハナヅラ
1417 疾痛【サンダツ】、未だ嘗て父母を呼ばざるはあらず ◆3 惨怛   👉しっつうさんだつ、いまだかつてふぼをよばざるはあらず。
病気や痛みでひどく苦しみ、あるいは悲惨な逆境に立ったとき、父母の名を呼ばない者はない。忘れていた親を思い出す。それが人情の自然というものだ。〈中国古典名言事典〉
★中国古典名言事典には、惨怛をサンタンと読んでいる。
*『司馬遷-屈原伝』
サンダツ
1418 【ドウボウ】の苦李 ◆3 道傍   👉どうぼうのくり。
人に見向きもされないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★道端に実っている苦いスモモは、だれも取ろうとしないことから。
*『晉書-王戎伝』
ドウボウ
1419 舎を【ドウボウ】に作れば三年にして成らず ◆3 道傍   👉しゃをごうぼうにつくればさんねんにしてならず。
家を道ばたに建てようとして道行く人に相談していたら、議論百出していつまでたっても完成しないように、衆人の意見をいちいち聞いていたら何事もできない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『後漢書-曹褒伝』
ドウボウ
1420 焼け原に【ドウコ】引く ◆3 銅壺 銅壷 👉やけはらにどうこひく。
焼けた野原を銅壺を引きずって歩けばがらがらと大きな音がするところから、不愉快な騒音や、悪声のたとえにいう。焼け場に銅壺引きずる。焼け原を薬缶。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「銅壺」は、銅製の湯わかし。
*『俗諺辞林』
ドウコ
1421 けんにょう切れて胸【シワ】らす ◆3   👉けんにょうきれてむねしわらす。
心配ごとがふっきれて、胸のつかえが取れると、思い出したように空腹を感じる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「胸が撓る」は、腹がすく。ひもじいと感じる。
*『俳諧・毛吹草-二』
シワ
1422 【モクネン】和尚もお経読む ◆3 黙然   👉もくねんおしょうもおきょうよむ。
生活のためには性格・気質・思想などに反することでもするものだ。また、自己の職業は捨てかねるものだというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「黙然」は、何も言わずに黙っているようす。
★無口といわれる和尚でも生活のためにはお経も読む意。
*不明
モクネン
1423 【リカ】一枝春雨を帯ぶ ◆3 梨花   👉りかいっしはるあめをおぶ。
美人の思い悩み、悲しむ姿のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「梨花」は、ナシの花。
★白い梨の花がひとえだ、春雨に濡れているようだという意。
★美人の楊貴妃が涙ぐんでいる姿の形容として名高い。
*『白居易-長恨歌』
リカ
1424 一度食する毎に便ち【カショク】の艱難を念う ◆3 稼穡   👉ひとたびしょくするごとにすなわちかしょくのかんなんをおもう。
食事をするごとに、その穀物を作り出した農民の苦労を思う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「稼穡」は、穀物の植えつけと取り入れ、すなわち農業。
*『貞観政要-教戒太子諸王』
カショク
1425 【ニュウク】人を搏ち伏鶏狸を搏つ ◆3 乳狗   👉にゅうくひとをうちふくけいりをうつ。
弱い者でも子どものためなら奮い立つたとえ。〈漢字ペディア〉
★「搏」は、腕に力をこめて打つ意。
★子持ちのイヌは人間に打ってかかり、卵をあたためているニワトリはタヌキにも打ってかかる意から。
*『古列女伝-四・魏節乳母伝』
ニュウク
1426 【イッコキュウ】三十年 ◆3 一狐裘   👉いっこきゅうさんじゅうねん。
はなはだしく倹約することのたとえ。晏嬰の狐裘。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★春秋時代、斉の晏子(アンシ)が一枚の狐の皮衣を30年も着たという故事による。
*『礼記-檀弓・下』
イッコキュウ
1427 【ネンサイ】の見 ◆3 燃犀   👉ねんさいのけん。
見識が豊かで事物を的確に見抜く能力のあるたとえ。〈漢字ペディア〉
★サイの角(ツノ)を燃やして深い淵(フチ)を照らし、底のさまざまなありさまを見る意から。
*『晉書-温嶠伝』
ネンサイ
1428 【セキソ】五能一技を成さず ◆3 碩鼠 石鼠 👉せきそごのういちぎをなさず。
いろいろの芸を多く持っているのだが、一つも巧みなものがないこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「碩鼠・石鼠」は、螻蛄(ケラ)の異名。
★ケラは五つの能力を持っているが、どれ一つとして満足なものはない意。
*『諺語大辞典』
セキソ
1429 能書きと【チャボ】の時は当てにならぬ ◆3 矮鶏   👉のうがきとちゃぼのときはあてにならぬ。
自己宣伝の文句は信用できない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★薬の効能書きとチャボが時を告げて鳴くのはいいかげんなものでどちらもあてにならない意。
*『日本俚諺大全』
チャボ
1430 良農は【スイカン】の為に耕さずんばあらず ◆3 水旱   👉りょうのうはすいかんのためにたがやずんばあらず。
君子は貧しさに苦しんでも道をつとめるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「水旱」は、水害と旱害。
★よい農民は水害や旱害にあって苦しんでも農作業をあきらめない意。
★「水干」と書くと狩衣の意となってしまい誤りなので注意。
*『荀子-修身』
スイカン
1431 【バンシュウ】へ行って浄瑠璃語るな ◆3 播州   👉ばんしゅうへいってじょうるりかたるな。
播州には浄瑠璃語りの名人が多いので、恥をかくだけだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「播州」は、播磨の国の略。
*『日本俚諺大全』
バンシュウ
1432 杯中の【ダエイ】 ◆3 蛇影   👉はいちゅうのだえい。
疑いの目で見れば、何でもないことにまで悩んでしまうたとえ。疑心暗鬼を生ず。〈漢字ペディア〉
*『風俗通-怪神』
ダエイ
1433 【ナマヤイト】の皮を剝く ◆3 生灸   👉なまやいとのかわをむく。
好んで事を荒立てる、また、残忍・苦痛なことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「生灸」は、すえたばかりの灸点。
★灸をすえたばかりの火傷状の肌をさらに傷つける意。
*『俚言集覧』
ナマヤイト
1434 馬に乗りても【ヘノコ】安からず ◆3 陰核   👉うまにのりてもへのこやすからず。
あらゆる点で楽ができる手段はないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「陰核」は、陰茎。
★馬に乗って道を行けばすべて楽かというと、そうではなく、へのこは楽しない意。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
ヘノコ
1435 【テッパツ】ひっかける ◆3 鉄鉢   👉てっぱつひっかける。
冷や酒を大杯や升で飲むこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★托鉢(タクハツ)をする僧が用いる鉢。
*『南総の俚俗』
テッパツ
1436 【マサゴ】の数 ◆3 真砂   👉まさごのかず。
数が限りなく多いこと。〈漢字ペディア〉
★「真砂」は、細かな砂。
*『古今-神あそびの歌・一〇八五』
マサゴ
1437 一飯の【ケイ】 ◆3   👉いっぱんのけい。
一度の食事に要するほどのわずかな時間。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「頃」は、しばらくの時間。
*『剪燈新話-三山福地志』
ケイ
1438 鼠と【コビキ】は引かねば食われぬ ◆3 木挽   👉ねずみとこびきはひかねばくわれぬ。
鼠が食物を引きずって盗んでいかないと食っていけないように、木挽きも毎日のこぎりをひかなければ生活していけない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「木挽」は、製材を職業とする人。
*『諺語大辞典』
コビキ
1439 話は【コウシン】の晩 ◆3 庚申   👉はなしはこうしんのばん。
話は時間のある庚申の晩にでもゆっくりすることにして、今はやめておこう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「庚申」は、干支の一つで、かのえさる。
*『洒落本・奴通』
コウシン
1440 【ショウ】を聞くこと三月、肉の味わいを知らず ◆3   👉しょうをきくことさんげつ、にくのあじわいをしらず。
孔子は力によらず、徳を持って世を治めた聖天子舜(シュン)をたたえた音楽「韶」を学ぶこと三か月間、その美に酔って、ものを食べてもその味がわからない有り様だった。孔子の門人の言葉。〈中国古典名言事典〉
*『論語-述而』
ショウ
1441 盤根【サクセツ】に遇いて利器を知る ◆3 錯節   👉ばんこんさくせつにあいてりきをしる。
その人物のすぐれた実力は、解決の困難な事柄にどう対処するかをみなければ知ることはできないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「盤根」は、はびこった木の根。
★「錯節」は、入り組んだ木の節(フシ)。
★切りにくい木を切るときに、それがよく切れる道具か平凡な道具かがわかる意。
*『後漢書-虞詡伝』
サクセツ
1442 【ヒホウ】風に乗ず ◆3 飛蓬   👉ひほうかぜにじょうず。
勢いに乗ることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★枯れたよもぎが、吹きつける風に乗って飛んでゆく意。
*『商子-禁使』
ヒホウ
1443 義経の【ハッソウ】飛び ◆3 八艘   👉よしつねのはっそうとび。
源義経が壇の浦の戦で能登守平教経に追われて、八艘の船を飛び越えたこと。また、そのように身軽に飛びまわるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
ハッソウ
1444 【ヒセキ】の心 ◆3 匪石   👉ひせきのこころ。
節操が堅く何事にも動じない堅固な心のたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★ころころ転がる石とは違い、うつろい変わることのたい心の意。
*『詩経-邶風・柏舟』
ヒセキ
1445 耕は当に奴に問うべく、織は当に【ヒ】に問うべし ◆3   👉こうはまさにどにとうべく、しょくはまさにひにとうべし。
物事は、それぞれその道の専門家に聞くのがよく、身分などはその際には関係ない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★農業のことは農奴に聞くのがよく、織物のことは婢女に聞くのがよい意。
*『宋書-沈慶之伝』
1446 【ヒゼン】として章を成す ◆3 斐然   👉ひぜんとしてあやをなす。
学問や修養が一通り成就していてりっぱなこと。あるいはそうなることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「斐然」は、あやがあって美しいさま。
★美しい模様を織りなしている意。
*『論語-公冶長』
ヒゼン
1447 一日見ざれば【ヒリン】生ず ◆3 鄙吝   👉いちじつみざればひりんしょうず。
高潔な人に接することの大切さをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★人格の高い人に一日でも会わないでいると、いやしい心が起こる意。
*『旧唐書-文苑伝中・賀知章』
ヒリン
1448 【エンピ】を伸ばす ◆3 猿臂   👉えんぴをのばす。
腕を長くのばす。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「猿臂」は、猿のうで。転じて、長いうで。
*『読本・昔話稲妻表紙-五・一八』
エンピ
1449 【ユウヒ】の士 ◆3 熊羆   👉ゆうひのし。
勇猛な士。勇武の人。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『書経-康王之誥』
ユウヒ
1450 【ビロク】の姿 ◆3 麋鹿   👉びろくのし。
野鄙(ヤヒ)なことのたとえ。また、自己の容貌を謙遜していう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★大鹿や鹿の容姿の意。
*『朱熹-送郭拱辰序』
ビロク
1451 寒さひだるさ【ナワシロ】時 ◆3 苗代   👉さむさひだるさなわしろどき。
苗代をつくるころは、水も冷たく寒さが身にこたえ、日も長くなり空腹で悩まされる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「苗代」は、田植えまでの間、イネの種をまき苗に育てる田。
*『日本俚諺大全』
ナワシロ
1452 文字【キナカ】盗まぬ人 ◆3 半銭 寸半 👉もじきなかぬすまぬひと。
きわめて潔白な人。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「文字」は、一文銭の表面に書かれた字。
★「半銭・寸半」は、一文銭の直径一寸の半分。
★「文字寸半」で、ごくわずかの金。
★一文半銭も人の物には手をふれぬ人の意。
*『譬喩尽-八』
キナカ
1453 【バクコヤ】の山 ◆3 藐姑射   👉ばくこやのやま。
1.中国で、不老不死の仙人が住むという想像上の山の名。姑射山(コヤサン)。
2.上皇または法皇の御所を祝っていう語。仙洞(セントウ)。〈漢字ペディア〉
*『荘子-逍遙遊』
バクコヤ
1454 【ビンズル】ほど塗る ◆3 賓頭盧   👉びんずるほどぬる。
白粉などを顔一面に厚く塗りたてる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「賓頭盧」は、釈迦の弟子で十六羅漢の一つ。その像をなでまわして病気平癒を祈る風習がある。
★こんなん書かせる問題出してきたら怒るぞ漢検。
*『譬喩尽』
ビンズル
1455 【モガサ】靨に見える ◆3 痘瘡

👉もがさえくぼにみえる。
惚れた目には欠点までも長所に見えるというたとえ。痘痕(アバタ)も靨(エクボ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「痘瘡・痘・疱・皰」は、感染症の一つ。高熱・発疹(ホッシン)を生じ、あばたを残す。天然痘。疱瘡(ホウソウ)。
*『諺語大辞典』
モガサ
1456 不善人と居るは【ホウギョ】の肆に入るが如し ◆3 鮑魚   👉ふぜんにんとおるはほうぎょのしにいるがごとし。
塩漬けの魚を売る店にいると自然とその臭気にそまるように、悪人と一緒にいれば、悪に染まるようになる。朱に交われば赤くなる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鮑魚の肆」は、塩漬けの魚を売る店。
*『孔子家語-六本』
ホウギョ
1457 【ジョウ】に立つの馬を見ずや ◆3   👉じょうにたつのうまをみずや。
儀仗兵の馬を見るがよい。その馬が一度でも鳴けば、すぐ儀仗の列から退けられてしまう。朝政のあやまちを奏上する役人に対して、政治に口出しするなという宰相李林甫(リリンポ)のおどかし。〈中国古典名言事典〉
*『十八史略-唐・玄宗』
ジョウ
1458 用いられぶり【チョウナ】頭 ◆3 手斧   👉もちいられぶりのちょうながしら。
手斧のかしらの部分が突き出しているところから、さし出がましい者のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「用いられぶり」は、いかにも人のためにするといった態度をとるさま。
*『浜荻(仙台)』
チョウナ
1459 【フキン】時を以て山林に入る ◆3 斧斤   👉ふきんときをもってさんりんにはいる。
木を増やすためには、樹木を伐るに適した時期に伐採し、乱伐しない。政治を行なうにあたって肝要な心がまえをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「斧斤」は、おのや、まさかり。
*『孟子-梁恵王・上』
フキン
1460 【フサク】の痕 ◆3 斧鑿   👉ふさくのあと。
詩文などで、いろいろと技巧をこらしたあと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「斧鑿」は、斧(オノ)と鑿(ノミ)。
★斧や鑿を使って細工を施した痕跡の意。
*『韓愈-調張籍詩』
フサク
1461 【フシ】食ったよう ◆3 五倍子 付子
附子
👉ふしくったよう。
にがりきった顔のさま、また、見るからに厳格らしいさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「五倍子・付子・附子」は、白膠木(ヌルデ)の葉茎にできる虫こぶで、薬用になり、酸い渋味がある。
*『浄瑠璃・夏祭浪花鑑-六』
フシ
1462 負け惜しみは一生【モンモウ】 ◆3 文盲   👉まけおしみはいっしょうもんもう。
負け惜しみをしていると、すなおに人に聞くことができないから、いつまでたっても無知のままで過ぎてしまう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「文盲」は、文字が読めないこと。また、そのような人。
*『譬喩尽-五』
モンモウ
1463 【フソ】の嚇 ◆3 腐鼠   👉ふそのかく。
いやしい心をもつ者が、その心で他をおしはかって威圧的な態度をとること。〈漢字ペディア〉
★腐ったネズミを手に入れたフクロウが、鳳凰(ホウオウ)にそれを奪われるのではないかと威嚇したという寓話から。
*『荘子-秋水』
フソ
1464 【マイマイツブリ】も一軒の主 ◆3 舞舞螺   👉まいまいつぶりもいっけんのあるじ。
小さくても主は主だというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「舞舞螺」は、カタツムリの異称。
★カタツムリのような小さなものでも、一軒の家の主人である意。
*『俚言集覧』
マイマイツブリ
1465 【コウフン】を洩らす ◆3 口吻   👉こうふんをもらす。
ことばのはしばしからそれと想像できるようなものいいをする。それとわかるようなことばつきをする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『田舎教師〈田山花袋〉三五』
コウフン
1466 大丈夫事を行うや、当に礌礌(らいらい)落落、日月の【キョウゼン】たるが如くなるべし ◆3 皎然   👉だいじょうふことをおこなうや、まさにらいらいらくらく、じつげつのきょうぜんたるがごとくなるべし。
男子が事を行う場合には、礌礌落落(ライライラクラク(磊磊落落):小事に拘らないさま)、日月の明らかなのと同じように、影暗い所のない行動をしなければならない。みずから帝を称した後趙(コウチョウ)の石勒(セキロク)のことば。〈中国古典名言事典〉
*『十八史略-東晋・成帝』
キョウゼン
1467 【タイレイ】の誓い ◆3 帯礪
帯砺
👉たいれいのちかい。
永く変わらない固い誓約のこと。また、国が永遠に栄えることのたとえ。河山帯(カザンタイレイ)。〈漢字ペディア〉
*『史記-高祖功臣侯者年表』
タイレイ
1468 【チンサイ】の厄 ◆3 陳蔡   👉ちんさいのやく。
旅の途中で災難に遭うたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「陳」は、国の名。
★「蔡」は、国の名。
★孔子が諸国歴遊中に陳と蔡の国境近辺で、兵に囲まれ、食料が足りずに苦労した災厄のこと。
*『史記-孔子世家』
チンサイ
1469 【セキソウ】の臣 ◆3 刺草   👉せきそうのしん。
一般の人民。平民が君主に対して自分をへりくだって言う。〈漢検四字熟語辞典〉
★「刺草」は、草を刈る。また、ノコギリグサやオニアザミなどの文字通り棘(トゲ)がある草を指す。
★草を刈る卑しい者の意。
*『儀礼-士相見礼』
セキソウ
1470 【キンソウ】の寵 ◆3 巾箱   👉きんそうのちょう。
箱に入れて常にかたわらに置き、離すことができないもの。〈漢検四字熟語辞典〉
★「巾箱」は、身近に置いて書物を入れる布張りの小箱、手文庫のこと。
★「寵」は、かわいがる、気に入る意。
*不明
キンソウ
1471 【フボク】の地 ◆3 榑木 扶木 👉ふぼくのち。
東方にある太陽が昇る地のこと。また、日本の異称。〈漢検四字熟語辞典〉
★「榑木・扶木」は、神木の名で、東方の日の出るところにあって、この木から太陽が昇るといわれる。
*『呂氏春秋-求人』
フボク
1472 【ホンイク】の勇 ◆3 賁育   👉ほんいくのゆう。
非常に気力が盛んで強いこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「賁」は、孟賁。
★「育」は、夏育。
★「勇」は、気力が盛んで強い意。
★孟賁と夏育は、秦の武王に仕えた有名な大力の勇士。孟賁夏育のような勇の意から。
*『漢書-爰盎伝』
ホンイク
1473 【ホウエキ】の衣 ◆3 逢掖   👉ほうえきのい。
袖の大きい着物のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「逢」は、大きい、ゆるやかな意。
★「掖」は、腋と同じで腋の下のこと。
★袖が大きい儒者の着物(逢衣)のことをいう。
*『礼記-儒行』
ホウエキ
1474 【ソウライ】を辟く ◆3 草萊 草莱 👉そうらいをひらく。
荒れ地を切りひらいて耕地にする。新分野を開拓する。また、乱れていた天下を治め統一することのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「草萊」は、荒れ地のこと。
*『孟子-離婁・上』
ソウライ
1475 【ヘンキ】を賜う ◆3 偏諱   👉へんきをたまう。
将軍や大名などが功臣に、また元服時などに、自分の名の一字を与える。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「偏諱」は、貴人などの二字以上の名の中の一字。
*『文明論之概略〈福沢諭吉〉五・九』
ヘンキ
1476 一沐に三たび髪を握り、一飯に三たび【ホ】を吐く ◆3   👉いちもくにみたびはつをにぎり、いっぱんにみたびほをはく。
客が来たときに、食事中でも食べ物を吐き出して急いで迎える。熱意をもって人を迎える。為政者が賢者などを厚く迎えること。握髪吐哺。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「哺」は、口に含んでいる食べ物。
★自分は一たび髪を洗う間にも、客が来れば幾度も髪を握ったままその人に面会し、ご飯を一度食べる間でも、人がやって来ればそのたびに口の中のものを吐き出して客を迎える意。
*『史記-魯周公世家』
1477 【ホベン】の罰 ◆3 蒲鞭   👉ほべんのばつ。
ガマの鞭(ムチ)で、罪人に恥を与えるだけの軽い罰。転じて、寛大な政治のこと。〈漢字ペディア〉
★中国、後漢(ゴカン)の太守の劉寛(リュウカン)は心がやさしく、部下が過ちを犯しても、ガマで作った鞭で打って恥をさとらせ、苦痛は与えなかった故事から。
*『後漢書-劉寛伝』
ホベン
1478 政は【ホロ】のごとし ◆3 蒲盧   👉まつりごとはほろのごとし。
よい政治を行なえば、生長の早いガマやアシのように、すぐ、その効果があらわれる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「蒲盧」は、ガマとアシ。
★一説に、蒲盧は似我蜂(ジガバチ)で、似我蜂が他の虫の子を変えて自分の子とするように、政治も為政者が人民を教化して自らと同じになるよう努力すべきである。
*『礼記-中庸』
ホロ
1479 【セキジョウ】の因を結ぶ ◆3 赤縄   👉せきじょうのいんをむすぶ。
男女の縁結びの原因を作る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「赤縄」は、夫婦の縁を結ぶ赤い縄。転じて、夫婦の縁。赤い縄を持った老人が、それで男女の足を結べば夫婦となることができると予言したという故事から。
★男女の足の赤縄を互いに結び合わす意。
*『人情本・所縁の藤浪-後・七回』
セキジョウ
1480 老いの【カタウド】 ◆3 方人   👉おいのかたうど。
年老いてその道の貴重な存在とされ、老人のため大いに気を吐く人。老人の味方。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「方人」は、仲間、味方。
*『徒然草-一六八』
カタウド
1481 念者嫉妬は【カカ】以上 ◆3 👉ねんじゃしっとはかかいじょう。
男色関係での嫉妬は、夫婦間の嫉妬よりはげしい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「念者」は、男色関係で、若衆を寵愛する側の人。衆道の兄分。
*不明
カカ
1482 【ヨウリュウ】の風に吹かるるが如し ◆3 楊柳   👉ようりゅうのかぜにふかるるがごとし。
柳が風に従ってなびくように、少しもさからわないさま。また、巧みに受け流すさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「楊」は、カワヤナギ。
★「柳」は、シダレヤナギ。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
ヨウリュウ
1483 貧乏寺の【オオガンドウ】 ◆3 大龕灯 大強盗 👉びんぼうでらのおおがんどう。
不似合いなもののたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「龕灯」は、龕灯提灯(チョウチン)。銅板やブリキ板などで釣鐘形につくり、中に自由に回転する蠟燭立てと反射鏡をとりつけた照明器具。
★貧乏寺にはふさわしくない大きな龕灯提灯の意。
*『日本俚諺大全』
オオガンドウ
1484 志士は【コウガク】に在るを忘れず ◆3 溝壑   👉ししはこうがくにあるをわすれず。
正しい道義を守ろうとする者は、困窮に陥りがちであり、死んでも葬式も行なわれず、みぞや谷間に死体が捨てられるくらいのことは、常に覚悟して行動している。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「溝壑に在る」は、死体がみぞに捨てられたままで、ちゃんとした葬式も行なわれないこと。
*『孟子-滕文公・下』
コウガク
1485 謀る者をば近づけ【ザン】する者をば覆す ◆3   👉はかるものをばちかづけざんするものをばくつがえす。
計略に巧みな臣を用い、一方、讒言などする者は亡ぼす。君主の心構えをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『三略-上略』
ザン
1486 北向きの【ドウロクジン】 ◆3 道陸神   👉きたむきのどうろくじん。
他の人と態度の違った人。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「道陸神」は、道祖神(サエノカミ)。
★道陸神を祀る祠が、他の神社の例と異なって北向きになっているところからいうとする。
*『南総の俚俗』
ドウロクジン
1487 【ホクシン】その所に居て衆星之に向かう ◆3 北辰   👉ほくしんそのところにいてしゅうせいこれにむかう。
北極星を中心にしてすべての星がめぐるように、君主が徳をもって政治を行なえば、すべての人が自然につき従う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「北辰」は、北極星の別称。北天の星辰の意。
*『論語-為政』
ホクシン
1488 【モクレンジ】は白くならず ◆3 木欒子   👉もくれんじはしろくならず。
もって生まれた性質は変えられないというたとえ。また、色の黒い女がお白粉をたくさん塗るのを揶揄していう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「木欒子」は、ムクロジ科の落葉高木。種子は黒色で堅く数珠玉にする。
★木欒子の種子はもともと黒く、いくら磨いても白くはならない意。
*『和歌民のかまど』
モクレンジ
1489 【ボク】として清風の如し ◆3   👉ぼくとしてせいふうのごとし。
そよ風のようにおだやかである。人の柔和な性格の形容。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「穆」は、おだやかなこと。
*『詩経-大雅・烝民』
ボク
1490 牛溲【バボツ】敗鼓の皮 ◆3 馬勃   👉ぎゅうしゅうばぼつはいこのかわ。
価値の無いもの、役に立たないもののたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「牛溲」は、牛の小便。
★「馬勃」は、馬の糞。
★「敗鼓」は、破れた太鼓。
*『韓愈-進学解』
バボツ
1491 良田の【バンケイ】なるも日に二升を食う ◆3 万頃   👉りょうでんのばんけいなるもひににしょうをくう。
欲深く多くを手に入れても何の役にもたたないことのたとえ。千畳にも一畳。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★よい田がどんなにたくさんあっても、ひとりの人間が一日に食べる量は二升を越えない意。
*『和漢古諺-下』
バンケイ
1492 仏も百味の【オンジキ】 ◆3 飲食   👉ほとけもひゃくみのおんじき。
仏だっていろいろの供え物を食べる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「百味の飲食」は、さまざまの珍味。多くの料理。また、人の死後四九日の間、仏壇にささげるさまざまの供物。
*『浄瑠璃・一谷嫩軍記-三』
オンジキ
1493 【ホロミソ】売りの夕立 ◆3 法論味噌   👉ほろみそうりのゆうだち。
物を損なうことを恐れること。〈漢字ペディア〉
★「法論味噌」は、焼き味噌を乾燥させ、ゴマ・クルミ・サンショウの実などを細かくきざんで混ぜた食品。
*『かた言-五』
ホロミソ
1494 太平の【イツミン】 ◆3 逸民 佚民 👉たいへいのいつみん。
世の中が平和なのをよいことに、世間をのがれて隠れている人。太平な時代に気ままな生活を楽しむ人。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『吾輩は猫である〈夏目漱石〉-二』
イツミン
1495 【ケンヨ】も無い ◆3 権輿   👉けんよもない。
何の心配もない。気にかけない。平気である。〈大辞泉〉
★「権輿」は、「懸念(ケンニョ)」を「けんよ」の連声(レンジョウ)と誤解してできた語。
*『咄本・戯言養気集-上』
ケンヨ
1496 【ガンカ】の電 ◆3 巌下   👉がんかのでん。
眼光が明るく輝いて鋭いさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『晋書』
ガンカ
1497 以て【メイ】すべし ◆3   👉もってめいすべし。
それによって、安らかに死ねるだろう、それくらいできれば、死んでもよい、それで満足すべきだという気持ちを表わす。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瞑す」は、目を閉じること、死ぬこと。
*『鎌倉夫人〈国木田独歩〉下』
メイ
1498 【メイレイ】子有れば蜾蠃(から)之を負う ◆3 螟蛉   👉めいれいこあればからこれをおう。
ジガバチが青虫を背負って我が子とする。有徳の士が教えによって民衆を教化することのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「螟蛉」は、青虫。
★「蜾蠃」は、似我蜂(ジガバチ)。
★ジガバチが他の虫を自分の巣に入れて似我似我と言いきかせて育てるとハチにかわると考えられたところからいう。
*『詩経-小雅・小宛』
メイレイ
1499 博奕博労【イサバ】 ◆3 五十集   👉ばくちばくろういさば。
ぼろいもうけをするかと思えば大損をする、山気の多い商売を並べたことば。博奕(バクチ)博労(バクロウ)生五十集(ナマイサバ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「博奕」は、金品を賭(カ)けて、さいころや花札などの勝負をすること。とばく。
★「博労」は、馬を売買・周旋する人。
★「五十集」は、魚商人。また、魚市場や海産物を売買する店。
*『青森県五戸語彙』
イサバ
1500 【モウロウ】の言 ◆3 孟浪   👉もうろうのげん。
とりとめもない妄言。でたらめな話。根拠のない言説。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『荘子-斉物論』
モウロウ
1501 【モウ】を発き落を振るうが如し ◆3   👉もうをひらきらくをふるうがごとし。
物事のきわめて容易なことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「蒙を発く」は、蓋などおおいかぶさっているものを取り去ること。発蒙。
★「落を振るう」は、枯葉を落とすこと。
*不明
モウ
1502 君命は【モダ】し難し ◆3   👉くんめいはもだしがたし。
主君の命令にはそむくわけにゆかない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『譬喩尽-四』
モダ
1503 【アダシノ】の露、鳥辺野の煙 ◆3 仇野 化野
徒野
👉あだしののつゆ、とりべののけむり。
人生のはかなさ、無常のたとえ。露も煙もはかなく消えるところからいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「化野・仇野・徒野」は、京都市の小倉山のふもとにある野。平安時代に、火葬場があった。
★「鳥辺野」は、京都市東山区の清水寺から西大谷に通じるあたりの地名。古く、火葬場があった。
*『浄瑠璃・壇浦兜軍記-三』
アダシノ
1504 【ソウユ】且に迫らんとす ◆3 桑楡   👉そうゆまさにせまらんとす。
死期がしだいに近づき迫ってくる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
●〈平成29年度・第1回出題,大問㈧,小問6〉
*『旧唐書-太宗本紀』
ソウユ
1505 鶏初めて【ツル】む ◆3 交尾 遊牝 👉にわとりはじめてつるむ。
鶏は冬季に巣をつくり、初めて交尾する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『俳諧・滑稽雑談-一二月』
ツル
1506 世挙ってこれを誉むるとも【ヒトエ】に勧むことを加えざれ ◆3   👉よこぞってこれをほむるともひとえにすすむことをくわえざれ。
世人がそろっておだてたとしても、悪と思うことはしてはならない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『金言童子教』
ヒトエ
1507 【ゴウレイ】自ら用う ◆3 剛戻   👉ごうれいみずからもちう。
強情で他人の説を用いず、自分の思い通りに事を行なう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「剛戻」は、強情でひねくれた性質。
●〈平成29年度・第2回出題,大問㈧,小問10〉
*『史記-秦始皇本紀』
ゴウレイ
1508 【コクサク】の餼羊(きよう) ◆3 告朔   👉こくさくのきよう。
古くからの習慣は実質的な意義を失って虚礼となっていても、害がなければむやみに廃止すべきではないというたとえ。また、その実を失って形式ばかり残っていることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「告朔」は、古代中国で諸侯が天子から受けた暦を祖廟(ソビョウ)におさめておき、朔日(ツイタチ)ごとに羊を供えて、その日が朔日であることを祖霊に告げる儀式。
★「餼羊」は、告朔の儀式に供えるいけにえの羊。
★魯の国で、告朔の儀式がすたれ、羊を供える形式だけが残っていたので、子貢が餼羊をやめるべきだと言ったのに対し、孔子が儀礼の記憶をとどめたいとしてこれに反対したという故事による。
*『論語-八佾』
コクサク
1509 【ドンガメ】にお月様 ◆3 団亀   👉どんがめにおつきさま。
二つのものの優劣の差がはなはだしいことのたとえ。月と鼈(スッポン)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「団亀」は、すっぽんの異称。
*『歌舞伎・小袖曽我薊色縫-五立返し』
ドンガメ
1510 【モガリ】を逆様 ◆3 虎落   👉もがりをさかさま。
反対で役に立たないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「虎落」は、竹を筋違いに組み合わせ、縄で結い固めた柵。また、枝を落とした竹を粗く編み合わせて家の囲いとした垣根や塀など。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
モガリ
1511 養子児の【カン】の出たよう ◆3   👉ようしごのかんのでたよう。
養子にもらった子にむずかる癖が出たよう。とり扱いにくい、手のつけられないさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺苑』
カン
1512 【ホトギ】を被って壁に向かうが如し ◆3 👉ほとぎをかむってかべにむかうがごとし。
かめをかぶって壁に向かって座っている人のように、前途の全くわからないこと。また、すぐ前にある危険に気づかず、自分からそれに近づくことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「缶・甌」は、昔、湯水を入れたかめのこと。
*『明衡往来-上本』
ホトギ
1513 【ツブガイ】の念仏 ◆3 螺貝 海螺貝 👉つぶがいのねんぶつ。
言っても言わなくてもよいような小言をぶつぶつ言うことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「螺貝・海螺貝」は、田螺・赤螺の類の巻貝。
*『青森県五戸語彙』
ツブガイ
1514 【セイラン】の器 ◆3 青藍   👉せいらんのうつわ。
出藍(シュツラン)のほまれのある人物。師よりもまさる才能器量のある弟子。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『蘭東事始-下』
セイラン
1515 【リハク】一斗詩百篇 ◆3 李白   👉りはくいっとしひゃっぺん。
人並みはずれたすぐれた詩の才能をもち、酒豪であること。〈漢字ペディア〉
★酒好きで天才詩人の李白なら、一斗(十升)の酒を飲めば、たちどころに詩を百くらいは作ってしまう意。
*『杜甫-飲中八仙歌』
リハク
1516 【カンリ】を貴んで頭足を忘る ◆3 冠履   👉かんりをとうとんでとうそくをわする。
根本を忘れて末節のことにこだわること。〈漢字ペディア〉
★冠は頭あってのもの、靴は足あってのものなのに、頭足を忘れて冠や靴を重んじることから。
*『淮南子-泰族訓』
カンリ
1517 人の【リカ】に寄る ◆3 籬下   👉ひとのりかによる。
人の真似をすることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「籬下」は、垣根のそば。まがきのもと。
*『南斉書-張融伝』
リカ
1518 【ハンリ】の鷃(あん) ◆3 藩籬   👉はんりのあん。
垣根にとまるウズラ。転じて、見識のせまい小人のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「藩籬」は、垣根。
★「鷃」は、鶉(ウズラ)の一種。
*『太平御覽-鱗介部十・鯨鯢魚』
ハンリ
1519 【ヤスデ】、臭亀を笑う ◆3 馬陸   👉やすで、くさがめをわらう。
他人の欠点には気づくが、自分の欠点には気づかないことのたとえ。目糞が鼻糞を笑う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「馬陸」は、ムカデに似た節足動物。臭い。
★「臭亀」は、カメムシの異名。臭い。
★ヤスデがカメムシを臭いといってあざ笑う意。
*『諺語大辞典』
ヤスデ
1520 【ショウキ】の立腹 ◆3 鍾馗   👉しょうきのりっぷく。
安物の強い悪酒。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鍾馗」は、中国で、魔を除くという神。
★鍾馗が怒って邪鬼を退治することを酒の鬼殺しにかけたしゃれ。「鬼殺し」はアルコール分の強い粗悪な酒。
*『すい言葉廓流行』
ショウキ
1521 【カカイ】は細流を択ばず ◆3 河海   👉かかいはさいりゅうをえらばず。
大人物は度量が大きく、あらゆる人を包容するたとえ。人も他人の意見を広く聞かないと大成しないという戒め。〈漢字ペディア〉
★黄河や大海は小さな川もすべて受け入れてあの深さをなしていることから。
*『史記-李斯伝』
カカイ
1522 【ズリョウ】は倒るる所に土を摑め ◆3 受領   👉ずりょうはたおるるところにつちをつかめ。
受領はどんな場合でも利益を得ようと心がけよ。転んでもただでは起きぬ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「受領」は、平安時代に都から任国へ赴任した国守。
*『今昔-二八・三八』
ズリョウ
1523 病【カクリン】に及ぶ ◆3 獲麟   👉やまいかくりんにおよぶ。
病気が重くなって臨終に近づく。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「獲麟」は、麒麟を得るの意で、孔子が「春秋」に記した「獲麟」の記事で筆を絶ったところから、絶筆、物事の終わりをいう。
*『源平盛衰記-三二・阿育王即位事』
カクリン
1524 九層の【ウテナ】は累土より起こる ◆3 👉くそうのうてなはるいどよりおこる。
小さな物の積み重ねが、結局は大をなすことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★九階の高層建築も最初はわずかの土を積みあげることから始まる意。
*『老子-六四』
ウテナ
1525 【レイゲン】の資 ◆3 黎元   👉れいげんのし。
人民が頼みとするもとで。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「黎元」は、人民。
*『旧唐書-李乂伝』
レイゲン
1526 蝸牛の【ロ】 ◆3   👉かぎゅうのろ。
ささやかな住まい。蝸廬(カロ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『魏志注-管寧伝』
1527 【カギュウ】の廬 ◆3 蝸牛   👉かぎゅうのろ。
ささやかな住まい。蝸廬(カロ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『魏志注-管寧伝』
カギュウ
1528 【ツユゴモ】りの葉月 ◆3 露隠   👉つゆごもりのはづき。
陰暦一一月の異名。〈漢字ペディア〉
*『古今打聞-上』
ツユゴモ
1529 【キュウサク】の六馬を馭するが如し ◆3 朽索   👉きゅうさくのりくばをぎょするがごとし。
困難で危険なことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「朽索」は、くさった綱。
★「六馬」は、天子の馬車を引く六馬の馬。
★くさった綱で六頭の馬をあやつるようだという意から。
*『書経-五子之歌』
キュウサク
1530 【ロウコ】として抜くべからず ◆3 牢乎   👉ろうことしてぬくべからず。
かたくしっかりとしているさま、ゆるぎない様子を現す語。〈日本国語大辞典〉
*『社会百面相〈内田魯庵〉犬物語』
ロウコ
1531 一丘の【カク】 ◆3 👉いっきゅうのかく。
似たようなもののたとえ。同類のものをけなしていう語。多く悪者に対していう。〈漢検四字熟語辞典〉
★「貉・狢」は、むじな。
★同じ丘にすむムジナの意。
*『漢書-楊ツ伝』
カク
1532 【エンピ】の勢い ◆3 猿臂   👉えんぴのいきおい。
攻守や進退が自在にできる軍隊の体制をいう。また、遠方に陣地を設けること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「猿臂」は、猿の長いひじ。
*『旧唐書-李光弼伝』
エンピ
1533 亥豕の【カ】 ◆3 👉がいしのか。
文字の書き誤りのこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「譌」は、誤りの意。
★亥と豕とが、字形が似ているので書き誤りやすいことから言う。
*『呂氏春秋-察伝』
1534 【カカイ】の盟 ◆3 柯会   👉かかいのめい。
約束を果たして、信頼を得ること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「柯」は、地名。
★柯に会して結んだ盟約の意。
★中国春秋時代、斉の桓公(カンコウ)と魯の荘公(ソウコウ)が、斉の柯(カ)というところで会った。桓公は荘公に侵略した魯の領土を還すことを約束し、これを果たして大変に信を得たという故事から。
*『春秋-荘公一三年』
カカイ
1535 【カクメイ】の士 ◆3 鶴鳴   👉かくめいのし。
用いられることなく、不遇な状態にある賢人のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「鶴鳴」は、鶴の鳴き声のこと。
★隠れ住む賢人を、気品のある鳴き声はしても、姿は深い沢の中で見えない鶴にたとえて言ったもの。また、気品高く遠くまで響き渡る鶴の鳴き声から、多くの人々から信頼され尊敬される人の意に用いることもある。
*『詩経-小雅・鶴鳴』
カクメイ
1536 【キセツ】の僕 ◆3 羈紲 羈絏 👉きせつのぼく。
主人の旅の供をする者のこと。従者、またその謙称。〈漢検四字熟語辞典〉
★「羈」は、おもがい。
★「紲・絏」は、たづな。
★「僕」は、しもべ・従者のこと。
★馬のたづなをとる者の意。
*『春秋左氏伝-僖公二四年』
キセツ
1537 【キョウケイ】の性 ◆3 薑桂   👉きょうけいのせい。
年老いてますます剛直なこと。また、性質は簡単には変わらないことのたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「薑」は、しょうが。
★「桂」は、肉桂(ニッケイ)のこと。
★薑、桂ともに古くなればなるほど辛(カラ)くなることからいう。
*『宋史-晏敦復伝』
キョウケイ
1538 【ケイザン】の玉 ◆3 荊山 荆山 👉けいざんのぎょく。
優秀で賢い人のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「荊山」は、中国の山の名。
★荊山から出る宝玉の意。
*不明
ケイザン
1539 【コクチョウ】の裘 ◆3 黒貂   👉こくちょうのきゅう。
非常に高価なもののたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「黒貂」は、黒い貂(テン:イタチ科の動物)のこと。
★「裘」は、かわごろもの意。
★貂の毛皮は皮ごろもに、尾は冠の飾りに用い、珍重された。
*不明
コクチョウ
1540 【コジュ】、華を生ず ◆3 枯樹   👉こじゅ、はなをしょうず。
非常に困難の中で活路が開かれるたとえ。また、老い衰えた人が生気を取り戻すことのたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★枯れ木に花が咲く意。もとはこのうえない真心が万物を感動させる意。
*『続博物志-七』
コジュ
1541 【コソン】、袋に入る ◆3 胡孫   👉こそん、ふくろにいる。
官職につくなどして自由を奪われるたとえ。また、自由に物事ができないたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「胡孫」は、猿のこと。猢猻。
★猿が袋の中に入る意。
*『帰田録』
コソン
1542 涸轍の【フギョ】 ◆3 鮒魚   👉こてつのふぎょ。
危機や困難が目の前にさしせまっていること。また、窮地に立たされた人のたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「涸」は、水がかれること。
★「轍」は、車のわだちで車輪のあと。
★「鮒魚」は、ふな。
★水が枯れた轍(ワダチ)にいる鮒(フナ)の意。
*『荘子-外物』
フギョ
1543 【コンロン】、棗を吞む ◆3 渾崙 渾崘 👉こんろん、なつめをのむ。
人の教えをただ鵜呑みにするだけでは、その真理を会得することはできないということ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「渾崙」は、黒色・頭・円形などにたとえ、ひとまとめにひっくるめての意。
★棗の実をかまずに丸呑みしても、その味は分からないということから。
*『碧巌録』
コンロン
1544 七種の【サイコウ】 ◆3 菜羹   👉しちしゅのさいこう。
七種の野菜の汁物。また、七種がゆ。七草粥。〈漢検四字熟語辞典〉
*不明
サイコウ
1545 【シボク】の信 ◆3 徙木   👉しぼくのしん。
約束を実行するたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★中国、秦(シン)の商鞅(ショウオウ)が、新法を施行するにあたって、国民が自分を信じないのを恐れ、国都の南門に大木を立て、これを北門に移す者には十金を与えると触れたが、だれも奇怪に思って移す者がなかったので、五十金に改めたところ、これを実行した者があり、約束どおり五十金を与えて国民を欺かないことを実証したという故事による。
*『史記-商君伝』
シボク
1546 車は流水の如く馬は【ユウリョウ】の如し ◆3 游竜   👉???。
車馬の往来のにぎやかなさま。非常ににぎやかなさま。〈漢検四字熟語辞典〉
★車は流れる水のようにとめどなく、馬は竜のように連なっている意。
*『後漢書-明徳馬皇后紀』
ユウリョウ
1547 【ガイテイ】の君子は民の父母なり ◆3 豈弟   👉がいていのくんしはたみのふぼなり。
道を楽しみ、心の平和を持っている君子は、一般の民の父母ともなるべき模範の人である。〈中国古典名言辞典〉
★「豈弟」は、楽易のさま。
*『詩経-大雅・泂酌』
ガイテイ
1548 酒を【ショウ】とし肉を霍とす ◆3 漿   👉さけをしょうとしにくをかくとす。
非常に贅沢なことのたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「漿」は、沸かして冷ました水。また、濃漿(コンズ:酢の一種)。
★「霍」は、豆の葉で、賤(イヤ)しい人の食べ物。
★酒を水のように、肉を豆の葉のように見る意。
*『漢書-鮑宣伝』
ショウ
1549 酒を漿とし肉を【カク】とす ◆3   👉さけをしょうとしにくをかくとす。
非常に贅沢なことのたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「漿」は、沸かして冷ました水。また、濃漿(コンズ:酢の一種)。
★「霍」は、豆の葉で、賤(イヤ)しい人の食べ物。
★酒を水のように、肉を豆の葉のように見る意。
*『漢書-鮑宣伝』
カク
1550 根を深くして【テイ】を固くす ◆3
👉ねをふかくしてていをかたくす。
物事の基礎をしっかり固めること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「根」、「柢・蔕」は、ともに木の根のことで、物事の基本・基礎のたとえ。
★木の根を深く強固なものにする意から。
*『老子-五九章』
テイ
1551 【シンショウ】の隔て ◆3 参商   👉しんしょうのへだて。
遠く離れて合うことのないたとえ。また、夫婦や兄弟の別離や仲違いのたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「参」は、参星(シンセイ:オリオン座の星)。
★「商」は、商星(さそり座の星)。
★参星は西方に、商星は東方にあって同時に空に現れないことから言う。
*『杜甫』
シンショウ
1552 深ければ【レイ】し、浅ければ掲す ◆3   👉ふかければれいし、あさければけいす。
その場の状況に応じて適切な処理をすること。臨機応変。〈漢検四字熟語辞典〉
★「氏vは、高くあげる意。
★「掲」は、着物の裾をからげること。
★川が深ければ着物を高くたくし上げ、浅ければ裾をからげてわたるということから。
*『詩経-邶風・匏有苦葉』
レイ
1553 深ければ獅オ、浅ければ【ケイ】す ◆3   👉ふかければれいし、あさければけいす。
その場の状況に応じて適切な処理をすること。臨機応変。〈漢検四字熟語辞典〉
★「氏vは、高くあげる意。
★「掲」は、着物の裾をからげること。
★川が深ければ着物を高くたくし上げ、浅ければ裾をからげてわたるということから。
*『詩経-邶風・匏有苦葉』
ケイ
1554 水光瀲灩(れんえん)として晴れ方に好く、山色【クウモウ】として雨も亦た奇なり ◆3 空濛   👉すいこうれんえんとしてはれまさによく、さんしょくくうもうとしてあめもまたきなり。
晴雨どちらでもすばらしいながめ。晴好雨奇。〈漢検四字熟語辞典〉
★「奇」は、普通とちがってすぐれている意。
★山水の景色が晴れた日も美しく、また雨が降れば降ったですばらしいこと。
*『蘇軾-飲湖上初晴後雨』
クウモウ
1555 【テンカイ】の志 ◆3 塡海 填海 👉てんかいのこころざし。
身分不相応の大望。〈新大字典〉
★海をうずめる志の意。
*『太平御覧-精衛』
テンカイ
1556 【セキ】の狗尭に吠ゆ ◆3   👉せきのいぬぎょうにほゆ。
人はそれぞれ自分の仕える主人に忠を尽くすもので、善悪をわきまえて尽くすわけではないということ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「跖」は、中国春秋時代の大盗賊盗跖(トウセキ)。
★「尭」は、理想的な聖天子と言われた尭帝のこと。
★「狗」は、犬の意。
★盗跖に飼われている犬が尭帝に吠えつくという意から。
*『戦国策-斉策』
セキ
1557 【ソウカン】濮上(ぼくじょう)の音 ◆3 桑間   👉そうかんぼくじょうのおん。
淫乱な音楽のこと。また、国を滅亡に導く亡国の音楽のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「桑間」は、濮水のほとりの地名。一説に、濮水のほとりの桑の木の間の意。
★「濮上」は、濮水(河南省にある川の名)のほとりのこと。
★中国衛の霊公が晋に行く途中、夜半に濮水のほとりで聞いた音楽がすばらしかったので、これを晋の平公の前で演奏させた。すると晋の楽官師曠(シコウ)が、これは殷を滅亡させた不吉な音楽だと言って演奏をやめさせたという故事から。
*『礼記-楽記』
ソウカン
1558 多銭、善く【コ】す ◆3   👉たせん、よくこす。
資材や条件が整っていれば成功しやすいということ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「多銭」は、元手・資本がたくさんあること。
★「賈す」は、商いをする。
★資本がたくさんある者は、有利に商売するということ。
*『韓非子-五蠹』
1559 鶴を断ちて【フ】に続く ◆3 👉かくをたちてふにつづく。
生まれつきの自然のあり方に手を加え損なうこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「鳧」は、鴨のこと。
★鶴の足が長いからと言って短く切り、鴨の足が短いからと言ってつぎ足して長くするという意から。
*『荘子-騈拇』
1560 【タンロ】の剣 ◆3 湛盧   👉たんろのけん。
静かに澄み切った黒い剣。呉王闔閭(コウリョ)の剣。〈漢検四字熟語辞典〉
★「湛」は、たたえる、澄む、しずむ意。
★「盧」は、ここでは黒色の意。
*不明
タンロ
1561 【チウ】の操 ◆3 徴羽   👉ちうのそう。
正しい音楽のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「徴羽」は、五音(ゴイン:音楽の五つの音色、宮・商・角・徴・羽)の徴と羽。
★「操」は、あやつる、うまくつかう意。
*『淮南子-説林訓』
チウ
1562 【チスイ】の地 ◆3 置錐   👉ちすいのち。
とがった錐(キリ)の先をやっと突き立てることができるほどの狭い土地。わずかな空間。〈漢検四字熟語辞典〉
*『荘子-盗跖』
チスイ
1563 【チュウシン】の法 ◆3 誅心   👉ちゅうしんのほう。
実際の行為として現れなくても、心の中が正しくなければ、それを処罰する筆法。〈漢検四字熟語辞典〉
★「誅心」は、心の不純を罰すること。
*『春秋左氏伝-宣公二年・会箋』
チュウシン
1564 【テキカ】、車に満つ ◆3 擲果   👉てきか、くるまにみつ。
非常に人気があり評判なこと。また、非常な美少年のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「擲」は、なげつける、なげすてる。
★晋の潘岳(ハンガク)は容貌が非常に美しく、洛陽の街を行くと婦人たちは彼を取り巻いて果物を投げつけ、果物で車がいっぱいになったという故事から。
*『晋書-潘岳伝』
テキカ
1565 牝鶏の【シン】 ◆3   👉ひんけいのしん。
妻女が権力を握って、勢力を奮うこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「牝鶏」は、めんどり。
★「晨」は、にわとりが夜明けの時を告げる意。
★王后や王妃が勢力をふるうことで、中国では国家が乱れるもととされた。
*『書経-牧誓』
シン
1566 干戈を【トウサイ】す ◆3 倒載   👉かんかをとうさいす。
戦いがすんで平和になったことの形容。〈漢検四字熟語辞典〉
★「干戈」は、盾と矛で、武器の総称。
★周の武王が、殷の紂王を討伐して帰るとき、武器を逆さまに車に載せ、刃を虎の皮で覆って、二度と戦いをしないことを示した故事から。
*『礼記-楽記』
トウサイ
1567 【トウマツ】の技 ◆3 橦末   👉とうまつのぎ。
かるわざ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「橦末」は、竿の先。
★竿の先で行う曲芸のこと。
*『西京賦』
トウマツ
1568 【トドク】の筆墨 ◆3 屠毒   👉とどくのひつぼく。
人を害しそこなう書物。〈漢検四字熟語辞典〉
★「屠毒」は、ほふり毒する、害しそこなう意。
★「筆墨」は、書き物・書物の意。
*『紅楼夢-一回』
トドク
1569 肉袒して【ケイ】を負う ◆3 👉にくたんしてけいをおう。
思うままに処罰せよと謝罪する作法のこと。真心からの謝罪のたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「袒」は、はだぬぐ意。
★「荊」は、いばらのむち、罪人を打って罰する杖。
★肌脱ぎして、笞刑(チケイ)に用いるいばらの杖を背負い、これで打ってくれと謝罪の意を示すことから。
*『史記-廉頗蘭相如伝』
ケイ
1570 【ニッショク】の労 ◆3 日昃   👉にっしょくのろう。
昼食も食べずに昼過ぎまで苦労して働くこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「日昃」は、昼過ぎ、未の刻。今の午後二時頃。昃は日が西に傾く意。
*『後漢書-陳元伝』
ニッショク
1571 【ハイジツ】の怪しみ ◆3 吠日   👉はいじつのあやしみ。
見識の狭い者が、すぐれた言行をわけもわからず疑って非難すること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「吠日」は、日に向かって犬が吠えること。
★中国蜀の地方は、山が高く雨も多いので日を見る機会が少ない。たまに太陽が出ると犬が怪しんで吠えるということから。
*不明
ハイジツ
1572 【ハベツ】も千里 ◆3 跛鼈   👉はべつもせんり。
努力をすれば能力の劣るものでも成功するたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「跛鼈」は、足の悪いスッポンの意。
★足の悪いスッポンも努力して千里の道を行くという意。
*『荀子-脩身』
ハベツ
1573 【ビュウユウ】の説 ◆3 謬悠   👉びゅうゆうのせつ。
でたらめでとりとめのない考え方のこと。荒唐無稽。〈漢検四字熟語辞典〉
★「謬悠」は、いつわり間違って、とりとめのないこと。
*『荘子-天下』
ビュウユウ
1574 【フイ】の極 ◆3 布衣   👉ふいのきょく。
庶民としての最高の出世のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「布衣」は、布で作った庶民の衣服のこと。転じて、無位無官の人をいう。
★「極」は、物事の最高・最上の意。
*『史記-留侯世家』
フイ
1575 牆に耳あり、【フクコウ】側に在り ◆3 伏寇 伏冦 👉かきにみみあり、ふくこうかたわらにあり。
身辺の注意を怠らず、言動も慎むべきだということ。油断大敵。〈漢検四字熟語辞典〉
★「伏寇」は、隠れている盗賊のこと。
*『管子-君臣・下』
フクコウ
1576 【ベンペキ】して裏に近づく ◆3 鞭辟   👉べんぺきしてうちにちかづく。
外物にとらわれることなく身に切実なことと考えること。また、はげましによって物事の道理に近づくこと。また、文字や文章を厳密に考えて書いた文章。〈漢検四字熟語辞典〉
★「鞭辟」は、馬車で道を行くのに御者が鞭を鳴らして人払いをすること。「辟」は、ひらく意。また、はげます・督励すること。
*『近思録-論学』
ベンペキ
1577 【ホウシ】長蛇を為す ◆3 封豕   👉ほうしちょうだをなす。
貪欲で残酷な人のたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「封」は、大きいこと。
★「豕」は、豚の意。
★大きな豚と長い蛇の意から。
*『春秋左氏伝-定公四年』
ホウシ
1578 【ムボウ】の福 ◆3 無妄 毋妄
無望
毋望
👉むぼうのふく。
思いがけない幸運。〈漢検四字熟語辞典〉
★「無妄・毋妄・無望・毋望」は、思いがけなく起こること。
*『戦国策-楚策』
ムボウ
1579 冥行して【ショク】を擿(さぐ)る ◆3   👉めいこうしてしょくをさぐる。
学問をするのに、その方法を知らないことのたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「冥行」は、暗闇を歩くこと。
★「埴を擿る」は、盲人が杖で地面をたたきながら道を行くこと。
*『法言-脩身』
ショク
1580 【ハニュウ】の宿 ◆3 埴生   👉はにゅうのやど。
粗末な小さい家。〈漢字ペディア〉
*『浮世草子-傾城禁短気・四』
ハニュウ
1581 【ヨウケン】の才 ◆3 鷹犬   👉ようけんのさい。
自分が手先に使って役に立つ才能の持ち主。〈漢検四字熟語辞典〉
★「鷹犬」は、鷹(タカ)と犬。ともに猟に用いる。
*『宋史-唐坰伝』
ヨウケン
1582 軒冕を【デイト】にす ◆3 泥塗   👉けんべんをでいとにす。
高位高官の地位を泥のように軽んじて捨て去ること。〈新大字典〉
★「軒冕」は、大夫以上の人が用いる車と冠(カンムリ)。
★「泥塗」は、ぬかるみ。どろみち。また、どろまみれになること。
*『范仲庵-桐廬郡厳先生祠堂記』
デイト
1583 【ケンベン】を泥塗にす ◆3 軒冕   👉けんべんをでいとにす。
高位高官の地位を泥のように軽んじて捨て去ること。〈新大字典〉
★「軒冕」は、大夫以上の人が用いる車と冠(カンムリ)。
★「泥塗」は、ぬかるみ。どろみち。また、どろまみれになること。
*『范仲庵-桐廬郡厳先生祠堂記』
ケンベン
1584 【キョウショウ】の寿 ◆3 喬松   👉きょうしょうのじゅ。
長命長寿。〈漢字ペディア〉
★「喬松」は、中国古代の不老不死の仙人、王子喬(オウシキョウ)と赤松子(セキショウシ)。
*不明
キョウショウ
1585 【コシュ】を編む ◆3 虎鬚   👉こしゅをあむ。
あえて危険なことをするたとえ。〈漢字ペディア〉
★「虎鬚」は、トラのひげ。
*不明
コシュ
1586 【ナマエ】い本性違わず ◆3 生酔   👉なまえいほんしょうたがわず。
酒に酔っても本性は変わらない。〈漢字ペディア〉
★「生酔い」は、酒に少し酔うこと。また、その人。生酔(ナマヨ)い。
*『洒落本・二日酔巵觶-序』
ナマエ
1587 【トツトツ】の怪事 ◆3 咄咄   👉とつとつのかいじ。
たいへん奇妙なこと、けしからぬこと。〈漢字ペディア〉
★「咄咄」は、意外さに驚いて発する声。
★晋の殷浩(インコウ)が左遷されて、その怨みを言葉には出さないで、ただ「咄咄怪事」という四字を空に書いたという故事から。
*『晋書-殷浩伝』
トツトツ
1588 鼻中の白毛は【エンオウ】の使い ◆3 閻王   👉びちゅうのはくもうはえんおうのつかい。
鼻毛がしらがになるのは、死が近付いたしるしである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
●〈平成29年度・第1回出題,大問㈧,小問2〉
*『譬喩尽-八』
エンオウ
1589 【セイヨウ】も垂棘を穢す能わず ◆3 青蠅 青蝿 👉せいようもすいきょくをけがすあたわず。
よこしまな論で正しい道理をまげることはできないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「垂棘」は、昔、中国で名玉を産した土地の名。転じて、名玉のこと。
★きたないアオバエも名玉を汚すことはできない意。
●〈平成29年度・第1回出題,大問㈧,小問5〉
*『王褒-四子講徳論』
セイヨウ
1590 【テイワ】の内、蛟竜を生せず ◆3 蹄窪   👉???。
狭き地には大人物の出ないたとえ。〈字源〉
★「蹄窪」は、蹄(ヒヅメ)のあとの、くぼみ。
●〈平成29年度・第1回出題,大問㈧,小問7〉
*『新論』
テイワ
1591 天下の至柔は、天下の至堅を【チテイ】す ◆3 馳騁   👉てんかのしじゅうは、てんかのしけんをちていす。
天下で一番柔らかいものが、天下の一番堅いものを駆逐し、支配する力を持つ。〈中国古典名言事典〉
★「馳騁」は、あるものを支配すること。
●〈平成29年度・第1回出題,大問㈧,小問10〉
*『老子-四十三章』
チテイ
1592 身体髪膚之を父母に受く、敢えて【キショウ】せざるは孝の始めなり ◆3 毀傷   👉しんたいはっぷこれをふぼにうく、あえてきしょうせざるはこうのはじめなり。
我々の体、髪一筋、皮膚一片にいたるまで、これは父母から頂いた大切なものであるから、この身を大切に慎んで、少しも傷つけないようにすることが、親孝行の第一歩である。〈中国古典名言事典〉
●〈平成20年度・第1回出題,大問㈨,小問10〉
*『孝経-開宗明義』
キショウ
1593 温温たる恭人は、木に集(とど)まるが如し、【ズイズイ】たる小心は、谷に臨むが如し ◆3 惴惴   👉おんおんたるきょうじんは、きにとどまるがごとし、ずいずいたるしょうしんは、たににのぞむがごとし。
身を慎む人々は、いつも木の上にとどまっているように、あるいは、深い谷をひかえた道を歩くように心を引き締めている。〈中国古典名言事典〉
★「温温」は、柔和なさま。
★「恭人」は、身を慎んでいる人。
★「惴惴」は、おそれ慎むさま。
*『詩経-小雅・小宛』
ズイズイ
1594 萋(せい)たり斐たり、是の【バイキン】を成せり ◆3 貝錦   👉せいたりひたり、このばいきんをなせり。
悪人は口達者に人をうまく言いくるめる。美しい貝錦を作るように。〈中国古典名言事典〉
★「萋たり斐たり」は、模様の美しいさま。
★「貝錦」は、美しい綾錦(アヤニシキ)
★「貝錦をなす」は、讒言(ザンゲン)によって人を陥れる。
*『詩経-小雅・巷伯』
バイキン
1595 【フクダ】一たび手を螫せば、壮士は疾く腕を解く ◆3 蝮蛇   👉ふくだひとたびてをさせば、そうしはとくうでをとく。
毒を去るに勇断を用いること。〈中国古典名言事典〉
★蝮(マムシ)に手を螫(サ)されれば、壮士は腕もろ共に切り去って、その害を逃れる意。
*『陸亀蒙-離別詩』
フクダ
1596 【カロウ】を補苴し、幽眇を張皇す ◆3 罅漏   👉かろうをほしょし、ゆうびょうをちょうこうす。
教えや道の欠けたり漏れたりしているところを補う。聖道の幽遠にして、かつ微妙なものを敷衍し、押し広める。〈中国古典名言事典〉
*『韓愈-進学解』
カロウ
1597 【ギュウキ】、皁を同じくす ◆3 牛驥   👉ぎゅうき、そうをおなじくす。
賢人と不肖人(愚者)とが同一の待遇を受けるたとえ。〈中国古典名言事典〉
★「皁」は、牛馬の飼料を入れる槽(オケ)。
★足の遅い牛と日に千里を走る駿馬とが同じ待遇を受ける意。
*『鄒陽文-獄中上梁王書』
ギュウキ
1598 牛驥、【ソウ】を同じくす ◆3   👉ぎゅうき、そうをおなじくす。
賢人と不肖人(愚者)とが同一の待遇を受けるたとえ。〈中国古典名言事典〉
★「皁」は、牛馬の飼料を入れる槽(オケ)。
★足の遅い牛と日に千里を走る駿馬とが同じ待遇を受ける意。
*『鄒陽文-獄中上梁王書』
ソウ
1599 【ハジカミ】の食い合わせ ◆3   👉はじかみのくいあわせ。
良いことと悪いことなど、逆のことが入り混じることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★ショウガの別名である薑(ハジカミ)の表記は迷うところだがここでは不正解とする。
類:悲喜交交
*『狂言記・胸突』
ハジカミ
1600 手が【ハジカミ】ならば生姜三へぎ ◆3   👉てがはじかみならばしょうがみへぎ。
字が下手で手紙が書けないのならば、せめて生姜(ショウガ)でも少し贈れ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
「薑」は、ショウガの別名。
字の下手なことを生姜手(ショウガデ)というところからいう。
サンショウの別名である椒(ハジカミ)の表記は不正解。
*『俳諧・貞徳俳諧記-上』
ハジカミ
1601 【イッポウ】の土未だ乾かず、六尺の孤安にか在る ◆3 一抔   👉いっぽうのつちいまだかわかず、りくせきのこいずくにかある。
先帝太宗がなくなり、その埋葬の土がまだ乾きもしないのに、早くも武后は後継ぎとなるべき年端もゆかぬ諸王子をみんな殺してしまった。則天武后を弾劾した李敬業(リケイギョウ)に檄文中の言葉。〈中国古典名言事典〉
「六尺の孤」は、君主の父を失った幼君。
「六尺」は、年齢で一五歳のこと。一尺は二歳半という。また一説に、身長で四尺八寸のこと。周代の一尺は今の八寸。
「一抔の土」は、一握りの土。転じて帝王の墓。
*『十八史略-唐・太宗』
イッポウ
1602 始めの囁き後の【ドヨ】めき ◆3 響動 👉はじめのささやきのちのどよめき。
初めは秘密にしていたことが、後には世間の評判となること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『日本俚諺大全』
ドヨ
1603 【シュジュ】は飽いて死せんと欲し、臣朔は饑えて死せんと欲す ◆3 侏儒   👉しゅじゅはあいてしせんとほっし、しんさくはうえてしせんとほっす。
一寸法師などの道化者はご馳走に飽いて死にかかっているそうだが、わたしは飢えて死にそうである。滑稽者として有名な東方朔(トウボウサク)が武帝に訴えた不満の言葉。〈中国古典名言事典〉
*『十八史略-西漢・武帝』
シュジュ
1604 【マレイ】は当に百煉の金の如くすべし ◆3 磨礪 磨砺 👉まれいはまさにひゃくれんのきんのごとくすべし。
知徳を研ぎ磨くには、金鉄を限りなく繰り返し練り鍛え磨くのと同じように勤めるべきだ。〈中国古典名言事典〉
*『菜根譚-前集百九十一』
マレイ
1605 書を読みて聖賢を見ざれば、【エンザン】の傭と為る ◆3 鉛槧   👉しょをよみてせいけんをみざれば、えんざんのようとなる。。
たとえどんな立派な本を読んでも、聖人賢者の精神をとらえなければ、印刷屋の使用人となったようなものだ。〈中国古典名言事典〉
*『菜根譚-前集五十六』
エンザン
1606 人情は反復し、世路は【キク】たり ◆3 崎嶇   👉にんじょうははんぷくし、せろはきくたり。
人情は手のひらを返すようによく変わり、世渡りの道は、凹凸のはげしい山路のように困難である。このことをよく心得て生きて行かねばならない。〈中国古典名言事典〉
★「崎嶇」は、山道が曲がりくねってけわしいさま。
*『菜根譚-前集三十五』
キク
1607 林泉の下に処りては、須らく廊廟の【ケイリン】を懐くことを要すべし ◆3 経綸   👉りんせんのもとにおりては、すべからくろうびょうのけいりんをいだくことをようすべし。
野に在って林泉の風流を楽しんでいても、やはり、朝廷の政治上のことから心を放してはならない。隠遁生活をしていても、世の中を立派にするという経綸の道を忘れてはならない。〈中国古典名言事典〉
★「林泉」は、木立といずみ・池。また、それらを配した大きな庭園。
★「廊廟」は、政務を執る殿舎。廟堂。表御殿。
★「経綸」は、国家を治め整えること。また、その施策。
*『菜根譚-前集二十七』
ケイリン
1608 【カタミ】の水 ◆3 👉かたみのみず。
物事の頼りにならないことにたとえる。〈日本国語大辞典〉
★「筐」は、竹で編んだ目の細かいカゴ。
★筐に汲み入れた水。漏れやすいところから言う。
*『蜻蛉-上』
カタミ
1609 天の【コンズ】 ◆3 濃漿   👉てんのこんず。
天から与えられた美味な飲み物。甘露。ふつう、上等の酒、また、単に酒の意でいう。〈日本国語大辞典〉
*『光悦本謡曲-邯鄲』
コンズ
1610 糸に非ず、竹に非ず、【ガビ】に非ず ◆3 蛾眉 娥眉 👉しにあらず、ちくにあらず、がびにあらず。
人間の楽しみは、なにも音楽とか、あるいは美人とかだけにあるものではない。〈中国古典名言事典〉
★「糸竹」は、琴や笛。すなわち音楽の意。
★「蛾眉・娥眉」は、美人のこと。
*『蘇東坡-於潜令刁同年野翁亭』
ガビ
1611 我が輩豈是れ【ホウコウ】の人ならんや ◆3 蓬蒿   👉わがはいあにこれほうこうのひとならんや。
自分は今こそこういうふうにしているけれども、いつまでも貧乏をしているわけではあるまい。必ず世に頭角を現わして見せる。〈中国古典名言事典〉
★「蓬蒿の人」は、蓬(ヨモギ)などをもって門を作っている貧乏人。
*『李太白-南陵敍別』
ホウコウ
1612 宮室を卑しくして力を【コウキョク】に尽くす ◆3 溝洫   👉きゅうしつをいやしくしてちからをこうきょくにつくす。
自分のすまいは簡素にして、その余力を田間のみぞの整備に投入した。これが聖天子禹(ウ)の政治であった。〈中国古典名言事典〉
★「宮室」は、帝王の宮殿。
★「溝洫」は、田間のみぞ。
*『論語-泰伯』
コウキョク
1613 下大夫と言うときは、【カンカン】如たり、上大夫と言うときは、ァァ如(ぎんぎんじょ)たり ◆3 侃侃   👉かたいふというときは、かんかんじょたり、じょうたいふというときは、ぎんぎんじょたり。
孔子は、下役の者と話すときは、いかにも、物柔らかな態度で相対し、たとえ上役であっても、言うべきことは道理に立って、はっきりした口調で話した。孔子の門人の言葉。〈中国古典名言事典〉
★「侃侃」は、漢字ペディアを見ると剛直の意とし、漢字源を見れば「性格などが強く、のびのびとして正直なさま」の意の他に、一説として「のびのびとして打ち解けるさま」とある。
★「ァァ」は、一方に偏らず正当なさま。また、穏やかに是非を論じるさま。
*『論語-郷党』
カンカン
1614 言忠信にして、行い篤敬ならば、【バンバク】の邦と雖も行われん ◆3 蛮貊   👉げんちゅうしんにして、おこないとっけいならば、ばんばくのくにといえどもおこなわれん。
その人の言葉がまことそのものであり、また、行いが人情に厚く、慎み深いならば、南や北の野蛮な人間の国においても、その人の言うことは、必ず行われるであろう。〈中国古典名言事典〉
*『論語-衛霊公』
バンバク
1615 女の髪の毛には【タイゾウ】も繫がる ◆4 大象   👉おんなのかみのけにはたいぞうもつながる。
どんなに謹厳な男性でも、女性の魅力にはかなわないたとえ。〈漢字ペディア〉
*『徒然草-九』
タイゾウ
1616 冠履を貴んで【トウソク】を忘る ◆4 頭足   👉かんりをとうとんでとうそくをわする。
根本を忘れて末節のことにこだわること。〈漢字ペディア〉
★冠は頭あってのもの、靴は足あってのものなのに、頭足を忘れて冠や靴を重んじることから。
*『淮南子-泰族訓』
トウソク
1617 胸中に【セイチク】あり ◆4 成竹   👉きょうちゅうにせいちくあり。
事前に準備を整えて得た成功の見込み、成算。また、それがあること。〈漢字ペディア〉
★タケを描くとき、あらかじめ心の中で描くタケの姿を完成し、一気に筆を揮(フル)って描きあげる意から。
*『蘇軾-篔簹谷偃竹記』
セイチク
1618 君子に【キュウシ】有り ◆4 九思   👉くんしにきゅうしあり。
君子には熟考しなければならない九つのことがある。物をしっかりと見、正確に聞く、表情は穏やかに、姿勢はうやうやしく、言葉は誠実を心がけ、仕事は慎重に、疑問はためらわず質問し、怒るときはその後の困難な事態を思い、利得に対しては道義を考えよということ。〈漢字ペディア〉
*『論語-季氏』
キュウシ
1619 香餌の下必ず【シギョ】有り ◆4 死魚   👉こうじのもとかならずしぎょあり。
人は利益を得るためには、命を落とすこともいとわないものだというたとえ。また、利益のかげには必ず危険がひそんでいるたとえ。〈漢字ペディア〉
*『三略-上略』
シギョ
1620 大人は【コヘン】す ◆4 虎変   👉たいじんはこへんす。
徳の高い大人物が革命をなし遂げたときは、トラの毛が秋に生え変わって模様が色鮮やかに輝きだすように、古い制度が面目一新されるものだ。〈漢字ペディア〉
★「虎変」は、トラの毛が抜け変わり模様がきわだつように変化すること。
*『易経-革卦』
コヘン
1621 【ダンキ】の戒め ◆4 断機   👉だんきのいましめ。
何事も、やり始めたら途中でやめては何にもならないという戒め。〈漢字ペディア〉
★「断機」は、織りかけの糸をたち切る意。
★孟子(モウシ)が学業なかばで家に帰ったとき、孟子の母が織りかけていた機(ハタ)の糸をたち切ってみせ、学問でも機織りでも、中途でやめては仕上げることはできないと戒めたという故事から。
*『古列女伝-母儀・鄒孟軻母』
ダンキ
1622 【タント】の如し ◆4 胆斗   👉たんとのごとし。
きもったまがすわっていて、ものに動じないさま。〈漢字ペディア〉
★中国、蜀(ショク)の豪胆な武将として知られていた姜維(キョウイ)のきもが一斗ますのように大きかったという故事から。当時の一斗は約二リットル。
*『蜀志注-姜維伝』
タント
1623 逢えば【ゴリン】の損がいく ◆4 五厘   👉あえばごりんのそんがいく。
人と交際すると必ず何らかの費用が掛かり、損をするということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「五厘」は、一銭の半分。
*『諺語大辞典』
ゴリン
1624 青海苔の【トウレイ】に太太神楽を打つ ◆4 答礼   👉あおのりのとうれいにだいだいかぐらをうつ。
わずかな物のお返しに、過大な返礼をすること。〈新漢和大字典〉
★「太太神楽」は、伊勢神宮に奉納する神楽。
★青海苔のお礼に、太太神楽の太鼓を聞かせることから。
*不明
トウレイ
1625 【ハンジョ】が扇 ◆4 班女   👉はんじょがおうぎ。
男の愛情を失った女のたとえ。秋の扇(オウギ)。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★班婕、(ハンショウヨ)が帝の愛のうすれたわが身を、不要になった秋の扇にたとえて詩を作ったという故事による。
*『文選-怨歌行』
ハンジョ
1626 【カンゼン】する無し ◆4 間然   👉かんぜんするなし。
非難するところが一つもない。〈漢字ペディア〉
★「間然」は、隙を指摘して批判すること。
*『論語-泰伯』
カンゼン
1627 【キモン】の学 ◆4 記問   👉きもんのがく。
あらかじめ質問を察し、ただ書物や古人の説を暗記して講釈するだけで、自分では真に理解していない学問。〈漢字ペディア〉
*『礼記-学記』
キモン
1628 正直貧乏横着【エヨウ】 ◆4 栄耀   👉しょうじきびんぼうおうちゃくえよう。
世の中の仕組みは不合理だということ。〈漢字ペディア〉
★正直な者はとかくきまりをきちんと守って貧乏なのに、図々しくずるい者は富み栄える意から。
*『世俗俚言集』
エヨウ
1629 【ショウビ】の急 ◆4 焼眉 焦眉 👉しょうびのきゅう。
非常にさし迫った事態や危険が身に迫ることのたとえ。〈漢字ペディア〉
★眉が焼けるほどの火急の意から。
*『通俗編-身体』
ショウビ
1630 積善の家には必ず【ヨケイ】有り ◆4 余慶   👉せきぜんのいえにはかならずよけいあり。
善行を重ねて来た家には、必ず子孫によいことがあるということ。〈漢字ペディア〉
*『世俗諺文』
ヨケイ
1631 【センジョウ】の嘆 ◆4 川上   👉せんじょうのたん。
孔子が川辺に立ち、流れる水を見て、万物が絶えることなく変化し、時が戻ることなく過ぎ去っていくのを嘆いた故事をいう。〈漢字ペディア〉
*『論語-子罕』
センジョウ
1632 【センリョ】の一失 ◆4 千慮   👉せんりょのいっしつ。
十分に考えて準備したにもかかわらず、思いがけない手抜かりがあること。また、賢人の考えのなかにも、まれにはまちがいがあること。〈漢字ペディア〉
*『世俗諺文』
センリョ
1633 大匠は拙工の為に【ジョウボク】を改廃せず ◆4 縄墨   👉たいしょうはせっこうのためにじょうぼくをかいはいせず。
人にものを教えるにあたっては、教える相手に合わせてレベルを低くしたりしないということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★すぐれた大工は、下手な大工に合わせて、すみなわの引き方を改めたりやめたりすることはしないという意から。
*『孟子-尽心・上』
ジョウボク
1634 不断よいなりする人に【ナイショウ】のよいは無し ◆4 内証   👉ふだんよいなりするひとにないしょうのよいはなし。
ふだんよい着物を着てぜいたくしている人に、家計の豊かなものはいない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「内証」は、一家の財政。暮らしむき。
*『譬喩尽-五』
ナイショウ
1635 忍の一字は【シュウミョウ】の門 ◆4 衆妙   👉にんのいちじはしゅうみょうのもん。
忍耐こそが何事をも可能にする決め手であるということ。〈漢字ペディア〉
★「衆妙の門」は、老子の言葉で、万物を生み出す根源の意。
*『呂本中-官箴』
シュウミョウ
1636 【バンショク】の争い ◆4 蛮触   👉ばんしょくのあらそい。
小さく狭い料簡から、互いにつまらないことで争うたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★かたつむりの左右の角の上にある蛮国と触国が争いあうという寓話による。
*『荘子-則陽』
バンショク
1637 人【ボクセキ】に非ず ◆4 木石   👉ひとぼくせきにあらず。
人には木や石とはちがって喜怒哀楽の情がある、それは当然だということ。〈漢字ペディア〉
*『白居易-新楽府・李夫人』
ボクセキ
1638 【ヒリ】の陽秋 ◆4 皮裏   👉ひりのようしゅう。
口には出さないが、心のなかで人の是非を判断し、ほめたりけなしたりすること。〈漢字ペディア〉
★「皮裏」は、皮膚の裏側のことで心の意。
★「陽秋」は、孔子の著作といわれる『春秋』のことで、歴史の正邪をただした書。
*『晉書-外戚伝・褚裒』
ヒリ
1639 【ホウチュウ】の信 ◆4 抱柱   👉ほうちゅうのしん。
約束を堅く守るたとえ。絶対に信義を裏切らないたとえ。〈漢字ペディア〉
★尾生(ビセイ)という男が、会う約束をした女性を橋の下で待っていたところ、川の水があふれてきた。それでも尾生は橋げたにすがって待ちつづけ、ついにおぼれ死んだという話から。
*『荘子』
ホウチュウ
1640 貌には【キョウ】を思う ◆4   👉ぼうにはきょうをおもう。
表情や態度には、常に慎みが表れるように心掛けよという戒め。〈漢字ペディア〉
*『論語-季氏』
キョウ
1641 【ボウ】には恭を思う ◆4   👉ぼうにはきょうをおもう。
表情や態度には、常に慎みが表れるように心掛けよという戒め。〈漢字ペディア〉
*『論語-季氏』
ボウ
1642 身を以て利に【ジュン】ず ◆4   👉みをもってりにじゅんず。
少しばかりの利益のために、自分を犠牲にしてしまうこと。利益のために身を滅ぼす愚かしさへの戒め。〈漢字ペディア〉
★「殉ず」は、身を犠牲にして尽くす意。
*『荘子-駢拇』
ジュン
1643 愛してその【シュウ】を忘る ◆4   👉あいしてそのしゅうをわする。
愛していれば相手の醜いところも気にならない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
シュウ
1644 危うきこと【チョウロ】の如し ◆4 朝露   👉あやうきことちょうろのごとし。
人の運命や生命が、きわめて危険な状態にあることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★朝露は日が出る時にたちまち乾いてしまうので、はかないもののたとえ。
*『漢書-蘇武伝』
チョウロ
1645 【イイキ】の鬼と為る ◆4 異域   👉いいきのおにとなる。
外国で死ぬこと。故郷を離れて死ぬこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「異域」は、故郷を離れた地の意。外国。
★「鬼」は、死者の魂。
*『李陵-答蘇武書』
イイキ
1646 魚は【コウコ】に相忘る ◆4 江湖   👉うおはこうこにあいわする。
俗事にわずらわされず、自然の境遇に身を置き、自由に生きることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★魚が広々とした水中を、互いの存在も忘れ、ゆうゆうと泳ぎ回るという意から。
*『荘子-大宗師』
コウコ
1647 【グンケイ】軸を折る ◆4 群軽   👉ぐんけいじくをおる。
小さなものや微力なるものでも、多く集まれば大きな力となるたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★軽いものでもたくさん積めば、車の軸を折るに至ることから。
*『戦国策-魏策・哀王』
グンケイ
1648 【ウシュウ】の交わり ◆4 烏集   👉うしゅうのまじわり。
噓が多く、自分の利益のためにすぐ争いを起こすような交際。また、相手を選ばずに結びついた交わり。〈漢字ペディア〉
★「烏集」は、カラスの集まり。
★カラスを疑い深い鳥として、己の利益の為だけに争うとしたことからきた言葉。
*『管子-形埶』
ウシュウ
1649 【ウチョウ】の私情 ◆4 烏鳥   👉うちょうのしじょう。
子が親に養われて育った恩を忘れずに、孝養をつくす情愛のたとえ。〈漢字ペディア〉
★カラスは、生まれた子に母親が六十日間口うつしに食物を与え、子は成長後六十日間、親に口から食物を与えて養うという伝説から。
*『李密-陳情表』
ウチョウ
1650 【ウトウ】白くして馬角を生ず ◆4 烏頭   👉うとうしろくしてうまつのをしょうず。
あり得ないことのたとえ。また、あり得ないことが実現することのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★中国の戦国時代、秦(シン)に人質になっていた燕(エン)の太子丹(タン)は、秦王から「烏の頭が白くなり、馬に角がはえたら帰国を許してやろう」と言われ、絶望して天を仰ぎ嘆いたところ、ありえないことが事実となって現われたという故事による。
*『史記-刺客伝・索隠』
ウトウ
1651 【エヨウ】の餅の皮 ◆4 栄耀   👉えようのもちのかわ。
度を越した贅沢のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「栄耀」は、贅沢の意。
★むく必要のない餅の皮までむいて食べる意から。
*『自由学校〈獅子文六〉夏の花咲く』
エヨウ
1652 【エントウ】の一割 ◆4 鉛刀   👉えんとうのいっかつ。
1.凡庸な人でも力を発揮できる時があるたとえ。自分の微力を謙遜していうことば。
2.一度物を切ると二度と使えなくなることから、その一度を大切にする意。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鉛刀」は、なまくら刀。
★なまくらな刀でも、一度は物を切ることができることから。
*『後漢書-陳亀伝』
エントウ
1653 遠慮なければ【キンユウ】あり ◆4 近憂   👉えんりょなければきんゆうあり。
目先の事ばかりにとらわれて、将来のことを考えずに行動すると、必ず身近なところに心配事が起こるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「遠慮」は、遠い将来まで見通した深い考え。
★「近憂」は、身近な憂い事。
*『論語-衛霊公』
キンユウ
1654 【オンリョウキョウケンジョウ】、以て之を得たり ◆4 温良恭倹譲   👉おんりょうきょうけんじょう。
温和でやさしくおだやかに、人を敬ってつつましく応対すること。孔子が人と接するときの態度をいう語。〈漢字ペディア〉
★孔子は、どこの国においても指導者として迎えられている。しかし、官職を得ようとして運動をなさったわけではない。温(あたたかみ)、良(素直さ)、恭(うやうやしさ)、倹(ひかえめ)、譲(人の先に立てる)という五つの徳によって、その地位を得られたのだという子貢のことば。
*『論語-学而』
オンリョウキョウケンジョウ
1655 【カイゴ】の花 ◆4 解語   👉かいごのはな。
美人のたとえ。〈漢字ペディア〉
★言葉を解する花の意。唐の玄宗が楊貴妃(ヨウキヒ)を指していった語。
*『開元天宝遺事』
カイゴ
1656 【カイロク】の災い ◆4 回禄 回祿 👉かいろくのわざわい。
火災にあうこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「回禄」は、火の神、また、火事の意。
*『朱文公文集-五四・答包定之』
カイロク
1657 河海は【サイリュウ】を択ばず ◆4 細流   👉かかいはさいりゅうをえらばず。
大人物は度量が大きく、あらゆる人を包容するたとえ。人も他人の意見を広く聞かないと大成しないという戒め。〈漢字ペディア〉
★黄河や大海は小さな川もすべて受け入れてあの深さをなしていることから。
*『史記-李斯伝』
サイリュウ
1658 【カカン】の言 ◆4 河漢   👉かかんのげん。
言説が大げさで現実離れしていること。言葉がはてしなくとりとめのないこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「河漢」は、天の川。黄河と漢水とを指すともいわれる。
★遠い空にある天の川のように、漠然としてとらえどころのない言葉の意から。
*『荘子-逍遙遊』
カカン
1659 【カギュウ】の計 ◆4 火牛   👉かぎゅうのけい。
ウシの角に剣を、尾には油に浸したアシの束を結んで火をつけ、それを敵陣に放って相手がひるむすきに敵陣に兵を進める戦術。〈漢字ペディア〉
★中国、戦国時代、斉(セイ)の田単(デンタン)が燕(エン)の軍に対して用いた戦術から。
*『史記-田単伝』
カギュウ
1660 渇すれども【トウセン】の水を飲まず ◆4 盗泉   👉かっすれどもとうせんのみずをのまず。
どんなに困っても悪人の助けを借りたり、悪事や不正に手を染めたりしないたとえ。〈漢字ペディア〉
★孔子はのどがかわいても、盗泉という名の泉の水は、嫌って飲まなかったという故事から。
*『陸機-猛虎行』
トウセン
1661 【カツ】を被り玉を懐く ◆4   👉かつをこうむりたまをいだく。
すぐれた才能を包み隠しているたとえ。すぐれた才能がありながら、それを表にあらわさないということ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「褐」は、貧しい人が着る粗末な衣服。
★うわべは粗末な服を着ていながら、実はふところに玉を隠し持っている意。
*『老子-七十章』
カツ
1662 【ガンシャ】、影を射る ◆4 含沙   👉がんしゃ、かげをいる。
陰険な方法で人に害を与えること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「含沙」は、中国南方にいるといわれるいさごむしという怪虫で、この虫が砂を含んで人の影に吹き付けるとその人は病死するという。
*『博物志-異虫』
ガンシャ
1663 【カンバ】の労 ◆4 汗馬   👉かんばのろう。
物事を成功させるために奔走する苦労。また、物を遠くに運ぶ労苦。〈漢字ペディア〉
★もとは、ウマを駆けて戦場で奔走する労苦の意。
*『史記-蕭相国世家』
カンバ
1664 【キカ】居くべし ◆4 奇貨   👉きかおくべし。
機会はうまくとらえて利用すべきだというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「奇貨」は、珍しい品物。掘り出し物。
★「居く」は、手元にとどめておく、買い入れておくという意。
★珍しい品物は将来値上がりが予想されるから、今仕入れておけということから。
*『史記-呂不韋伝』
キカ
1665 七歳未満【キブク】なし ◆4 忌服   👉しちさいみまんきぶくなし。
七歳未満の者は喪に服する要はない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「忌服」は、近親者が死んだことで一定の期間、喪(モ)に服すこと。
*『譬喩尽-七』
キブク
1666 【キコ】相当たる ◆4 旗鼓   👉きこあいあたる。
両者の勢力が互角であること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「旗鼓」は、戦場で指揮や合図の為に用いる旗と太鼓。転じて、軍隊の意。
★戦場で敵味方の軍が相対する意から。
*『後漢書-隗囂伝』
キコ
1667 【キフ】の一諾 ◆4 季布   👉きふのいちだく。
決して裏切らない堅い約束や誓約のこと。〈漢字ペディア〉
★「一諾」は、一度承諾する意。
★中国の漢代、楚(ソ)の名将季布は一度した約束は決して破らなかったことから。
*『史記-季布伝』
キフ
1668 鬼門【コンジン】我より祟る ◆4 金神   👉きもんこんじんわれよりたたる。
災いは鬼門や金神の祟りによって起こるのではなく、すべて自分の不謹慎が招くものであるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鬼門」は、陰陽道で悪鬼が出入りする門の意。方角では艮(ウシトラ:東北)を指す。
★「金神」は、陰陽道で祭る方位の神。戦乱・大水をつかさどるといわれ、この神の方角に向かって工事や移転・嫁取りをすると、ひどい祟りがあるという。
*『日本俚諺大全』
コンジン
1669 【ケンパク】同異の弁 ◆4 堅白   👉けんぱくどういのべん。
こじつけや詭弁(キベン)のたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、戦国時代、趙(チョウ)の公孫竜が「かたくて白い石を目で見ると、色が白いことはわかるがかたさはわからない。手でさわると、かたさはわかるが色はわからない。だから、かたい石と白い石とは同時には成立しない」という論法で、物事の同異を説いた故事から。
*『公孫龍文-堅白論』
ケンパク
1670 【コウカク】に束ぬ ◆4 高閣   👉こうかくにつかぬ。
人材や書物などを長い間使うことなく、そのままにしておくたとえ。〈漢字ペディア〉
★「束ぬ」は、たばねること。
★たばねて高い棚の上にしまっておく意。
*『韓愈-寄盧仝詩』
コウカク
1671 【コウジン】の火傷 ◆4 荒神   👉こうじんのやけど。
他人の世話に熱中するあまり、自分の身を守ることがおろそかになること。また、意外な失敗のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「荒神」は、かまどの神。
★かまどを守り、日を防ぐ神が火傷を負う意から。
*『諺語大辞典』
コウジン
1672 口中の【シオウ】 ◆4 雌黄   👉こうちゅうのしおう。
一度口にしたことをすぐ訂正するたとえ。また、口からでまかせを言うたとえ。〈漢字ペディア〉
★「雌黄」は、黄色い顔料。昔の紙は黄色味を帯びていたので、誤記などがあればこの顔料で塗り消した。
★口の中にいつもこの雌黄をもつ意から。
*『晉書-王衍伝』
シオウ
1673 【コショウ】鳴らし難し ◆4 孤掌   👉こしょうならしがたし。
人間は一人では何事も成すことはできないたとえ。〈漢字ペディア〉
★「孤掌」は、一つの掌(テノヒラ)、片方の掌。
★片方の掌だけでは手を打ち鳴らすことはできないという意から。
*『風光好-第四折』
コショウ
1674 【コウハイ】相望む ◆4 項背   👉こうはいあいのぞむ。
人の往来のはげしいことの形容。〈漢字ペディア〉
★「項背」は、うなじと背中。
★往来する人が多く、互いに前後を眺めあうことから。
*『後漢書-左雄伝』
コウハイ
1675 酒は【サンコン】に限る ◆4 三献   👉さけはさんこんにかぎる。
酒は度を越すと酒席が乱れやすくなるので、三献を限度としてやめるのがよいという戒め。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「三献」は、中世以降の酒宴の礼法。一献・二献・三献と膳を三度変え、そのたびに大・中・小の杯で一杯ずつ飲み、九杯の酒をすすめるもの。
*『俚言集覧』
サンコン
1676 日月に【シショウ】無し ◆4 私照   👉じつげつにししょうなし。
自然の恵みはすべて平等であること。〈漢字ペディア〉
★太陽や月は特定の人だけを照らすのではなく、世の中全体を公平に照らすという意から。
*『礼記-孔子間居』
シショウ
1677 君子蕩蕩として小人【セキセキ】たり ◆4 戚戚   👉くんしとうとうとしてしょうじんせきせきたり。
君子は道に従って行動するから、心は穏やかでのびのびとしているが、小人はいつもくよくよと思い悩んでいるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蕩蕩」は、穏やかで心がゆったりしていること。
★「戚戚」は、心配してくよくよすること。
*『論語-述而』
セキセキ
1678 【インカ】の願い ◆4 飲河   👉いんかのねがい。
自分の分に応じた願望。〈新大字典〉
★モグラが大河の水を飲んでも、小さな腹を満たしただけで満足するという意の飲河満腹(インカマンプク:人にはそれぞれ分があり、分に応じて満足すべきことをいう。)から。
*不明
インカ
1679 【シュクユウ】の災い ◆4 祝融   👉しゅくゆうのわざわい。
火事。火災。〈漢字ペディア〉
★「祝融」は、中国古代の伝説上の帝王。また、火をつかさどる神の名。
*『一遍上人語録-奥書』
シュクユウ
1680 【ジョウカ】の盟 ◆4 城下   👉じょうかのちかい。
城の下まで攻めこまれて、やむをえず結ぶ屈辱的な講和条約。〈漢字ペディア〉
★「城下」は、城壁の下。
★「盟」は、約束。誓い。
*『春秋左伝-桓公一二年』
ジョウカ
1681 【ショウキュウ】の鳥 ◆4 傷弓   👉しょうきゅうのとり。
いちど怖い思いをしたために、次には必要以上におじけづくことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★一度弓矢で傷つけられた鳥は弓の弦音だけでも恐れる意。
★矢傷をおった鳥が、傷口のまだなおらないうちに弓の弦の音に驚いて高く飛び上がり、落ちてしまったという故事による。
*『戦国策-楚策・考烈王』
ショウキュウ
1682 【ショウジョウ】に運らす ◆4 掌上   👉しょうじょうにめぐらす。
思い通りに行うこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「掌上」は、手のひらの上。
★手の上で自由自在に操る意から。
*『孟子-公孫丑・上』
ショウジョウ
1683 【ショウチュウ】の珠 ◆4 掌中   👉しょうちゅうのたま。
非常に大切にしているもの。最愛の妻や子など。〈漢字ペディア〉
★手のなかの宝玉の意。
*『傅玄-短歌行』
ショウチュウ
1684 正法に【キドク】なし ◆4 奇特   👉しょうぼうにきどくなし。
正しい法門(宗教)には不思議な奇蹟などということはない。奇特や不思議があるとすればそれは邪法(邪教)である。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「正法」は、正しい教え、すなわち仏法。
★「奇特」は、非常に珍しく、不思議なさま。
*『虎明本狂言・犬山伏』
キドク
1685 【シ】を致す ◆4   👉しをいたす。
官職をやめること。退官。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「仕」は、役所につとめる。つかえる。
★「致」は、もとに返す意。
*『春秋公羊伝-宣公元年』
1686 【ヨウシュウ】の夢 ◆4 揚州   👉ようしゅうのゆめ。
過ぎ去った日々の歓楽の思い出。〈漢字ペディア〉
*『杜牧-遣懐詩』
ヨウシュウ
1687 【セキウ】舟を沈む ◆4 積羽   👉せきうふねをしずむ。
小事も積み重なれば大事を引き起こすというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★羽のように軽いものでも、たくさん積めば舟を沈めるほどになるということから。
*『淮南子-繆称訓』
セキウ
1688 【ゼンブ】揃うて箸を取れ ◆4 膳部   👉ぜんぶそろうてはしをとれ。
あわただしい食事を戒めたことば。また、物事は用意が全部整ってから取り掛かるのがよいという教え。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「膳部」は、善にのせた料理のことで、全部とかけた言葉。
*『日本俚諺大全』
ゼンブ
1689 楚王【サイヨウ】を好み宮中に餓人有り ◆4 細腰   👉そおうさいようをこのみきゅうちゅうにがじんあり。
上の好むものに下の者が迎合するたとえ。また、そのための弊害が生じやすいということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★楚王が腰の細い女を愛したので、楚の宮女たちがその好みにかなうためやせようとして食事もとらずに多く死んだという故事による。
*『荀子-君道』
サイヨウ
1690 行き摩りの【スクセ】 ◆4 宿世   👉ゆきずりのすくせ。
道を行く時すれ違うのも前世からの因縁である。袖振り合うも多生の縁。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『狭衣物語-二』
スクセ
1691 大隠は【チョウシ】に隠る ◆4 朝市   👉たいいんはちょうしにかくる。
真の隠者は、山野に隠れることもなく、俗世間で暮らしながら、俗事に心を乱されることがないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「大隠」は、悟りきった隠者。
★「朝市」は、役所は市場。ここでは町中の意。
*『王康琚-反招隠詩』
チョウシ
1692 【チョウライ】昂じて尼になる ◆4 頂礼   👉ちょうらいこうじてあまになる。
信仰に凝りすぎて、尼(アマ)にならなければ気が済まないところまで進むこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「頂礼」は、頭を相手の足につけて拝む作法、仏や尊者に対する最高の敬意を表す礼とされる。
*『和漢故事要言-四』
チョウライ
1693 【テンエン】の差 ◆4 天淵 天渕 👉てんえんのさ。
物事の隔たりが非常に大きいことのたとえ。雲泥の差。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★高い天と深い淵ほどの大きな差の意から。
*『詩経-大雅・旱麓』
テンエン
1694 【トウヒツ】の吏 ◆4 刀筆   👉とうひつのり。
文書を書き写すだけが仕事の下級役人のこと。〈漢字ペディア〉
★「刀」は、小刀のことで、古代中国で文字を書くのに用いた竹簡の誤字を削り取る道具。
*『史記-蕭何世家賛』
トウヒツ
1695 遠水【キンカ】を救わず ◆4 近火   👉えんすいきんかをすくわず。
いかに有用なものであっても、遠方にあるものでは急場の役には立たないたとえ。〈漢字ペディア〉
*『韓非子-説林』
キンカ
1696 二卵を以て【カンジョウ】の将を棄つ ◆4 干城   👉にらんをもってかんじょうのしょうをすつ。
ささいな過失にこだわり、有能な人物を用いないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「干城」は、外敵を防ぐ干(タテ)と城。転じて、軍人。
*『孔叢子-居衛』
カンジョウ
1697 【ビセイ】の信 ◆4 尾生   👉びせいのしん。
1.約束を固く守るたとえ。
2.ばか正直すぎて融通がきかないたとえ。〈漢字ペディア〉
★「信」は、信義の意。
★中国魯(ロ)の国の尾生という男が、女と橋の下で会う約束をした。折からの大雨で川の水かさが増し、それでも女を待ち続けた尾生は、ついにおぼれ死んだという故事から。
*『荘子-盗跖』
ビセイ
1698 百川海に【チョウ】す ◆4   👉ひゃくせんうみにちょうす。
利益のあるところには自然に人が集まってくるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「朝す」は、諸侯が天子に貢物を献上することから、集まる意。
★あらゆる川の水が、海に流れ込む意から。
*『書経-禹貢』
チョウ
1699 【ヒョウタン】相愛す ◆4 氷炭   👉ひょうたんあいあいす。
1.世の中にそのような例のないたとえ。氷と炭火とは性質がまったく反対であることから。
2.性質のまったくちがうものが、相手にない点を補ったり、助け合ったりするたとえ。〈漢字ペディア〉
★氷は炭火を消し炭火は氷を溶かすが、見方を変えれば、氷は炭が燃え尽きるのを防ぐことになり、炭は氷をもとの自由な水にかえすことになるというところからいう。
*『淮南子-説山訓』
ヒョウタン
1700 【フウジュ】の嘆 ◆4 風樹   👉ふうじゅのたん。
親孝行をしようとしても、すでに親は死んでしまって、それができない嘆き。〈漢字ペディア〉
★樹木が静かになりたくても風がなかなかおさまらないように、孝行のままならないことをいう。
*『韓詩外伝-九』
フウジュ
1701 【フジ】の言も千里に聞こゆ ◆4 附耳 付耳 👉ふじのげんせんりにきこゆ。
秘密はもれやすく、たちまち広がってしまうこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★耳に口をつけてする内緒話が、千里も離れた遠くまで伝わるという意から。
*『淮南子-説林訓』
フジ
1702 【フセイ】夢の若し ◆4 浮生   👉ふせいゆめのごとし。
人生ははかなく、夢のようだということ。〈漢字ペディア〉
★「浮生」は、はかない人生。
*『李白-春夜宴従弟桃李園序』
フセイ
1703 文章は経国の大業不朽の【セイジ】 ◆4 盛事   👉ぶんしょうはけいこくのたいぎょうふきゅうのせいじ。
文学が不滅で永遠に伝えられることをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★文学は国を治めるのと同じくらいの大事業で、永久に残る盛大な仕事である意。
*『曹丕-典論・論文』
セイジ
1704 箒を【ヨウ】し門に迎う ◆4   👉ほうきでようしもんにむかう。
尊敬の気持ちを以て人を迎えること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「擁す」は、手に持つ。
★門前を掃き清めて人を迎える意。
*『史記-高祖本紀』
ヨウ
1705 【ボウケイ】の交わり ◆4 忘形   👉ぼうけいのまじわり。
相手の地位や外見にとらわれない、きわめて親しい交わり。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「忘形」は、人の外見や地位・身分などにとらわれないこと。
*『新唐書-孟郊伝』
ボウケイ
1706 【ボウユウ】の物 ◆4 忘憂   👉ぼうゆうのもの。
酒の異称。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★飲むと憂いを忘れさせてくれることから。
*『陶潜-飲酒詩』
ボウユウ
1707 【ホウ】を後世に流す ◆4   👉ほうをこうせいにながす。
立派な仕事を成し遂げて後世に名を残すこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「芳」は、かんばしい名前。名声。
*『晉書-桓温伝』
ホウ
1708 槊を横たえて詩を【フ】す ◆4   👉ほこをよこたえてしをふす。
武人が文学にもたしなみの深いことを言う。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「槊」は、柄の長い矛。
★「賦す」は、詩を作る。
★戦場で戦いの合間に詩歌を作るという意から。
*『蘇軾-前赤壁賦』
1709 【ホンケ】還りの三つ子 ◆4 本卦   👉ほんけがえりのみつご。
年を取って、欲望や邪気がなくなり、まるで三歳児のように無邪気な心になるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「本卦還り」は、自分が生まれた年の干支(エト)がめぐってくること。数え年で61歳になること。還暦。
*『日本俚諺大全』
ホンケ
1710 【ホンシャ】の上に仲尼無く、覆舟の下に伯夷無し ◆4 奔車   👉ほんしゃのうえにちゅうじなく、ふくしゅうのしたにはくいなし。
聖人や賢者は、危うい国家の下に身は置かないということのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「仲尼」は、孔子の字(アザナ)。
★「伯夷」は、中国の殷(イン)末周初の賢者。
★「奔車」「覆舟」は、ともにあやうい国家のたとえ。
★狂奔する車には孔子(コウシ)もおとなしく乗っていられず、転覆した舟の下からは伯夷でものがれようとする意から。
*『韓非子-安危』
ホンシャ
1711 【ムケイ】の言は聴く勿れ ◆4 無稽 無𥡴 👉むけいのげんはきくなかれ。
根拠のないでたらめな話には耳を傾けてはならないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「無稽」は、根拠がないこと。
*『書経-大禹謨』
ムケイ
1712 【ヤクセキ】効無し ◆4 薬石   👉やくせきこうなし。
いろいろな治療を施しても効果がないこと。人の病死をいう。〈漢字ペディア〉
★「薬石」は、薬と石鍼(イシバリ)。それを用いて治療すること。転じて、種々の薬品や治療法。
*『黄庭堅-次韻定国聞蘇子由臥病績渓詩』
ヤクセキ
1713 【ユウジン】余地有り ◆4 遊刃 游刃 👉ゆうじんよちあり。
物事を余裕をもって巧妙に処理することができるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「遊刃・游刃」は、上手に包丁を使う意。
★中国戦国時代、丁(テイ)という料理名人が魏(ギ)の文恵君に、私は肉と骨の間を自由に包丁を走らせることができるので、刃こぼれすることなく余裕をもって牛を解体できると語ったという故事から。
*『荘子-養生主』
ユウジン
1714 【ヨトウ】の罪 ◆4 余桃   👉よとうのつみ。
君主の気まぐれな寵愛によって、ほめられたり思わぬ罪をきせられたりするたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、衛の弥子瑕(ビシカ)という少年が、主君の寵愛を受けていたときには食べかけのモモを献上してもほめられたのに、寵愛が薄れると、主君に食べかけのモモを食べさせたと言われて罰せられた故事から。
*『韓非子-説難』
ヨトウ
1715 【リソウ】の戒め ◆4 履霜   👉りそうのいましめ。
小さな前兆を見て、やがてくる大きな災難に備えて用心せよという戒め。〈漢字ペディア〉
★「履霜」は、霜をふむ意。
★霜をふむ時季になれば、やがて氷が張る季節になることから。
*『新唐書-高宗紀・賛』
リソウ
1716 【リュウビ】を逆立てる ◆4 柳眉   👉りゅうびをさかだてる。
美人がまゆをつりあげて、ひどく怒るさまのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「柳眉」は、柳の葉のように細くて美しい眉。
*『毒朱唇〈寺田露伴〉』
リュウビ
1717 【ママコ】の腹はいつもふくれぬ ◆4 継子   👉ままこのはらはいつもふくれぬ。
いつも差別されて、不自由な目にあわされることをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「継子」は、配偶者の子で、血のつながりのない子。
★継子は腹いっぱい食えることがない意。
*不明
ママコ
1718 物得書かねば【ユウヒツ】置く ◆4 祐筆 右筆 👉ものえかねばゆうひつおく。
文字が書けないなら書記を雇って代書させるから問題ない。無学者の負け惜しみのことば。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
ユウヒツ
1719 【ソウゴウ】を崩す ◆4 相好   👉そうごうをくずす。
顔をほころばせてにこやかに笑い、または心から喜ぶさま。喜びや笑いが自然に内からこぼれ、表情にあらわれる様子。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「相好」は、顔つき。表情。
*『初すがた〈小杉天外〉六』
ソウゴウ
1720 【カンキョウ】を煩わす ◆4 緩頰 緩頬 👉かんきょうをわずらわす。
自分の事を、それとなく他人に話してもらう。また、別の事に託して、自分の事を言ってもらう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「緩頰」は、顔色を和らげること。また、おだやかに話す、婉曲に話すこと。
*不明
カンキョウ
1721 寒者は【タンカツ】を利とす ◆4 短褐   👉かんしゃはたんかつをりとす。
困窮している者はぜいたくを言わない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「短褐」は、賤しい者が着る丈の短い粗服。
★寒がっている者は、そまつな着物でも喜んで着る意。
*『史記-秦始皇本紀・賛』
タンカツ
1722 【ラウ】仕替えも職の中 ◆4 羅宇   👉らうしかえもしょくのうち。
つまらない仕事でも生計を立てる道に変わりはない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「羅宇」は、火皿と吸い口をつなぐ竹の管。
★キセルの羅宇のすげかえのような仕事でも職業のうちである意。
*『諺語大辞典』
ラウ
1723 【キョウシャ】の巷 ◆4 狭斜   👉きょうしゃのちまた。
遊里、色町。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「狭斜」は、もと、中国長安の道幅の狭い街の名で、そこに遊里があった。
*『恋慕ながし〈小栗風葉〉三一』
キョウシャ
1724 【センカ】の客となる ◆4 泉下   👉せんかのきゃくとなる。
亡くなる。〈漢字ペディア〉
★「泉下」は、あの世。冥土。黄泉の下の意。
*『万葉-五・悲歎俗道仮合即離易去難留詩序』
センカ
1725 胸中の【リンコウ】 ◆4 鱗甲   👉きょうちゅうのりんこう。
性質にかどがあり、人と争う考えや行動をする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鱗甲」は、よろいかぶと。
★心中によろいかぶとを蔵する意。
*不明
リンコウ
1726 【ケイアン】者の空笑い ◆4 慶庵 慶安
桂庵
👉けいあんもののそらわらい。
人にへつらったり、追従(ツイショウ)したりする者のくせとして、おかしくもないことに空笑いすること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『日本俚諺大全』
ケイアン
1727 【ケイキ】の士 ◆4 傾危   👉けいきのし。
詭弁(キベン)を弄(ロウ)して国を危うくするような策謀の人。また、危険人物。〈漢字ペディア〉
★「傾危」は、かたむけ危うくする意。
*『史記-張儀伝・賛』
ケイキ
1728 【ケイサク】に接する ◆4 警策   👉けいさくにせっする。
仏教などで、師の教えをうけること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「警策」は、禅宗の僧堂内で用いる僧の眠気をさますための細長い板状のもの。また、誦経や問答の際などにも、師が用いる。
*『高山樗牛に与ふ〈与謝野鉄幹〉』
ケイサク
1729 【ケツゲキ】を鑽る ◆4 穴隙   👉けつげきをきる。
男女が密かに通じる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「穴隙」は、あな、すきま。
★中をのぞくために戸などに穴をあける意。
*『孟子-下』
ケツゲキ
1730 籩豆(へんとう)の事は、則ち【ユウシ】存す ◆4 有司   👉へんとうのことは、すなわちゆうしそんす。
上に立つ者は、祭壇に供える果物などを盛る器をどうするか、というような小事は、その担当の者に任せておけばよい。上の人には、別になすべき大事があるはずだ。曾子の言葉。〈中国古典名言事典〉
★「籩」は、竹でつくり、上皿が広く、乾いたものを盛るたかつき。
★「豆」は、木でつくり、水分のある物を盛るのに用いるたかつき。
★「有司」は、役人。官公吏。
*『論語-泰伯』
ユウシ
1731 卵に【ゲンノウ】 ◆4 玄翁 玄能 👉たまごにげんのう。
こわれやすい卵を玄翁で打ち砕くように、非常に容易なこと。また、手段が大げさなことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「玄翁・玄能」は、金槌(カナヅチ)の一種。建築や砕石に用いる。
*『俚言集覧』
ゲンノウ
1732 【コカイ】の士 ◆4 湖海   👉こかいのし。
民間にあって雄大ですぐれた気性を持っている人物。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「湖海」は、民間。
*『魏志-陳登伝』
コカイ
1733 【コキュウ】の戒め ◆4 狐丘   👉こきゅうのいましめ。
人は、地位や収入が高くなればそれだけ他人から恨みをかうので身を慎むようにという戒め。〈漢字ペディア〉
*『列子-説符』
コキュウ
1734 獅子吼ゆれば【ヤカン】脳裂く ◆4 野干   👉ししほゆればやかんのうさく。
獅子がひとたびほえると、野干は頭がずたずたに裂かれたように感じひどく恐れる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「野干」は、狐。また、弱い動物をさしていう。
★「射干」とも書くと漢字ペディアにあり、射干・野干ともに檜扇(ヒオウギ)という意味もあるが、ここでいうヤカンは狐の意なので「射干」の表記は誤答とする。
*『臨済録』
ヤカン
1735 【ジョウフ】を設けず ◆4 城府   👉じょうふをもうけず。
相手に対して心にへだてなくうちとける。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「城府」は、都府にめぐらした城壁。転じて、障害となるもの、へだて。
*『宋史-傅尭兪伝』
ジョウフ
1736 【ショウク】を尋ねる ◆4 章句   👉しょうくをたずねる。
字句にだけかかわって学問全体を把握しないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★字句の穿鑿(センサク)をする意。
*不明
ショウク
1737 信は【ショウゴン】より起こる ◆4 荘厳   👉しんはしょうごんよりおこる。
内容が形式から導き出されることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★信仰心も、はじめは、社寺仏閣が美しく立派であるところからはじまる意。
*『雲形本狂言・泣尼』
ショウゴン
1738 【シンソウ】の佳人 ◆4 深窓   👉しんそうのかじん。
身分の高い家の中で大切に育てられ、まったく世のけがれを知らない美しい女性。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
シンソウ
1739 香餌の下には【ケンギョ】あり ◆4 懸魚   👉こうじのもとにはけんぎょあり。
甘美な誘惑には必ず身を滅ぼす罠があるというたとえ。
★よいにおいの餌の下には、その誘惑に耐えかねてひっかかる魚がいるという意。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『世俗諺文』
ケンギョ
1740 【ジンキョ】の練り薬 ◆4 腎虚   👉じんきょのねりやく。
ひどく生意気な奴。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「腎虚」は、漢方医学で、男性の精力減退など心身の衰弱症状。
★腎虚の患者が薬をしきりになめるところから、相手をなめる、無礼であるの意をかけたしゃれ。
*『すい言葉廓流行』
ジンキョ
1741 【セイショウ】我意に任す ◆4 盛昌   👉せいしょうがいにまかす。
権勢が盛んで思いのままにふるまう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「盛昌」は、いきおいの盛んなこと。
*『虎明本狂言・二千石』
セイショウ
1742 聖人は物に【ギョウタイ】せず ◆4 凝滞   👉せいじんはものにぎょうたいせず。
聖人は時の流れに従って自然に身を処し、物にこだわらないから、いたずらにわが身を苦しめることがない。聖人に心無し。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「凝滞」は、とどこおること。
*『楚辞-漁父辞』
ギョウタイ
1743 仏に方便聖人に【ケンドウ】 ◆4 権道   👉ほとけにほうべんせいじんにけんどう。
正しい目的のためには、ある程度いろいろな手段を用いるのは仕方がない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「方便」は、仏教で衆生を真の教えに導くための便宜的な手段。
★「権道」は、目的を達成するために臨機応変の措置。
★仏は方便によって衆生を導き、聖人は権道によって民衆を教化する意。
*『洒落本・遊ふべの茶がら-後序』
ケンドウ
1744 素引きの【セイビョウ】 ◆4 精兵   👉すびきのせいびょう。
理論には詳しいが、実戦には役に立たないものをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「素引き」は、弓に矢をつがえないで弦だけを引くこと。
★素引きだけは、いかにも強弓の射手のように見える意。
*『太平記-二九・将軍上洛事』
セイビョウ
1745 【チユウ】して命を伝うるより速やかなり ◆4 置郵   👉ちゆうしてめいをつたうるよりすみやかなり。
君子の徳が、駅馬によって命令を伝達するよりも速やかに国中に伝わる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「置郵」は、宿駅。
*『孟子-公孫丑・上』
チユウ
1746 天柱折け【チイ】欠く ◆4 地維   👉てんちゅうくじけちいかく。
天変地異、天地の大変動をいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「天柱」は、天を支えているという想像上の柱。
★「地維」は、大地を支えているという想像上の綱。
★天を支える柱が折れ、地を支える綱が切れる意。
*『史記-三皇本紀』
チイ
1747 夏の氷は【センジ】なければ氷らず ◆4 宣旨   👉なつのこおりはせんじなければこおらず。
夏期に氷が手に入れにくかったことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「宣旨」は、朝廷の命令を下に伝える文書。
*『塵袋-二』
センジ
1748 【ソウシュウ】の夢 ◆4 荘周   👉そうしゅうのゆめ。
胡蝶の夢。万物一体の心境や境地。また、人生のはかないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★「荘周」は、荘子の本名。
*不明
ソウシュウ
1749 薬【クソウバイ】 ◆4 九層倍   👉くすりくそうばい。
薬は原価に比べて、売値が非常に高いことをいう。また、暴利をむさぼるたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浮世草子・風流茶人気質-四・一』
クソウバイ
1750 【セキスン】の兵 ◆4 尺寸   👉せきすんのへい。
わずかな長さの武器。ちょっとした刃物。寸兵。尺鉄。尺兵。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「尺寸」は、ほんのわずかの長さ。
*『戦国策-王喜』
セキスン
1751 井戸端の【ゴヘイソク】 ◆4 御幣束   👉いどばたのごへいそく。
うらぶれた姿、みじめな姿のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「幣束」は、神へのささげ物で、裂いた麻や切った紙などを細長い木に挟んだもの。または、榊(サカキ)に結びつけたもの。
★井戸端に立てた幣束が雨ざらしになっている様子からいう。
*『宮城県史・二〇』
ゴヘイソク
1752 【ヒテン】を打つ ◆4 批点   👉ひてんをうつ。
詩歌や文章などに目を通して評点を記す。文章中の要所・妙所の文字のわきに点を打つ。また、他の欠点をあげて攻撃する。非難する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『俚言集覧』
ヒテン
1753 【オウコウショウショウ】、寧んぞ種あらんや ◆4 王侯将相   👉おうこうしょうしょう、いずくんぞしゅあらんや。
人は誰でも自分の勉強努力次第だ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「王侯」は、王と諸侯。
★「将相」は、将軍と宰相。
★王侯将相に特別の種族があるわけではない意。
*『漢書-陳勝伝』
オウコウショウショウ
1754 【セキタク】の鯢 ◆4 尺沢   👉せきたくのげい。
見識の狭いたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「尺沢」は、小さい池。
★「鯢」は、サンショウウオ。一説に、メダカ。
★小さい池にすむサンショウウオの意。
*『宋玉-対楚王問』
セキタク
1755 【レイタク】の契り ◆4 麗沢   👉れいたくのちぎり。
友人同士が互いに助け合って、学問に励み徳を修める関係のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「麗」は、並ぶ、連なること。
★連なった二つの沼沢が互いに相潤す間柄の意。
*『易経-兌卦』
レイタク
1756 【タンセキ】に迫る ◆4 旦夕   👉たんせきにせまる。
今日の夕方か、明朝かというほどに時機や危急が迫る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「旦夕」は、朝と晩、朝夕。
*『浮世草子・諸士興廃記-八・一』
タンセキ
1757 【ホウショ】に炭団 ◆4 奉書   👉ほうしょにたどん。
正反対である、まったく違うことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「奉書」は、楮(コウゾ)を原料とする厚手で純白の高級紙。奉書紙。
★白い奉書紙と黒い炭団の意。
*『滑稽本・麻疹戯言-麻疹与海鹿之弁』
ホウショ
1758 【キュウカン】を暖める ◆4 旧歓   👉きゅうかんをあたためる。
久しく絶えていた人との間の昔の楽しみや友情を元のようにする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『満韓ところどころ〈夏目漱石〉一二』
キュウカン
1759 山は【リョウチ】を以て故に能く高し ◆4 陵遅   👉やまはりょうちをもってゆえによくたかし。
道徳や学問も少しずつたゆみなく習得していくことによって高遠な境地に達することができるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「陵遅」は、山がしだいに低くなること。
★山は急激にではなく、少しずつゆるやかに隆起してあのように高くなる意。
*『説苑-談叢』
リョウチ
1760 竹の【ドウラン】でくるには及ばぬ ◆4 胴乱   👉たけのどうらんでくるにはおよばぬ。
来るな。来る必要はない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★木で胴乱を作るには、刳(ク)り抜かねばならないが、竹ならその必要はない。刳る、に、来る、をかけたしゃれ。
★「胴乱」は、携帯用の物入れ。
*『諺語大辞典』
ドウラン
1761 【キュウリ】を切る ◆4 久離 旧離 👉きゅうりをきる。
親子、または親族などの関係を永久に切る。勘当する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「久離・旧離」は、江戸時代、連帯責任から逃れるため、親族に迷惑をかけるような素行の悪い子弟の縁を切ったこと。勘当。
*『天理本狂言・貰聟』
キュウリ
1762 【キュウヨ】の一策 ◆4 窮余   👉きゅうよのいっさく。
追いつめられて困り果て、苦しまぎれに思いついた手段や方法。窮策。苦肉の策。〈漢字ペディア〉
*『偸盗〈芥川龍之介〉七』
キュウヨ
1763 王は【チョウミン】を子とす ◆4 兆民   👉おうはちょうみんをことす。
王は人民をすべてわが子のようにいつくしむ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『十訓抄-一・列聖憐民給事』
チョウミン
1764 【コウギ】を張る ◆4 公儀   👉こうぎをはる。
世間に対して、みえを張る。世間体を気にする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浮世草子・好色敗毒散-四・一』
コウギ
1765 【レンリ】の枕 ◆4 連理   👉れんりのまくら。
男女が深い愛情を約束して共に寝ること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浄瑠璃・津国女夫池-四』
レンリ
1766 【トウサク】の業 ◆4 東作   👉とうさくのぎょう。
農作業。農業。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「東作」の「東」は、春の意で、春の耕作、農作をいう。
*『吾妻鏡-文治二年・六月一日』
トウサク
1767 名聞は【ショウネツ】の爪木 ◆4 焦熱   👉めいぶんはしょうねつのつまぎ。
世俗的な名誉を求めてあくせくするのは、まるで自分の落ちる焦熱地獄の火にくべる薪を拾い集めているようなものだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「爪木」は、折りとったたきぎ。
*『浄瑠璃・蝉丸-五』
ショウネツ
1768 【ジョウゴウ】が極まる ◆4 定業   👉じょうごうがきわまる。
運が尽きる。もはやこれまでである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「定業」は、仏教で善悪の報いが定まっている行為をいう。
*『虎明本狂言・靫猿』
ジョウゴウ
1769 【トウカン】に付す ◆4 等閑   👉とうかんにふす。
物事をいいかげんに放っておく。なおざりにする。無視する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「等閑」で、「なおざり」とも読む。
*『日蓮上人〈幸田露伴〉一三』
トウカン
1770 【シツテキ】張りて弓矢至る ◆4 質的   👉しつてきはりてきゅうしいたる。
ある目的をもって物事を始めると、それに必要な物が自然にそこに集まってくるようになるというたとえ。また、ある事が行なわれると、続いてそれに関連した物事が起こるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「質」は、弓のまと。
★「的」は、まとのまん中の黒い星。
★まとを張ると、はじめてそこに弓矢も集まる意。
*『荀子-勧学』
シツテキ
1771 転柿が【トギャク】したよう ◆4 吐逆   👉ころがきがとぎゃくしたよう。
白粉(オシロイ)を塗りたくり、口紅の濃い女の顔のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「転柿」は、干し柿の小さく丸いもの。
★白い粉をふいた転柿から赤い果肉がはみだしているようだという意。
*『譬喩尽-五』
トギャク
1772 【キュウト】の哭 ◆4 窮途   👉きゅうとのこく。
人生などに行きづまって悲しむこと。自分の志をのばせないで悲しむこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「窮途」は、行きづまりになった道。
★中国、晉の阮籍が、足にまかせて行ったところ、道のはてに至って、はげしく泣いて引き返したという故事による。
*『晉書-阮籍伝』
キュウト
1773 【ドウテイ】濬しと雖も之を負む者は北(やぶ)る ◆4 洞庭   👉どうていふかしといえどもこれをたのむものはやぶる。
人の和を考えず徳のない国家は、いかに地の利に恵まれていようと、いずれ滅亡するというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『左思-魏都賦』
ドウテイ
1774 夢に【カク】を得 ◆4 佳句   👉ゆめにかくをう。
夢の中ですぐれた詩句を思いつく。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『南史-謝霊運伝』
カク
1775 【リンザイ】の喝徳山の棒 ◆4 臨済   👉りんざいのかつとくざんのぼう。
臨済禅師がよく大喝を与え、徳山和尚がよく痛棒を加えたというところから、禅修行の厳しさをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
リンザイ
1776 聖読して【ヨウコウ】す ◆4 庸行   👉せいどくしてようこうす。
聖人の書を読んでいながら、その行ないが凡人の域を脱しない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「聖読」は、聖人の書物を読むこと。
★「庸行」は、平凡な行ない。
*『揚子法言-問明』
ヨウコウ
1777 乳狗人を搏ち【フクケイ】狸を搏つ ◆4 伏鶏   👉にゅうくひとをうちふくけいりをうつ。
弱い者でも子どものためなら奮い立つたとえ。〈漢字ペディア〉
★「搏」は、腕に力をこめて打つ意。
★子持ちのイヌは人間に打ってかかり、卵をあたためているニワトリはタヌキにも打ってかかる意から。
*『古列女伝-四・魏節乳母伝』
フクケイ
1778 聚斂の臣あらんよりは寧ろ【トウシン】あれ ◆4 盗臣   👉しゅうれんのしんあらんよりはむしろとうしんあれ。
重税を取り立てて、人民の反感・反抗を招く臣よりも、公の財産を盗んで私腹をこやす臣の方がましである。政治の根本は財貨よりも民心を得ることにあることをいう。〈大辞林〉
*『礼記-大学』
トウシン
1779 杯に【スイサン】無し ◆4 推参   👉さかずきにすいさんなし。
酒席で杯を勧めるときには身分を気にしての遠慮は無用である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「推参」は、訪問をへりくだっていう語ではなく、差し出がましいことや無礼なふるまいという意。
*『浄瑠璃・当流小栗判官-二』
スイサン
1780 罪無くして【ハイショ】の月を見る ◆4 配所   👉つみなくしてはいしょのつきをみる。
俗世をはなれて風雅な思いをする。わびしさの中にも風流な趣のあること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「配所」は、罪をおかして流された土地。流罪の地。
★罪を犯して遠くわびしい土地に流されるのではなくて、罪のない身でそうした閑寂な片田舎へ行き、そこの月をながめる意。
*『平家-三・大臣流罪』
ハイショ
1781 羊質にして【コヒ】を着す ◆4 虎皮   👉ようしつにしてこひをちゃくす。
外観はすぐれてりっぱだが、実質はそれに伴っていないことのたとえ。見かけだおし。羊質虎皮(ヨウシツコヒ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★実質は羊であるのに、虎の皮をかぶっていること。
*『仮名草子・浮世物語-四・五』
コヒ
1782 【ホンメイ】に疲れる ◆4 奔命   👉ほんめいにつかれる。
忙しく奔走して疲れ果てる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「奔命」は、君命に従って忙しく奔走すること。転じて、忙しく立ち回ること。
*『春秋左伝-成公七年』
ホンメイ
1783 【ミヒツ】の故意 ◆4 未必   👉みひつのこい。
実害の発生を意識的に意図・希望したわけではないが、自分の行為から実害が発生してもしかたがないと認識しながら行動を起こすこと。また、そのときの心理状態。〈漢字ペディア〉
*『註釈警務全書〈草刈融・植松金章〉刑法』
ミヒツ
1784 【カイゼン】は則ち万里なり ◆4 階前   👉かいぜんはすなわちばんりなり。
宮殿の階(キザハシ)の前は、わたしにとっては万里の遠いところと同様だ。どんなに遠いところの事情も階前のことのようによくわかるのだ。〈中国古典名言事典〉
*『十八史略-唐・宣宗』
カイゼン
1785 道は【ショウセイ】に隠れ、言は栄華に隠る ◆4 小成   👉みちはしょうせいにかくれ、げんはえいがにかくる。
道の真髄は生半可な成功によって見失われ、ことばの真意ははなやかに飾り立てた表現によって隠される。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「小成」は、ちょっとした成功。ここでは真の成功から見ればごまかしにすぎないものをいう。
★「栄華」は、草木の花。ここでは転じて、見せかけだけ美しいことばのたとえ。
*『荘子-斉物論』
ショウセイ
1786 【ブバ】の災い ◆4 舞馬   👉ぶばのわざわい。
火災のこと。〈漢字ペディア〉
★中国、晋(シン)の黄平(コウヘイ)が、ウマが舞い、数十人の人が手拍子を打っている夢を見たところ、家が火事で焼けたという故事から。
*『晋書-索紞伝』
ブバ
1787 金箔付きの上に【フクリン】掛ける ◆4 覆輪   👉きんぱくつきのうえにふくりんかける。
箔が付くを強めて言う言葉。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「覆輪掛ける」は、さらに程度がはなはだしいこと。
*『滑稽本・人心覗機関』
フクリン
1788 【シフン】の気 ◆4 脂粉   👉しふんのき。
女らしいなまめいた気風。また、柔弱な気風。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「脂粉」は、紅とおしろい。転じて、化粧。
*『捫蝨新語-八』
シフン
1789 【リョウコク】の変 ◆4 陵谷   👉りょうこくのへん。
世の中が激しく移り変わり、それまでとまったくちがう様相を呈すること。〈漢字ペディア〉
★高く大きな丘陵が浸食されて険しい谷になり、いつのまにか深い谷が埋め立てられて大きな丘陵に変わる意から。
*『蹈海集-五・志賀藩都擬忠度作』
リョウコク
1790 鬼が【ジュウノウ】を抱えたよう ◆4 十能   👉おにがじゅうのうをかかえたよう。
みにくい女が三味線を弾くさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「十能」は、炭火を運ぶスコップに似た道具。先は金属製で取っ手は木製。
*『古今俚諺類聚』
ジュウノウ
1791 【レイガクケイセイ】その極は一なり ◆4 礼楽刑政   👉れいがくけいせいそのきょくはいつなり。
礼も音楽も刑罰も政治も、民心を和合し太平の世を実現させるという究極の目的においては同一である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
●〈平成29年度・第3回出題,大問㈧,小問7〉
*『礼記-楽記』
レイガクケイセイ
1792 【ハンショウ】泥棒 ◆4 半鐘   👉はんしょうどろぼう。
背の高い者をからかっていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★火の見櫓(ヤグラ)につるした半鐘を盗む者の意。
*『滑稽本・江之島土産』
ハンショウ
1793 【ボクケイ】に似たり ◆4 木鶏   👉ぼくけいににたり。
強敵に対して、びくともしないこと。また、精神を統一して外からの刺激にまったく動じないこと。〈漢字ペディア〉
★「木鶏」は、木彫のニワトリ。また、闘鶏用の強いニワトリのたとえ。
*『荘子-達生』
ボクケイ
1794 【イボク】の信 ◆4 移木   👉いぼくのしん。
約束を確実に実行することのたとえ。〈漢字ペディア〉
★中国、秦(シン)の商鞅(ショウオウ)が新法を人民が信用しないことを懸念し、都の南門の木を北門に移した者に賞金を与えると布告。実行した者に約束通り賞金を与えたので、人々の信頼を得、秦国内に統一的な法令を施行できたという故事から。
*『史記-商君伝』
イボク
1795 熱しても【アクボク】の陰に憩わず ◆4 悪木   👉ねっしてもあくぼくのかげにいこわず。
どんなに困窮しても不正な行ないをしない。渇しても盗泉の水を飲まず。悪木盗泉。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★いくら暑くても悪い木の下では休まない意。
*『陸機-猛虎行』
アクボク
1796 【ユイマ】の一黙 ◆4 維摩   👉ゆいまのいちもく。
文殊菩薩をはじめとする菩薩たちが、維摩の石室で、それぞれ、相対を超えた絶対の境地について問答し、各自がその理解したところを述べたとき、文殊は言語思慮では言い表わすことも、思い量ることもできないと言うと、維摩はただ黙ってそのことを身をもって示したという「維摩経」にみえる故事。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「維摩」は、維摩経にある架空の人物。大富豪で在家のまま菩薩の道を行じたとされる。
*『維摩経-中』
ユイマ
1797 【ジョウマン】の幢(はたほこ) ◆4 上慢   👉じょうまんのはたほこ。
増上慢の心のはげしいこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「上慢」は、増上慢(ゾウジョウマン)の略。仏教で、悟りを得ていないのに悟ったとして思いあがること。
★高くかかげた幢(ハタホコ)にたとえていう。
*『太平記-二・三人僧徒関東下向事』
ジョウマン
1798 県官【マンマン】冤(うら)み死する者半ばなり ◆4 漫漫   👉けんかんまんまんうらみしするものなかばなり。
役人の仕事の遅さを嘆いていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「県官」は、県の役人。
★「漫漫」は、行動のゆるやかなさま。
★「冤む」は、無実の罪をかぶること。
★役人の事務処理が遅いために、無実の人も、それを晴らすことができないで死んでいってしまう。
*『太平御覧-職官部・持書御史』
マンマン
1799 味わいを【ジ】せず ◆4   👉あじわいをじせず。
日々の食事のおかずを一品ですます。質素な食事のこと。〈漢字ペディア〉
*『春秋左伝-哀公元年』
1800 野に【イケン】なし ◆4 遺賢   👉やにいけんなし。
正しい政治によって国家が安定しているたとえ。〈漢字ペディア〉
★「野」は、民間の意。
★「遺賢」は、世に認められないでいる賢人のこと。
★すぐれた人物はすべて朝廷に登用されていて、民間に残っている者はいない意。
*『書経-大禹謨』
イケン
1801 士に争う友あれば身【レイメイ】を離れず ◆4 令名   👉しにあらそうともあればみれいめいをはなれず。
仕官する男子に不善を諫(イサ)めてくれる友がいると、その身は世間での好評を得る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『孝経-諫諍』
レイメイ
1802 【チュウウ】に迷う ◆4 中有   👉ちゅううにまよう。
死後四九日の間、未来の生を受けないで、現世と冥土との間の暗い世界をさまよう。転じて、色欲の世界などに迷う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『金刀比羅本保元-中・新院左大臣殿落ち給ふ事』
チュウウ
1803 【メイメイ】の裡 ◆4 冥冥 瞑瞑 👉めいめいのうち。
知らず知らずのうち。はっきりと自覚しない状態。暗暗裏。冥冥裡(メイメイリ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『童子問-下・五〇』
メイメイ
1804 【ロクメイ】の宴 ◆4 鹿鳴   👉ろくめいのえん。
中国唐代、州県の官吏登用試験に合格して都に上る人のために、その郡県の長吏が開いた壮行の酒宴。この時、「詩経-小雅・鹿鳴」の詩を歌うところからいう。転じて、賓客をもてなす酒宴をいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『詩経-小雅・鹿鳴』
ロクメイ
1805 【メッチョウ】の災い ◆4 滅頂   👉めっちょうのわざわい。
おぼれて死ぬこと。また、破滅すること。〈漢字ペディア〉
★「滅頂」は頭が水中に沈む意。
*『易経』
メッチョウ
1806 【ジャクメツ】の煙と立ち上る ◆4 寂滅   👉じゃくめつのけむりとたちのぼる。
焼失する。焼けてしまう。灰燼(カイジン)に帰する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『太平記-八・谷堂炎上事』
ジャクメツ
1807 【ハクメン】の書生 ◆4 白面   👉はくめんのしょせい。
年が若く経験に乏しい学者。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『宋書-沈慶之伝』
ハクメン
1808 【キュウギュウ】の一毛 ◆4 九牛   👉きゅうぎゅうのいちもう。
多くの中のきわめてわずかな部分。また、取るに足りないささいなこと。滄海(ソウカイ)の一粟(イチゾク)。〈漢字ペディア〉
★「九」は、数の多いことをいう。
★多くの牛の中の一本の毛の意から。
*『漢書-司馬遷伝』
キュウギュウ
1809 【ソウショウ】の夜の雨 ◆4 宗匠   👉そうしょうのよるのあめ。
貧乏もまた風流であること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★江戸の俳人馬場存義が茅場(カヤバ)町に住んでいた頃、きわめて貧しく家があばら屋であったので、雨降るごとに家の中でからかさをさして俳諧をしたところからいう。中国の瀟湘(ショウショウ)八景の一つ「瀟湘の夜の雨」にかけてしゃれていったもの。
*『俳諧・続俳家奇人談-下・馬場存義』
ソウショウ
1810 牛を【トウリン】の野に放つ ◆4 桃林   👉うしをとうりんのやにはなつ。
戦争が終わり平和になるたとえ。〈漢字ペディア〉
★「桃林」は、河南省にある地名。
★中国古代、周の武王が殷(イン)の紂(チュウ)王を討伐したのち、軍用のウマを華山の南方に帰し、ウシを桃林の野に放って再び戦争をしないことを示した故事から。
*『書経-武成』
トウリン
1811 【ヤクセキ】の言 ◆4 薬石   👉やくせきのげん。
人のためになる戒めの言葉。忠言や諫言(カンゲン)など。〈漢字ペディア〉
★「薬石」は、薬と石鍼(イシバリ)。それを用いて治療すること。転じて、種々の薬品や治療法。
*『新唐書-高季輔伝』
ヤクセキ
1812 之を【トウグウ】に失い桑楡に収む ◆4 東隅   👉これをとうぐうにうしないそうゆにおさむ。
初めに失敗したことを、後に回復する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「東隅」は、日の出る所。
★「桑楡」は、日の沈む所。
*『後漢書-馮異伝』
トウグウ
1813 一籌を【ソン】ずる ◆4   👉いっちゅうをそんずる。
わずかな差で負けることのたとえ。また、一歩遅れること。やや劣ることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「籌」は、勝負事などで数を計算するときに用いた細長い竹の棒。
★「遜ずる」は、負ける意。
*『随筆・山中人饒舌-上』
ソン
1814 【サイカン】の松柏 ◆4 歳寒   👉さいかんのしょうはく。
逆境にあっても、信念や節操を固く守って変えないことのたとえ。また、そのような人のたとえ。〈漢字ペディア〉
★マツやカシワ(コノテガシワ)は寒い冬の季節になっても落葉せず、常に緑の葉をつけていることから。
*『論語-子罕』
サイカン
1815 【ウダイ】の身 ◆4 有待   👉うだいのみ。
生滅無常の世に生きるはかない身。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「有待」は、仏教のことばで他に依存すること。
★人間の体が、衣食などに依存して保たれるところからいう。
*『摩訶止観-上』
ウダイ
1816 【ウロ】の身 ◆4 有漏   👉うろのみ。
煩悩から離れられない身。凡夫の身。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「有漏」は、煩悩があって悟ることのできないこと。また、そのような俗人。
*『太平記-一八・高野与根来不和事』
ウロ
1817 【リョクイン】幽草、花時に勝る ◆4 緑陰 緑蔭 👉りょくいんゆうそう、かじにまさる。
夏の涼しい緑の木陰と人気のないところにはえる草は、春の花の景色よりまさっている。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『王安石-初夏即事詩』
リョクイン
1818 吞舟の魚も【リクショ】すれば則ち螻蟻に制せらる ◆4 陸処   👉どんしゅうのうおもりくしょすればすなわちろうぎにせいせらる。
大人物も、才能にふさわしい地位や役職を与えられなければ、その能力を存分に発揮できず、つまらぬ者に苦しめられることになるというたとえ。〈漢字ペディア〉
★「螻蟻」は、ケラとアリのことで、小人物のたとえ。
★舟をのみこむほどの大魚でも、水から離れると、虫けらにもかなわないという意から。
*『荘子-庚桑楚』
リクショ
1819 吞舟の魚は【シリュウ】に游がず ◆4 枝流   👉どんしゅうのうおはしりゅうにおよがず。
大人物は小者とは交わらない。高邁(コウマイ)な志をもつ者は小事にこだわらないことのたとえ。〈漢字ペディア〉
★舟をのみこんでしまうような大魚は、小さな川にはすまない意から。
*『列子-楊朱』
シリュウ
1820 【ジヨ】に混せず ◆4 自余 爾余 👉じよにこんせず。
他のものと紛れない。並み並みでない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「自余・爾余」は、それ以外。このほか。
*『饅頭屋本節用集』
ジヨ
1821 【コウヨウ】の酒徒 ◆4 高陽   👉こうようのしゅと。
大酒飲みのこと。また、世俗を捨てた酒飲みだと自らをあざけっていう語。〈漢字ペディア〉
★「高陽」は、中国河南(カナン)省にあった地名。
*『史記-酈生陸賈伝』
コウヨウ
1822 【ケンガ】相制す ◆4 犬牙   👉けんがあいせいす。
二国の国境が入り組んでいて、互いに牽制(ケンセイ)しあっていることのたとえ。犬牙相錯(サク)す。〈漢字ペディア〉
★「犬牙」は、イヌの歯のことで、入れちがいにかみあっていることから入り組んでいる状態のたとえ。
*『史記-文帝本紀』
ケンガ
1823 盗みは貧から、【ミップ】は栄耀から ◆4 密夫   👉ぬすみはひんから、みっぷはえようから。
盗みをするのは貧しさからであり、男女の密通はぜいたくに慣れた勝手気ままな心から起こることである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浮世草子・庭訓染匂車-三・三』
ミップ
1824 【セイネン】重ねて来らず ◆4 盛年   👉せいねんかさねてきたらず。
若いさかりの年ごろは、いつの間にか過ぎて二度と戻ってこない。その時期を大切にせよという戒め。〈漢字ペディア〉
*『陶潜-雑詩』
セイネン
1825 【ライシャ】は追うべし ◆4 来者   👉らいしゃはおうべし。
過去のことは今さらどうしようもないが、将来のことはその気になればどうにでもしようがある。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「来者」は、未来、将来。
★未来のことは追うことができる意。
*『論語-微子』
ライシャ
1826 蓬萊【ジャクスイ】の隔たり ◆4 弱水   👉ほうらいじゃくすいのへだたり。
はるかに遠くへだたっていることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「蓬萊」は、中国の神仙思想ではるか東海にあるという仙山。
★「弱水」は、北の果てにあるとされる川。
*『太平広記-二一』
ジャクスイ
1827 【コンリン】奈落の底 ◆4 金輪   👉こんりんならくのそこ。
物事のゆきつくところ。究極のところ。また、底の底まで。どこまでも。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「奈落」は、地獄。
*『浄瑠璃・新うすゆき物語-中』
コンリン
1828 【キュウチョウ】の天 ◆4 九重   👉きゅうちょうのてん。
1.天のもっとも高い所。九天。
2.宮中。宮廷。〈日本国語大辞典〉
*『金色夜叉〈尾崎紅葉〉前』
キュウチョウ
1829 【リュウセイコウテイ】長蛇を逸す ◆4 流星光底   👉りゅうせいこうていちょうだをいっす。
かねてつけねらっていた相手を討ちとる絶好の機会を、瞬時のうちに失うこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「流星光底」は、勢いよく振り下ろされた刀剣の閃光(センコウ)を、流れ星にたとえていう語。「底」は下の意。
★刀を打ちおろしたのに長蛇を切り損じて逃がしてしまう意。
*『山陽詩鈔-一・題不識菴撃機山図』
リュウセイコウテイ
1830 【リュウメ】の躓き ◆4 竜馬   👉りゅうめのつまずき。
どんなにすぐれた人物であっても、失敗はあることのたとえ。弘法にも筆の誤り。猿も木から落ちる。〈漢字ペディア〉
★「竜馬」は、きわめてすぐれた駿足の馬。
*『俳諧・毛吹草-二』
リュウメ
1831 【ズイキ】の涙 ◆4 随喜   👉ずいきのなみだ。
喜びのあまりにこぼす涙。心からありがたく思って流す涙。ありがた涙。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「随喜」は、仏教で、他人のなす善を見て、これにしたがい、喜びの心を生じること。転じて、大喜びする。
*『明衡往来-上末』
ズイキ
1832 礼儀は【フソク】に生ず ◆4 富足   👉れいぎはふそくにしょうず。
人は富んでいれば、自然と礼儀を重んじるようになるということ。〈漢字ペディア〉
★「富足」は、富んで満ち足りること。
*『潜夫論-愛日』
フソク
1833 夏の【オンジャク】と傾城の心とは冷たい ◆4 温石   👉なつのおんじゃくとけいせいのこころとはつめたい。
遊女の好意は計算ずくでまことがない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「温石」は、懐に入れてからだをあたためる石。冬に加熱して用いた。
*『譬喩尽-三』
オンジャク
1834 三界の【カタク】、四衢の露地 ◆4 火宅   👉さんがいのかたく、しくのろじ。
苦しみの絶えない人間界と、それを離れたやすらかで静寂な世界。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「火宅」は、現世。娑婆(シャバ)。悩み・苦しみに満ちたこの世を、火事で燃える家にたとえた語。
★「四衢」は、四つ辻。
★「露地」は、俗界を離れた静かな境地。
*『法華経-譬喩品』
カタク
1835 【バキャク】を露す ◆4 馬脚   👉ばきゃくをあらわす。
隠していた事柄や正体が露見することのたとえ。尻尾を出す。化けの皮がはがれる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★芝居でウマのあしの役をしていた人が、はずみで姿をあらわしてしまう意から。
*『元曲-陳州糶米・第三折』
バキャク
1836 白鷺は【ジンド】の穢れを禁ぜず ◆4 塵土   👉はくろはじんどのけがれをきんぜず。
清廉潔白な人物は、どんなに悪い地位や境遇にいても、自分の生き方や信念をまげないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★シラサギはあくまで白く、汚れた土の上にたってもみずから汚れることがないから、汚れなどは問題にしない意。
*『浄瑠璃・用明天皇職人鑑-四』
ジンド
1837 一抔の土未だ乾かず、【リクセキ】の孤安にか在る ◆4 六尺   👉いっぽうのつちいまだかわかず、りくせきのこいずくにかある。
先帝太宗がなくなり、その埋葬の土がまだ乾きもしないのに、早くも武后は後継ぎとなるべき年端もゆかぬ諸王子をみんな殺してしまった。則天武后を弾劾した李敬業(リケイギョウ)に檄文中の言葉。〈中国古典名言事典〉
「六尺の孤」は、君主の父を失った幼君。
「六尺」は、年齢で一五歳のこと。一尺は二歳半という。また一説に、身長で四尺八寸のこと。周代の一尺は今の八寸。
「一抔の土」は、一握りの土。転じて帝王の墓。
*『十八史略-唐・太宗』
リクセキ
1838 六親和せずして【コウジ】有り ◆4 孝慈   👉りくしんわせずしてこうじあり。
一家が不和になったので、孝行とか慈愛とかが取りざたされるようになる。〈漢字ペディア〉
★「六親」は、父母・兄弟・妻子など最も近い身内。
★一家が親しくむつみ合っていれば、親への孝行だとか子への慈愛などと言われることはない。それをことさらに言いつのるのは、一家が不和であるからにほかならない。孝行や慈愛を美徳とする儒家の思想を批判した『老子』の言葉。
*『老子-一八』
コウジ
1839 【レンジョウ】の璧 ◆4 連城   👉れんじょうのへき。
いくつもの城に相当する価値のある貴重な玉。転じて、貴重な美しいもののたとえ。〈漢字ペディア〉
★「連城」は、つらなった多くの城の意。
★中国、戦国時代、秦(シン)の昭王が、趙(チョウ)の恵文王が名玉を持っていることを聞いて、一五の城との交換を要求した故事から。
*『史記』
レンジョウ
1840 【オウソウ】の功 ◆4 横草   👉おうそうのこう。
きわめて簡単なことのたとえ。また、わずかな功績のたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「横草」は、草の上を踏んで踏み倒すこと。
★草を踏み倒す功労の意。
*『漢書-終軍伝』
オウソウ
1841 【カイルイ】の士 ◆4 魁塁   👉かいるいのし。
さかんでたくましい人のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「魁塁」は、すぐれてたくましいさま。
*『漢書-飽宣伝』
カイルイ
1842 【カテイ】の訓え ◆4 過庭   👉かていのおしえ。
父の教えのこと。また、家庭での教育のこと。庭訓(テイキン)。〈漢検四字熟語辞典〉
★孔子がその子である鯉(リ)が庭を通ったときに呼び止めて詩や礼を学ぶように教えた故事から。
*『論語-季氏』
カテイ
1843 【キンコク】の酒数 ◆4 金谷   👉きんこくのしゅすう。
詩が作れない者に対して、罰として飲ませる酒のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「金谷」は、中国西晋の人、石崇(セキスウ)の別荘の名。
★「酒数」は、酒を飲む杯の数、酒の量のこと。
★中国西晋の石崇が、洛陽の西北にある別荘金谷園で酒宴を催し、詩を作れなかった客に罰として酒三斗を飲ませたという故事から。
*『李白-春夜宴従弟桃李園序』
キンコク
1844 慈母に【ハイシ】有り ◆4 敗子   👉じぼにはいしあり。
教育には時には厳しさが必要なたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「慈母」は、慈愛溢れる母。
★「敗子」は、道楽息子、家をやぶる子の意。
★母親が慈愛に満ち溢れすぎていると、その子はかえって親不孝な道楽者ができる。甘いだけの母親にはワガママな甘えた子ができる意。
*『韓非子-顕学』
ハイシ
1845 駿足【チョウハン】を思う ◆4 長阪 長坂 👉しゅんそくちょうはんをおもう。
すぐれた人物が、困難を恐れずに自分の才能を試してみたいと思うこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「駿足」は、足の速いすぐれた馬のこと。
★「長阪・長坂」は、長い坂道の意。
★駿馬はけわしい長い坂を走りたいと思うということから。
*『陸厥』
チョウハン
1846 【ショウカ】、心を一にす ◆4 上下   👉しょうか、こころをいつにす。
身分の上下にかかわらず一致団結すること。また、心を一つにして事に当たること。〈漢検四字熟語辞典〉
★身分の上の者も下の者も心を一つにする意。
*『淮南子-詮言訓』
ショウカ
1847 人間到る処【セイザン】有り ◆4 青山   👉じんかんいたるところせいざんあり。
世の中は広いので、志を貫くには故郷を離れてどこに死に場所を求めようとも構わないということ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「人間」は、世の中。
★「青山」は、墓のある山。また、骨を埋める所、死に場所。
*『釈月性-将東遊題壁』
セイザン
1848 【ベイセン】の精 ◆4 米泉   👉べいせんのせい。
酒をいう。〈漢検四字熟語辞典〉
★酒は主に米から醸造することから言う。
*『白居易-酒功賛』
ベイセン
1849 【バクキョク】の英 ◆4 麦曲   👉ばくきょくのえい。
酒をいう。〈新大字典〉
★麦(麥)と曲とを組み合わせると、酒の原料である麯(コウジ:=麴)になることからか。br>*『白居易-酒功賛并序』
バクキョク
1850 【タンラン】の患い ◆4 探卵   👉たんらんのうれい。
自分の拠点をおそわれることへのおそれ。〈漢検四字熟語辞典〉
★親鳥の留守の間に、巣から卵をとられる心配の意。
*『北史-斉・孝昭帝紀』
タンラン
1851 【チボ】の嘆 ◆4 遅暮 遅莫 👉ちぼのたん。
次第に年を取っていくわが身を嘆くこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「遅暮・遅莫」は、だんだんと年を取ること。
*『楚辞-離騒』
チボ
1852 【チュウワ】の気 ◆4 沖和   👉ちゅうわのき。
天地間の調和した気のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「沖和」は、穏やかにやわらぐ意。
*『列子-天瑞』
チュウワ
1853 【チョウラン】の危うき ◆4 重卵   👉ちょうらんのあやうき。
きわめて危険なことたとえ。〈漢検四字熟語辞典〉
★卵を積み重ねるといつ崩れるか分からないから言う。
*『説苑-正諫』
チョウラン
1854 【テイコウ】蓋を傾く ◆4 程孔   👉ていこうがいをかたむく。
親しく話をすること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「程孔」は、程子と孔子のこと。
★「蓋を傾く」は、車のかさを傾ける意から、車を止めること。
*『孔子家語-致思』
テイコウ
1855 【テンプ】の国 ◆4 天府   👉てんぷのくに。
自然の要害の地で地味が肥え、産物に富む土地。〈漢検四字熟語辞典〉
★「天府」は、天然の倉庫の意。
*『史記-留侯世家』
テンプ
1856 【トウケン】の急 ◆4 倒懸   👉とうけんのきゅう。
状態が非常に逼迫(ヒッパク)していること。危急の状態の形容。〈漢検四字熟語辞典〉
★「倒懸」は、手足を縛って逆さにつりさげることで、苦しみの甚だしいことのたとえ。
*『孟子-公孫丑・上』
トウケン
1857 【トウコ】の禍い ◆4 党錮   👉とうこのわざわい。
政党や党派を作ることから起こるわざわい。略して党禍ともいう。〈漢検四字熟語辞典〉
★「党錮」は、党人を禁固する意。
★後漢の末、宦官が政権をほしいままにするのを見て、気骨のある士が攻撃したが失敗し、終身禁固の刑を受けた事件。
*『後漢書-霊帝紀』
トウコ
1858 【ハクオク】の士 ◆4 白屋   👉はくおくのし。
仕官せず貧困な読書人をいう。〈漢検四字熟語辞典〉
★「白屋」は、白い茅(カヤ)で葺(フ)いた屋根の家。転じて庶民や貧乏人の家のこと。
*『説苑-尊賢』
ハクオク
1859 【ハクビ】最も良し ◆4 白眉   👉はくびもっともよし。
多くの中で一番すぐれているもののこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「白眉」は、白い眉のこと。
★中国三国時代、蜀の馬氏の五人兄弟は皆優秀な人物であったが、なかでも馬良(バリョウ)はひときわすぐれていた。その馬良の眉に幼い時から白い毛が生えていたので、人々から「馬氏五常、白眉最良」といわれたという故事から。
*『三国志-蜀書・馬良伝』
ハクビ
1860 【バシ】徒(いたず)らに増す ◆4 馬歯   👉ばしいたずらにます。
むだに年をとること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「馬歯」は、馬齢と同じで、自分の年齢の謙遜語。
*不明
バシ
1861 【バッセイ】の斧 ◆4 伐性   👉ばっせいのおの。
心身に害を及ぼす事物のたとえ。女色に溺れたり、偶然の幸運をあてにすること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「伐性」は、人間の本性を損なうこと。
★女色や僥倖は人の本性を損なう斧であるという意。
*『呂氏春秋-本生』
バッセイ
1862 【バッピョウ】の家 ◆4 伐氷   👉ばっぴょうのいえ。
位の高い高貴な家柄のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★昔、中国では、卿大夫以上の身分の者だけが、喪祭のとき氷を用いる資格があったことによる。
*『大学』
バッピョウ
1863 【フクヒ】の法 ◆4 腹誹 腹非 👉ふくひのほう。
口に出さなくても、心の中で非難すれば罰するという法律のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「腹誹・腹非」は、口では言わず心の中でそしること。
*『史記-平準書』
フクヒ
1864 【フケイ】の舟 ◆4 不繫 不繋 👉ふけいのふね。
心にわだかまりがなくさっぱりしていて無心なこと。また、定めなく流れただよっていること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「不繫」は、つなぎとめていない意。
*『荘子-列禦寇』
フケイ
1865 【フジュ】の愬え ◆4 膚受   👉ふじゅのうったえ。
身にさしせまった痛切な訴えのこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「膚受」は、肌身にしみるような痛切なこと。
★「愬え」は、困難や不平を申し立てる意。
*『論語-顔淵』
フジュ
1866 分憂の【キ】 ◆4   👉ぶんゆうのき。
国司(諸国に置かれた地方官)のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「分憂」は、憂えを分かつ。ともに憂えること。
★「寄」は、つとめ・任務の意。
★民衆の憂えを分かつ任務の意から。
*『本朝文粋-六』
1867 【ブンユウ】の寄 ◆4 分憂   👉ぶんゆうのき。
国司(諸国に置かれた地方官)のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「分憂」は、憂えを分かつ。ともに憂えること。
★「寄」は、つとめ・任務の意。
★民衆の憂えを分かつ任務の意から。
*『本朝文粋-六』
ブンユウ
1868 風霜を【ホウケイ】す ◆4 飽経   👉ふうそうをほうけいす。
世の中の辛酸をなめ尽くし、世渡りもうまいが、したたかで悪賢いこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「飽経」は、飽きるほど経験すること。
★「風霜」は、困難や苦難のたとえ。
*不明
ホウケイ
1869 成規を【ボクシュ】す ◆4 墨守   👉せいきをぼくしゅす。
古くからあるやり方を固く守って、変え改めようとしないこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「墨守」は、墨子が城を堅く守ったことから、固く守って変えないこと。
★「成規」は、先人の作った法規、既成の規範の意。
★従来の方法や規則にこだわる保守的な態度をいう。
*不明
ボクシュ
1870 【モウゾウ】の縄 ◆4 妄想   👉もうぞうのなわ。
仏教で、限りなく身を苦しめる迷い。〈漢検四字熟語辞典〉
★「妄想」は、みだらな考え・迷いの心。
*『法蔵宝論』
モウゾウ
1871 六言の【リクヘイ】 ◆4 六蔽   👉りくげんのりくへい。
人には六つの徳があるが、学問や教養を積まなければ六つの弊害を生むということ。〈漢検四字熟語辞典〉
★「蔽」は、おおい隠す意。
★「六言」は、仁(愛情)・知(知恵)・信(信義)・直(正直)・勇(勇気)・剛(剛強)の六つの徳。
★「六蔽」は、愚(馬鹿)・蕩(だらしない)・賊(人をそこなう)・絞(きびしい)・乱(無秩序)・狂(狂気)の六つの弊害。
*『論語-陽貨』
リクヘイ
1872 【リクゴウ】、風を同じうす ◆4 六合   👉りくごう、かぜをおなじうす。
天下が統一され、風俗や教化を同じくすること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「六合」は、天地と四方で天下を意味する。
★「風」は、風俗の意。
*『漢書-王吉伝』
リクゴウ
1873 【エンザン】の眉 ◆4 遠山   👉えんざんのまゆ。
美人の眉のたとえ。〈漢字ペディア〉
★「遠山」は、遠くの山。遠くに見える山。
*不明
エンザン
1874 【コウハク】を散じる ◆4 黄白   👉こうはくをさんじる。
大金を使う。〈漢字ペディア〉
★「黄白」は、金銭。
*不明
コウハク
1875 【コウゼツ】の官 ◆4 喉舌   👉こうぜつのかん。
中国で宰相、日本で大納言。〈漢字ペディア〉
★「喉舌」は、のどとした。転じて、大切なところのたとえ。また、君主の言葉などを伝える重臣。
*不明
コウゼツ
1876 【ザイテン】の霊 ◆4 在天   👉ざいてんのれい。
死者の魂。〈漢字ペディア〉
★「在天」は、神や霊魂などが天上にあること。
*不明
ザイテン
1877 三軍も【スイ】を奪うべし ◆4   👉さんぐんもすいをうばうべし。
大軍といえども、総大将を奪い取ることはできる。〈漢字ペディア〉
★「三軍」は全軍・大軍の意。
*『論語-子罕』
スイ
1878 【オイテ】に帆を上げる ◆4 追風   👉おいてにほをあげる。
機会に恵まれて、自分の力を存分に発揮すること。また、物事が快調に進行することのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★順風が吹いてきたところで、舟に帆をかけて快走する意。
*『俚言集覧』
オイテ
1879 【ウチト】の典 ◆4 内外   👉うちとのふみ。
仏教の書と儒教の書。〈漢字ペディア〉
★「内外」は、仏教と儒教。
*『未木-三二』
ウチト
1880 腰間の【シュウスイ】 ◆4 秋水   👉ようかんのしゅうすい。
腰にさした利刀。〈日本国語大辞典〉
★「秋水」は、曇りなく研ぎ澄ました刀の意。
*『山陽詩鈔-四・前兵児謡』
シュウスイ
1881 【ジュンシ】の八竜 ◆5 荀氏   👉じゅんしのはちりょう。
すぐれた兄弟の多いことのたとえ。〈新大字典〉
★「荀」は荀子、戦国時代の儒学者。趙の人。
★後漢の荀淑の八人の子の意。兄弟そろって徳業があったので世間では八竜とたたえたことから。
*不明
ジュンシ
1882 悪言は口より出ださず、【コウゴ】は耳に留めず ◆5 苟語   👉あくげんはくちよりいださず、こうごはみみにとどめず。
人を傷つけるようなことは決して言わず、一時しのぎの不真面目な言葉は耳に留めない。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「苟語」は、一時しのぎのいいかげんなことば。
*『ケ析子-転辞』
コウゴ
1883 【アコウ】の佐 ◆5 阿衡   👉あこうのさ。
すぐれた部下による助け。賢者が政治を補佐すること。また、その人。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「阿衡」は、中国、殷(イン)代の宰相の官名で国民が公平を頼む意からきている。
*『史記-魏世家』
アコウ
1884 【ハット】の才 ◆5 八斗   👉はっとのさい。
詩文の才に富むこと。〈中国古典名言事典〉
★曹子建(ソウシケン)の故事で、天下中の詩人が合して一石を有するものとすれば、そのうち曹子建は一人で八斗を占有していると謝霊運が歎美したことば。
*『南史-謝霊運伝』
ハット
1885 家に【カンシ】なければ其の家必ず滅ぶ ◆5 諫子 諌子 👉いえにかんしなければそのいえかならずほろぶ。
親の不義をいさめる子がいなければ、その家は必ず滅びる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諫草』
カンシ
1886 医者の【ジミャク】効き目なし ◆5 自脈   👉いしゃのじみゃくききめなし。
自分を客観的に見ることの難しさをいうたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★医者は自分の病気となるとうまく治療ができない意から。
*『諺語大辞典』
ジミャク
1887 【イソウ】の悔い ◆5 葦巣   👉いそうのくい。
1.落ち着く場所のない不安や、頼る所のない心細さのたとえ。頼るものがしっかりしていないと、自分の身を守ることさえ難しいたとえ。
2.人生の浮き沈みのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★水辺の草の中にすむ鳥が、巣が常に揺れて不安であることから。
*『荀子-勧学』
イソウ
1888 一淵には【リョウコウ】ならず ◆5 両鮫 両蛟 👉いちえんにはりょうこうならず。
一つの集団には二人の強力な指導者は共存できないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★同じ淵に二匹の竜はすめないことから。
★「鮫」は、想像上の動物で竜の一種。
★出典は淮南子の說山訓で、原文には「一淵不兩鮫」とある。「両鮫」の意味を見るに「両蛟」でも可か。
*『淮南子-説山訓』
リョウコウ
1889 其の【ギ】を正し其の利を謀らず ◆5   👉そのぎをただしそのりをはからず。
物事をするにあたっては、筋道を通して正しく行うように務め、利益を得ようという考えは持たないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「誼」は、義。正しい道。
*『漢書-董仲舒伝』
1890 咽喉【ユウヒ】の地 ◆5 右臂   👉いんこうゆうひのち。
国を守るために重要な、地勢のけわしい土地。要害の地。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「咽喉」は、のど。
★人間ののどと右臂(ミギヒジ)に相当するほどのところという意から。
*『故事成語考-地輿』
ユウヒ
1891 【ウエン】の卵毀たざれば而る後に鳳凰集まる ◆5 烏鳶   👉うえんのたまごこぼたざればしかるのちにほうおうあつまる。
人に基づいた寛大な政治を行えば、それを慕って優秀な人物が集まってくることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鳳凰」は、想像上のめでたい鳥。
★烏(カラス)や鳶(トビ)といった平凡な鳥の卵も壊さないようにしてやれば、鳥たちは安心して、鳳凰のようなめでたい鳥まで集まってくるという意から。
*『漢書-路温舒伝』
ウエン
1892 【ハンモン】斧を弄す ◆5 班門   👉はんもんおのをろうす。
魯の名工班輸(ハンユ)の門前で斧を弄ぶようなものだ。転じて、自分の才能をわきまえず、身の程を知らぬものを謗ったことば。〈中国古典名言事典〉
*『雅俗故事読本-人事』
ハンモン
1893 雲中の【ハッカク】 ◆5 白鶴   👉うんちゅうのはっかく。
高潔な人物のこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★雲の中の白い鶴の意から。空高い所にいる白い鶴を、俗世間を離れた高尚な人物にたとえたもの。
*『世説-賞誉・上』
ハッカク
1894 【エイセツ】の才 ◆5 詠雪   👉えいせつのさい。
女性の文才のすぐれていることのたとえ。文才のある女性をほめて言う語。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★中国、晉の王凝之の妻謝道韞(シャドウオン)が、叔父謝安の問いに対して、降りはじめた雪を柳の綿毛が風に舞うさまにたとえた妙句をとっさに発して答えたという故事による。
*『晉書-列女伝』
エイセツ
1895 【エ】の実はならばなれ、木は椋の木 ◆5   👉えのみはならばなれ、きはむくのき。
強情で、人の意見を聞かないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★榎(エノキ)の木と椋(ムク)の木はよく似ていて間違えやすいが、椋の木だと一度言い出したら、実がなって榎の木だったと気づいても、自分の間違いを正さないことから。
*『仮名草子・清水物語-下』
1896 【エンチュウ】の魚を知る者は不祥なり ◆5 淵中 渕中 👉えんちゅうのうおをしるものはふしょうなり。
物事の隅々まで知り尽くすのは良くないということ。また、政治を行うときは、要所を押さえて行えばよいということのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★淵にひそむ魚まで見通せるものは、それがあだとなって不運に見舞われるという意から。
*『史記-呉王濞伝』
エンチュウ
1897 奥に媚びんよりは寧ろ【ソウ】に媚びよ ◆5 👉おうにこびんよりはむしろそうにこびよ。
地位は高いが実権のない人の機嫌を取るより、地位は低いが実権を握っている人の機嫌を取る方が有利であること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「奥」は、家屋の一番の奥まったところ。祭祀(サイシ)を行う場所。
★「竈」は、かまど。炊事の神を祭る所。
★奥座敷に入る偉い人に媚びるより、実際に炊事をする人に媚びる方が得策であるという意から。
*『論語-八佾』
ソウ
1898 【カイ】を釈てて天に登る ◆5   👉かいをすてててんにのぼる。
不可能なことをしようとするたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「階」は、はしご。
★「釈てる」は、置き去りにする意。
★はしごを用いずに天に登ろうとすることから。
*『楚辞-九章・惜誦』
カイ
1899 事は密を以て成り、語は【セツ】を以て敗る ◆5   👉ことはみつをもってなり、ごはせつをもってやぶる。
物事は秘密のうちに運べば成功し、相談事は外部に漏れることで失敗するということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「泄」は、もれる意。
*『韓非子-説難』
セツ
1900 【カクセイ】帝座を犯す ◆5 客星   👉かくせいていざをおかす。
身分の低い者が帝王の地井を狙うことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「客星」は、普段は見えないで一時的に出現する星。彗星などのこと。
★「帝座」は、王の地位。
*『後漢書-逸民伝』
カクセイ
1901 風、【ハソウ】を射て灯火滅し易し ◆5 破窓   👉かぜ、はそうをいてともしびめっしやすし。
わび住まいのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★窓が破れているために風が吹き込み、灯火が消えやすいという意から。
*『杜荀鶴-旅中臥病』
ハソウ
1902 【ヒコウ】雪泥を踏む ◆5 飛鴻   👉ひこうせつでいをふむ。
人の行跡または事業も儚く消えて、痕跡の残らぬものである。〈中国古典名言事典〉
★雪の上に鴻が爪跡を残す。残したと思ってもすぐ消えることから。
*『蘇軾-和子由澠池懐旧詩』
ヒコウ
1903 【イッカン】の竹、簪裾に換えず ◆5 一竿   👉いっかんのたけ、しんきょにかえず。
仕官を断って、風月を楽しむこと。〈中国古典名言事典〉
★「簪裾」は、大夫の簪(カンザシ)と服。
★一竿風月の楽しみをもって、士大夫の位と取り換えなどはせぬという意。
★中国古典名言事典によれば簪裾はサンキョと読んでいるがここでは漢字ペディアに倣うこととする(簪欄見出しに記載)。
*『黄滔-巌陵釣台詩』
イッカン
1904 【カンショウ】千丈の節 ◆5 寒松   👉かんしょうせんじょうのせつ。
堅固な節操のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「丈」は、長さの単位。千丈は非常に長いこと。
★厳しい寒さの中でも松は鮮やかな色を失わず、高い岩の上にそびえたっていることから。
*『旧唐書-穆寧伝・論』
カンショウ
1905 肝胆も【ソエツ】なり ◆5 楚越   👉かんたんもそえつなり。
非常に似た物でも、見方によって違って見えるたとえ。また、近い関係にある者が遠い関係になるたとえ。密接な関係にありながらいがみ合うことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「肝胆」は、肝臓と胆嚢(タンノウ)。
★肝臓と胆嚢のように近くにあるものでも、楚と越の両国のように隔たって感じられることから。
*『荘子-徳充符』
ソエツ
1906 【カンロ】を馳せて蹇兎を逐う ◆5 韓盧   👉かんろをはせてけんとをおう。
強い者が弱い者を討つことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「韓盧」は、中国、古代にいたという一日に五百里を走る犬。
★「蹇兎」は、足の悪い兎。
★名犬を使って足の悪い兎を追わせる意から。
*『史記-范雎伝』
カンロ
1907 【キカイ】の刑 ◆5 棄灰   👉きかいのけい。
厳しすぎる刑罰のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★道に灰を捨てた者を処罰する過酷な刑の意から。中国古代に行われた刑罰の一つ。
*『韓非子-内諸説上』
キカイ
1908 【キキュウ】の業 ◆5 箕裘   👉ききゅうのぎょう。
父祖の業を受け継ぐこと。また、親をまねて自然に家業を習得していくこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「箕」は、穀物をふるう道具。
★「裘」は、皮ごろも。
★弓職人の子は、親が弓を作るのを見て、まず柔らかい柳の枝を曲げて箕を作ることから始め、鍛冶屋の子は、親が金属を加工するのを見て、まず動物の皮をなめして裘を作ることから始めて業を受け継ぐということから。
*『礼記-学記』
キキュウ
1909 【ケツベイ】の智 ◆5 挈瓶   👉けつべいのち。
小知のたとえ。〈新大字典〉
★「挈瓶」は、手で提げる小さな瓶。
*『魏志-田予伝』
ケツベイ
1910 【キチョウ】旧林を恋い池魚故淵を思う ◆5 羈鳥   👉きちょうきゅうりんをこいちぎょこえんをおもう。
故郷を恋しく思うことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「羈鳥」は、旅をする鳥。一説に、かごの鳥の意。
★旅をする鳥は、古巣のある林を恋しがり、池で飼われている魚は、以前住んでいた淵をなつかしく思うという意から。
*『陶潜-帰田園居詩』
キチョウ
1911 【キュウコウ】は追うこと勿れ ◆5 窮寇 窮冦 👉きゅうこうはおうことなかれ。
窮地に立った敵は、必死になって抵抗するため、思わぬ損害を受けるので、深追いするなということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「寇」は、敵の意。
*『孫子-軍争』
キュウコウ
1912 【キュウ】を反して薪を負う ◆5   👉きゅうをかえしてたきぎをおう。
浅知恵や、愚かな考えのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「裘」は、毛皮で作った防寒用の服。皮ごろも。
★皮ごろもの毛がすり切れるのを惜しんで、裏返しに着て薪を背負い、皮をすり切らしてだめにしてしまう意から。
*『塩鉄論-非鞅』
キュウ
1913 【ギョシ】の惑い ◆5 魚豕   👉ぎょしのまどい。
文字の書き違いや写し違いをすること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★魯の字を魚と誤ったり、亥の字を豕と誤ったりすることから。
*『十八史略-陳殷序』
ギョシ
1914 【キ】をして鼠を捕らしむ ◆5   👉きをしてねずみをとらしむ。
物にはふさわしい使い道があるということのたとえ。また、有能な人物につまらない仕事をさせることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「驥」は、一日に千里を走るという名馬。
★駿馬に鼠を捕らせることから。
*『荘子-秋水』
1915 金湯の固きも【ゾク】に非ざれば守らず ◆5   👉きんとうのかたきもぞくにあらざればまもらず。
どんなに守りの固い城でも、食糧がなければ守りきれるものではないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
「金湯」は、「金城湯池」の略。きわめて防備の堅固な城。
「粟」は、食糧の意。
*『魏書-薛虎子伝』
ゾク
1916 【クチョ】も其の余を食わず ◆5 狗猪   👉くちょもそのよをくらわず。
道に外れた行いをする人の食べ残した物は、犬や豚さえも食べないということ。人道に外れた者をさげすんでいうことば。〈新明解故事ことわざ辞典〉
「狗」は、犬。
「猪」は、豚。
*『漢書-元后伝』
クチョ
1917 君子は【サンタン】を避く ◆5 三端   👉くんしはさんたんをさく。
君子は人と争うのを好まないから、特に文章や武器や弁舌での争いを避けるようにするということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
「三端」は、文士の筆端(ヒッタン:筆の先)と武士の鋒端(ホウタン:刀の先)と弁舌の舌端(ゼッタン:舌の先)。君子が避けるべき三つのものとされる。
*『韓詩外伝-七』
サンタン
1918 慶者堂に在り、弔者【リョ】に在り ◆5   👉けいしゃどうにあり、ちょうしゃりょにあり。
めでたいことと不幸なことがとなり合わせて来るということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「堂」は、家。
★「閭」は、村里の門の意。
★祝い客が家の中に居るうちに、弔い客が村の入り口まで行く来ている意から。
*『新唐書-柳玭伝』
リョ
1919 厳家には【カンリョ】無し ◆5 悍虜   👉げんかにはかんりょなし。
世の中が治まるのは、徳よりも厳しい威勢の力であるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「悍虜」は、反抗的な召使い。
★厳格な家には、乱暴で反抗的な召使いはいないという意から。
*『韓非子-顕学』
カンリョ
1920 【ゲンケン】の貧 ◆5 原憲   👉げんけんのひん。
高潔で無欲な為に貧しい暮らしをしていること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「原憲」は、孔子の弟子で、魯の人。清貧に甘んじた高潔な人として知られる。
*『杜甫-寄李十二白詩』
ゲンケン
1921 【コウコウ】を分かつ ◆5 鴻溝   👉こうこうをわかつ。
物事を区分する。境を分ける。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鴻溝」は、中国河南省栄陽県の漢と楚との分界にあった川の名。
★漢の高祖と楚の項羽とが鴻溝を境界として、領地を分けたという故事による。
*『史記-項羽本紀』
コウコウ
1922 【ゴイ】を歌う ◆5 五噫   👉ごいをうたう。
世間に認められないことを嘆くこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「噫」は、嘆息する声。
★後漢時代の梁鴻(コウリョウ)が世を嘆いて、各句の終わりに「噫」の字を置いた詩「五噫之歌」を作ったという故事による。
*『後漢書-梁鴻伝』
ゴイ
1923 江河の【イツ】は三日に過ぎず ◆5   👉こうがのいつはみっかにすぎず。
一時的に力を得た者は長続きしないということのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「江」は、長江。「河」は黄河。ともに大河。
★「溢」は、あふれること。
★大河の洪水も、三日たてば水が引くという意から。
*『説苑-説叢』
イツ
1924 巧言【コウ】の如し、顔之厚し ◆5   👉こうげんこうのごとし、かおこれあつし。
言葉巧みに飾って言うのは、笙(ショウ)の舌が鼓動して上下左右に動いて声を出すようなもので、ごまかして言っても恥ずることがなく、面の皮が厚いことであるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「巧言」は、口だけがうまく、実のないことば。
★「簧」は、笛の舌。吹いて振動させて音を出す音。
*『詩経-小雅・巧言』
コウ
1925 【コウショク】は明を以て自ら鑠す ◆5 膏燭   👉こうしょくはめいをもってみずからとかす。
才能や長所の為に災いを招き、身を滅ぼしてしまうことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「膏燭」は、ともしび。
★「鑠す」は、溶けること。
★ろうそくは、ともすと明るいために溶けて尽きてしまうことから。
*『淮南子-繆称訓』
コウショク
1926 【コウゼン】の翼 ◆5 鴻漸   👉こうぜんのつばさ。
高位高官に登ってゆくだけの才能があることのたとえ。また、大事業を成し遂げる器量があることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鴻」は、白鳥のような大形の水鳥。
★「漸」は、進む。
★大きな鳥がゆったりとした翼の動きで次第に上昇して、ついには他の小鳥の及ばない高い所に到ることから。
*『易経-漸卦』
コウゼン
1927 【コウハン】も壺飧(こそん)に及ばず ◆5 觥飯   👉こうはんもこそんにおよばず。
急ぎの時には、不完全でも手早い方がよいことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「觥飯」は、立派なご馳走。
★「壺飧」は、食器に盛った粗末な汁かけ飯。
★空腹のときには、時間をかけて作られる立派なご馳走よりも、粗末でもすぐに食べられる食事の方がよいことから。
*『国語-越語・下』
コウハン
1928 【ゴウホ】の珠還る ◆5 合浦   👉ごうほのたまかえる。
一度失ったものが再び戻ってくることのたとえ。また、善政を敷くことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「合浦」は、中国の地名。今の広東省あたりにあった。
★「珠」は、真珠。
★昔、合浦の太守が貪欲であったため、海の真珠がみな他へ移ってしまったが、孟嘗(モウショウ)が太守になり善政を行なったので再び真珠がもどってきたという故事による。
*『後漢書-循吏伝・孟嘗』
ゴウホ
1929 【ゴキ】も持たぬ乞食 ◆5 御器   👉ごきももたぬこじき。
全くの無一物であることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「御器」は、修行僧や乞食が食べ物を乞うために持つ椀。
★乞食にとって椀は食べ物をもらうためのものだが、それさえも持たないことから。
*『尾張俗諺-京師通諺』
ゴキ
1930 狐裘弊ると雖も補うに【コウク】の皮を以てすべからず ◆5 黄狗   👉こきゅうやぶるといえどもおぎなうにこうくのかわをもってすべからず。
君子と小人を同等に用いてはならないということのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「狐裘」は、狐の腋の下の白い毛皮で作った高価なかわごろも。
★「黄狗」は、黄色い犬。
★立派な狐のかわごろもは、古くなって破れても、つまらない犬の毛皮で繕うわけにはいかないという意から。
*『史記-田敬仲完世家』
コウク
1931 【コギョ】河を過ぎて泣く ◆5 枯魚   👉こぎょかわをすぎてなく。
人は出処進退を慎重にしなければ後悔するという戒め。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「枯魚」は、魚の干物。
★魚の干物が、もと住んでいた河を通り過ぎる時、人に捕らえられてしまった軽率さを後悔して泣くということから。
*『古詩源-枯魚過河泣詩』
コギョ
1932 【コキン】の悲しみ ◆5 鼓琴   👉こきんのかなしみ。
心を許し合った友に死に別れた悲しみのこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鼓琴」は、琴をひくこと。
*『世説新語-傷逝』
コキン
1933 【コク】は浴せずして白し ◆5   👉こくはよくせずしてしろし。
本性の良い者は、うわべを飾らなくても自然にその性質の良さが現れるというたとえ。また、生まれつきの容姿や性質は、変えられるものではないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鵠」は、白鳥。
★白鳥は毎日水浴びしなくてもいつも白いという意から。
*『荘子-天運』
コク
1934 乞食に【シュワン】 ◆5 朱椀   👉こじきにしゅわん。
身分不相応な物を持つことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★乞食が立派な赤塗りの椀を持っているということから。
*『諺苑』
シュワン
1935 財を積む千万なるも【ハクギ】身に在るに如かず ◆5 薄伎   👉ざいをつむせんまんなるもはくぎみにあるにしかず。
財貨より身についた技芸の方がまさっているということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「薄伎」は、ちょっとした技能。
★巨額の財産を築いても失う恐れがあるが、身につけた技能は、たとえどんなにつまらないものであっても、なくなることがないということ。
*『顔氏家訓-勉学』
ハクギ
1936 餓狗【コロ】を齧む ◆5 枯髏   👉がくころをかむ。
物の味のないことのたとえ。〈新大字典〉
★餓えた犬がしゃれこうべをかむ意。
*『虚堂録』
コロ
1937 【シキ】は爵を待たず ◆5 至貴   👉しきはしゃくをまたず。
真の貴さは爵位などによるものではない。この上なく貴い地位の人には爵位など必要ないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『淮南子-精神訓』
シキ
1938 努力【サンハン】を加えよ ◆5 餐飯   👉どりょくさんはんをくわえよ。
つとめて食事をたくさんとってほしい。友達の健康への祈念。〈中国古典名言事典〉
*『五言古風長詩-無名氏・古詩』
サンハン
1939 【ジジョウ】の心は礼の端なり ◆5 辞譲   👉じじょうのこころはれいのたんなり。
遠慮して人に譲る心は礼の芽生えであるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「辞譲」は、遠慮する、辞退する。
★「礼の端」は、礼のはじめ。
*『孟子-公孫丑・上』
ジジョウ
1940 【ガシ】の叫び ◆5 餓鴟   👉がしのさけび。
餓えたふくろうの叫び声。また、矢のはげしく飛ぶ響き。〈新大字典〉
*不明
ガシ
1941 【シッコウ】の契り ◆5 漆膠   👉しっこうのちぎり。
強く結び合って離れ難い関係のたとえ。また、男女・夫婦が添い遂げることを言いかわすこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「漆膠」は、うるしとにかわ。どちらも極めて粘着力が強い。
*『洒落本・廓宇久為寿-前』
シッコウ
1942 【シャ】を欲する色 ◆5   👉しゃをほっするいろ。
物欲しそうなようす。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「炙」は、火であぶった肉。
★「色」は、顔つき。ようす。
*『世説新語-徳行』
シャ
1943 【ジュウリョ】の慶 ◆5 充閭   👉じゅうりょのけい。
男子の誕生を祝う言葉。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「充」は、満ちる。
★「閭」は、村の入口の門。
★「慶」は、よろこぶ。祝う。
★生まれた子供が出世して、それを祝う人たちで村の入口の門がいっぱいになるという意から。
*『晉書-賈充伝』
ジュウリョ
1944 【ショウコウ】の竜 ◆5 葉公   👉しょうこうのりゅう。
うわべはもっともらしく見えるが、実際はそうではないこと。また、似て非なるもののたとえにもいう。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「葉公」は、中国、春秋時代の楚の国の葉(ショウ)という県の領主。字(アザナ)を子高といった。
★中国、楚の国の葉県の領主子高は龍を好むと称して、龍の画を描かせて部屋に飾っていたが、本物の天の龍が彼のもとを訪れると、腰をぬかして逃げたという話による。
*『新序-雑事・五』
ショウコウ
1945 小人の交わりは甘きこと【レイ】の若し ◆5   👉しょうじんのまじわりはあまきことれいのごとし。
小人物の交わりは甘くとっつきやすいが、長続きしないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「小人」は、徳のないつまらない人。
★「醴」は、甘酒。
★甘酒のようにべたべたとなれ合っているが、利益が失われると、すぐに途絶えてしまう意。
*『荘子-山木』
レイ
1946 【ショウスウ】以て之を貫く ◆5 誦数   👉しょうすうもってこれをつらぬく。
何度も何度も繰り返し読むことによって、書物の内容が次第に理解できるようになるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「誦」は、読む意。
*『荀子-勧学』
ショウスウ
1947 少壮にして努力せずんば老大にして乃ち【ショウヒ】せん ◆5 傷悲   👉しょうそうにしてどりょくせずんばろうだいにしてすなわちしょうひせん。
若く元気な時に努め励んでおかなければ、老いてから悔やんで嘆き悲しむことになる。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「少壮」若くて血気盛んな年ごろ。
★「老大」は、老人。お年寄り。
*『古楽府-長歌行』
ショウヒ
1948 【ショウボウ】に不思議なし ◆5 正法   👉しょうぼうにふしぎなし。
正しい宗教には、不思議なことはなにもない。不思議な利益があるとすれば、むしろ邪教であるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「正法」は、正しい教え、すなわち仏法。
*『浮世草子・新可笑記-二・五』
ショウボウ
1949 【ショウロク】の夢 ◆5 蕉鹿   👉しょうろくのゆめ。
人世の損得は、夢のように儚(ハカナ)いものだということ。また、諦めの良いたとえにも言う。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蕉鹿」は、芭蕉の葉で隠した鹿。
★昔、鄭の国の人が鹿を捕らえて堀に隠し芭蕉の葉で覆った。そのうち隠した場所を忘れてしまい、あれは夢だったとして諦めたという故事から。
*『列子-周穆王』
ショウロク
1950 【ショウ】を聞いて日と為す ◆5   👉しょうをきいてひとなす。
人から教えられたことを、はき違えて覚えることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★目の見えない人が、太陽は金盥(カナダライ)のようなものだと聞かされ、それを叩いて音を覚え、後日、鐘の音を聞いたとき、太陽だと思ったという話から。
*『蘇軾-日喩』
ショウ
1951 浸潤の【シン】 ◆5 👉しんじゅんのしん。
水が物にしみ込むように、人が気づかぬ間にすこしずつ巧妙に讒言(ザンゲン)しておとし入れること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『論語-顔淵』
シン
1952 【シンリョウ】を積むが若し ◆5 薪燎   👉しんりょうをつむがごとし。
後輩が先輩を越えて出世することのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「薪燎」は、かがり火。また、かがり火にたく薪(タキギ)。
★あとから積んだ薪が先に用いられることにたとえて言った言葉。
*不明
シンリョウ
1953 【ロウザン】雲暗し ◆5 隴山   👉ろうざんくもくらし。
やがて天下に名を馳せるすぐれた後進の適任者は、無名なだけで世にひそんでいるのだというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「隴山」は、中国の陝西・甘粛両省境中部、陝西省隴県の西北にある山。
★隴山は雲が暗くたちこめていて、何も見えない意。
★匈奴討伐に多くの武勲を立てた漢の勇将李広も世に出る以前は無名で、故郷の隴山に雲がかかったようにその所在はまったく知られていなかったということから、菅原文時がつくった藤原実頼の左近衛大将辞職願い状の一節。
*『本朝文粋-五・為清慎公請罷左近衛大将状〈菅原文時〉』
ロウザン
1954 【スイトウ】を以て太山を堕つ ◆5 錐刀   👉すいとうをもってたいざんをこぼつ。
微弱な力で強大な者に立ち向かうことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「錐刀」は、先のとがった小さな刀。
★「太山」は、中国第一の名山。泰山。
★「堕つ」は、こわす。切り崩す。
★小さな刃物で大きな山を切り崩そうとする意から。
*『荀子-議兵』
スイトウ
1955 【スイ】逝かず ◆5   👉すいゆかず。
ものごとが思い通りにゆかず、苦境に陥ること。頼りにしていたものがうまくゆかないこと。最後の土壇場に追いこまれること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「騅」は、楚の項羽の愛した名馬の名。
★「逝かず」は、進まない。
★頼りにしている愛馬の騅も、一歩も進まなくなったという意から。
*『垓下歌』
スイ
1956 酔い来たりて空山に臥せば、天地は即ち【キンチン】なり ◆5 衾枕   👉よいきたりてくうざんにふせば、てんちはすなわちきんちんなり。
酒に酔って草木のない山の中に寝転んでいると、天地があたかも自分を包んでくれる夜具布団、あるいは枕のように感じられる。大酒飲みの李太白の豪快の気分を述べた詩。〈中国古典名言事典〉
*『五言古風短篇-李太白・友人会宿』
キンチン
1957 【スンコウ】は黄河の濁を治する能わず ◆5 寸膠   👉すんこうはこうがのだくをちするあたわず。
小さな力では大事を成し遂げることはできないというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「膠」は、にかわ。水の濁りを止める働きがあるとされる。
★少量のにかわでは、広い黄河の流れの濁りをすべて澄ませることはできないという意から。
*『抱朴子-嘉遯』
スンコウ
1958 【セイショウ】の具 ◆5 済勝   👉せいしょうのぐ。
丈夫な足のこと。健脚。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「済勝」は、景色の良い所を渡り歩くこと。
★景勝の地をめぐり歩くための道具という意から。
*『世説新語-棲逸』
セイショウ
1959 【セキシン】を負う ◆5 析薪   👉せきしんをおう。
父祖の事業を子孫が継いで立派にやっていくことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「析薪」は、薪(タキギ)を割ること。
★父が薪を割り、子がそれを背負う意から。
*『春秋左伝-昭公七年』
セキシン
1960 千鈞の弩を以て【ヨウ】を潰す ◆5   👉せんきんのどをもってようをつぶす。
超大国が強力な力で弱小国を破るたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「弩」は、石弓。はじき弓。
★非常に重く強い石弓で、はれものをつぶす意から。
*『戦国策-秦策・昭襄王』
ヨウ
1961 千雀万鳩【ヨウ】と仇を為す ◆5   👉せんじゃくばんきゅうようとあだをなす。
弱い者がたくさんいても、強い者にはかなわない。力のないものが数多く集まっても、役に立たないことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「千雀万鳩」は、多数の雀と鳩。
★「鷂」は、鷹の一種。はいたか。
★雀や鳩にとって鷂は敵だが、いくらたくさんいてもかなわないことから。
*『易林-七・無妄』
ヨウ
1962 川沢汙(お)を納れ【サンソウ】疾を蔵す ◆5 山藪 山薮 👉せんたくおをいれさんそうしつをかくす。
人の上に立つ者は、恥や屈辱を受けることがあっても、それを我慢する度量がなくてはならず、そうした恥や屈辱は少しも徳を損なうことにはならないというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「汙」は、汚れた水。
★「山藪」は、山の林ややぶ。
★「疾」は、害をなすものの意。
★川や沢は流れ込んでくる汚れた水も受け入れ、山ややぶは毒草や毒虫も隠し持っているという意から。
*『春秋左伝-宣公一五年』
サンソウ
1963 【ソウギ】の蚊帳 ◆5 宗祇   👉そうぎのかや。
連歌師が旅先で宗祇と同宿し、同じ蚊帳の中で寝たと自慢すること。転じて、風流なことなどで見栄を張ることのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「宗祇」は、室町時代後期の代表的連歌師。
*『俳諧・崑山集-五・夏』
ソウギ
1964 【ソウケイ】軸を折る ◆5 叢軽   👉そうけいじくをおる。
小さなものでも、たくさん集まれば大きな力を発揮するということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「叢軽」は、多く軽いものの意。
★軽いものもたくさん集まると、その重みで車軸が折れてしまう意から。
*『漢書-中山靖王伝』
ソウケイ
1965 【ソウチュウ】の喜び ◆5 桑中   👉そうちゅうのよろこび。
男女の不義の楽しみの事。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「桑中」は、古代中国衛の地名。また、桑畑の中。
★男女が桑中であいびきすることを歌った「詩経」の中の「桑中」詩が、淫らな詩だと解されたことから。
*『春秋左伝-成公二年』
ソウチュウ
1966 【ソウ】を落として顧みず ◆5   👉そうをおとしてかえりみず。
見切りのよいことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「甑」は、米や豆などを蒸してかしぐ、こしきのこと。
★漢の孟敏(モウビン)という人が、こしきを荷(ニナ)って行くうち地に落としたが、振り返りもしなかった。郭林宗という人がそのわけをたずねると、すでに割れてしまったものだから見ても仕方がないと答えたという故事による。
*『後漢書-郭泰伝』
ソウ
1967 苗の【ユウ】有るが若し ◆5   👉びょうのゆうあるがごとし。
悪人が善人の中にまじっていることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「莠」は、水田に生えて苗の生長を妨げる稲に似た雑草。
★稲の中にハグサがまじっているようなものだという意から。
*『書経-仲虺之誥』
ユウ
1968 【ソンシ】を悪鳥と為す ◆5 蹲鴟   👉そんしをあくちょうとなす。
無学な者が見当違いなことを言うたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蹲鴟」は、芋の別名。形がうずくまったフクロウに似ている所から、親芋(または八頭(ヤツガシラ))のことを言う。
★「蹲」は、うずくまる。「鴟」はフクロウ。夜、小動物を捕らえて食うので悪鳥とされる。
★唐の詩人張九齢(チョウキュウレイ)が友人の無学なのをからかって、芋を送るときに蹲鴟と書いてやった。友人は礼状に芋はいただいたが蹲鴟は届いていないし、蹲鴟のような悪鳥は見たくないと言ってよこしたので一座の笑い者になったという「諧噱録(カイキャクロク)」などの故事による。
*『諧噱録』
ソンシ
1969 大象【トケイ】に遊ばず ◆5 兎径 兔径
兔径
👉たいぞうとけいにあそばず。
大人物は自分にふさわしくないつまらぬ地位には満足しない。また、大人物はつまらぬ人物を相手にしない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「兎径」は、うさぎの通る道。
★大きな象は兎の通う道は通らない意。
*『円悟仏果禅師語録』
トケイ
1970 【ギュウテイ】の涔(しん)には尺の鯉無し ◆5 牛蹄   👉ぎゅうていのしんにはせきのこいなし。
狭苦しい所では、大人物は手腕をふるうことができないというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「牛蹄」は、牛の足跡。
★「涔」は、水たまり。
★牛の足跡にできた水たまりに、一尺もある鯉はいないという意から。
*『淮南子-俶真訓』
ギュウテイ
1971 【タイハク】再び円かならず ◆5 頽魄 頹魄 👉たいはくふたたびまどかならず。
若い時は二度と来ないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「頽魄」は、欠けた月。
★満月を過ぎて欠けはじめた月は、細くなってすっかり消えるまで欠け続ける。
*『謝恵連-秋懐詩』
タイハク
1972 太平【ショウ】無し ◆5   👉たいへいしょうなし。
何事もないのが太平のしるしであるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「象」は、きざし。現象。
★世の中がよく治まって平穏であるときには、別にこれといった特別の兆候は現れない意から。
*『新唐書-牛僧孺伝』
ショウ
1973 大勇は【キョウ】なるが如し ◆5   👉たいゆうはきょうなるがごとし。
真に勇気のある人は、無闇に人と争わないから、普段は臆病者と同じように見える。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「怯」は、おじける意。
*『蘇軾-賀欧陽少師致仕啓』
キョウ
1974 【タク】は声を以て自ら毀る ◆5   👉たくはこえをもってみずからやぶる。
才能や長所の為に災難にあうことがあるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鐸」は、大型の鈴。古代中国で命令を発するときに振って鳴らした。
★鐸はよい音を出すので何度も使われ、ついには壊れてしまうという意から。
*『淮南子-繆称訓』
タク
1975 惟【コウシュ】を称するのみ ◆5 好鬚   👉ただこうしゅをしょうするのみ。
口ひげだけが立派で、ほかにとりえのない男であるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★唐の太宗が李緯(リイ)を登用しようとしたとき、房玄齢がその人物を評して他にこれといった才能も無いので、ひげだけをほめたという故事にみえることば。
*『新唐書-房玄齢伝』
コウシュ
1976 玉を食らい【ケイ】を炊ぐ ◆5   👉たまをくらいけいをかしぐ。
非常に物価の高いことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「桂」は、金木犀(キンモクセイ)。香木。
*『国策-楚策・威王』
ケイ
1977 【キョウコウ】は学に勤めて燭なし ◆5 匡衡   👉きょうこうはがくにつとめてしょくなし。
貧苦の中で学問を励むたとえ。〈中国古典名言事典〉
★漢の匡衡(キョウコウ)は燭がなかったので、壁に穴をあけ、隣家の灯で読書したという故事から。
*『西京雑記』
キョウコウ
1978 箸に【コウリョウ】 ◆5 虹梁   👉はしにこうりょう。
二つのものが比較にならないほどかけはなれていることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「虹梁」は、棟を柱に渡して屋根を支える梁(ハリ)の一種。上向きにやや反(ソ)りをもたせて化粧を施したもの。
★細くて短い箸と太くて長い虹梁の意。
*『俳諧・毛吹草-二』
コウリョウ
1979 【テイカ】の奴は詩をうたう ◆5 鄭家   👉ていかのやっこはしをうたう。
いつも見聞きしていると、知らず知らずのうちに物を覚えるものだというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鄭」は、中国、後漢の学者鄭(ジョウゲン)。
★「奴」は、召使。
★「詩」は、『詩経』
★学者鄭玄の家の召使は、習わないのに『詩経』の句を覚えて、普段の会話の中に使っていたということから。
*『事文類聚-後集・人倫部・婢妾・婢皆読書』
テイカ
1980 怒気ある者も【ヒョウガ】は咎めず ◆5 飄瓦   👉どきあるものもひょうがはとがめず。
天災に対しては文句が言えないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「飄瓦」は、風に吹き飛ばされた屋根瓦。
★すぐに腹をたてる怒りっぽい人でも、風に吹き飛ばされて落ちてきた瓦に腹を立てるわけにはいかないという意から。
*『浄瑠璃・男作五雁金-天満砂原兵法』
ヒョウガ
1981 【ドンコウ】の魚は飢えを忍ばざるを嘆く ◆5 吞鉤 呑鉤
吞鈎
呑鈎
👉どんこうのうおはうえをしのばざるをなげく。
後悔しても追いつかないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★えさにひかれて釣り針を呑みこんでしまった魚は、空腹を我慢できずに被害にあったことを後悔する意。
*『君子集』
ドンコウ
1982 鷙鳥百を累ぬるも【イチガク】に如かず ◆5 一鶚   👉しちょうひゃくをかさぬるもいちがくにしかず。
無能な者が大勢いても、たった一人の有能な人物のすることには及ばないというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鷙鳥」は、ツバメの別称。ここでは、無能な人物のたとえ。
★「鶚」は、みさご。魚を捕食するのが巧みな大鳥。ここでは、有能な人物のたとえ。
*『漢書-鄒陽伝』
イチガク
1983 【ナンカ】の悔い ◆5 南華   👉なんかのくい。
上司の怒りを買う発言をしたために、才能が有るのに出世の道が断たれること。また、その悔い。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「南華」は、『南華真経』の略で『荘子(ソウジ)』の別名。
★唐の詩人温庭筠(オンテイイン)が宰相に旧事を問われ、南華真経に出ているので自分でお調べになるようにと答えたところ、怒りをかって試験に及第できず、なまじ南華真経などを読まねばよかったと後悔したという故事から。
*『唐詩紀事-五四』
ナンカ
1984 南人【ダ】を夢見ず北人象を夢見ず ◆5   👉なんじんだをゆめみずほくじんぞうをゆめみず。
知らないものについては、空想することもないというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「駝」は、らくだ。
★南国の人はらくだの夢を見ないし、北国の人は象の夢を見ないということから。
*『譬喩尽-三』
1985 【ニソ】藤を嚙む ◆5 二鼠   👉にそふじをかむ。
人の生命は不安定で、刻々死に近づいていることのたとえ。また、五欲に執着して生死から解脱できないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「二鼠」は、黒月・白月または日月。
★「藤」は、生命にたとえていう。
*『翻訳名義集-五』
ニソ
1986 千鈞の弩を以て【カイヨウ】を射る ◆5 潰癰   👉せんきんのどをもってかいようをいる。
超大国が疲れきった弱小国を攻めてひねりつぶすことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「弩」は、石弓。はじき弓。
★「潰癰」は、ただれくずれたはれもの。
*『戦国策-秦策・昭襄王』
カイヨウ
1987 【ネンゴウ】の兎 ◆5 年劫   👉ねんごうのうさぎ。
普通の手段では太刀打ちできないもの、一筋縄ではいかないもののたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★長年生き延びて悪賢くなった兎の意から。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
ネンゴウ
1988 花を賞するに慎みて【リヒ】に至る勿れ ◆5 離披   👉はなをしょうするにつつしみてりひにいたるなかれ。
物事は絶頂に達すると、あとは衰退するだけだから、絶頂に至る前をよしとすべきであるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「離披」は、花びらが離れて花が完全に開くこと。満開。
★花は満開にならない内に観賞するのがよいということ。
*『邵雍-安楽窩中吟』
リヒ
1989 飛鳥人に依れば自ずから【レンアイ】を加う ◆5 憐愛   👉ひちょうひとによればおのずかられんあいをくわう。
飛ぶ鳥も人になついて寄って来れば、人のほうでも自然にその鳥をあわれみ愛するようになるもので、人間同士の場合でも同じであるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『旧唐書-長孫無忌伝』
レンアイ
1990 人は盗人火は【ジョウモウ】 ◆5 焼亡   👉ひとはぬすびとひはじょうもう。
人を見たら泥棒と思い、火を見たら火事だと思って用心せよということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「焼亡」は、火事。
*『俳諧・毛吹草-二』
ジョウモウ
1991 火を乞うは【スイ】を取るに若かず ◆5   👉ひをこうはすいをとるにしかず。
人を当てにするよりも、自分で努力してやった方が確実であるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「燧」は、火打ちの道具。
★人に火種をくれと頼むよりも、自分で火打ち石を使って火をおこした方がよいということから。
*『淮南子-覧冥訓』
スイ
1992 【ビンシ】茶烟の感 ◆5 鬢糸   👉びんしさえんのかん。
若い時に遊びふけっていたものが、年老いて閑静な生活を送りながら青春の日々をしのんでいる心境をいう。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鬢糸」は、老人の白髪。老境のたとえ。
★「茶烟」は、茶を焙(ホウ)じる時に出る煙。
★糸のような白髪のまじりはじめた鬢の毛が、茶を煮る煙の中にちらちら見えているときの感慨の意。
*『杜牧-題禅院詩』
ビンシ
1993 貧賤に戚戚たらず、富貴に【キンキン】たらず ◆5 忻忻   👉ひんせんにせきせきたらず、ふうきにきんきんたらず。
貧賤や富貴に心をとらわれない。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「戚戚」は、うれい悲しむさま。
★「忻忻」は、喜び楽しむさま。
★貧しく身分が低くてもくよくよせず、財産や高い地位があってもうかれたりしないということ。
*『古列女伝-腎明・魯黔婁妻』
キンキン
1994 韓盧を馳せて【ケント】を逐う ◆5 蹇兎 蹇兔
蹇兔
👉かんろをはせてけんとをおう。
強い者が弱い者を討つことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「韓盧」は、中国、古代にいたという一日に五百里を走る犬。
★「蹇兎」は、足の悪い兎。
★名犬を使って足の悪い兎を追わせる意から。
*『史記-范雎伝』
ケント
1995 武士の【サンボウ】 ◆5 三忘   👉ぶしのさんぼう。
武士が戦場に行くときに忘れなければならない三つのこと。命令を受けたら家を忘れ、戦場に臨んでは親や妻子を忘れ、戦いが始まったら我が身を忘れるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『史記-司馬穰苴伝』
サンボウ
1996 平気の【ヘイザ】 ◆5 平左   👉へいきのへいざ。
何があっても気にせず、少しも動じないこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★平気の平左衛門の略。平を重ねて人名めかした語呂合わせ。
*『書生気質〈坪内逍遙〉一四』
ヘイザ
1997 【ヘイシュウ】の情 ◆5 幷州 并州 👉へいしゅうのじょう。
やむをえず住んでいた土地も、いざ離れるとなると、生まれ故郷のように思われるということ。また、転じて、第二の故郷を懐かしく思う心情をいう。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「幷州」は、中国山西省太原(タイゲン)市の古い名称。
*『渡桑乾』
ヘイシュウ
1998 【ヘイチュウ】の氷を睹て天下の寒きを知る ◆5 瓶中   👉へいちゅうのこおりをみててんかのさむきをしる。
部分的な小さいことから全体の状態や動きを知ること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★かめの中の水が凍っているのを見て、冬がやってきたことを知る意から。
*『淮南子-説山訓』
ヘイチュウ
1999 【ヘイテイ】に付す ◆5 丙丁   👉へいていにふす。
焼き捨てること。火にくべること。とくに、秘密書類や人に見られたくない手紙などを焼くことを言う。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「丙丁」は、丙は十干(ジッカン)のひのえ、丁はひのと、どちらも五行の木・火・土・金・水の火にあたるので、火の意に用いる。
*『王守仁-復童克剛書』
ヘイテイ
2000 【ホウソ】の寿 ◆5 彭祖   👉ほうそのじゅ。
長寿のたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「彭祖」は、中国古代の伝説上の人で、長寿者の代表とされる。
*『列仙伝』
ホウソ
2001 【ホウテイ】牛を解く ◆5 庖丁   👉ほうていうしをとく。
妙技をほめることば。転じて、無理をしないで自然に任せること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「庖丁」は、中国古代の料理の名人。庖は料理人、丁はその人名。
*『荘子-養生主』
ホウテイ
2002 【ホ】を編む ◆5   👉ほをあむ。
苦学することのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蒲」は、がま。池や沼に生える。
★前漢の路温舒(ロウンジョ)が、少年時代に羊の番をしながら沼の蒲を編んで書冊を作り、字を書いたという故事による。
*『任ム-為蕭揚州薦士表』
2003 不善人と居るは鮑魚の【シ】に入るが如し ◆5   👉ふぜんにんとおるはほうぎょのしにいるがごとし。
塩漬けの魚を売る店にいると自然とその臭気にそまるように、悪人と一緒にいれば、悪に染まるようになる。朱に交われば赤くなる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鮑魚の肆」は、塩漬けの魚を売る店。
*『孔子家語-六本』
2004 【ホンショ】錐刃を懐けども天下勇と為す ◆5 賁諸   👉ほんしょすいじんをいだけどもてんかゆうとなす。
実力があれば、自然に世に知れ渡るというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「賁諸」は、中国古代の勇士、孟賁(モウホン)と専諸(センショ)。
★「錐刃」は、先のとがった小さい刀。
★孟賁と専諸のような勇士は、小さな刃物を懐の中に持っただけでも、天下の人が勇者と認める意。
*『戦国策-楚策・考烈王』
ホンショ
2005 【マンソウ】猶除くべからず ◆5 蔓草   👉まんそうなおのぞくべからず。
些細なことでも放っておくと、いずれ増長し、取り返しがつかなくなるというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蔓草」は、つる草。また、草が伸びること。
★つる草も、生えはびこってしまうと取り除くのが難しくなるということから。
*『春秋左伝-隠公元年』
マンソウ
2006 明者は遠く【ミボウ】に見、智者は危を無形に避く ◆5 未萌 未萠 👉めいしゃはとおくみぼうにみ、ちしゃはきをむけいにさく。
先見の明のある者は、事が起こる前にそれを察し、知者は危険を事前に察して避けるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「未萌」は、事件が起こる前。
*『司馬相如-上書諫猟』
ミボウ
2007 明珠【ケンジョウ】も未だ一言に若かず ◆5 兼乗   👉めいしゅけんじょうもいまだいちげんにしかず。
何台もの馬車に積んだ美しい玉も、真心を込めて言う諫(イサ)めのことばの尊さには及ばないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「兼乗」は、何台もの馬車。
*『新唐書-薛収伝』
ケンジョウ
2008 【メイタク】は声を以て自ら毀る ◆5 鳴鐸   👉めいたくはこえをもってみずからやぶる。
才能のある者が、その才能の為に身を滅ぼすことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「鐸」は、青銅製の大きな鈴。命令を発するときに鳴らす。
★鈴は音を出すため身を傷つけるという意から。
*『文子-上徳』
メイタク
2009 命を知る者は【ガンショウ】の下に立たず ◆5 巌牆 巌墻 👉めいをしるものはがんしょうのもとにたたず。
天命を知っている者は、自ら危険な所に身を置くようなことはしないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「巌牆」は、崩れかかった石垣や土塀。危険な地。
*『孟子-尽心・上』
ガンショウ
2010 綿綿を絶たずんば【マンマン】を如何せん ◆5 縵縵 蔓蔓 👉めんめんをたたずんばまんまんをいかんせん。
災いのもとになりそうなことは、小さいうちに処理しておかないと、あとで取り返しのつかないことになること。物事の処理は最初が大切であるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「綿綿」は、細く長いさま。
★「縵縵・蔓蔓」は、はびこり広がるさま。
★つる草は、細いうちに刈り取らないと、はびこってしまってからでは手がつけられないという意から。
*『戦国策-襄王』
マンマン
2011 賁諸【スイジン】を懐けども天下勇と為す ◆5 錐刃   👉ほんしょすいじんをいだけどもてんかゆうとなす。
実力があれば、自然に世に知れ渡るというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「賁諸」は、中国古代の勇士、孟賁(モウホン)と専諸(センショ)。
★「錐刃」は、先のとがった小さい刀。
★孟賁と専諸のような勇士は、小さな刃物を懐の中に持っただけでも、天下の人が勇者と認める意。
*『戦国策-楚策・考烈王』
スイジン
2012 黙に過言無く【カク】に過事無し ◆5   👉もくにかげんなくかくにかじなし。
何事もひかえめにすべきであるということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「愨」は、慎むこと。
★沈黙を守っていれば言い過ぎることもないし、行動を慎んでいれば出過ぎたこともしなくなるという意から。
*『説苑-説叢』
カク
2013 【モッコウ】の患い ◆5 木梗   👉もっこうのうれい。
旅先で事故に遭い、無事に故郷に帰れないのではないかという心配。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「木梗」は、木製の人形。
*『説苑-正諫』
モッコウ
2014 養って愛せざるは之を【シコウ】するなり ◆5 豕交   👉やしなってあいせざるはこれをしこうするなり。
人を養うのに、食べさせるだけで愛情をもって接しないのは、人を遇する道とは言えないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「豕交」は、豚扱いすること。豕は豚。
*『孟子-尽心・上』
シコウ
2015 【ユウモウ】の衣冠 ◆5 優孟   👉ゆうもうのいかん。
外形をたくみにまねること、他を模倣すること。また、似て非なるもののたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「優孟」は、中国春秋時代の楚の芸人。
★楚の宰相孫叔敖(ソンシュクゴウ)は清廉であったが、その死後、子孫は貧困に苦しんでいた。そこでかつて孫叔敖の世話になった優孟が孫叔敖と同じ衣冠をつけてそっくりに扮し、荘王にまみえて孫叔敖の業績とその子孫の不遇ぶりをうったえたので、反省した荘王は孫叔敖の子孫に領地を与えたという故事による。
*『史記-滑稽伝・優孟』
ユウモウ
2016 【ヨウキュウ】変せず ◆5 鷹鳩   👉ようきゅうへんせず。
そのものが持つ本性は、隠しようがないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★春には鷹も鳩のように穏和になるというが、その眼は鋭くて、鳩にはなりきれないということから。
*『世説新語-方正』
ヨウキュウ
2017 【ヨウユウ】に弓を言う ◆5 養由   👉ようゆうにゆみをいう。
無意味なこと、間が抜けていることのたとえ。釈迦に説法。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「養由」は、春秋時代の弓の名人。
★弓の名人に向かって弓の講釈をする意から。
*『俳諧・毛吹草-二』
ヨウユウ
2018 【ヨショ】の患い ◆5 予且   👉よしょのうれい。
高貴な身分の者が、身分の低い者に危害を受ける危険。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「予且」は、漁師の名。
*『説苑』
ヨショ
2019 鸞鳳【ショウ】に沖するは必ず羽翼を仮る ◆5   👉らんぽうしょうにちゅうするはかならずうよくをかる。
君主が良臣の協力に頼ることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「霄」は、空・天。
★「冲する」は、高くのぼる。
★「仮る」は、他の援助・協力を受ける。
★鸞鳥や鳳凰が空に高くのぼるには必ずつばさの力を借りなくてはならない意。
*『新唐書-馬周伝』
ショウ
2020 利の在る所皆【ホンショ】たり ◆5 賁諸   👉りのあるところみなほんしょたり。
利益になることには、人は誰でも勇敢になるものだということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「賁諸」は、代表的な勇者。賁は孟賁(モウホン:秦の力士)。諸は専諸(呉王を討った勇士)。
★人間は利益を前にすると、賁や諸のような勇者となって利益を得ようとする意から。
*『韓非子-内儲説・上』
ホンショ
2021 流水腐らず、戸枢【ロウ】せず ◆5   👉りゅうすいくさらず、こすうろうせず。
常に動いているものは、沈滞したり腐敗したりしないということ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「枢」は、開き戸を開閉するための軸となる装置。
★「螻」は、けら。ここでは広く虫のこと。
★流れる水は腐らず、いつも開閉する戸の枢(クルル)には虫がつかないという意から。
*『呂氏春秋-季春紀・尽数』
ロウ
2022 利を争うこと【ソウコウ】の如くにして其の掌を失う ◆5 蚤甲   👉りをあらそうことそうこうのごとくにしてそのたなごころをうしなう。
小さな利益に目を奪われて大きな利益を失うことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蚤甲」は、爪。小さなもののたとえ。
★爪のような小さな利益にこだわって、手の平のような大きな利益を失うという意から。
*『荀子-大略』
ソウコウ
2023 【レイサイ】一点通ず ◆5 霊犀   👉れいさいいってんつうず。
心と心が互いに通じ合うこと。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「霊犀」は、霊力を持っているとされる犀。
★霊犀の角には根元から先端まで白い筋が通じているといわれていることから。
*『李商隠-無題詩』
レイサイ
2024 吏たるに習わずば【イセイ】の事を視よ ◆5 已成   👉りたるにならわずばいせいのことをみよ。
役人として仕事にまだ熟達していない時は、先例を調べてそれにならうのがよい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「吏」は、役人・官吏。
★「已成」は、すでにできあがっていること、既成。
*『漢書-賈誼伝』
イセイ
2025 【ロウオウ】を奉じて焦釜に沃ぐ ◆5 漏甕   👉ろうおうをほうじてしょうふにそそぐ。
一刻を争う危急の場合には手段を選んではいられないということ。一刻を争うことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★水がもれるかめまで使って、こげている釜に水をかける意から。
*『史記-田敬仲完世家』
ロウオウ
2026 【ロクジ】に舟漕ぐ ◆5 陸地   👉ろくじにふねこぐ。
不可能なことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★陸で舟をこぐ意。
*『日本俚諺大全』
ロクジ
2027 【ロジ】未だ去らざるに馬事到来す ◆5 驢事   👉とじいまださらざるにばじとうらいす。
やりかけたことがまだ終わらないうちに、別のことが起こること。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「驢事」は、ロバに関すること。
★「馬事」は、馬に関すること。
*『五燈会元-七』
ロジ
2028 禍いは【センセン】より生ず ◆5 繊繊   👉わざわいはせんせんよりしょうず。
大きなわざわいも、きわめて小さな原因から起こる。わずかなことでも、おろそかにしてはならない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「繊繊」は、ごく小さい意。
*『荀子-大略』
センセン
2029 蓑を披て火を救い、【トク】を毀りて水を止む ◆5 👉みのをきてひをすくい、とくをやぶりてみずをとどむ。
災いをしずめようとして、かえって大きくするたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蓑・簑」は、わらなどを編んで作った雨具。火がつきやすい。
★「瀆」は、溝。小さな堀。
★蓑を着て火を消そうとしたり、溝を壊して水を止めようとすることから。
*『淮南子-説林訓』
トク
2030 【ケツイ】あること無し ◆5 孑遺   👉けついあることなし。
わずかの残りもない。一つも残っていない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「孑」は、あまる、のこす。
*『後漢書-列女伝・董祀妻』
ケツイ
2031 【コホ】の日を追うよう ◆5 夸父   👉こほのひをおうよう。
自分の力を考えずに大きな事をしようとすることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「夸父」は、中国の伝説上の人物。
★夸父が自分の力を考えずに太陽を追いかけて走り、ついに渇死したという伝説による。
*『列子-湯問』
コホ
2032 仏に【ネイ】す ◆5   👉ぶつにねいす。
仏道に溺れる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『新五代史-唐家人伝・二・劉氏』
ネイ
2033 【ロウ】として破るべからず ◆5   👉ろうとしてやぶるべからず。
確固として動ぜず、破ることができない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『韓愈-平淮西碑』
ロウ
2034 【ヨウチョウ】百日 ◆5 瘍疔   👉ようちょうひゃくにち。
瘍や疔はなかなか治りにくく、100日はかかるものと思わなくてはならない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瘍」も「疔」も悪性のはれもの。
*『日本俚諺大全』
ヨウチョウ
2035 【ヨウチ】に咲きし芙蓉 ◆5 瑶池 瑤池 👉ようちにさきしふよう。
清浄ですこしも俗塵の気のないさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瑶池」は、崑崙(コンロン)山中にあり神仙が住むという中国の伝説上の池。
★「芙蓉」は、蓮(ハス)。
*不明
ヨウチ
2036 善悪に従いて【キュウキュウ】あり ◆5 休咎   👉ぜんあくにしたがいてきゅうきゅうあり。
「善を行(オコ)えば則(スナワ)ち休徴(キュウチョウ)之(コレ)に報(ムク)い、悪(アク)を行えば則ち咎徴(キュウチョウ)之に随(シタガ)う」の略。善行にはよいしるしがあり、悪行には悪いしるしがあらわれる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「休徴」は、よいしるし。めでたいしるし。
★「咎徴」は、悪いしるし。悪い報い。
*不明』
キュウキュウ
2037 箕帚の【ショウ】 ◆5   👉きしゅうのしょう。
人の妻となることを謙遜していう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★ちりとりと、ほうきとをとる婢(ハシタメ)の意。
*『戦国策-楚策』
ショウ
2038 国家【コンラン】して忠臣あり ◆5 昏乱   👉こっかこんらんしてちゅうしんあり。
国が乱れ暗黒となってはじめて、忠義な臣下が人の耳目をひくようになる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『老子-一八』
コンラン
2039 大廈千間【ヤガ】八尺 ◆5 夜臥   👉たいかせんげんやがはっせき。
柱が千本も立つ大きな家に住んでも、人間ひとりが夜寝るときに占めるのは八尺の間にしか過ぎない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『和漢古諺-下』
ヤガ
2040 官は【カン】の成るに怠る ◆5   👉かんはかんのなるにおこたる。
初心を忘れぬようにせよ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「宦」は、宮仕え、官職。また「官」に同じ。
★役人は、役所の仕事に熟達してくると、なまけ心が生じる意。
*『説苑-敬慎』
カン
2041 【ジシ】臭きことを覚えず ◆5 自屎   👉じしくさきことをおぼえず。
自分の欠点には気づかないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★自分の糞便のにおいは気にならない意。
*『碧巖録-頌』
ジシ
2042 【コウハク】の傷み ◆5 巷伯   👉こうはくのいたみ。
讒言(ザンゲン)のために罪に落とされた者の悲しみ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「巷伯」は、古代中国の後宮をつかさどる長官。
★後宮の役人が不当な讒言にあって苦しみを訴えた詩による。
*『詩経-小雅・巷伯』
コウハク
2043 【キュウカ】花を生ぜず ◆5 旧柯   👉きゅうかはなをしょうぜず。
衰えたものが再び栄えることは無いというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★古い枝に花は咲かない意。
*『日葡辞書』
キュウカ
2044 【キョ】に付す ◆5   👉きょにふす。
火にくべて燃やす。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「炬」は、たいまつ、かがり火。
*『社会百面相〈内田魯庵〉附録』
キョ
2045 【エンリツ】の命 ◆5 爰立   👉えんりつのめい。
宰相の官を拝命すること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「爰」は、「ここに」と読む発語の助字。
*『書経-説命・上』
エンリツ
2046 【エイジョウ】の尾を見て咫尺の軀にあらざるを知る ◆5 盈丈   👉えいじょうのおをみてしせきのみにあらざるをしる。
物事は一部を知れば全体が予測できる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「盈」は、あまる意。
★「咫尺」は、短い意。
★一丈にあまるほどの尾を見れば、その体軀は決して小さくないことがわかる意。
*『抱朴子-詰鮑』
エイジョウ
2047 天篷【ギョコウ】石榴樹 ◆5 魚缸   👉てんぽうぎょこうせきりゅうじゅ。
どれも同じでかわりばえがしないこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「天篷」は、日おおい。
★「缸」は、瓶(カメ)。
★「石榴樹」は、柘榴(ザクロ)。
★北京市内では、どの家も日おおいをし、瓶に金魚を飼い、柘榴(ザクロ)と夾竹桃(キョウチクトウ)を植えているところからいう。
*『燕京歳時記-石榴・夾竹桃』
ギョコウ
2048 【テンポウ】魚缸石榴樹 ◆5 天篷   👉てんぽうぎょこうせきりゅうじゅ。
どれも同じでかわりばえがしないこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「天篷」は、日おおい。
★「缸」は、瓶(カメ)。
★「石榴樹」は、柘榴(ザクロ)。
★北京市内では、どの家も日おおいをし、瓶に金魚を飼い、柘榴(ザクロ)と夾竹桃(キョウチクトウ)を植えているところからいう。
*『燕京歳時記-石榴・夾竹桃』
テンポウ
2049 其の人を憎まば其の【ジョショ】を憎む ◆5 除胥   👉そのひとをにくまばそのじょしょをにくむ。
ある人を憎いと思うと、関係あるものすべてが憎く思われる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「除胥」は、下僕の意。
★ある人を憎むときは、その人の下僕までも憎いものである意。
*『太平御覧-羽族部・烏』
ジョショ
2050 青雲【シハク】の譏り ◆5 紫陌   👉せいうんしはくのそしり。
はるかに隔絶して気の合わないこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「紫陌」は、都の道路。都のちまた。
★天地を隔てたほどの譏りの意。
*『書言故事-八・恩例類』
シハク
2051 禿筆を【カ】する ◆5   👉とくひつをかする。
へたな文章を書く。自分の文章を謙遜していう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★穂先のすりへった筆に息を吹きかけて書く意。
*不明
2052 【イバ】の才 ◆5 倚馬   👉いばのさい。
文を作るのに敏捷なこと。卓絶した文才。文章の天才。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「倚馬」は、馬に寄りかかる。
★馬を引き寄せて人を待つ間に、万言の文章を作るほどのすぐれた文才の意。
*『呉融-霊池県見早梅詩』
イバ
2053 巧笑【セン】たり、美目盼(へん)たり ◆5   👉こうしょうせんたり、びもくへんたり。
美人をたたえていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「巧笑」は、愛らしい笑い。
★「倩」は、えくぼのある美しい口もと。
★「美目」は、美しい目。
★「盼」は、目がぱっちりとしていて美しいこと。
★えくぼのできる愛らしい笑顔、ぱっちりとした美しい目の意。
*『詩経-衛風・碩人』
セン
2054 【チュウコウ】の言 ◆5 中冓   👉ちゅうこうのげん。
男女が寝室でかわす睦言(ムツゴト)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「中冓」は、寝室の中。
*『詩経-鄘風・牆有茨』
チュウコウ
2055 賞は【エンキュウ】を論ぜず、罰は骨肉を論ぜず ◆5 冤仇 寃仇 👉しょうはえんきゅうをろんぜず、ばつはこつにくをろんぜず。
賞は恨みのある相手に対しても依怙贔屓(エコヒイキ)があってはならず、罰は肉親の間柄であっても、手かげんしてはいけない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
エンキュウ
2056 【コウチョウ】の節 ◆5 後凋 後彫 👉こうちょうのせつ。
苦難に動じることのない固い信念。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★他の草木がしぼみ落ちる寒さの中で、ひとり踏みとどまる松柏の節操の意。
*『諺語大辞典』
コウチョウ
2057 会うや柳因、別るるや【ジョカ】 ◆5 絮果   👉あうやりゅういん、わかるるやじょか。
人の巡り逢いや別離の因果の定めなさは、柳絮、すなわち風に吹かれるままに乱れ飛ぶ綿毛を持った柳の種子のようなものである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『滝口入道〈高山樗牛〉二三』
ジョカ
2058 【イチラツ】が済む ◆5 一埒   👉いちらつがすむ。
事件が解決する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『人情本・花の志満台-四・二四回』
イチラツ
2059 【イチレン】の肉を嘗めて一鑊(いっかく)の味を知る ◆5 一臠   👉いちれんのにくをなめていっかくのあじをしる。
一部分でもって全体を察知できることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「一臠の肉」は、一きれの肉。
★「鑊」は、肉を煮るなべ。
*『淮南子-説山訓』
イチレン
2060 【ウガイ】は秋の月 ◆5 有涯   👉うがいはあきのつき。
秋の月がともすると雲におおわれるように、この世の人は煩悩に迷わされやすい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「有涯」は、「有界」と同じで、生死流転を免れない世界。この世。
*『平家-灌頂・大原入』
ウガイ
2061 【ウウン】の陣 ◆5 烏雲   👉ううんのじん。
烏や雲が集まったり散ったりするような、出没変化の自由自在な陣立て。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『六韜-豹韜』
ウウン
2062 上見れば【ボウジ】無し ◆5 榜示   👉うえみればぼうじなし。
上を見ればきりがないから、適当なところで満足するのがよい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「榜示」は、境界標。
*不明
ボウジ
2063 魚のかかるは【カンジ】に由る ◆5 甘餌   👉うおのかかるはかんじによる。
人が名利につられて命を捨てることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★魚がうまい餌につられて釣り針にかかるところからいう。
*『晉書-段灼伝』
カンジ
2064 【ウコウ】門閭を高大にす ◆5 于公   👉うこうもんりょをこうだいにす。
陰徳を行なう者は、その子孫が栄える。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★于公は漢の宰相于定国の父で、長く裁判官をつとめており、彼の裁判はいつも公平だった。ある日彼の家の門がこわされたとき、修理してくれた村人に次のようにいった。「門を高く大きくして、四頭だての高い屋根の馬車がはいれるようにしなさい。私は裁判において陰徳を多く積んでおり、まだ一度も人に無実の罪をきせたことはないので、子孫には必ず家を興す者がでるだろうから」と。はたしてその子定国が宰相になったという故事による。
*『漢書-于定国伝』
ウコウ
2065 【ウンボウ】八九を吞む ◆5 雲夢   👉うんぼうはっくをのむ。
気宇の壮大であること、心の寛闊であることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「雲夢」は、中国古代の楚の国にあったといわれる七つの大沢のうちの一つ。七つの中では最も小さいがそれでも九百里四方もあり、中に珠玉林樹珍禽奇獣を生じる山や谷や川があって、こうしたものを八九もあわせ呑むほどの大きさだったという。
*『司馬相如-子虚賦』
ウンボウ
2066 越人の秦人の【ヒセキ】を視るが如し ◆5 肥瘠   👉えつじんのしんじんのひせきをみるがごとし。
自分に関係のないものは何とも思わないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「肥瘠」は、肥えていることとやせていること。
★越の人は、遠く離れている秦の人の肥瘠を見ても何とも思わないところからいう。
*『韓愈-諍臣論』
ヒセキ
2067 【カイジョウ】の露 ◆5 薤上   👉かいじょうのつゆ。
人の命のはかないことのたとえ。薤露。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★韮(ニラ)の葉の上に置いた露の意。
*『薤露歌』
カイジョウ
2068 【カツ】を投ず ◆5   👉かつをとうず。
強(シ)いて客を引きとめる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「轄」は、車輪を軸にとめるくさび。
★中国、漢代の陳遵が客を引きとめるために、客の乗ってきた車の轄(クサビ)を抜き取って井戸に捨てたという故事による。
*『漢書-游俠伝・陳遵』
カツ
2069 【カッカ】を枉げる ◆5 革靴   👉かっかをまげる。
身分の尊い人がわざわざ出向いていくこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『東京新繁昌記〈服部誠一〉三・新橋芸者』
カッカ
2070 良工は【クサク】の中に漸(なら)う ◆5 矩鑿   👉りょうこうはくさくのうちにならう。
良工は道具を使っているうちに腕をみがき、すぐれた技術を自然に身につけていくものだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「矩鑿」は、さしがねとのみ。
★「漸う」は、習うに同じ。
*『淮南子-繆称訓』
クサク
2071 【カホ】日を追う ◆5 夸父   👉かほひをおう。
自分の力量を超えた仕事にいどんで途中で挫折してしまうことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「夸父」は、中国の神人の名。
★夸父が太陽を追いかけているうちに、喉がかわいて倒れてしまうという伝説による。
*『列子-湯問』
カホ
2072 解脱【ドウソウ】の衣 ◆5 幢相   👉げだつどうそうのい。
袈裟(ケサ)の異称。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★袈裟は解脱を求める人が着るもので、着用すれば一切の邪想、束縛から解放されるところから解脱といい、また、その形状が仏塔などの幢(ハタボコ)に似ているところから幢相といった。
*『地蔵十輪経-四』
ドウソウ
2073 髪結いの【ランビン】 ◆5 乱鬢   👉かみゆいのらんびん。
自分の技術が他人のためにだけ用いられ、自身にまで手が回らないことのたとえ。髪結い髪結わず。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『俗諺集成』
ランビン
2074 大寒にして後【キュウ】を求む ◆5   👉だいかんにしてのちきゅうをもとむ。
事が起こってしまってから、にわかに騒ぎたてることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「裘」は、毛皮で作った衣服。
★寒さが厳しくなってから毛皮のころもを探し求める意。
*『揚子法言-巻七』
キュウ
2075 【カン】を通ず ◆5   👉かんをつうず。
親しく交わる。よしみを結ぶ。転じて、敵に内通する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「款」は、まごころ、まこと。
*不明
カン
2076 【カンキュウ】の幻 ◆5 漢宮   👉かんきゅうのまぼろし。
夢か現実かと、疑わしく思うことのたとえ。夢見心地ではっきりしないこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★中国、前漢の武帝が寵愛していた李夫人の霊魂を、方士によって呼び寄せたところ、その幻があらわれたという故事による。
*『漢書-外戚伝』
カンキュウ
2077 【カンコ】苔深くして鳥驚かず ◆5 諫鼓 諌鼓 👉かんここけふかくしてとりおどろかず。
天下太平のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「諫鼓」は、中国古代の聖天子が諫言しようとする人民に打ち鳴らさせるために、宮門外に設けたとされる鼓。
★君主が善政を施すので、諫鼓を用いる者もなく、鼓には苔むし、鳥もその音に驚くことがない意。
*『和漢朗詠-下・帝王』
カンコ
2078 【カンザン】の四鳥 ◆5 桓山   👉かんざんのしちょう。
親子の悲しい別れ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「桓山」は、中国江蘇省銅山県にある山。
★桓山に棲む鳥が、四羽の雛が生長して四方に飛びたつとき、泣き悲しんで送ったという故事による。
*『孔子家語-顔回』
カンザン
2079 渙然【ヒョウシャク】する ◆5 氷釈   👉かんぜんひょうしゃくする。
氷がとけるように疑問や迷いなどが解ける。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「渙然」は、疑問などが解けるさま。
*『杜預文-春秋左氏伝序』
ヒョウシャク
2080 【カンモウ】相済う ◆5 寛猛   👉かんもうあいすくう。
政治は、寛大と厳格とを組み合わせて、調和を保って行なうのがよい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「寛猛」は、寛大と厳格の意。
*『春秋左伝-昭公二〇年』
カンモウ
2081 気、【トギュウ】を貫く ◆5 斗牛   👉き、とぎゅうをつらぬく。
気力がみなぎりあふれていることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「斗牛」は、南天の星宿の斗と牛。
*『油地獄〈斎藤緑雨〉二』
トギュウ
2082 犠を畏れて【ヘイ】を辞す ◆5   👉ぎをおそれてへいをじす。
高い地位に就くことによって生ずる身の危険を恐れ、招聘(ショウヘイ)を辞退する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『荘子-列禦寇』
ヘイ
2083 【トウコウ】を開いて、以て賢人を延く ◆5 東閤   👉とうこうをひらいて、もってけんじんをひく。
普通の門のほかに、東の小門までも開いて、すなわち優遇して天下の賢者を迎え招いた。〈中国古典名言事典〉
★武帝の方針を助ける丞相(ジョウショウ)公孫弘(コウソンコウ)の施策。
*『十八史略-西漢・武帝』
トウコウ
2084 【キツリ】に山川を峙つ ◆5 橘裏   👉きつりにさんせんをそばだつ。
自分の趣味にとじこもることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『太平記-一・無礼講事』
キツリ
2085 【ボウシュ】の讐 ◆5 貿首   👉ぼうしゅのあだ。
互いに相手の首をねらうような恨みの深いかたき同士。不倶戴天の敵。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「貿首」は、首をとりかえること。
★「讐」は、かたき。
*『戦国策-楚策・懐王』
ボウシュ
2086 君は【ウ】の如く、民は水の如し ◆5   👉きみはうのごとく、たみはみずのごとし。
君主次第で民は四角にも円形にもなる。為政者の善悪の重要性を説いたことば。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「盂」は、鉢。
★君主は鉢のようなものであり、人民はその中に入る水のようなものである意。
*『韓非子-外儲説左上』
2087 【キュウシャ】竹馬の友 ◆5 鳩車   👉きゅうしゃちくばのとも。
いっしょに鳩車をいじったり、竹馬(タケウマ)に乗ったりして遊んだ幼い時からの友だち。おさなともだち。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鳩車」は、玩具の一つ。土で鳩の形をつくり、車をつけてひもで引くようにしたもの。はとぐるま。
*『滑稽本・浮世風呂-四・跋』
キュウシャ
2088 【ギュウゼン】を問う ◆5 牛喘   👉ぎゅうぜんをとう。
天下の政治を心にかける。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★中国、前漢の丙吉が宰相のとき、道で牛が喘ぐのを見て、気候が不順であることを憂えたという故事による。
*『漢書-丙吉伝』
ギュウゼン
2089 【キョウラン】は翼を交えず ◆5 梟鸞   👉きょうらんはつばさをまじえず。
君子と小人とは同じ所にいられないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「梟」は、フクロウで悪鳥。
★「鸞」は、鳳凰で神聖な鳥。
★梟(フクロウ)と霊鳥とはいっしょに住むことはない意。
*『弁命論』
キョウラン
2090 【ギョクシ】を挙ぐ ◆5 玉趾   👉ぎょくしをあぐ。
貴人が身を起こされる。思いたたれる。貴人の足労をいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『春秋左伝-僖公二六年』
ギョクシ
2091 【キンシツ】を執る ◆5 巾櫛   👉きんしつをとる。
人の妻、または妾になること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「巾櫛」は、手ぬぐいと櫛。
*『春秋左伝-僖公二二年』
キンシツ
2092 【キンセツ】貴しと雖も眼に入って翳となる ◆5 金屑   👉きんせつたっとしといえどもまなこにいってえいとなる。
貴いものでも、場合によっては、無価値どころか有害となる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「金屑」は、黄金の細かいくず。
★どんなに貴重なものでも、所を得なければ邪魔物でしかない意。
*『明暦刊本句双紙抄』
キンセツ
2093 金屑貴しと雖も眼に入って【エイ】となる ◆5   👉きんせつたっとしといえどもまなこにいってえいとなる。
貴いものでも、場合によっては、無価値どころか有害となる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「金屑」は、黄金の細かいくず。
★どんなに貴重なものでも、所を得なければ邪魔物でしかない意。
*『明暦刊本句双紙抄』
エイ
2094 虎【グウ】を負う ◆5   👉とらぐうをおう。
英雄が一方に割拠して威力を示すことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「嵎」は、山の折れ曲がった、山ふところのような所。
★虎が山ふところを背にして身構える意。
*『孟子-尽心・下』
グウ
2095 【グウ】断えて糸連なる ◆5   👉ぐうたえていとつらなる。
外見はたえているようで、内実は連続していること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「藕」は、蓮(ハス)。
★蓮の茎は、折れても中の筋(スジ)がつながっているところからいう。
*『孟郊-去婦』
グウ
2096 君子【トクキョウ】にして天下平らかなり ◆5 篤恭   👉くんしとくきょうにしててんかたいらかなり。
在位の君主が人情にあつく、つつしみぶかければ、天下は安らかに治まる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「君子」は、君主・主君。
*『礼記-中庸』
トクキョウ
2097 君子は【キョウ】にして争わず、群にして党せず ◆5   👉くんしはきょうにしてあらそわず、ぐんにしてとうせず。
君子は謹厳であって人と争うことはしないし、大衆の中にあっても一党一派に属するようなことはしない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『論語-衛霊公』
キョウ
2098 【グンシツ】褌中に処る ◆5 群蝨 群虱 👉ぐんしつこんちゅうにおる。
たくさんのしらみがふんどしの中に巣くっているように、俗人が自己の世界に安住していることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『晉書-阮籍伝』
グンシツ
2099 群蝨【コンチュウ】に処る ◆5 褌中   👉ぐんしつこんちゅうにおる。
たくさんのしらみがふんどしの中に巣くっているように、俗人が自己の世界に安住していることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『晉書-阮籍伝』
コンチュウ
2100 (けい)は【イ】を以て濁る ◆5   👉けいはいをもってにごる。
美人がそばにいると、醜女のみにくさが目立つことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★水は渭水と別々に流れている間は、その濁っているのがわからないが、合流してみるとよくわかるという意。
*『詩経-邶風・谷風』
2101 【ケイコウ】の字を解くが如し ◆5 荊公 荆公 👉けいこうのじをとくがごとし。
自分勝手な解釈を下すことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★宋の荊公(王安石)は、文字の意味を解くことが好きで、人と問答をしては楽しんでいた。ある時、蘇東坡(蘇軾)が荊公に波という字の意味をたずねると、荊公は水の皮であると答えた。すると東坡は、では滑という字は水の骨かとやり返したという故事による。
*『鶴林玉露-三』
ケイコウ
2102 【ケイジン】弱草に棲む ◆5 軽塵   👉けいじんじゃくそうにすむ。
人生のむなしくはかないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★ちりが若草の上に薄くつもっている意。
*『李康-遊山九吟序』
ケイジン
2103 【ケイタイ】の君 ◆5 継体   👉けいたいのきみ。
天子の位を受け継ぐ者。世継ぎの王子。皇太子。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『平家-三・法皇被流』
ケイタイ
2104 【ケイチュウ】に威儀なし ◆5 閨中   👉けいちゅうにいぎなし。
夫婦の寝室には、礼儀や作法などはない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『日本俚諺大全』
ケイチュウ
2105 【ケイヨウ】激して影唇を動かす ◆5 軽漾   👉けいようげきしてかげくちびるをうごかす。
花と水が何かを語り合っているように見えるさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「軽漾」は、軽い波。さざ波。
★水に映った花の影は、波が立つとくちびるを動かすように見える意。
*『和漢朗詠-上・花』
ケイヨウ
2106 【ゲキダン】して諱む無し ◆5 撃断   👉げきだんしていむなし。
みだりに刑罰を科してはばかるところを知らない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「撃断」は、法律を思うままに適用して処分すること。
*『史記-范雎伝』
ゲキダン
2107 【ソッケツ】の官 ◆5 則闕 即闕 👉そっけつのかん。
太政大臣(ダイジョウダイジン)の異称。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『養老令-職員令』
ソッケツ
2108 鳳鳴いて【シ】翰(はばた)きす ◆5   👉ほうないてしはばたきす。
口では鳳凰の鳴き声のように立派なことを言って、行いでは悪鳥鷙のはばたきのような悪事を働く。〈中国古典名言事典〉
*『法言-淵騫』
2109 【セキフ】の別れ ◆5 隻鳧 隻鳬 👉せきふのわかれ。
親しい人と別れて一人行くことのたとえ。親しい人との惜別の情にいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「隻鳧」は、つがいであったのがはぐれて一羽となった鴨。
*『俳諧・奥の細道-山中』
セキフ
2110 【ケン】を負う ◆5   👉けんをおう。
日なたに出て、日光にあたる。またそうすることの楽しみ。特に貧しい者が貧しさの中に持つささやかな楽しみのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「暄」は、気候などがあたたかいこと。
*『列子-楊朱』
ケン
2111 権は【リョウソ】せず政は二門せず ◆5 両錯   👉けんはりょうそせずせいはじもんせず。
権力の中心を君と臣の両方に置いたり、政務に命令系統を二つ定めたりしては、国家は成り立たない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「両錯」は、二つ置くこと。
*『説苑-君道』
リョウソ
2112 【ケンシャ】の年 ◆5 懸車   👉けんしゃのとし。
官位を退職する年齢。七十歳のこと。致仕。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「懸車」は、中国前漢の薛広徳が官を辞職したとき、天子から賜わった車を高く懸け子孫に伝えたという故事による語。
*『漢書-薛広徳伝』
ケンシャ
2113 【ケンヌ】は必ず無礼なり、驕る子は必ず不孝なり ◆5 健奴   👉けんぬはかならずぶれいなり、おごるこはかならずふこうなり。
元気にはやる召使いは必ず礼儀にはずれたことをし、わがままにふるまい、ぜいたくを好む子は必ず親に不孝なことをする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『金言童子教』
ケンヌ
2114 【コ】を破り、雕を斲(けず)る ◆5   👉こをやぶり、ちょうをけずる。
刑罰をゆるく、繁雑な法律を簡単にし、風俗を質実にすることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「觚」は、儀式に用いる胴の四角いさかずき。
★「雕」は、絵や文字を彫ったもの。彫刻。
★「斲」は、けずり去る。
★方形の杯を廃止して普通の円形のものを用い、華美な彫刻をけずりとって簡素にする意。
*『史記-酷吏伝序』
2115 【コウ】は明を以て焚かる ◆5   👉こうはめいをもってたかる。
才能ある者は、その才能のゆえに災いを招くというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「膏」は、動物からとったあぶら。
★油は燃えやすく、燃えるとまわりが明るくなることから焚かれる意。
*『漢書-龔勝伝』
コウ
2116 【コウ】を折き落を振るう ◆5   👉こうをくじきらくをふるう。
きわめてかんたんなことを行なうたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「槁」は、枯れ木。
★「落」は、落葉。
★枯れ木を折り、落ち葉をはらう意。
*『淮南子-人間訓』
コウ
2117 【コウガン】師と為る ◆5 抗顔   👉こうがんしとなる。
物知り顔をして、臆面もなく先生と称してふるまう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「抗顔」は、顔を高く上げ、恐れないさま。
*『柳宗元-答韋中立論師道書』
コウガン
2118 【コウザン】の雲を開く ◆5 衡山   👉こうざんのくもをひらく。
まごころが天に通じることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「衡山」は、中国湖南省中部にある名山で、五岳の一つ。
★唐の詩人、韓愈(カンユ)が衡岳廟に来たとき、衡山は陰気な雲と霧に包まれていたが、正直な心で念ずると見る間に雲が消えていき、衆峰がその姿をあらわしたという故事による。
*『韓愈-謁衡嶽廟遂宿嶽寺題門楼詩』
コウザン
2119 【コウシ】を説く ◆5 項斯   👉こうしをとく。
先輩が後輩をひきたてて、その才能や人柄を他に吹聴すること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「項斯」は、中国、唐の詩人。字は子遷、生没年不詳。
★楊敬之(ヨウケイシ)が、まだ無名であった項斯の詩と人格に感服して、これをたたえる詩をつくり、会う人ごとに項斯のことを話したため、王宮にまでその評判が及んだという故事による。
*『唐詩紀事-項斯』
コウシ
2120 【コウセン】の本意 ◆5 勾践   👉こうせんのほんい。
長年にわたって片時も忘れずにいだき続けてきた復讐(フクシュウ)への意志。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「勾践」は、中国、春秋時代の越の王。
★呉王闔閭(コウリョ)を敗死させたが、その子夫差(フサ)と会稽(カイケイ)山で戦って敗れ、のち名臣范蠡(ハンレイ)と謀って、呉を滅ぼした故事による。
*『謡曲・舟弁慶』
コウセン
2121 【コウロウ】を経る ◆5 劫臈
劫臘
👉こうろうをへる。
年数を経る。年功を積んで巧みになる。転じて、古くなって妖気がただよう感じがする。年をとって、あやしく古びてくる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「劫擂劫臘」は、長い年月。また、長年の習練。年功。
*『俚言集覧』
コウロウ
2122 【コジャク】の空 ◆5 枯寂   👉こじゃくのくう。
何物をも創成しない空虚。仏教でいう、いわゆる空。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「枯寂」は、淡々としてものしずかなこと。ものさびしいさま。
*『大塩平八郎〈森鷗外〉七』
コジャク
2123 【コゼン】を引き損ねる ◆5 虎髥 虎髯 👉こぜんをひきそこねる。
冒険に失敗し身をあやうくすることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★虎のひげを引き抜こうとして失敗し、その眠りをさます意。
*『読本・南総里見八犬伝-八・八四回』
コゼン
2124 【ザッショウ】を構える ◆5 雑餉 襍餉 👉ざっしょうをかまえる。
酒食を出して人をもてなす。また、引き出物や贈り物をする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「雑餉」は、人をもてなすための酒や食べ物。
*『寛永刊本蒙求抄-二』
ザッショウ
2125 三寸【フラン】の舌 ◆5 不爛   👉さんずんふらんのした。
滑らかでよくまわる舌。雄弁。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『三国志演義・第四二回』
フラン
2126 いにしえ【キョゲン】無し ◆5 虚諺   👉いにしえきょげんなし。
昔からのことわざにうそはない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『韓非子-姦劫弑臣』
キョゲン
2127 山筆【カイケン】にも及び難し ◆5 海硯   👉さんぴつかいけんにもおよびがたし。
書き表わしきれない。表現しきれない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「山筆海硯」は、山のような筆、海のような硯(スズリ)の意で、文章の限りを尽くすこと。
*『日葡辞書』
カイケン
2128 子と【ホウ】を同じくせん ◆5   👉しとほうをおなじくせん。
一枚の綿入れの着物をきみと仲間で使おう。転じて、友人どうし互いに親しみ、困難を共にしよう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「子」は、第二人称の代名詞。あなた、きみ。
★「袍」は、綿入れの着物。
*『詩経-秦風・無衣』
ホウ
2129 磁石は【キョクシン】を受けず ◆5 曲鍼   👉じしゃくはきょくしんをうけず。
清廉な人は、不正をうけいれず、潔白に身を処しつづけることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「曲鍼」は、曲がった針。
★磁石は曲がった針を吸いつけない意。
類:琥珀は腐芥を取らず
*不明
キョクシン
2130 【シャイ】路に塞がる ◆5 赭衣   👉しゃいみちにふさがる。
罪人の多いこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「赭衣」は、罪人の着る赤い着物。
*『漢書-刑法志』
シャイ
2131 【シュウコウ】が手を出だし斑狼が涙 ◆5 愁猴   👉しゅうこうがてをいだしはんろうがなみだ。
尽きないなごりを惜しむさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「愁猴」は、悲しげな猿。
★「斑狼」は、まだらの狼。
*『光悦本謡曲・富士太鼓』
シュウコウ
2132 姑に【セッポウ】なし ◆5 拙縫   👉しゅうとめにせっぽうなし。
姑が自分が若かった時のことを得意げにいうさま。姑の十七見た者がない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★嫁の縫い物にけちをつける姑は、自分ではまずい縫い物などしたことがないような言い方をするという意。
*不明
セッポウ
2133 書を読むには須く熟読すべし、菜根は須く【サイシャク】すべし ◆5 細嚼   👉しょをよむにはすべからくじゅくどくすべし、さいこんはすべからくさいしゃくすべし。
読書は熟読することが大切であり、野菜の根は細かく嚙んで味わって食べるべきである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「菜根」は、野菜の根。
★「細嚼」は、こまかく嚙みくだくこと。
*『金言童子教』
サイシャク
2134 屠門を過ぎて【タイシャク】す ◆5 大嚼   👉ともんをすぎてたいしゃくす。
肉を食べなくてもそれで心持ちを満足させる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★肉を切って売る家の前を通ると、口を大きく開いて嚙むまねをする意。
*『曹植-与呉季重書』
タイシャク
2135 【トモン】を過ぎて大嚼す ◆5 屠門   👉ともんをすぎてたいしゃくす。
肉を食べなくてもそれで心持ちを満足させる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★肉を切って売る家の前を通ると、口を大きく開いて嚙むまねをする意。
*『曹植-与呉季重書』
トモン
2136 【ショウ】を負いて立つ ◆5 👉しょうをおいてたつ。
弟子が師に対する質問を終えて、今までいた自分の席を他の弟子にゆずること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「牆」は、かき、または壁。
★壁を背にして立つ意。
*『礼記-孔子間居』
ショウ
2137 【ショクスン】の詩 ◆5 燭寸   👉しょくすんのし。
詩作の早さを競わせるため、ろうそくがわずか一寸燃える間に詩を作らせること。また、その詩。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『南史-王僧孺伝』
ショクスン
2138 【シラチ】を分ける ◆5 仕埒   👉しらちをわける。
理非・曲直をはっきりさせる。事の正否を明らかにする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『人情本・春秋二季種-四・二二回』
シラチ
2139 【ジリョウ】の闘い ◆5 二竜   👉じりょうのたたかい。
仲裁の不可能な争いのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★二匹の竜の戦いの意。
*『本朝俚諺-七』
ジリョウ
2140 城【コウ】に復る ◆5   👉しろこうにかえる。
太平の世が衰えて平和も乱れ戦争が起こりそうなことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「隍」は、城の外のからぼり。
★堀を掘った土で築いた城がくずれて、元の堀を埋める意。
*『易経-泰卦』
コウ
2141 焦螟【ブンショウ】に集まる ◆5 蚊睫   👉しょうめいぶんしょうにあつまる。
人類が互い争うことを達観すれば、あたかも焦螟が蚊のまつげに集まって相触れるようなもので、きわめて小さく論じるに足りないこと。〈新大字典〉
★「焦螟」は、蚊のまつげに巣を作るというきわめて小さい虫。
*不明
ブンショウ
2142 【ショウメイ】蚊睫に集まる ◆5 焦螟   👉しょうめいぶんしょうにあつまる。
人類が互い争うことを達観すれば、あたかも焦螟が蚊のまつげに集まって相触れるようなもので、きわめて小さく論じるに足りないこと。〈新大字典〉
★「焦螟」は、蚊のまつげに巣を作るというきわめて小さい虫。
*不明
ショウメイ
2143 【クンプ】の余 ◆5 燻腐 熏腐 👉くんぷのよ。
宦官(カンガン)のこと。〈新大字典〉
*不明
クンプ
2144 【キョクボク】の聴 ◆5 棘木   👉きょくぼくのちょう。
罪状を問いただすこと。〈新大字典〉
*不明
キョクボク
2145 棟折れ【スイ】崩る ◆5   👉とうおれすいくずる。
上官がつまずくときは部下も倒れるたとえ。〈新大字典〉
★棟木(ムナギ)が折れればたつきもくずれる意。
*不明
スイ
2146 【シンシン】の好 ◆5 晋秦   👉しんしんのよしみ。
仲間としてのかたい結びつき。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★中国の春秋時代、晉の献公の次子重耳(チョウジ)が、継母驪姫(リキ)の讒言(ザンゲン)を恐れて秦にのがれていたとき、秦の穆(ボク)公はこれを厚遇し、兵を動かして重耳を晋に送り返し、遂に公位に就かせて文公としたという故事による。
*『春秋左伝-僖公二三年』
シンシン
2147 【シンル】に順う者は帷幕を成す ◆5 針縷   👉しんるにしたがうものはいばくをなす。
小さなものも集まればやがて大きなものになるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★針仕事を業とする者が、ついには大きな幕を縫い上げる意。
*『説苑-政理』
シンル
2148 痛処に【シンスイ】を下す ◆5 針錐   👉つうしょにしんすいをくだす。
人の欠点を鋭く指摘して戒めることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★腫れ物などの痛いところに針や錐(キリ)を立てる意。
*『句双紙』
シンスイ
2149 離朱の明は【シンマツ】を百歩の外に察すれども淵中の魚を見る能わず ◆5 箴末   👉りしゅのめいはしんまつをひゃっぽのそとにさっすれどもえんちゅうのうおをみるあたわず。
物事の深遠な道理はどんな賢人でもなかなか窮められないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「箴」は、針。
★離朱のすぐれた視力は百歩離れたところから針の先を識別することはできても、淵に沈む魚の姿を見ることはできない意。
*『淮南子-原道訓』
シンマツ
2150 【ゼン】を杜じ、萌を防ぐ ◆5   👉ぜんをとじ、ぼうをふせぐ。
すべて事の始めにあたって防ぐ。〈中国古典名言事典〉
★「漸」は、事のきざし。
★「萌」は、芽生え。漸ともに事の始めにたとえる。
*『後漢書-丁鴻伝』
ゼン
2151 其の【フ】に考訊して出さば則ち怨靖からん ◆5   👉そのふにこうじんしていださばすなわちえんやすからん。
多数の意見を尊重すれば人心の和が保たれること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「阜」は、多い。
★「考訊」は、問いはかること。
★多数の意見を尋ね相談した後で出兵するならば、内部の怨みは安らぐことだろうという意。范文子(ハンブンシ)が、晋の出兵をいさめて言ったことば。
*『国語-晉語六』
2152 青蠅も【スイキョク】を穢す能わず ◆5 垂棘   👉せいようもすいきょくをけがすあたわず。
よこしまな論で正しい道理をまげることはできないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「垂棘」は、昔、中国で名玉を産した土地の名。転じて、名玉のこと。
★きたないアオバエも名玉を汚すことはできない意。
*『王褒-四子講徳論』
スイキョク
2153 千金の子【ドウスイ】に坐せず ◆5 堂陲   👉せんきんのこどうすいにざせず。
金持ちの子は、からだが大切なので軽率な行動をしない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「千金の子」は、金持ちの家の子。
★「堂陲」は、堂の端。
★金持ちの子は、落ちてけがをすることをおそれて堂の端近くにすわらない意。
*『史記-袁盎伝』
ドウスイ
2154 楓葉衰えて【ロキツ】花開く ◆5 盧橘   👉ふうようおとろえてろきつはなひらく。
秋から冬への季節の移り変わり。また、衰えるものがあれば一方では栄えるものがあるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「楓葉」は、紅葉した楓(カエデ)の葉。
★「盧橘」は、金柑(キンカン)の異名。
*『戴叔倫-湘南即事詩』
ロキツ
2155 【ヘンポウ】の急 ◆5 辺烽   👉へんぽうのきゅう。
辺地の急変、敵の来襲などを知らせる至急の報。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「辺烽」は、辺地にあって常に備えておく合図ののろし。
*『除悱-白馬篇』
ヘンポウ
2156 制を【タ】む ◆5   👉せいをたむ。
天子の詔勅であるといって人をいつわる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「矯む」は、いつわる。
*『漢書-高五王伝』
2157 【テイソク】の勢い ◆5 鼎足   👉ていそくのいきおい。
鼎(カナエ)の足のように、三者が向かい合って立つ形勢。三方に割拠して対立する形勢。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『史記-淮陰侯伝』
テイソク
2158 【ソテキ】の誓い ◆5 祖逖   👉そてきのちかい。
再び生還しないという誓い。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★中国、晉の祖逖が後趙の石勒(セキロク)を討とうとして、揚子江を渡るとき、中原を清めることができなければ生還しないと誓った故事による。
*『晉書-祖逖伝』
ソテキ
2159 【トセイ】は畝を同じくせず ◆5 荼薺   👉とせいはうねをおなじくせず。
にが菜と甘菜は、同じ畑には植えない。君子を甘菜、小人をにが菜にたとえて、君子は小人と共に同じ朝廷に仕えることはできないというたとえ。また、善人と悪人はいっしょにいるべきではないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「荼」は、にがい菜。
★「薺」は、甘い菜。
*『楚辞-九章・悲回風』
トセイ
2160 【ソセイ】の先鞭 ◆5 祖生   👉そせいのせんべん。
人より先に馬に鞭打って、さきがけの功名をする祖生の故事。すべて人に先んじて着手すること。〈中国古典名言事典〉
*『晋書-劉琨伝』
ソセイ
2161 【ロウ】寿の二つを積む ◆5
👉ろうじゅのふたつをつむ。
年功と長寿の二つを積む。名実ともに長老となる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『譬喩尽-四』
ロウ
2162 無常の【セッキ】 ◆5 刹鬼 殺鬼 👉むじょうのせっき。
人の命を奪うこの世の無常。恐ろしい鬼にたとえていう。死。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『法句譬喩経-一』
セッキ
2163 【カイセツ】の袖 ◆5 回雪 廻雪 👉かいせつのそで。
巧みに舞って、風に舞う雪のようにひらひらと翻す袖。また、そのような舞いぶり。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『曹植-洛神賦』
カイセツ
2164 婦に長舌あるは維【レイ】の階 ◆5   👉ふにちょうぜつあるはこれれいのかい。
婦女のおしゃべりは天下の乱やわざわいを生ずるもとである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「氏vは、乱やわざわい。
★「階」は、階梯。
*『朱子語録-論語・里仁・子曰参乎』
レイ
2165 麻矢は直く【ホウセン】は曲がれり ◆5 蓬箭   👉ましはなおくほうせんはまがれり。
物には、それぞれ本質的に真っ直ぐなものと曲がったものとがある。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★麻で矢を作ればその矢は真っ直ぐであり、よもぎで矢を作れば曲がった矢となる意。
*『譬喩尽-五』
ホウセン
2166 【センキョウ】の楽しみ ◆5 遷喬   👉せんきょうのたのしみ。
高い地位に昇進したり、よい方向に転じたりする楽しみ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「遷喬」は、鶯(ウグイス)が、谷から出て喬木(キョウボク)に移りすむこと。転じて、高い地位に昇進したり、よい方向に転じたりすることのたとえ。遷鶯(センオウ)。
*『柳宗元-奉寄澧州張員外使君』
センキョウ
2167 民【ソラン】の情を懐けば七歳蝗損に遇う ◆5 疎懶   👉たみそらんのじょうをいだけばしっせいこうそんにあう。
人々が熱心に働かないようになると、天はこれを罰して七年の間虫に農作物を荒らさせる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「疎懶」は、ものぐさ、なげやり。
★「蝗損」は、虫害。
*『譬喩尽-三』
ソラン
2168 民疎懶の情を懐けば七歳【コウソン】に遇う ◆5 蝗損   👉たみそらんのじょうをいだけばしっせいこうそんにあう。
人々が熱心に働かないようになると、天はこれを罰して七年の間虫に農作物を荒らさせる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「疎懶」は、ものぐさ、なげやり。
★「蝗損」は、虫害。
*『譬喩尽-三』
コウソン
2169 薪を均して火を施せば火は【ソウ】に就く ◆5   👉たきぎをならしてひをほどこせばひはそうにつく。
関連する物事は互いに引き付け合うというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★薪をひとしく並べて火をつけると、火は必ず乾燥しているものに燃えつく意。
*『荀子-大略』
ソウ
2170 【ソウラン】茂らんと欲し秋風之を敗る ◆5 叢蘭 草蘭 👉そうらんしげらんとほっししゅうふうこれをやぶる。
立派な人物が小人の画策に邪魔されてその徳を発揮できないことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「叢蘭・草蘭」は、蘭の群生。
★芳香を放つ蘭の群生は繁茂しようとするが、冷たい秋風によって葉を破られてしまう意。
*『帝範-去讒』
ソウラン
2171 【ビ】を逐うの狗は当に兎を顧みるべけんや ◆5   👉びをおうのいぬはまさにうさぎをかえりみるべけんや。
大利を求める者は、小利を顧みないたとえ。〈中国古典名言事典〉
★大きな鹿を追っている犬が、今更小さい兎を顧みるものですかという意。
*『漢書-外戚伝』
2172 【チンソウ】蛙を産す ◆5 沈竈 沈竃 👉ちんそうあをさんす。
ひどい洪水のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★かまどが水中に没して、そこから蛙が生まれる意。
*『国語-晋語九』
チンソウ
2173 銭財積まざれば則ち【タンシャ】憂う ◆5 貪者   👉せんざいつまざればすなわちたんしゃうれう。
欲の強い人が、欲にふりまわされて自分自身を見失うこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「貪者」は、欲ばり。
★強欲な者は財産が蓄えられないと不安である意。
*『荘子-徐無鬼』
タンシャ
2174 【カゾク】防ぎ難し ◆5 家賊   👉かぞくふせぎがたし。
家族の中に盗みをする者がいる場合は、防ぎようがない。転じて、心のうちにひそむ悪は改めることが難しい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『天草版金句集』
カゾク
2175 【コシン】の弥陀 ◆5 己心 己身 👉こしんのみだ。
自分の心の中にある阿弥陀如来。阿弥陀如来は極楽浄土にあるのではなくて、自分の心の中にあることをいう。唯心の浄土。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『謡曲・実盛』
コシン
2176 【メイダ】千里の足 ◆5 明駝   👉めいだせんりのあし。
足の速いこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「明駝」は、足の速いラクダで、足を屈めて臥しても腹が地につかず、向こう側の明かりがもれるからとも、目の下に毛があって、夜も明るく見えるからともいう。
*『酉陽雑俎-広動植・毛篇』
メイダ
2177 【モンタイ】が無い ◆5 紋体   👉もんたいがない。
形が整わないし、道理にも合わない。正体がない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「紋体」は、整った形。正体。
*『舞正語磨-中・道成寺』
モンタイ
2178 人は花実【タイタイ】 ◆5 対対   👉ひとはかじつたいたい。
人は道理と人情を兼ね備えているのがよい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「対対」は、対等であること。五分五分。
★人は花(外観)・実(内容)ともにすぐれていることが望ましい意。
*『浄瑠璃・歌枕棣棠花合戦-四』
タイタイ
2179 月に【イッケイ】を攘み以て来年を待つ ◆5 一鶏   👉つきにいっけいをぬすみもってらいねんをまつ。
悪事と知りながら、すぐにはやめず、何かと理由をつけて先に延ばそうとすることのたとえ。悪いと知ったなら、それを改めるに憚ることなく、すぐ実行すべきだという戒めにいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★隣家の鶏を毎日盗む者に、悪事をやめるように言ったところ、これからは月に一羽にして、来年になったらすっかりやめると答えたという故事による。
*『孟子-滕文公・下』
イッケイ
2180 燕石を裹み、【ゲンポ】を履み、魚目を帯びて漲海に遊ぶ ◆5 玄圃   👉えんせきをつつみ、げんぽをふみ、ぎょもくをおびてちょうかいにあそぶ。
自慢してかえって恥をかくことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「玄圃」は、崑崙(コンロン)山上にあるという仙人の居所。
★「漲海」は、南海のこと。すなわち宝石や真珠の本場。
★燕石や魚の目を宝と思いこんで、本物の宝石や珠玉が多い所へ持っていって自慢すること。
*『太平御覧-地部十六・石上』
ゲンポ
2181 燕石を裹み、玄圃を履み、魚目を帯びて【チョウカイ】に遊ぶ ◆5 漲海   👉えんせきをつつみ、げんぽをふみ、ぎょもくをおびてちょうかいにあそぶ。
自慢してかえって恥をかくことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「玄圃」は、崑崙(コンロン)山上にあるという仙人の居所。
★「漲海」は、南海のこと。すなわち宝石や真珠の本場。
★燕石や魚の目を宝と思いこんで、本物の宝石や珠玉が多い所へ持っていって自慢すること。
*『太平御覧-地部十六・石上』
チョウカイ
2182 一貧一富乃ち【コウタイ】を知る ◆5 交態   👉いっぴんいっぷすなわちこうたいをしる。
人は、人生の転変によって、世間の人々の交際のありさまを知る。一死一生乃ち交情を知る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『諺語大辞典』
コウタイ
2183 【エンガン】代わって飛ぶ ◆5 燕雁 燕鴈 👉えんがんかわってとぶ。
人と人とが互いに会うこともなくすれちがうことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★ツバメと雁の飛来する季節が入れ代わりになる意。
*『淮南子-地形訓』
エンガン
2184 【エンダイ】の召し ◆5 燕台   👉えんだいのめし。
君王に手厚く遇せられること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★中国、春秋戦国時代の燕の昭王が台を築いて賢者を遇したという故事による。
*『李白-江上答崔宣城』
エンダイ
2185 盲人【カツバ】に騎りて夜半に深池に臨む ◆5 瞎馬   👉もうじんかつばにのりてやはんにしんちにのぞむ。
きわめて危険なことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「瞎馬」は、片目の馬。
★盲人が片目の馬に乗って夜中に深い池のそばを行く意。
*『世説新語-排調』
カツバ
2186 【ハンドク】が愚痴も文殊の知恵 ◆5 槃特   👉はんどくがぐちももんじゅのちえ。
仏教の前には知者も愚者も同じで、愚者も修行すれば知者と同じく悟りを得られる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『謡曲・卒都婆小町』
ハンドク
2187 【キチク】の交わり ◆5 騎竹   👉きちくのまじわり。
幼いころからの交友。竹馬(チクバ)の交わり。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
類:竹馬の交わり
*不明
キチク
2188 【チクシュウ】の臣 ◆5 畜聚 蓄聚 👉ちくしゅうのしん。
倹約をして人を愛し、人の善言を受け入れ、民衆を集め養うりっぱな家臣。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『礼記-楽記』
チクシュウ
2189 高材【シッソク】の者 ◆5 疾足   👉こうざいしつそくのもの。
すぐれた働きのある人をいう。〈中国古典名言事典〉
★「高材」は、すぐれた才能のこと。
★「疾足」は、足が速い意。
★秦が政権を失ったことを鹿を失ったことにたとえ、その後、群雄の政権を争うことを逐鹿にたとえたから、優れた人才を疾足の者としたのである。
*『史記-淮陰侯伝』
シッソク
2190 【メンヨ】は忠にあらず ◆5 面誉   👉めんよはちゅうにあらず。
その人の面前でほめるような者は心に誠がない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『大戴礼-文王官人』
メンヨ
2191 介冑【ギシツ】を生ず ◆5 蟻蝨 蟻虱 👉かいちゅうぎしつをしょうず。
戦乱が長く続くこと。介冑蟣蝨(キシツ)を生ず。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★甲冑に虱がわく意。
*『諺語大辞典』
ギシツ
2192 【カイチュウ】蟻蝨を生ず ◆5 介冑   👉かいちゅうぎしつをしょうず。
戦乱が長く続くこと。介冑蟣蝨(キシツ)を生ず。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★甲冑に虱がわく意。
*『諺語大辞典』
カイチュウ
2193 服の【チュウ】ならざるは身の災いなり ◆5   👉ふくのちゅうならざるはみのわざわいなり。
服装がふつりあいなのは、身に災いを招くもとである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「衷」は、かなう、つりあうこと。
*『春秋左伝-僖公二四年』
チュウ
2194 百服の【ホンピ】 ◆5 本非   👉ひゃっぷくのほんぴ。
いろいろと多くの茶を飲むこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「本非」は、本の茶と非の茶。本の茶とは京都栂尾産の茶、非の茶とはその他の地方産の茶。
*『太平記-三九・諸大名讒道朝事』
ホンピ
2195 無服の【ショウ】 ◆5   👉むふくのしょう。
七歳以下で死ぬこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「無服」は、喪に服さないこと。
★「殤」は、若死に。
★父母はそのために喪に服する必要がないとされたところからいう。
*『儀礼-喪服』
ショウ
2196 【スウシャ】時あり ◆5 趨舎   👉すうしゃときあり。
人の進退にはおのおの時期があるものだ。〈中国古典名言事典〉
★「趨舎」は、進むことと止まること。進退。去就。
*『史記-伯夷伝』
スウシャ
2197 【チンヨウ】の影再び改まる ◆5 椿葉   👉ちんようのかげふたたびあらたまる。
永く栄える。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「椿葉」は、椿の葉。椿は『荘子-逍遙遊』によると、八千年をもって一春とし、八千年をもって一秋とするという伝説上の大木の名。
★椿(チン)の葉が再び改まるほど長い年月を経る意。
*『荘子-逍遙遊』
チンヨウ
2198 【チンチョウ】海に隠れて鯨を害す ◆5 鴆鳥   👉ちんちょううみにかくれてくじらをがいす。
弱小なものでも大敵を倒すことがあるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鴆鳥」は、肉・羽に猛毒を含むといわれる中国産の鳥。
★小さな鴆鳥も海へ入れば、その毒で大きな鯨をも害する意。
*『浄瑠璃・大職冠-四』
チンチョウ
2199 【キョウク】塊を追う ◆5 狂狗   👉きょうくつちくれをおう。
目先の事に目がくらんで、その根源を見きわめられないことのたとえ。犬塊を逐う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★狂った犬は土のかたまりを投げた人にかみつかず、土くれにかみつく意。
*『明暦刊本句双紙抄』
キョウク
2200 【コッケツ】の風は長ずべからず ◆5 告訐   👉こっけつのふうはちょうずべからず。
悪事を摘発することは、政治を正す一方法ではあるが、その風潮を重用してはいけない。さもなければ必ず人情を損ない、より一層の弊害を生じる。哲宗のことば。〈中国古典名言事典〉
*『宋名臣言行録-蘇頌』
コッケツ
2201 一種【イッペイ】は亭主の課役 ◆5 一瓶   👉いっしゅいっぺいはていしゅのかやく。
肴一品と酒一本の用意は、客をもてなす亭主として当然の義務である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『譬喩尽-一』
イッペイ
2202 【ニテイ】を踏む ◆5 二庭   👉にていをふむ。
女が再婚すること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★二軒の家の庭を踏む意。
*『読本・逢州執着譚-三』
ニテイ
2203 【テイシュ】の学 ◆5 程朱   👉ていしゅのがく。
中国宋代の儒学者、程(テイコウ)・程頤(テイイ)・朱熹(シュキ)の唱えた学説。朱子学。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『元史-趙復伝』
テイシュ
2204 【テイハク】の衣食に飽く ◆5 鄭白   👉ていはくのいしょくにあく。
衣食に事欠かず、満ち足りた生活を送ることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★中国、戦国時代の韓の鄭国と漢代の趙の白公の二人が作った渠の灌漑水利により、人々の生活が豊かになったという故事による。
*『太平記-一二・安鎮国家法事』
テイハク
2205 【テイ】翼を濡らさず ◆5   👉ていよくをぬらさず。
小人たちが功労もないのに、高い位を貪っていることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★鵜(ウ)は水にもぐり苦労して魚をとるのが習性なのに、今は魚の集まる梁(ヤナ)の上にいてその翼もぬらさずに魚を食っている意。
*『詩経-曹風・候人』
テイ
2206 百里樵を販がず千里【テキ】を販がず ◆5   👉ひゃくりしょうをひさがずせんりてきをひさがず。
身近でどこにでもあるようなものは交易しないのが当然である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「樵」は、たき木。
★「糴」は、米穀。
★たき木は百里の遠方に運んでは売らないし、穀物も千里の遠方からは買い入れない意。
*『史記-貨殖伝』
テキ
2207 百里【ショウ】を販がず千里糴を販がず ◆5   👉ひゃくりしょうをひさがずせんりてきをひさがず。
身近でどこにでもあるようなものは交易しないのが当然である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「樵」は、たき木。
★「糴」は、米穀。
★たき木は百里の遠方に運んでは売らないし、穀物も千里の遠方からは買い入れない意。
*『史記-貨殖伝』
ショウ
2208 過去【ジンテン】の如し ◆5 塵点   👉かこじんてんのごとし。
遠い昔をたとえていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★過去は遠く過ぎ去ってもう塵のように小さな点になってしまったという意。
*『謡曲・春栄』
ジンテン
2209 【ヨウシュウ】山を以て卑しと為して巣を其の上に増す ◆5 鷹鷲   👉ようしゅうやまをもってひくしとなしてすをそのうえにます。
険しい高山にすむ鷹や鷲はその山すら低いとして、巣をより高く築く。居所をえらび、危険から遠ざかろうとつとめることのたとえ。また一説には、そのような鷹や鷲も餌につられて捕らえられるところから、人間も利欲を慎まないと失敗するという戒めをこめる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『説苑-説叢』
ヨウシュウ
2210 渡口の【ユウセン】は風静まって出ず ◆5 郵船   👉とこうのゆうせんはかぜしずまっていず。
渡し場の定期船は風が落ち着くのを待って出帆する。転じて、安全を考えて慎重に事を運ぶことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「郵船」は、古くは宿駅間の定期船をいった。
*『和漢朗詠-下・行旅』
ユウセン
2211 【ドゲイ】の石を抉るが如し ◆5 怒猊   👉どげいのいしをえぐるがごとし。
勢いがあって力強いさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「怒猊」は、怒った獅子。
*『新唐書-徐浩伝』
ドゲイ
2212 両虎相闘って【ドケン】其の弊を受く ◆5 駑犬   👉りょうこあいたたかってどけんそのへいをうく。
二頭の虎が戦って疲れたすきに乗じて、つまらない犬が労なくして利を得る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「駑犬」は、劣っている犬。
★「弊」は、疲れること。
*『史記-春申君伝』
ドケン
2213 湍水の【シンガク】に赴くが若し ◆5 深壑   👉たんすいのしんがくにおもむくがごとし。
民百姓が仁政のところに赴くことは、あたかも滝つ瀬の水が深い谷に赴くようなもので、防ぎとめようとしても防ぎとめることのできるものではない。〈中国古典名言事典〉
★「湍水」は、急流のさかまく水。
★「深壑」は、深い谷。
*『宋名臣言行録-韓g』
シンガク
2214 【ドウコウ】を紹ぐ ◆5 堂構   👉どうこうをつぐ。
父の設計を受け継いで、子が家を建てること。転じて、父祖の家業、事業を継承すること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「堂構」は、建物の構え。
*『陳琳-檄呉将校部曲文』
ドウコウ
2215 【ドウミャク】食わす ◆5 銅脈   👉どうみゃくくわす。
にせ物をつかます。だます。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「銅脈」は、にせ物、また粗悪なもの。
*『洒落本・遊客年々考』
ドウミャク
2216 錦に【トクセキ】を包む ◆5 特石   👉きんにとくせきをつつむ。
上べはきらびやかでりっぱだが、中身はいたってひどいことのたとえ。錦の袋に糖味噌を包む。錦の袋に糞を包む。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「特石」は、雄牛の糞。
*『明暦刊本句双紙抄』
トクセキ
2217 【フウソウ】の徳 ◆5 風草   👉ふうそうのとく。
君子の仁徳。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『論語-顔淵』
フウソウ
2218 刀を売り【トク】を買う ◆5   👉とうをうりとくをかう。
兵事をやめて農業につとめる。また、武士が帰農すること。剣を売り牛を買う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「犢」は、子牛。
*『漢書-循吏伝・龔遂』
トク
2219 【リンユ】の独覚 ◆5 麟喩   👉りんゆのどっかく。
ひとりで出家し、ひとりで悟りをひらく修行者。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「独覚」は、仏の力によらずひとりで悟りをひらき、利他の説法をしない者。
★角(ツノ)が一本の麒麟(キリン)にたとえられる独覚の意。
*『愚禿鈔-上』
リンユ
2220 鳳凰【トン】に家鴨と変ず ◆5   👉ほうおうとんにあひるとへんず。
すぐれた人物が急にくだらない人間になりさがることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「頓に」は、急に。
★鳳凰が急にアヒルに変わる意。
*『読本・綟手摺昔木偶-二・四』
トン
2221 一杯の水を以て【シャシン】の火は救い難し ◆5 車薪   👉いっぱいのみずをもってしゃしんのひはすくいがたし。
小をもって大に当たることはできない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★さかずき一杯の水では車一台分の薪の火は消すことができない意。
*『孟子-告子・上』
シャシン
2222 賢に任ずるに【ニ】する勿れ ◆5   👉けんににんずるににするなかれ。
賢人を採用し政務につかせるからには、君主は一切をまかせて信頼し、疑ってはならない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「弐する」は、疑う。
*『書経-大禹謨』
2223 物の【セイキ】は、亦た自ら定数あり ◆5 成毀   👉もののせいきは、またおのずからじょうすうあり。
仕事の成功するか、失敗するかは、おのずから定まった運命であるから、事の成否をいちいち考えているのでは行動などできるものではない。〈中国古典名言事典〉
*『宋名臣言行録-韓g』
セイキ
2224 【リョウシュウ】能く舞う ◆5 綾袖   👉りょうしゅうよくまう。
条件がよいと、事を成すのに有利であることのたとえ。長袖(チョウシュウ)よく舞い多銭よく商う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★綾絹の舞衣で舞うと、同じ舞でもいっそう立派にひきたって見える意。
*『譬喩尽-三』
リョウシュウ
2225 【ヨウコウ】の波 ◆5 陽侯   👉ようこうのなみ。
海神の起こす波。海の波をいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「陽侯」は、中国陵陽国の君主。おぼれ死んで海神となり、大波を起こしては被害を与えたという。
*『淮南子-覧冥訓』
ヨウコウ
2226 【ソシュ】事を破る ◆5 鼠首   👉そしゅことをやぶる。
決断力がないために事を仕損じる。鼠が穴から首を出したりひっこめたりするように、事に臨んで疑い深く、行動が定まらないため、失敗を招くことをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『故事成語考-上・身体』
ソシュ
2227 【イットウ】の外、皆他人の家なり ◆5 一榻   👉いっとうのほか、みなたにんのいえなり。
自分の寝台のほかは、みな他人の家同様である。不安で眠れない。宋はなお多くの国に取り囲まれているからだ。〈中国古典名言事典〉
*『十八史略-宋・太祖』
イットウ
2228 【サクバイ】がつかぬ ◆5 策媒 策配 👉さくばいがつかぬ。
都合がつかない。始末におえない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「策媒」は、始末、処理。
*『山口県柳井町方言集』
サクバイ
2229 【ショウカ】の官 ◆5 燮和   👉しょうかのかん。
宰相の異称。〈日本国語大辞典〉
★「燮和」は、やわらげ治めること。陰陽などを調和させること。燮理。
*不明
ショウカ
2230 【イハク】修まらず ◆5 帷薄   👉いはくおさまらず。
男女の関係、風紀が乱れていること。帷幕(イバク)修まらず。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「帷薄」は、室内の仕切りとするたれぎぬ、すだれ。転じて、閨房。
*『漢書-賈誼伝』
イハク
2231 蟷螂が斧を怒らせて【リュウシャ】に向かう ◆5 隆車   👉とうろうがおのをいからせてりゅうしゃにむかう。
弱者が、自分の力をわきまえず、強者に刃向かう。無謀で、身のほどをわきまえない行ないをすることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「隆車」は、高くて大きな車。
★カマキリが、前脚をふりあげて大きな車に立ち向かう意。
*『陳琳-為袁紹檄予州』
リュウシャ
2232 涙【キコツ】を絞る ◆5 肌骨   👉なみだきこつをしぼる。
くやしさや感動で涙があふれ出る。また、全身で感情を表わすことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「肌骨」は、肌と骨、また、全身。
*『浄瑠璃・信州川中島合戦-三』
キコツ
2233 【メンバン】たる黄鳥丘隅に止まる ◆5 綿蛮   👉めんばんたるこうちょうきゅうぐうにとどまる。
人間でありながらとどまる所を知らなければ鳥にさえ劣る。人はとどまる所を知るべきというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「綿蛮」は、小鳥のさえずる声。
★「黄鳥」は、うぐいすの別称。
★美しい声で鳴く鶯は、最もそれにふさわしい丘の隅にとまっている意。
*『詩経-小雅・緜蛮』
メンバン
2234 竜蟠【ホウイツ】の士 ◆5 鳳逸   👉りゅうばんほういつのし。
非凡な才能を持ちながらまだ世に用いられず、民間にいる者。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鳳逸」は、鳳(オオトリ)が世に知られないでいること。
*『李白-与韓荊州書』
ホウイツ
2235 【ロウカイ】悲しむ ◆5 老槐   👉ろうかいかなしむ。
年を経た槐(エンジュ)の木が老いを悲しむ。槐の古木には霊があるとしていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『叢書本謡曲・鼓滝』
ロウカイ
2236 【フシツ】に伏す ◆5 斧質   👉ふしつにふす。
斬刑に処せられる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「質」は、人を斬る時の台。
*『史記-廉頗藺相如伝』
フシツ
2237 【ホウロウ】には松柏無し ◆5 部婁   👉ほうろうにはしょうはくなし。
偉大な人物は、自分にふさわしくないつまらない場所にはいないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「部婁」は、小さな丘。
★小さな丘には松や柏(カシワ)のような大木は育たない意。
*『春秋左伝-襄公二四年』
ホウロウ
2238 【リョウサン】舞うが如し ◆5 両驂   👉りょうさんまうがごとし。
馬車の統御の巧みさのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「驂」は、副馬(ソエウマ)。四頭立ての外側の二頭をいう。
*『詩経-鄭風・大叔于田』
リョウサン
2239 【フッキュウ】の涙 ◆5 副急   👉ふっきゅうのなみだ。
まにあわせの涙。そら涙。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「副急」は、急場の間に合わせにすること。
*『宋書-劉懐慎伝』
フッキュウ
2240 孤児寡婦を欺き、【コビ】して以て天下を取るに効わず ◆5 狐媚   👉こじかふをあざむき、こびしてもっててんかをとるにならわず。
孤児や寡婦などの力のない人を欺いて、天下を取るようなことはやらない。草孟徳(ソウモウトク)や司馬仲達(シバチュウタツ)がやったような真似はしない。石勒(セキロク)のことば。〈中国古典名言事典〉
★「狐媚」は、狐が媚態を呈して人を欺くこと。
*『十八史略-東晋・成帝』
コビ
2241 袖は【シンミョウ】の半仕事 ◆5 針妙   👉そではしんみょうのはんしごと。
袖が縫えれば、針仕事は半分できたようなものである。和裁で袖を縫うことのむずかしさをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「針妙」は、宮中、寺院、一般の家庭などで裁縫を担当する女。裁縫専門の奉公人をいう。
*『俚言集覧』
シンミョウ
2242 諸悪【マクサ】諸善奉行 ◆5 莫作   👉しょあくまくさしょぜんぶぎょう。
諸悪をなしてはいけない、善行を積まねばならぬという仏教の教え。七仏通誡の偈の初めの句。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「莫作」は、作(ナ)す莫(ナ)かれ。
★「諸善」は、さまざまの善。
★「奉行」は、仏の教えを実践すること。
*『出曜経-二五』
マクサ
2243 【シンマク】に負えぬ ◆5 慎莫 身莫 👉しんまくにおえぬ。
始末に困る。手のつけようがない。どうしようもない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「慎莫」は、身莫とも書き、物事の処置をきちんとすること。
*『雑俳・柳多留-二一』
シンマク
2244 【セイロ】の学 ◆5 斉魯   👉せいろのがく。
孔孟の学。儒学。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「斉魯」は、中国春秋時代の斉の国と魯の国。
*『懐風藻-序』
セイロ
2245 【ホウコウ】が笑み ◆5 包公   👉ほうこうがえみ。
非常にまれなことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「包公」は、中国、宋代、剛毅清廉で知られた合肥の人、包拯(ホウショウ)のこと。包拯は端厳で笑わなかったので、包拯の笑うのを黄河の流れが澄むことにたとえたという故事による。
★めったに人が見ることのできない笑いの意。
*『宋史-包拯伝』
ホウコウ
2246 【ヨウホウ】黄雀の病を扶く ◆5 楊宝   👉ようほうこうじゃくのやまいをたすく。
生前の功徳によって、子々孫々までその報いを受ける。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★後漢の楊宝が九歳のときに、フクロウにおそわれたスズメの子を助けてやったことにより、子孫が代々高位に昇る応報を受けたという故事から。
*『蒙求-楊宝黄雀』
ヨウホウ
2247 【ヨウシ】が功を先とす ◆5 雍歯   👉ようしがこうをさきとす。
最もきらう者を先にとりたてることで、人心掌握を計ること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★漢の高祖は賢臣張良の進言によって、ふだん群臣中最も憎んでいた雍歯をまず諸侯に封じ、雍歯でさえ誅されず取り立てられたのだからということで恩賞にあずからず不満を抱いていた諸将を安心させたという故事による。
*『史記-留侯世家』
ヨウシ
2248 【ヨウシン】の四知 ◆5 楊震   👉ようしんのしち。
秘密はもれやすく、誰も知らないと思っていても案外知っている者がある。天知る地知る我知る人知る。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★中国、後漢の楊震が役人をしていたとき、誰も知らないからといって彼に贈賄しようとした人に対して、天・地・自分・あなたの四者が知っていると言って断ったという故事から。
*『後漢書-楊震伝』
ヨウシン
2249 【ホウレイ】の浜には魚を以て犬に食らわしむ ◆5 彭蠡   👉ほうれいのひんにはうおをもっていぬにくらわしむ。
供給が多いと貴重な品も粗末にあつかわれることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「彭蠡」は、中国江西省北部にある鄱陽湖(ハヨウコ)の異称。
★彭蠡のほとりでは魚が多く捕れるので、犬にまで魚を食べさせる意。
*『童観鈔』
ホウレイ
2250 【ホウウ】の嗟き ◆5 鴇羽   👉ほううのなげき。
人民が戦争にかり出されて父母を養うことのできないなげき。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「鴇羽」は、野雁(ヤガン)の羽。
★水辺にすむ野雁が所を得ないで山辺の枝に羽を休めて止まっているという詩による。
*『詩経-唐風・鴇羽』
ホウウ
2251 斥鴳(せきあん)が【ホウ】を笑う ◆5   👉せきあんがほうをわらう。
わずかな高さに飛ぶことで満足している小鳥が、大空高く飛ぶおおとりを笑う。低い理想に安んじている者には大きな望みをもつことが理解できないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「斥鴳」は、小鳥。鶉(ウズラ)に似るとされる。
★「鵬」は、想像上の巨大な鳥。
★鵬が高く舞い上がるのを見て、斥鴳があざ笑い、「あいつはどこへ行くのか」と言ったという寓話による。
*『荘子-逍遙遊』
ホウ
2252 【ボウリ】閑を偸む ◆5 忙裏   👉ぼうりかんをぬすむ。
忙しい中でもひまを見つけて楽しむ。忙中自ずから閑あり。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『黄庭堅-和答趙令同前韻詩』
ボウリ
2253 【チョウサイボウ】にする ◆5 嘲斎坊   👉ちょうさいぼうにする。
なぶりものにする。ばかにする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「嘲斎坊」は、なぶりものにされる人。ばかにされる者。
*『歌舞伎・桑名屋徳蔵入船物語-口明』
チョウサイボウ
2254 【ランボウ】の取り残し ◆5 濫妨 乱妨 👉らんぼうのとりのこし。
暴力で無法に奪いとられたあとの残り。掠奪されたあとでも、被害をまぬがれたものがいくらかは残っているものだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「濫妨・乱妨」は、暴力を用いて無法に掠(カス)めとること。
*『俳諧・世話尽-曳言之話』
ランボウ
2255 【ボウ】を煮て珠の爛るるを知らず ◆5   👉ぼうをにてたまのただるるをしらず。
方法・手段をまちがえて、貴重なものをだめにすることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「蚌」は、どぶ貝のことで、中に真珠を産することがある。
★どぶ貝を煮て真珠をだめにしてしまうことを知らない意。
*『読本・旬殿実々記-一〇・一二下末』
ボウ
2256 【ボウウン】の情 ◆5 望雲   👉ぼううんのじょう。
遠く離れた父母を思う心。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「望雲」は、遠く雲をのぞみ見ること。
★唐の狄仁傑(テキジンケツ)が、父母と離れて遠く任地に赴いて、山に登ったとき、一片の雲の漂うのを見て、遠く離れた父母をなつかしみ、しばらくたたずんでいたというの故事による。
*『旧唐書-狄仁傑伝』
ボウウン
2257 【ボウヨウ】の嘆 ◆5 望洋   👉ぼうようのたん。
深遠な思想や学問に対して、自分の力の及ばないのをなげくこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★あまりに広大で目当てがつかないというなげきの意。
*『学問のすゝめ〈福沢諭吉〉五・明治七年一月一日の詞』
ボウヨウ
2258 一棒一条痕【イッカク】一掌血 ◆5 一摑 一掴 👉いちぼういちじょうこんいっかくいっしょうけつ。
精神の集中をたとえた禅語。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★打てば傷がつき、つかめば血が出るほどに性根を入れて行なう意。
*『俚言集覧(増補)』
イッカク
2259 人を取るに【ボウ】を以てす ◆5   👉ひとをとるにぼうをもってす。
人を採用するときに、外見にごまかされて、実質を見定めずに判断すること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★人物を登用するときに容貌の美醜だけを見て採用することの意。
*『史記-仲尼弟子伝』
ボウ
2260 【エンヨク】の謀 ◆5 燕翼   👉えんよくのはかりごと。
祖先が子孫のために残した良いはかりごと、手段。また、賢臣が君主をよく補佐して示す政策。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「燕」は、安んずる
★「翼」は、助ける。
*『詩経-大雅・文王有声』
エンヨク
2261 蓼虫【キサイ】に徙るを知らず ◆5 葵菜   👉りょうちゅうきさいにうつるをしらず。
それぞれ自分の好みに従って、他へ心を移さないことのたとえ。蓼(タデ)の虫(ムシ)葵(アオイ)に移らず。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『楚辞-七諫・怨世』
キサイ
2262 河、角を射れば夜作に堪え、【リセイ】没すれば水骨を生ず ◆5 犁星   👉か、かくをいればやさくにたえ、りせいぼっすればみずほねをしょうず。
天の川が角宿にかかれば夜なべの季節であり、犁星が没するころになると水がこおる季節である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「河」は、天の川。
★「角」は、東方に位置する角宿(スボシ=二十八宿の一つ。乙女座の首星スピカなどからなる星宿)。
★「犁星」は、からすきぼし。オリオン座の中央部に三つ並んでいる星。
*『古詩紀-前集一〇』
リセイ
2263 牛溲馬勃【ハイコ】の皮 ◆5 敗鼓   👉ぎゅうしゅうばぼつはいこのかわ。
価値の無いもの、役に立たないもののたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「牛溲」は、牛の小便。
★「馬勃」は、馬の糞。
★「敗鼓」は、破れた太鼓。
*『韓愈-進学解』
ハイコ
2264 鉄桶を【ホントウ】す ◆5 翻倒 飜倒 👉てっとうをほんとうす。
がんこな煩悩を抜け出て悟りをひらくこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
ホントウ
2265 【ソウマ】の交 ◆5 桑麻   👉そうまのこう。
桑や麻の作柄などを話しあうつきあい。農民どうしの田園の交際。政治や公務などのわずらわしい話をしない気楽な交際。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『杜甫-寄薛三郎中』
ソウマ
2266 鴛鴦【シュウリョウ】して君の看るに従(まか)す ◆5 繡了 繍了 👉えんおうしゅうりょうしてきみのみるにまかす。
自分の秘訣を人に知られるのをきらい、出し惜しみすること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『元好問-論詩三首・其三』
シュウリョウ
2267 【イラン】は未練の相 ◆5 違乱   👉いらんはみれんのそう。
約束をたがえるのは優柔不断の証拠である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『北条氏直時分諺留』
イラン
2268 【コウケツ】未だ乾かず ◆5 口血   👉こうけついまだかわかず。
約束を結んでからまだ間がない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「口血」は、中国で、諸侯が盟約を結ぶ時に牛の耳から取ってすする血。
★盟約を結んだ時の血がまだ乾かない意。
*『春秋左伝-襄公九年』
コウケツ
2269 【リョウド】未だ乾かず ◆5 陵土   👉りょうどいまだかわかず。
天子の死後、間もないことをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「陵土」は、天子・天皇の墓所の土。
★天子の墓の土がまだ乾かない意。
*『任ム-為斉明帝譲宣城郡公第一表』
リョウド
2270 【タイコウ】は和せずして遺味あり ◆5 大羹   👉たいこうはかせずしていみあり。
宗廟の大礼に供える肉の汁には調味料を用いず、簡素な味のままとするが、これは、人民に口腹の欲、好悪の情を極めさせず、人道の中正を教えようとした先王のしきたりのしのばれる味である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『礼記-楽記』
タイコウ
2271 比近説ばざれば【シュウエン】を務むる無かれ ◆5 修遠   👉ひきんよろこばざればしゅうえんをつとむるなかれ。
近くの者と親しむのがたいせつである。根本にかえって身近なものを大事にすべきである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「比近」は、近隣、近所。
★近隣の者が喜ばないようであれば、遠くの者と交際をしないほうがよい意。
*『説苑-建本』
シュウエン
2272 【ヒキン】説ばざれば修遠を務むる無かれ ◆5 比近   👉ひきんよろこばざればしゅうえんをつとむるなかれ。
近くの者と親しむのがたいせつである。根本にかえって身近なものを大事にすべきである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「比近」は、近隣、近所。
★近隣の者が喜ばないようであれば、遠くの者と交際をしないほうがよい意。
*『説苑-建本』
ヒキン
2273 【ムルイ】の人 ◆5 無累   👉むるいのひと。
わずらいのない人。物欲を超越した人。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『淮南子-精神訓』
ムルイ
2274 目、鏡を失えば以て【シュビ】を正すこと無し ◆5 鬚眉   👉め、かがみをうしなえばもってしゅびをただすことなし。
人は常に道を鏡として己の身を正すべきであるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『韓非子-観行』
シュビ
2275 【ラッシ】も無い ◆5 臈次
臘次
👉らっしもない。
1.秩序がない。順序、次第が整っていない。乱雑である。だらしがない。らちもない
2.つまらない。役にも立たない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「搦衍臘次」は、法(ホウロウ:僧尼の出家受戒後の年数)の順序。出家後の年数。また、物事の正しい順序。次第。
*『寛永刊本蒙求抄-一〇』
ラッシ
2276 陰行あれば【ショウメイ】あり ◆5 昭名   👉いんこうあればしょうめいあり。
隠れた善行のある者は、必ずいつかは輝く名誉が与えられる。陰徳あれば陽報あり。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『淮南子-人間訓』
ショウメイ
2277 【キュウツウ】各命有り ◆5 窮通   👉きゅうつうおのおのめいあり。
人が困窮するのも、富み栄えるのも、人それぞれの定まった運命によるものである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「窮通」は、困窮と栄達。
*『白居易-諭友詩』
キュウツウ
2278 【サメイ】の士 ◆5 佐命   👉さめいのし。
天命により天子となる人を助けて、天下の平定に功績のあった功臣。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「佐」は、助ける。
★「命」は、天命を受けた天子の位。
*『後漢書-馬武伝論』
サメイ
2279 【リロウ】が明 ◆5 離婁   👉りろうがめい。
視力・眼力のすぐれていること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★離婁(離朱の異称)のすぐれた視力の意。
*『孟子-離婁・上』
リロウ
2280 【メンショウ】の譏り ◆5 面牆 面墻 👉めんしょうのそしり。
無学のそしり。学問や知識がないという批判。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「面牆」は、垣に対すること。見聞のせまいことのたとえ。垣に対すると前の方が見えないところからいう。
*不明
メンショウ
2281 博奕博労掏摸【ガンドウ】 ◆5 強盗   👉ばくちばくろうすりがんどう。
悪い遊び、荒っぽい商売、不正なかせぎをするものを並べたことば。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「博奕」は、金品を賭(カ)けて、さいころや花札などの勝負をすること。とばく。
★「博労」は、馬を売買・周旋する人。
★「掏摸」は、人ごみなどで人が身につけている金品を、本人に気づかれずに抜き取ること。また、その者。巾着(キンチャク)切り。
★「強盗」は、強盗(ゴウトウ)に同じ。
*『諺語大辞典』
ガンドウ
2282 猛勢【セッショ】なし ◆5 節所 切所
殺所
👉もうぜいせっしょなし。
勇猛な軍勢の前では、どんな要害でも防ぐことができない。大軍に関所なし。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「節所・切所・殺所」は、峠などの要害。
*『柴田退治記』
セッショ
2283 遠人に【ジボク】なし ◆5 耳目   👉えんじんにじぼくなし。
遠方の人物の顔には目、鼻、口、耳など細かい点は描き入れないのが画法である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『譬喩尽-二』
ジボク
2284 【シュクジュウ】に目の潰るる ◆5 宿執   👉しゅくじゅうにめのつぶるる。
前世で悪いことをしたために目が潰れる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「宿執」は、前世からの因縁。
*『雲形本狂言・川上』
シュクジュウ
2285 慢蔵は盗を誨え、【ヤヨウ】は淫を誨う ◆5 冶容   👉まんぞうはとうをおしえ、やようはいんをおしう。
倉庫の戸締まりをおろそかにすることは人に盗んでくれというようなものであり、女がなまめかしく化粧するのは人に淫らな心を起こさせるようそそのかしているようなものだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『易経-繫辞・上』
ヤヨウ
2286 【マンゾウ】は盗を誨え、冶容は淫を誨う ◆5 慢蔵   👉まんぞうはとうをおしえ、やようはいんをおしう。
倉庫の戸締まりをおろそかにすることは人に盗んでくれというようなものであり、女がなまめかしく化粧するのは人に淫らな心を起こさせるようそそのかしているようなものだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『易経-繫辞・上』
マンゾウ
2287 【チョウシボウ】の夜の聞き ◆5 暢師坊   👉ちょうしぼうのよるのきき。
谷川の瀬音を夜の静けさの中で聞くこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「暢師坊」は、白居易の詩に見える香山寺の長老文暢(ブンチョウ)の宿坊。
*『東関紀行-車返より湯本』
チョウシボウ
2288 【クンシンサシ】の薬 ◆5 君臣佐使   👉くんしんさしのくすり。
昔、使い方から薬を類別した名称。薬効のゆるやかな「君」を主薬とし、「臣佐使」の三つを病状に応じて用いる補助薬とする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『夢渓筆談-薬議』
クンシンサシ
2289 【ゴコ】に薬を売る ◆5 五湖   👉ごこにくすりをうる。
官を辞して野にくだり、名声、欲望を捨てて静かな暮らしをすること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「五湖」は、中国古代の五つの湖。太湖または洞庭湖を五つに区切った呼び名とも、あるいは付近の湖を含めて呼んだともいわれる。
★昔、漢の東方朔が乱世を避けて官を辞し、五湖のほとりで薬を売ったという故事が転じたもの。
*『列仙伝-東方朔』
ゴコ
2290 心腹を【ユシャ】す ◆5 輸写   👉しんぷくをゆしゃす。
心中をすべて打ち明けて示す。まごころを示す。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「輸写」は、心の中を残りなく言い表わすこと。
*『漢書-趙広漢伝』
ユシャ
2291 【ホウガイ】の友 ◆5 方外   👉ほうがいのとも。
世間一般のつきあいを越えた心からの友。お互いの住む環境や立場、主義などを越えた、深いつながりのある友。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『冷斎夜話-日延一僧対飯』
ホウガイ
2292 緑陰幽草、【カジ】に勝る ◆5 花時 花時 👉りょくいんゆうそう、かじにまさる。
夏の涼しい緑の木陰と人気のないところにはえる草は、春の花の景色よりまさっている。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『王安石-初夏即事詩』
カジ
2293 【ユウカ】に死す ◆5 牖下   👉ゆうかにしす。
自分の家で安らかに死ぬことをいう。畳の上で往生する。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「牖」は、窓。
★窓の下で死ぬ意。
*『春秋左伝-哀公二年』
ユウカ
2294 【ヨバ】を仮る者は足を労せずして千里を致す ◆5 輿馬   👉よばをかるものはあしをろうせずしてせんりをいたす。
他の力を利用することによって、能率よくしかも容易に事をなし得ることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★車や馬に乗って行く者は、足をくたびれさせることもなく千里の遠い道を行くことができる意。
*『淮南子-主術訓』
ヨバ
2295 珍事【チュウヨウ】時の過ち ◆5 中夭   👉ちんじちゅうようときのあやまち。
思いがけない災難。珍事中夭(チンジチュウヨウ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「中夭」は、災難。転じて、思いがけない珍奇なこと。
*『浄瑠璃・荒御霊新田神徳-二』
チュウヨウ
2296 浴は【コウカイ】を必とせず、之が垢を去るを要す ◆5 江海   👉よくはこうかいをひつとせず、これがあかをさるをようす。
物事は何も最高でなくとも、必要な条件をみたすことができればそれでよい。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★水浴に必要なのは川や海ほどの大量の水ではなく、垢を落とせるだけの水である意。
*『史記-外戚世家』
コウカイ
2297 【シュウキョク】は直を容れず ◆5 衆曲   👉しゅうきょくはちょくをいれず。
多数の悪人の中では少数の者の正しい意見や行為は受け入れられない。多数の力となった悪の恐ろしさをいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『淮南子-説山訓』
シュウキョク
2298 【シュウシュウ】たる谷風、以て陰(くも)り以て雨降る ◆5 習習   👉しゅうしゅうたるこくふう、もってくもりもってあめふる。
やわらかな春風がそよそよと吹いて天が曇り、そしてやがて万物を恵む雨が降ってくる。それと同じように家庭にあっても時には波風の立つこともあろうが、春風のように和気をもっておさめていけば一家も円満に行くものだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「習習」は、風のそよそよと吹くさま。
★「谷風」は、東風、春の風。
*『詩経-邶風・谷風』
シュウシュウ
2299 【カンヨウキュウ】も滅ぶ時は滅ぶ ◆5 咸陽宮   👉かんようきゅうもほろぶときはほろぶ。
どのように栄えたものでもいつかは必ず滅びる。盛者必衰。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「咸陽宮」は、秦の始皇帝の壮大な宮殿。
*『世話詞渡世雀-中』
カンヨウキュウ
2300 【ヨウダイ】の夢 ◆5 陽台   👉ようだいのゆめ。
男女の情交。また、そのはかないこと。巫山の雲雨。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「陽台」は、中国四川省東部、巫山(フザン)県の城内の北隅にある山。
★陽台の地で、ある夜神女が楚の襄王の夢に現われて契ったという故事による。
*『李商隠-夜思詩』
ヨウダイ
2301 暗がり様は【スイサマ】 ◆5 粋様   👉くらがりさまはすいさま。
暗がりも恋をするものにとっては、またよいものである。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「粋様」は、男女の情の機微を解し、言動があかぬけている人。
*『浄瑠璃・末広十二段-三』
スイサマ
2302 屨(く)賤しく【ヨウ】貴し ◆5   👉くいやしくようたっとし。
徳によって治める政治が行なわれず、刑罰が頻繁に行なわれることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「屨」は、くつ、草履。
★「踊」は、足を切られる刑罰を受けた罪人のはき物。
★踊が高い値で売られるのは、足を断ち切る刖刑(ゲッケイ)という刑罰が盛んに行なわれるしるしであるところからいう。
*『春秋左伝-昭公三年』
ヨウ
2303 【ヨウカ】の天 ◆5 養花   👉ようかのてん。
春雨の降る暖かな時候。花曇りの天気。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『陸游-暁過万里橋詩』
ヨウカ
2304 【ヨウシ】驥尾に付く ◆5 蠅子 蝿子 👉ようしきびにつく。
愚者が賢人に従って何事かをやりとげることのたとえ。すぐれた人の仕事を見習って励むことを謙遜していう。驥尾に付す。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★蠅(ハエ)は自分には力がないにもかかわらず千里を走る名馬の尾について遠くへ行く意。
*『仮名草子・可笑記-四』
ヨウシ
2305 漏甕を奉じて【ショウフ】に沃ぐ ◆5 焦釜   👉ろうおうをほうじてしょうふにそそぐ。
一刻を争う危急の場合には手段を選んではいられないということ。一刻を争うことのたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★水がもれるかめまで使って、こげている釜に水をかける意から。
*『史記-田敬仲完世家』
ショウフ
2306 【ヨクキ】の楽しみ ◆5 浴沂   👉よくきのたのしみ。
門人を連れて郊外に遊ぶ楽しみ。悠々自適のたとえ。沂に浴し舞雩(ブウ)に風し詠じて帰らん。〈新大字典〉
★「沂」は、沂水(キスイ)。川の名。温泉の地と伝えられる。
★沂水のほとりに遊び、温泉に入り、祭場(舞雩:天を祭り雨を祈る所)の樹陰で涼み、歌を詠じて帰ってこようという意。
*『論語-先進』
ヨクキ
2307 【ヨクシャ】の色 ◆5 欲炙   👉よくしゃのいろ。
物欲しそうなようす。炙(シャ)を欲(ホッ)する色。〈新明解故事ことわざ辞典〉
*『世説新語-徳行』
ヨクシャ
2308 【ランヨク】の恩 ◆5 卵翼   👉らんよくのおん。
小さな時から育てられた恩。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「卵翼」は、親鳥が卵をかえし、雛を育てること。転じて、親が子を育てること。
*『春秋左伝-哀公一六年』
ランヨク
2309 兎糸【ジョラ】に付く ◆5 女羅
女蘿
  👉としじょらにつく。
男女の結合、結婚のたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「菟糸・莵糸・兎糸・兔糸」は、根無し葛。
★「女羅」は、猿麻桛(サルオガセ)。
★根無し葛(カズラ)のつるが、サルオガセに巻きつく意。
*『古詩十九首-其八』
ジョラ
2310 【ラフ】の夢 ◆5 羅浮   👉らふのゆめ。
羅浮山麓の梅林の中で見る夢。転じて、梅の花のことをもいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「羅浮」は、中国広東省広州市の東、増城、博羅の県界にある山。東海からただよってきた浮山が、羅山と合体してできたと伝えられ、山麓は梅の名所として知られる。
★隋の趙師雄が羅浮の山麓で、夢に梅の精である美人に会ったという故事による。
*『龍城録-趙師雄酔憩梅花下』
ラフ
2311 【フウウシンライ】は天地の御政事 ◆5 風雨震雷   👉ふううしんらいはてんちのごせいじ。
大風・洪水・地震・雷などの天変地異は天地のなす所で、人力では防止することができない。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*不明
フウウシンライ
2312 缾(へい)の罄(つ)くるは維【ライ】の恥 ◆5   👉へいのつくるはこれらいのはじ。
援助すべき立場のものが、それをできないのは恥である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「缾」「罍」ともに酒を盛る器。小さいのを「缾」、大きいのを「罍」といい、缾は罍から酒を受ける。「缾」と「罍」の小と大の関係を、君臣、父子、貧富などさまざまな関係にたとえて用いる。
★缾に酒がなくなるのは罍からの補給が乏しいためで、それは罍の恥である意。
*『詩経-小雅・蓼莪』
ライ
2313 【フウ】呉江に落つ ◆5   👉ふうごこうにおつ。
実際に見てみると、以前に聞いて評価していたよりも劣って見えるものだ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「楓」は、マンサク科の落葉高木。
★唐の鄭世翼が崔信明の「楓落呉江冷」の句を聞いて感心していたが、本人に会ったとき他の詩を見せてもらったところ、意外につまらない作品ばかりだったので、実際は名声ほどではないといったという故事による。
*『新唐書-崔信明伝』
フウ
2314 芝蘭玉樹【テイカイ】に生ず ◆5 庭階   👉しらんぎょくじゅていかいにしょうず。
一門から優秀な子弟を多く世に出すことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★香りのよい草や美しい木が庭へおりる階段の近くに生える意。
*『晉書-謝玄伝』
テイカイ
2315 罰も【リショウ】もある ◆5 利生   👉ばつもりしょうある。
罰を与えることも恵みを与えることもある。きびしさもあり、やさしさもある。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「罰」は、罪やあやまちに対するこらしめ。
★「利生」は、仏菩薩の恵み。
*『太郎坊〈幸田露伴〉』
リショウ
2316 一寸の光陰は【シャリ】の金 ◆5 沙裏   👉いっすんのこういんはしゃりのきん。
わずかな時間でも、砂の中に見出した金のように、たいせつにしなくてはいけない。時は金なり。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「沙裏」は、砂の中。
*『世阿弥筆本謡曲・盛久』
シャリ
2317 【テイモン】雪に立つ ◆5 程門   👉ていもんゆきにたつ。
弟子が師を重んずる心の篤いこと、道を求めるに熱心なこと。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★中国の宋代、游酢(ユウソ・ユウサク)と楊時(ヨウジ)とが初めて師の程頤(テイイ)に会ったとき、頤が目をつぶって座っていたので、二人は黙ってそばに立ってひかえていた。師が目を開いて二人に退出を命じた時には、門外の雪が一尺も積もっていたという故事による。
*『朱子語類』
テイモン
2318 【キョウショ】の律 ◆5 挟書   👉きょうしょのりつ。
中国、秦の始皇帝の時、民間で書物を所蔵するのを禁じた法律。医薬、卜筮(ボクゼイ)、種樹の書以外の書物を蔵することを禁じ、もしこれを犯す者はその一族を滅した。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「挟」は、蔵の意。
*『漢書-恵帝紀』
キョウショ
2319 白刃前に交われば【リュウシ】を顧みず ◆5 流矢   👉はくじんまえにまじわればりゅうしをかえりみず。
大難が起こった時には小難を顧みるいとまがないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★敵の刀が目の前にある時には、流れ矢に注意している余裕はない意。
*『宋書-袁伝』
リュウシ
2320 深山大沢【リュウジャ】を生ず ◆5 竜蛇   👉しんざんだいたくりゅうじゃをしょうず。
規模が大きく奥まった特別な土地からは、傑出した人物が出てくるというたとえ。また、一族に災いする人物が現われるたとえとも、賢才偉人が出現するたとえともいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★奥深い山や大きな谷には、竜や大蛇が生まれるものだという意。
*『春秋左伝-襄公二一年』
リュウジャ
2321 深山【ダイタク】竜蛇を生ず ◆5 大沢   👉しんざんだいたくりゅうじゃをしょうず。
規模が大きく奥まった特別な土地からは、傑出した人物が出てくるというたとえ。また、一族に災いする人物が現われるたとえとも、賢才偉人が出現するたとえともいう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★奥深い山や大きな谷には、竜や大蛇が生まれるものだという意。
*『春秋左伝-襄公二一年』
ダイタク
2322 王昭君が【コチ】の旅 ◆5 胡地   👉おうしょうくんがこちのたび。
心の進まない悲しい旅路。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「王昭君」は、中国前漢の元帝の宮女。匈奴(キョウド)との和親のため、呼韓邪単于(コウカンヤゼンウ)に嫁がされ、その地で没した。
★「胡地」は、匈奴などの住んだ中国北方の地。
*『譬喩尽-二』
コチ
2323 鵲【ダイリ】の庭に巣くう ◆5 大理   👉かささぎだいりのにわにすくう。
天下がよく治まっていることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「大理」は、古代中国の官名。裁判・刑罰などのことをつかさどった。
★刑が行なわれないので、カササギが獄屋の庭樹に巣をかける意。
*『新唐書-刑法志』
ダイリ
2324 蠹啄みて【リョウチュウ】を剖く ◆5 梁柱   👉とついばみてりょうちゅうをさく。
災いは小さいうちに取り除くべきだというたとえ。〈新明解故事ことわざ辞典〉
★「蠹」は、キクイムシ。
★小さなキクイムシが少しずつ木を食って、そのうちついに梁(ハリ)や柱まで食い破ってしまうという意から。
*『淮南子-人間訓』
リョウチュウ
2325 【リョウキン】尽きて走狗煮らるる ◆5 猟禽   👉りょうきんつきてそうくにらるる。
用がなくなれば捨てられることのたとえ。狡兎(コウト)死して走狗(ソウク)烹(ニ)らる。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★鳥を捕らえ尽くしてしまうと、主人のために走りまわった猟犬も不用になり、煮て食われてしまう。
*『読本・頼豪阿闍梨怪鼠伝-一・二』
リョウキン
2326 【ヒツバ】隻輪も反るなし ◆5 匹馬   👉ひつばせきりんもかえるなし。
戦いに大敗したさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★戦いに敗れて、一匹の馬、車輪の片方さえも本国へ帰還しない意。
*『春秋公羊伝-僖公三三年』
ヒツバ
2327 匹馬【セキリン】も反るなし ◆5 隻輪   👉ひつばせきりんもかえるなし。
戦いに大敗したさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★戦いに敗れて、一匹の馬、車輪の片方さえも本国へ帰還しない意。
*『春秋公羊伝-僖公三三年』
セキリン
2328 天涯【ヒリン】の如し ◆5 比隣   👉てんがいひりんのごとし。
身は天の果てほど遠く離れた所に住んでも、心は軒をつらねて近隣に住んでいるかのように近く通い合う。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『王勃-杜少府之任蜀州詩』
ヒリン
2329 愁猴が手を出だし【ハンロウ】が涙 ◆5 斑狼   👉しゅうこうがてをいだしはんろうがなみだ。
尽きないなごりを惜しむさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「愁猴」は、悲しげな猿。
★「斑狼」は、まだらの狼。
*『光悦本謡曲・富士太鼓』
ハンロウ
2330 【センコウ】の涙 ◆5 千行   👉せんこうのなみだ。
幾すじもの涙。とめどなく流れる涙。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「千行」は、幾すじも数の多いこと。
*『源平盛衰記-一八・文覚高雄勧進』
センコウ
2331 累(かさね)の面から【ウンジョウ】を取る ◆5 運上   👉かさねのつらからうんじょうをとる。
女の容貌のひどく醜いさま。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「運上を取る」は、その上をいく、それ以上であること。
*不明
ウンジョウ
2332 九層の台は【ルイド】より起こる ◆5 累土   👉くそうのうてなはるいどよりおこる。
小さな物の積み重ねが、結局は大をなすことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★九階の高層建築も最初はわずかの土を積みあげることから始まる意。
*『老子-六四』
ルイド
2333 【セイビ】の礼 ◆5 斉眉   👉せいびのれい。
眉とひとしくする礼。食膳を眉と同じ高さに捧げ持つところから、妻が夫をあつく敬うこと。妻が夫によく仕えること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『後漢書-梁鴻伝』
セイビ
2334 【レイダ】の珠 ◆5 霊蛇   👉れいだのたま。
暗夜に光を放つという宝珠。昔、中国で、随侯が傷ついた蛇を助けて、その蛇から授かったと伝えられる玉をいう。和氏(カシ)の璧と共に珍重された。夜(ヨル)光る玉。夜光の璧。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『曹植-与楊徳祖書』
レイダ
2335 【レンケイ】倶に棲に止まる能わず ◆5 連鶏   👉れんけいともにせいにとどまるあたわず。
何人もの英雄が一つの国で平和に共存できないというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『戦国策-秦策・恵文君』
レンケイ
2336 【コウロジョウ】一点の雪 ◆5 紅炉上   👉こうろじょういってんのゆき。
心の迷い、私欲などがすっかり溶けて消えることのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★火が真っ赤におこっている囲炉裏の上で、たちまちに溶け去る雪の意。
*『続近思録』
コウロジョウ
2337 【キンギュウ】を駆りて路を開く ◆5 金牛   👉きんぎゅうをかりてみちをひらく。
相手の欲の深いのを利用して成功することのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★昔、中国の秦の恵王が蜀を討とうとしたとき、蜀に攻め入る道がなかったので、石で牛をつくり、この牛は黄金の糞をすると偽ったところ、欲の深い蜀侯はその牛を手に入れようと急いで道をつけさせたので、恵王は易々とその道を進んで蜀を討ったという故事による。
*『揚雄-蜀王本紀』
キンギュウ
2338 軽車の【ジュクロ】に付くが如し ◆5 熟路   👉けいしゃのじゅくろにつくがごとし。
物事に熟達して、容易に行なうことのできるさまのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★軽くて速い車でよく慣れた道をいくようだという意。
*『韓愈-送石処士序』
ジュクロ
2339 【ケンロ】を避く ◆5 賢路   👉けんろをさく。
後進に委ねて官を辞職すること。引退することをへりくだっていう。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★賢者の昇進の妨げとならないように、自分がしりぞいて道をあけておく意。
*『史記-万石君伝』
ケンロ
2340 政は【ロエイ】の如し ◆5 魯衛   👉せいはろえいのごとし。
政治の行ない方がよく似ていて、共に善政を施すことのたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★中国前漢時代、馮野王(フウヤオウ)・馮立(フウリツ)の兄弟が地方長官として善政を施し、その治政は春秋時代の魯・衛の如くであると称えられたという故事による。
*『漢書-馮立伝』
ロエイ
2341 【ロハン】が雲 ◆5 魯般   👉ろはんがくも。
魯般が作った雲にとどくような梯(ハシゴ)。転じて、及ばないことのたとえ。雲に梯(カケハシ)。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「魯般」は、中国春秋時代の魯の工匠。公輸班(盤)(コウシュハン)ともいう。機械を作るのに巧みで、楚王が宋を攻めたとき、雲梯(ウンテイ)という城攻めの具を作ったという。
*『淮南子-修務訓』
ロハン
2342 【ロ】に当たる ◆5   👉ろにあたる。
酒場で、酒の燗をするいろりの番をする。お燗番をする。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「盧」は、炉。また、酒を売るところ。
*『漢書-司馬相如伝』
2343 【メイカク】陰に在り其の子之に和す ◆5 鳴鶴   👉めいかくいんにありそのここれにわす。
薄暗い所で親鶴が鳴くと、子鶴がこれに和して鳴くように、親子の情愛は自然に現われるものである。また、徳ある者はかくれていても世に知られるというたとえ。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『易経-中孚卦』
メイカク
2344 【セイリ】の交わり ◆5 勢利   👉せいりのまじわり。
権勢や利欲だけを目当てにした交際。勢力や利益を得たいための付き合い。〈日本国語大辞典〉
*『漢書-張耳陳余伝賛』
セイリ
2345 上帝【ハンハン】として、下民卒(ことごと)く癉(や)む ◆5 板板   👉じょうていはんはんとして、かみんことごとくやむ。
悪いことをすると、天の神が怒ってそのために人民がことごとく苦しみ悩む。〈中国古典名言辞典〉
★「板板」は、反反。天の神が怒って常の行いをしないこと。
*『詩経-大雅・板』
ハンハン
2346 焦頭爛額を【ジョウカク】と為す ◆5 上客   👉しょうとうらんがくをじょうかくとなす。
根本を忘れ瑣末なことを重視すること。また、物事を非常に苦労してすること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「焦頭」は、頭を焦がすこと。
★「爛額」は、額が爛(タダ)れる意。
★火災を予防する方法を教えた者は感謝されず、火災が起きてから頭を焦がし額を爛れさせて消火にあたったものだけが礼をされるということから。
*『漢書-霍光伝』
ジョウカク
2347 【タンボク】、金を辞す ◆5 端木   👉たんぼく、きんをじす。
納得のいかない金は受け取らないという潔癖な態度のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「端木」は、孔子の弟子の子貢(シコウ)の姓。理財家で金持ちであった。
★「辞金」は、金を辞退する意。
★中国春秋時代、魯の法律では、諸侯の召使を身請けして買い戻す場合、その代金は国から受け取るように決められていた。しかし子貢はこのことを潔白正直な行いではないとして、公金を辞退し私費を投じて買い戻したという故事から。
*『蒙求-端木辞金』
タンボク
2348 【フヨ】の色 ◆5 不予   👉ふよのいろ。
不愉快そうな顔つき。〈新大字典〉
*『孟子-公孫丑下』
フヨ
2349 日に【リョウ】し月に替す ◆5   👉ひにりょうしつきにたいす。
日に日に衰えること。〈漢検四字熟語辞典〉
★「陵」は、次第に衰える意。
★「替」は、次第に衰える意。
*『貞観政要-君道』
リョウ
2350 詩思は灞橋(はきょう)風雪の中、【ロシ】の上に在り ◆5 驢子   👉ししははきょうふうせつのなか、ろしのうえにあり。
詩を作るのに絶好な場所のこと。〈漢検四字熟語辞典〉
★「灞橋」は、長安の東にある灞水(川の名)にかかる橋。
★中国唐の鄭綮(テイケイ)に、ある人が近頃よい詩ができたかと尋ねた所、鄭綮は「詩興は灞橋風雪の中、驢子の背上にあるときにこそわくもので、今のように俗事にかかわっているうちはよい詩が出来ない」と答えたという故事から。
*『北夢瑣言-七』
ロシ
2351 【ソジュン】の気 ◆5 蔬筍 蔬笋 👉そじゅんのき。
僧侶のような性格。〈新大字典〉
★野菜やタケノコの類ばかり食べている人の気風の意。
*『蘇軾-贈詩僧道通詩』
ソジュン
2352 【ハンイ】の戯れ ◆5 斑衣   👉はんいのたわむれ。
孝養のたとえ。〈新大字典〉
★「斑衣」は、模様のある派手な衣。斑斕(ハンラン)の衣。
★老萊子が斑斕の衣を着け童子の姿となって、親に年を忘れさせた故事から。
*『蒙求-老萊斑衣』
ハンイ
2353 【フカン】の書 ◆5 不刊   👉ふかんのしょ。
永久に滅びることなく伝わる書物。不朽の名著。〈漢検四字熟語辞典〉
★「不刊」は、滅びない意。昔は文字を木簡や竹簡に書き、誤りなどは刀で削ったことから。
*『答劉歆書』
フカン
2354 【タンセキ】の心 ◆5 丹石   👉たんせきのこころ。
真心。〈新漢和大辞典〉
*不明
タンセキ
2355 脚の有る【ヨウシュン】 ◆5 陽春   👉あしのあるようしゅん。
行く先々で恩徳を施す人。〈漢検四字熟語辞典〉
★唐の栄m(ソウエイ)が行く先々で恩徳を施す姿を、当時の人々は、陽春が物を暖め育て行く姿になぞらえ、「脚のある陽春(有脚陽春)」と称したという。
*『開元天宝遺事-四』
ヨウシュン
2356 【ユウザ】の器 ◆5 宥坐   👉ゆうざのき。
座右において戒めとする道具。〈漢検四字熟語辞典〉
★「宥」は、右の意。
*『荀子-宥坐』
ユウザ
2357 絶えざること【セン】の如し ◆5 👉たえざることせんのごとし。
絶えそうでいて、糸のようにわずかにつながっていること。〈新大字典〉
*『越絶書-越絶呉内伝』
セン
2358 【ヒホウ】の問い ◆5 蜚蓬   👉ひほうのとい。
風に吹かれて飛ぶヨモギのように、道理に合わない質問。〈新大字典〉
*『管子-形埶解』
ヒホウ
2359 【タクリョウ】禁無し ◆5 沢梁   👉たくりょうきんなし。
漁業をほしいままにさせること。寛大な政治にいう。〈新大字典〉
★「沢梁」は、魚を捕らえるために沢に仕掛けた梁(ヤナ)。
*『孟子-梁惠王』
タクリョウ
2360 【ハンヨウ】の好 ◆5 潘楊   👉はんようのよしみ。
婚姻を重ねた古くからのよしみ。〈新大字典〉
★潘は潘岳、楊は楊仲武で、互いに親密であった故事からいう。
*『潘岳-楊仲武誄』
ハンヨウ
2361 【コツギ】の耀 ◆5 滑疑   👉こつぎのよう。
心に乱れ疑うことが、ついにかがやき明らかになること。〈新大字典〉
*『荘子-齊物論』
コツギ
2362 【ジマン】図り難し ◆5 滋蔓 滋曼 👉じまんはかりがたし。
時日を経過するに従い、権勢や悪事などがますます蔓延して制することのできないまでに至ることのたとえ。〈新大字典〉
★「滋蔓・滋曼」は、しげりはびこること。
★草がはびこると簡単に除くことができなくなる意。
*『左伝-隠公元』
ジマン
2363 【リュウスイ】滴らんと欲す ◆5 流翠 流翆 👉りゅうすいしたたらんとほっす。
鮮やかな木々の緑の形容。〈新大字典〉
★木々の緑が鮮やかで、流れしたたりそうなことの意。
*『林鶴梁-静古館記』
リュウスイ
2364 【ユウバク】の遊び ◆5 油幕   👉ゆうばくのあそび。
雨中に天幕を張って遊ぶこと。貴人の遊楽をいう。〈新大字典〉
★「油幕」は、油を塗った幕。
*『開元天宝遺事-天宝』
ユウバク
2365 【チュウバク】無眹(むちん)万象森然 ◆5 沖漠   👉ちゅうばくむちんばんしょうしんぜん。
天地は空漠として、何の兆しも見えないが、万物が生じようとする形象が森然として連なっているのをいう。無中有あり、静中動ある意。〈新大字典〉
*『程子遺書』
チュウバク
2366 水に竜舟を断ち、陸に【サイコウ】を剸(き)る ◆5 犀甲   👉みずにりょうしゅうをたち、りくにさいこうをきる。
険の鋭利なこと。〈新大字典〉
★水中では竜を描いた舟を切断し、陸上では犀で作った甲を切る意。
*『淮南子-脩務訓』
サイコウ
2367 身は江海の上に在り、心は【ギケツ】の下に居る ◆5 魏闕   👉みはこうかいのほとりにあり、こころはぎけつのもとにおる。
世を逃れて田舎に居りながらも、なお都の栄華を忘れない。〈中国古典名言事典〉
★「魏闕」は、都の城門。
*『荘子-雑篇・譲王』
ギケツ
2368 心曠ければ則ち万鍾も【ガフ】の如し ◆5 瓦缶   👉こころひろければすなわちばんしょうもがふのごとし。
心を広く持てば、どんなにたくさんの俸禄も、つまらないかわらけぐらいにしか思えない。〈中国古典名言事典〉
★「万鍾」は、六石五斗の俸禄。
★「瓦缶」は、素焼きの容器。
*『菜根譚-後集百十四』
ガフ
2369 槿花【イッシン】の栄え ◆5 一晨   👉きんかいっしんのさかえ。
栄華のはかないことのたとえ。槿花一日の栄。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
*『浮世草子・男色十寸鏡-下』
イッシン
2370 【ケイショ】するに遑あらず ◆5 啓処   👉けいしょするにいとまあらず。
のんびりしている暇がない。きわめて多忙である。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「啓処」は、家でのんびりとくつろぐこと。
*『詩経-小雅・四牡』
ケイショ
2371 【ゾウホウ】を貴ぶ ◆5 蔵鋒   👉ぞうほうをたっとぶ。
書道の極意は、筆先の鋭さを蔵(カク)して現さぬことだ。あたかも泥や沙(スナ)の中に描くように。〈中国古典名言事典〉
*『墨藪』
ゾウホウ
2372 一竿の竹、【シンキョ】に換えず ◆5 簪裾   👉いっかんのたけ、しんきょにかえず。
仕官を断って、風月を楽しむこと。〈中国古典名言事典〉
★「簪裾」は、大夫の簪(カンザシ)と服。
★一竿風月の楽しみをもって、士大夫の位と取り換えなどはせぬという意。
★中国古典名言事典によれば簪裾はサンキョと読んでいるがここでは漢字ペディアに倣うこととする(簪欄見出しに記載)。
*『黄滔-巌陵釣台詩』
シンキョ
2373 周公恐懼す流言の日、王莽謙恭す未だ【サン】せざるの時 ◆5 👉しゅうこうきょうくすりゅうげんのひ、おうもうけんきょうすいまださんせざるのとき。
人の真偽は軽々しく批評することはできない。〈中国古典名言事典〉
★聖人といわれた周公も讒言を蒙(コウム)った時代には恐懼していたし、王位を奪った王莽もまだ簒弑を行わなかった頃は恭謙をよそおっていたという意。
*『白居易-放言詩』
サン
2374 罅漏を【ホショ】し、幽眇を張皇す ◆5 補苴   👉かろうをほしょし、ゆうびょうをちょうこうす。
教えや道の欠けたり漏れたりしているところを補う。聖道の幽遠にして、かつ微妙なものを敷衍し、押し広める。〈中国古典名言事典〉
*『韓愈-進学解』
ホショ
2375 罅漏を補苴し、幽眇を【チョウコウ】す ◆5 張皇   👉かろうをほしょし、ゆうびょうをちょうこうす。
教えや道の欠けたり漏れたりしているところを補う。聖道の幽遠にして、かつ微妙なものを敷衍し、押し広める。〈中国古典名言事典〉
*『韓愈-進学解』
チョウコウ
2376 罅漏を補苴し、【ユウビョウ】を張皇す ◆5 幽眇   👉かろうをほしょし、ゆうびょうをちょうこうす。
教えや道の欠けたり漏れたりしているところを補う。聖道の幽遠にして、かつ微妙なものを敷衍し、押し広める。〈中国古典名言事典〉
*『韓愈-進学解』
ユウビョウ
2377 奴には白飯を与え、馬には【セイスウ】 ◆5 青芻 青蒭 👉どにははくはんをあたえ、うまにはせいすう。
客に対する待遇の厚いこと。〈中国古典名言事典〉
★伴(トモ)の者には白飯を供し、馬には青い馬草(マグサ)を食わせる意。
*『杜甫-入秦行』
セイスウ
2378 筆を投じて【ジュウケン】を事とす ◆5 戎軒   👉ふでをとうじてじゅうけんをこととす。
文筆に従事していた者が、改めて武事に従事する。〈中国古典名言事典〉
★「戎軒」は、いくさぐるま。
*『魏徴-出関詩』
ジュウケン
2379 鱗を清流に濯い、翼を【テンク】に飛ばす ◆5 天衢   👉うろこをせいりゅうにあらい、つばさをてんくにとばす。
高い位に昇り、名声を振るうのたとえ。〈中国古典名言事典〉
*『阮瑀-為曹公為書与孫権詩』
テンク
2380 阮咸は【カンジョウ】の褌を手向く ◆5 竿上   👉げんかんはかんじょうのこんをたむく。
阮咸が七夕の日に世人が豪華で美しい衣装を庭で干すのにならって、ふんどしを竿にかけて世を愚弄したという「晉書-阮籍伝」に見える故事。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「阮咸」は、中国、晉の時代の人。字は仲容。竹林の七賢人の一人。阮籍の甥(オイ)にあたる。
*『晉書-阮籍伝』
カンジョウ
2381 漸を杜じ、【ボウ】を防ぐ ◆5 👉ぜんをとじ、ぼうをふせぐ。
すべて事の始めにあたって防ぐ。〈中国古典名言事典〉
★「漸」は、事のきざし。
★「萌」は、芽生え。漸ともに事の始めにたとえる。
*『後漢書-丁鴻伝』
ボウ
2382 其の阜に【コウジン】して出さば則ち怨靖からん ◆5 考訊   👉そのふにこうじんしていださばすなわちえんやすからん。
多数の意見を尊重すれば人心の和が保たれること。〈故事俗信ことわざ大辞典〉
★「阜」は、多い。
★「考訊」は、問いはかること。
★多数の意見を尋ね相談した後で出兵するならば、内部の怨みは安らぐことだろうという意。范文子(ハンブンシ)が、晋の出兵をいさめて言ったことば。
*『国語-晉語六』
コウジン
2383 【タンスイ】の深壑に赴くが若し ◆5 湍水   👉たんすいのしんがくにおもむくがごとし。
民百姓が仁政のところに赴くことは、あたかも滝つ瀬の水が深い谷に赴くようなもので、防ぎとめようとしても防ぎとめることのできるものではない。〈中国古典名言事典〉
★「湍水」は、急流のさかまく水。
★「深壑」は、深い谷。
*『宋名臣言行録-韓g』
タンスイ
2384 竜あり【キョウキョウ】たり、頃く其の所を失う ◆5 矯矯   👉りょうありきょうきょうたり、しばらくそのところをうしなう。
威勢の良い竜でも、ときには居所を失っていることがある。介子推(カイシスイ)が一時志を得なかったとき、其の従者が主君晋の文公の門前に書きつけて訴えた文の一節。〈中国古典名言事典〉
★「矯矯」は、高くみずからを持するさま。
*『十八史略-春秋戦国・晋』
キョウキョウ
2385 悠長の趣は、醲釅(のうげん)に得ずして、【シュク】を啜り水を飲むに得 ◆5   👉ゆうちょうのおもむきは、のうげんにえずして、しゅくをすすりみずをのむにう。
悠悠迫らない生活の風雅な趣は、濃厚芳醇な酒、つまり富裕からは得がたく、むしろ豆を食べ、水を飲んで暮らすような寒素の中に求められる。〈中国古典名言事典〉
★「醲釅」は、特級の酒。
★「菽」は、大豆。
*『菜根譚-後集三十四』
シュク
2386 名利は飴のごとく甘けれども、一たび死地に想い到れば、便ち味は【シャクロウ】の如し ◆5 嚼蠟 嚼蝋 👉めいりはあめのごとくあまけれども、ひとたびしちにおもいいたれば、すなわちあじはしゃくろうのごとし。
人間にとって、名誉と利益は飴のように甘い。しかし、いつかは死んでいくわが身であることに思い至ると、求めてやまない名利の味も、まるで蠟を嚙むように味気なくなる。〈中国古典名言事典〉
*『菜根譚-後集二十四』
シャクロウ
2387 【ロウビョウ】の器 ◆5 廊廟   👉ろうびょうのうつわ。
政務をとることのできる才能。宰相・大臣となるに適する人物。〈大辞泉〉
★「廊廟」は、政務を執る殿舎。廟堂。表御殿。
*『陳書-杜子偉伝』
ロウビョウ
2388 【キョキ】を擁す ◆5 虚器   👉きょきをようす。
実験の伴わない名ばかりの地位にあり、自分の意志を働かせることができないで、他人から自由に操られ制御されることを言う。〈日本国語大辞典〉
★「虚器」は、名ばかりで用に立たない器(ウツワ)。転じて、実質の伴わない、名ばかりの存在。
*『読史余論-一』
キョキ
2389 勝地は常ならず、【セイエン】は再びし難し ◆5 盛筵   👉しょうちはつねならず、せいえんはふたたびしがたし。
勝景の地もいつも景色が良いとは限らず、盛んな宴会は二度と繰り返されるかどうかわからない。〈中国古典名言事典〉
*『王勃-滕王閣序』
セイエン
2390 千村万落【ケイキ】を生ず ◆5 荊杞 荆杞 👉せんそんばんらくけいきをしょうず。
戦乱による荒廃のありさま。〈中国古典名言事典〉
★村という村、部落という部落は、全てが荒野となった意。
*『杜子美-兵車行』
ケイキ